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五月三日・昼…対ヴィヴィアンヌ






「え?勝負?え?」

「そうよ…私と勝負よ…」


綴也勝負を挑まれる理由が分からず驚いたまま呆然としているしか出来なか

った。

彼女が自分に敵意を向ける理由ならば直ぐにわかる。

しかし自分がイリュシオンで彼女に挑むならばともかく彼女から勝負を持ち

込んでくるというのは不思議だった。


「綴也君も私を殺してイリュシオンを引退させたいんでしょう?」

「え?…ああ…」


会話をするのも久しい筈なのに何で自分がシアに協力しているを知っている

のかと思ったが思えば自分は生徒会に疑われているのだからシアが言ったの

だろうと納得した。

自分の立ち位置がそういう位置というのは分かっていても寂しいと感じるが

それを必死に出さない様にヴィヴィアンヌの言葉に返答する。


「イリュシオンを引退する気なんて無いんだけどこの私が死んだら引退する

って…言っちゃったから…」

「そうなんですか?」

「シアちゃんに何度も言われてね…」

「でも何で僕と…」

「先輩住人としては大人気ない自覚はあるけど君も先に潰しておきたいって

思ってね…」

「あの…僕…このゲーム初心者なんですが…」


綴也はイリュシオンというゲームは初心者である。

一か月経つか経たないか位の初心者である。


「手加減していたとはいえあの黒蜥蜴の両手両足両翼を斬り捨てて顔を斬り

刻んだ観客という評価が付くけどね…」

「でも…あれは偶然な筈で僕も理由が分からなくて…」

「昨日なんてあの黒蜥蜴の手を借りたとはいえ私とシアちゃんの戦いを止め

たじゃない」

「それはドラゴンさんがいなかったら出来なかったし…」

「あの蒼い大剣なんて明らかにとんでもない武器持ってるじゃない…」

「でもあの剣の使い方はまだ解らなくて…」

「だからよ…」


ヴィヴィアンヌの指摘も尤もだった。

笑っているがヴィヴィアンヌの目はとても初心者に向ける目ではない。

もしかすると綴也の弁明も信じてはいないのではないかと思える。

暴露するとヴィヴィアンヌことサクラ生徒会長は綴也の言動は信用が無いの

で信じられてはない。


「君は私の敵の中でも未知数だからここで君を潰して私を引退させようとす

る人を一人でも減らそうって思ってね…」


口調は穏やかだが向けられる剣と目は明らかに敵に対して向けるものだと言

って間違いなかった。

お前は私の手で倒せると倒して証明すると…。

お前では私を倒す事は出来ないし例え不正を使ったとしてもそれすらもねじ

伏せて見せるとう意思の表れだった。

初心者の筈の綴也をヴィヴィアンヌは明らかに敵として見ている事は明らか

だった。


「だから勝負…受けてくれる?」


ようやく綴也も自分がアイディアルを引退する際にも勝負を申し込まれた事

を思い出した。

どんな言葉をかけても彼女は断っても引き下がりはしないと思った。


「はい!!」


だからこの答えに迷いはしなかった。

この勝負は明らかに勝ち負けは決まっていた。

それは以前アイディアルで戦って負けたあの勝負よりも実力差は明らかだっ

た。

でも勝負を受けると決めた。

勝敗は解ってはいても信じてもらえなくともアイディアルで戦う彼女をもう

一度見てみたいという思いに偽りは無かったからだ。


「ただ…」

「ただ?何?」

「僕…思命さんの監視下じゃないとイリュシオン遊べなくて…」

「え!?ええ!?嘘!?本当に!?」

「は、はい…」


受けたは良かった。

だが勝負は出来なかった。

綴也の言う通り彼は思命の監視下でしか彼はイリュシオンを活動できなかっ

た。

もし思命のいない所で勝負を強行したらどうなるかも不明だった。


「ちょ!?そんな話シアちゃんから話聞いてないわよ!?」

「すみません本当に本当なんです。ただ思命さんの連絡先を知らなくて…」

「あのおじ様でしょ!?あのミトラさんか妹さんに連絡してみたら…」


ヴィヴィアンヌも先程までの凛々しかった表情を困惑に激変させている。

普通ならばそのままスムーズに勝負の舞台に行けるはずが二人の試合は早く

も中止寸前で困り果ててしまった。


「その必要はありませんよ…」


という一言と共に一人の女性が二人の間に割って入った。


「ミフさん!?」

「妹さん!?」

「思命本人に連絡入れましたから一時間もすれば到着しますよ」

「そう…良かった」


ヴィヴィアンヌが胸を撫で下ろす。


「当人は今日は用事があって休みを取ったそうなんですがね…綴也さんがこ

こに来ちゃったので緊急で呼び出したんです」

「「………」」


二人は無言で思命の到着を待つ事にした。

もしかしたら自分だけでは信じてもらえなかった思命の事も信じられていな

いかもしれないが彼女も綴也同様に自分たちの都合で休日出勤させてしまっ

た誰かに申訳なさそうな顔をしているのは綴也から見ても確かだった。


「「本当に今日はすみません!!」」

「見事にシンクロした謝罪ですね…」


休日出勤させられにもかかわらず老紳士は穏やかな口調で二人のシンクロし

た謝罪を受け入れていた。


「今日はお休みしてるってミフルさんに聞いて…」

「いいえ…私も綴也君に用があってミフルさんから聞いてご自宅に伺おうと

思っていたので…」

「そうなんですか?」

「まさかこっちに来ていたとは思いませんでしたね…後でお時間よろしいで

すか?」

「はい…」

「ごめんなさいね…私が彼をここに連れて来たの…ちょっと彼と勝負したく

てね…」

「ならば邪魔が無い方が良いですね…ならば」


思命は突如綴也をお姫様抱っこするとそのまま駅を出るなり飛んでない飛距

離を出した。


「え!?…ちょ!?」

「ヴィヴィアンヌさんはついてきて下さい」


現実ならば世界記録なんてというレベルではない距離だった。


「少し遠出しますので捕まってて下さい!!」

「ええ!?ってはい!?」


綴也の後方からヴィヴィアンヌがまるで歩く様な気軽さで思命の飛距離につ

いて来ていた。

どこに行くのか聞きたいが今は命綱が無いので我慢する事にした。


「さて…此処ならば…どうでしょう」


一時間後姫様抱っこされた綴也と抱っこした思命そしてついて来たヴィヴィ

アンヌはある場所に到着した。

そこはとてつもなく高い建物の屋上だった。


「あの…途轍もなく高くないですか?」

「まあ二百階のビルですから…」

「成程ね…確かに…」


高さが百ではなく千を超えているのでゲームの中で短い間に色々経験したと

はいえ命綱が無い状態で立つ事に綴也は命の危機を感じてしまう。

しかし二人は平気そうだった。


「邪魔が入らね様にというのがヴィヴィアンヌさんの希望でしたから此処な

らまあ邪魔も入らないかと思いましてね…以前ガラーシアさんの時に邪魔が

入らない様に気を付けていたんですけど狙撃されましたからいっその事一番

高い建物が良いかと思いましてな」

「そうね…じゃあ…遠慮無く…やれるわね!!」


ヴィヴィアンヌが黒い剣を手にする。

綴也も大剣を手にする。

ヴィヴィアンヌに気圧されて建物の高さによる命の危機所ではなくなった。


「ねえ?」

「はい?」

「何でシアちゃんに協力しているの?」


ヴィヴィアンヌが問うてきた。


「いえ僕もヴィヴィ…いやサクラ会長がアイディアルで戦う姿もう一度見た

のでとにかく全力で行きます」


実力差はわかっているし信じてもらえなくともがそれでも自分の思いを言葉

にして質問に応えた。


「………………そう」

「それでは…二人共よろしいですね?……始め!!」


思命の声が屋上から空に響いた。


「え!?」


その瞬間に綴也はそんな間抜けな声を上げた。


(何で僕上から…吹き飛ばされた?)


何をしようと思う前に自分がサクラの上にいたのだ。

始めはフッ飛ばされたと思いだから体勢を立て直そうとした。

しかし身体は動く感覚が無かった。


(動かない!?ん?)


その目に首の無い誰かの身体があった。


(何が…あれは…首の…な…い…)


その体には見覚えのある服が着せてあった。


(僕の…身体…)


それを最後に意識が白い部屋へと移された。


「は!?首!?」


目が覚めた瞬間綴也は自身の首に触れて繋がっている事を確かめた。


「ウフフ見事な首の飛びっぷりでしたね…」

「僕…負けたんだね…」

「ええ、開始直後にあっさり首と体が切り離されてましたね…」


ゲームじゃなければ恐ろしい事だった。

そう言いかけせても震えが止まらなかった。

首が飛ぶ負け方はアイディアルで幾らでもあった。

経験はあったはずなのにアイディアルで感じなかった恐怖を感じていた。


「貴方の事だから諦めず挑む気なんでしょうけど…実力差はアイディアルに

例えるならばあのニンジャ・マイスター位の差ですよ」

「うっ!!うーん……」


そう言われると彼女に勝つのが何十年かかるかと言われるようなものだ。

綴也はどうしたらいいのか考え始めた。


「邪魔するわ」

「え!?会長!?」

「行くわよ」

「え!?ええ!?」


考え込む綴也の前に思命と共に突如現れたヴィヴィアンヌことサクラ・レノ

ンフォードに綴也は引っ張られた。

流石に強引すぎるので一度離れてたかったが右腕が危険物に接触するギリギ

リだったので当たらない様にするので必死だったのでそのまま連行されてし

まうしかなかった。


「良いんですか?」

「綴也さんは私が監視してますから…それはそうと貴女は良いんですか?」

「………」


ミフルに声を掛けた声の主はしばらく無言の後部屋を去った。


「やれやれ…」


苦笑しながらミフルは何もない所からウィンドウを開く。

そこにはサクラに連れていかれる或いは自分の手が危険物に接触しない様に

歩かされながらも距離を何としても維持せんと奮闘している綴也の姿があっ

た。

そんな綴也を女の姿形をした男は微笑みを浮かべながら見ていた。

Mル…綴也さんも大変ですね。

  言動全てが警戒されてるなんて…

  本当にお労しい…


E香…本当にそう思っているか?


Mル…その言葉を貴女にそっくりそのままお返しする事も出来ま

  すけどやめておきましょう。

  全くこれって奇妙な状況です。


E香…サクラちゃん達生徒会は綴也君を疑っている。


Mル…ですが綴也さんにはもうそれは露見している。


E香…その時点でもはやこれはま…


Mル…ストップですファザコン妻!!

  作者もそう思っています明確に言葉にするのを耐えているの

  です。


E香…どう見てもこれはもはやま…


Mル…ストップですファザコンワイフ!!

   作者もそれ以外に表現は無いかと模索しているのです。

   確かに有名なすれ違い○○みたいだと思いますが…


E香…では…茶番か?空回りか?


Mル…それは身も蓋も無さ過ぎです。

   しかも誰のというのが直ぐにわかってしまうでしょう。

   しかもそれは仮にも後輩に向ける言葉ではないでしょう。

   その意外に辛辣な所を何で中学時代の綴也さんに向けてし

   まったのか…。


E香…向けた覚えはないが否定もしにくいのが腹が立つ!!

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