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五月三日・・・朝 再会と遭遇






「う…ん…」


綴也は目が覚めた。

しかしそれはいつも寝ている部屋ではない。

石で作られた壁に囲まれた部屋だった。

しかし綴也は驚きはしないここがどこだか知っているからだ。


「綴也くん…起きて下さい…」

「う…ん」


部屋のドアが開き綴也に声が掛かる。

その声を聞いて綴也はベットから飛び起きた。


「おはよう…お姉ちゃん…」

「はい…朝ご飯出来てますから顔を洗って来なさい…」

「うん」


綴也を起こしに来たのは長い金の髪に青い空を思わせる目にその身を修道服

に包む女性だった。

ここにいた頃綴也は彼女をお姉ちゃんと呼んでいた。

兄や姉がいなかった綴也にとって正にそう呼びたくなった人でもあり初めて

自分で家族になって欲しいと思った人でもある。


「さあ…今日の朝はカレーですよ」

「やった!!」


彼女の言葉を聞いてはしゃぐ。

綴也は彼女の作る料理の中でカレーが大好きだった。


「美味しいよ…お姉ちゃん!!」

「ウフフ…お替りもありますからね」

「やった!!おかわり!!」


よくよくお替りもしていた。

彼女は笑顔でお替りを用意した。


「アウラお姉ちゃん…おかわり」


綴也は彼女の名前を呼んだ。

自分の部屋で綴也は昔の夢の中だった。


「お姉ちゃんのカレーお替り…」


夢の中に出てくる初恋の人の料理に舌鼓していた。


「綴也さん…起きて下さい…」

「う…ん…お姉ちゃん…カレーお替り…」

「ベタな夢の中とはいえもうお替りは千杯超えてますよ…そんな大食いなん

てされたらその人も食費の為に生活が困窮しますよ!!」


電子製命体の言葉に偽りは無い。

実際に千杯を超えていた。


「おかわ…ってそれはダメだ!!」


綴也は眠りから覚めた。

直ぐに夢だと理解し飛び起きる。

その目に面白そうに笑う電子製命体が写る。


「うふふ…おはようございます…綴也さん」

「おはようございます。ミトさん何でここにいるの?」

「今の私はミフルです…ちゃんとミフと呼んでくださいな…」

「ごめんミフさん…」


自分の部屋にこの電子製命体何でいるのか等聞きはしない。

よくよく朝に部屋に入り込んで来るので驚く事は無いのだった。


「もう朝の九時ですから起こしに来たんですよ…」

「え?……………………………ええ!?」

「私がここにいるよりも時間に驚くんですか?もう…」


だが部屋に勝手に入って来ている電子製命体からの時間を教えられて驚きは

した。


「寝坊しちゃった…」


そう呟きながら綴也は外を歩いていた。

寝坊したと知るや即座に着替えて洗面台に向かい顔を洗った。

居間にはマリアだけがいて他の家族はまだいなかった。

皆まだ寝ているのだという。

理由は昨日の綴也が行った親達への取り調べが夜中の三時まで押してしまっ

たからだ。

その所為か取り調べを受けたマリアも少し眠たそうだった。


「色々聞きたい事はあったのは解るけど…時と場合を考えて程々にね…」

「ごめんなさい…」

「元刑事の息子なんだから…その血が騒いじゃったのかしら…ウフフ」


マリアの用意してくれた昨日のお店のメニューだった外国の朝ご飯を食べて

から朝のニューズ番組を最後まで見て外に出て今歩いている。

ただ寝不足為か船を漕いでいたのでほとんど内容を覚えていなかった。


「昨日はやりすぎた…」


取り調べは冷静にしないといけないと元刑事の息子は思った。

親達には昨日の仕事中に行為に及んだ罰として外出禁止を言い渡してある。

働いていない学生がそんな事を言うのも綴也自身どうかと思うが朝綴也の部

屋に来たミフルに話すと。


「仕事中に弟妹作りしだす親なら仕方がないでしょう…」


と苦笑していた。


「どうしよう…」


現在時間は一一時を過ぎていた。

どうしようかと考えていた。

GWで休みなのだから今日もイリュシオンにもう一度行くという選択肢もあ

るが昨日半日であれだけ濃密な経験をすると良いとも言えなかった。


「ん?」


綴也のPDに着信音が鳴った。

通信機能を開くとそこには三人の高校生が映っていた。


「よお…久しぶりだな…綴也」

「久しぶりだね…綴也君」

「綴也君、久しぶり…元気してる?」

「カイル、雅人、瑛生!?」


それは中学時代の綴也の旧友達だった。

こんな時に久しぶり連絡が来てうれしい反面色々ありすぎて連絡する事自体

が自分の頭の中から抜けてた事に申し訳なさが込み上げて来るがそれでも嬉

しい事に変わらない綴也の声を少し弾んでいる。


「よお…元気してたか?」

「久しぶり?どれ位ぶり…だっけ…」

「おいおい…久しぶりなのに何だかいきなり不穏だな…どうした?」

「ええっと…前に連絡くれたの何時だったけ?」

「おい!?本当に大丈夫か?一か月位前だぞ!!」

「一か月…あ!!」


ようやく綴也も思い出した。

一か月位前初めて新天神に行った日から昨日の夜までを思い出した。


「この一か月間何があったの?」

「まあ…本当に色々あった気がする…」


綴也もこの一言には正に色々が込められていた。

しかしそれでも旧友たちとの会話は楽しい綴也だった。


「まあ今日はお前に明日久々にみんなで集まらないか?って連絡しに来たん

だよ」

「え?良いけど…僕は…」


綴也は体質を考慮して遠出は基本的に消極的だ。

中学時代もそれほど彼等と遠出をした事も無かった。

しかしそれは自分が迷惑をかけるかもしれないからであり出かける事自体に

興味が無い訳ではない。

だが体質によって彼らに迷惑を掛けるのは気分が良くは無かった。


「それはこっちで用意出来てるから大丈夫だよ」

「そうなの?ごめん…ありがとう…でも…」

「気にしなくて良い…君の体質の事も分かってるから…だからと言ってそれ

で一人だけ仲間外れなんてしないさ」

「「うんうん…」」


しかし三人は体質も事件も理解した上で綴也の友達だった。

それは掛け替えのないものだ。


「ありがとう…」

「気にすんなって丁度良さそうなのが手に入ったから誘ったんだからお金と

かは気にすんな…じゃあ明日朝九時に迎えに来るからな…」

「早く寝るんだよ」

「それじゃあね…」


そう言って旧友達との通信は終わった。


「久しぶりだな…」


離れて一か月位しか経っていない筈なのにとても久しいと感じた。

何にせよ明日が少し楽しみになった綴也だった。


(そろそろ…お昼…どうしよう…)


お弁当も持ってこなかった。

財布はあるがお金を使いたくはなかった。


「家に一度帰らないと…ってヴェコちゃんの事忘れて…った!?」

「キャ!?」


綴也は誰かとぶつかってしまった。

女性の声がしたが吐き気が起きなかったのでぶつかったのは少なくとも綴也

にとって危険な箇所ではない事は確実だった。

しかし自分が平気でも相手がそうとは限らない。


「すみません!!大丈夫です…か?」

「ごめんね!!そっちも…大丈…夫?」


なので綴也は相手の無事を確かめようとした。

すると相手も綴也の無事を確かめようとした。

だが直ぐに言葉が出なくなってしまった。


「…え?」

「天宮…撫子…さん?」


なぜならぶつかった二人はお互いが知り合いだった。

綴也もまさか知り合いとぶつかるとは思わなかった。


「!?」

「え!?」


そのぶつかった知り合い撫子が突如走り出した。

理由は彼女に瓜二つの姉から聞かされているので不思議とは思わない。

だが怪我の有無を確認している時位は確認が取れるまで我慢してもらいたか

った。


「ちょっと待って!!」


相手の無事を確かめていない綴也はとにかく追いかけた。

だが撫子に追いつけなかった。


(速い!!)


追いつけないので綴也は全力で走った。

とにかく全力で走った。

初めてイリュシオンに来て初めてドラゴンを見た時以上に全力を出した。

しかし撫子に追いつけなかった。

それ所か相手が更に速くなった。


(何でそんなに速いの!?)


全力で走る綴也を撫子は追いつかせる事等無くそのまま走り去った。

彼女が走り去った公園の道にはいまだに咲き誇る花の先割れている花びらが

花吹雪となって舞っていた。


「はあ…はあ…はあ…だ、大丈夫…だよね?」


確認は出来なかったがあんなに走っているのならば大丈夫だろうと結論づけ

た。


「はあ…それにしても…速かったな…」


かつて部活を探していた時にテストで出ていた陸上部のエースさんよりも速

いかもと思う得る位だった。


「時間は…え!?」


おもむろに時間を確認してみたら時間はあれから一時間経っていた。


「マラソン選手なのかな?撫子さん」


そんな事も思ったが時間もお昼で予想外の運動もしたので一度家に帰る事に

した。


「綴也君?」

「え?」


突如声を掛けられて綴也は振り向いた。

そこには撫子と同じ顔だが違う髪と眼の色を持つサクラ・レノンフォードが

いた。


「サクラか…」

「何してたの?」

「え?」

「何してたの?」


そう尋ねるサクラの表情は綴也には秘密の筈なのにもうばれているとはいえ

仮に露見していなくとも明らかに疑っていると分かる位疑いに満ち満ちてい

た。


「実は…」


綴也は一通りの事情を説明した。


「……」


綴也の説明に虚偽は一切無い。

しかしサクラの疑いは明らかに晴れていなかった。


「一緒に来て」

「え?」

「君を探していて手間が省けたわ…」


どこに行くのか分からない綴也は付いて行く。

サクラに言われるままに綴也は彼女について行った。

駅に着き電車に乗りそのまま新天神…イリュシオンに到着した。


「あの…イリュシオンで…何を…」

「私とここで一対一で勝負しましょう…」

「え?」


イリュシオンに到着するなりサクラはそう言った。

綴也はとにかく一言を出す事しか出来なかった。

Mル…さあ二章クライマックスの始まり始まり…


E香…しかし綴也君も寝坊するのに私は驚いている。

  真面目なのはよく知っているからな…


Mル…綴也さんも人間です。

  まあ…昨日はあれだけ疲れいるのにご両親を取り調べしてい

  た訳ですから…寝坊もします。


E香…流石にイリュシオンであれだけ忙しい半日を過ごしてやっ

  と家に帰ったら目の前でアレだからな…


Mル…綴也さんの疲れていて沸点が下がっていたんですね。


E香…それで全部聞きだしたのか?


Mル…聞き出しましたが疲れが溜まっていた為聞いた事をどれだ

  け覚えているかは…


E香…取り調べは慎重にな…


Mル…元刑事の息子んさんなんですから…


E香…そうなのか?


Mル…知りませんでした?

  お父様が痴漢の冤罪で捕まって辞められたのです。


E香…冤罪でとは…気の毒にな…本当に


Mル…そうですね…ですが…


E香…ですが…?


Mル…生とはそれが全てでは無いのですよ…ウフフ…

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