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戦いの中の戦い






「貴様…」


目の前に現れた騎士は傷だらけでどこか震えている様だった。

何か恐ろしい事があった様だっだ。


「大丈夫ですか?何か…」

「多分…彼もあの二人の戦いに巻き込まれたのでしょう…あの震えぶりから

すると恐らく初めてだったのでしょう…」

「そうなの?」

「あのドラゴンの審査会と彼女の戦いに巻き込まれる人の行動は大まかに震

えて動けなくなるか必死に逃げるかです」

「ああ…」


思命の説明で綴也は自分にも覚えがあるので得心がいった。

目に前の騎士もあの戦いにもとい破壊活動に巻き込まれたのかと思うと自分

勝手ながらも共感出来る気がした。

綴也は共感の入った目で騎士の方を見ると彼の方は震えているがその目には

それでも明らかに綴也に対する怒りという意思があった。


「うっ…」


その目に綴也は息が詰まりそうだった。

しかしそれは騎士の怒りに押されたのではなく生理現象でお腹が苦しい故だ

った。

只事情が解からない第三者からすれば騎士の怒りに気押されている様に見え

る。


「貴様…あの界塵竜を操って何を企んでいる!!」

「いや…何が…?」


騎士に問い詰められるが綴也は腹の異変が段々激しくなっているので苦しく

て答えられない。

しかし事情が解からない第三者から見ると確信を突かれて慌てている様にも

見える。


「お前は何を考えている!!」

「ぐっ!?」

「思命さんまで操って…」

「え!?」

「お前の目的は何なんだ!!」

「うっ…まっ…」

「答えろぉぉぉぉぉぉぉ!!」


騎士は叫びを上げて剣を引き抜き翔けて来る。


「待ちなさい!!彼は…」


騎士の剣が綴也に向かっていく。

傷だらけの身体から放たれたとは思えない綴也が決闘した時よりも速いと思

えた。

片目なので捉える事も出来ないし両足が斬られているのでかわす事も出来な

い。

しかし今はお姫様抱っこしている思命がかわしているので新しい傷は一つも

出来ていない。


「彼はそんな人ではありません!!」

「そう思わされれているだけだ!!」

「あの…ぐっ…」

「どうやって操った!!」

「待って…うっ…」


思命は騎士を説得しようとしているが騎士には届かない。

お姫様抱っこの中容疑者綴也は自分の生理現象を堪える為の戦いで言葉を発

するのは困難だった。

事情を知らない人間が見れば傷が深くて動けないくらいこの悪者は弱体化し

ている様に見えるだろう。

それが傷を付けた当人ならばそう理解するのは尚更だった。


「その人は…凄く大変だったんだ!!」

「うっ…」

「いっぱい大変な事があってそれでも笑顔で頑張って此処にいるんだ…」

「あの…ちょっと…」


騎士は思命の事を何か知っているようで何かを語っている。

それが何なのか綴也には解からないがそれでもそれは桜羽思命こと天宮桜に

対する憧憬や尊敬が聞き取れる。


「なのになんでお前みたいな奴がまたその人に悪さしようとしてくるんだよ

!!ふざけるな!!」

「あの…」

「その人は何処にでもいる女の子なんだよ!!」

「ちょっ!?ちょっと!?」


思命が顔を紅くして驚いている。

しかし外見が老紳士なので老紳士が顔を赤らめて渋い声で慌てている様にし

か見えない。

当人も言っていたがやはり思命の正体は周りからバレていたんだなと綴也は

思った。

そして騎士の怒りは明らかな善意で自分によって操られている女の子を助け

るために恐怖に縛られながらも踏ん張っている様に綴也には見えた。


「これ以上その人をこの世界を…お前の…好きにさせるか!!」


そう騎士が叫んだ瞬間彼のの握る剣が輝き始めた。


「これは…?」

「コレって…あの時の…」


綴也には見覚えのある光だった。


「俺は…一人じゃ何も出来ない…」

「成程…あの剣はある意味同類ですか…」

「同類?」


騎士と白い歌姫を巡り戦った時に最後の一撃を放とうとした時にあった光だ

った。

騎士の剣には何かこの蒼い大剣と同じ様な何かいや意思のようなものが有る

かもしれないと綴也は思っていた。


「俺と…一緒に…戦ってくれ!!」


騎士が叫んだ。

その叫びが何に対してなのかは言うまでも無かった。

その言葉を聞いた剣は更に輝き剣身に金色の光が宿った。


「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


振るわれた騎士の輝く剣からは光がまるで刃の様になって綴也に向かってく

る。


(速い!!サクラ会長の十二本の剣の比じゃない!!)


今の綴也にかわす事も防ぐことも出来ない。

しかし思命は数多の光る斬撃をまるで通行人にぶつからない様な調子でかわ

していく。


「くっ!」

「し…思命さん…凄い」

「フフ…このくらいかわせないとお思いですか…それに私はこれでも…」

「流石は先代…でも!!」


騎士が叫びと次々と飛んでくる光の刃が騎士の剣に集いより大きな光の刃に

なった。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


騎士が剣を振り下ろす。

その巨大な光の刃が思命に今までよりも速く飛んでくる。


「全く…」


それでも思命の表情に変化は無かった。

思命はその光の刃をどうしようとしたのか綴也には分からない。

もしかしなくて思命はあの一撃を無かったかの様に防ぐか弾くかしたと思っ

た。

それでも綴也はこの光が迫った瞬間残った手に力を入れて思命を押しのけそ

の前に出た。


「綴也君!?」


思命が叫ぶがそれには一瞬振り向いて綴也は迫り来る光の刃を見ていた。


(この状態で死んだら僕どうなるんだろう…)


これはゲームなのだから本当に死ぬ訳で無い。

誤解も解きたかったがそれよりも差し迫った問題があった。

お腹がもう限界を超えていた。

このままだと本当に取り返しがつかなかった。


(とにかく直ぐにトイレに行かなきゃ…)


そう思った瞬間綴也は光に飲まれてた。

その光に身を曝した時痛みはやはり形容できない。

只トイレに行かなきゃという思いだけは忘れない様に耐えて消えた。


「これは…何が?何で?」

「これは…なんですか?」

「…え?」


其処には突然の綴也の行動に理解が追いつかず呆然としている騎士と行動の

意味を察した老紳士の二人だけになった。


「人の言葉を聞かない人と勘違いで目覚める武器には少し指導が必要ですよ

ね…ねえ?」

「あ…あの…」


老紳士の言葉は騎士の理解を誤解だと理解させるに十二分だった。

騎士は震えていた。

先程の桁違いの戦いに恐怖した時よりも震えが身体を支配していた。

そしてその震えが剣にも移った様に剣自身も震えていた。


「少しだけ…八つ当たりになる気もしますが…付き合ってもらいますね…騎

士君」

「俺は…いや…僕は…間違ってたんですか?」

「ええ…貴方達共々ね…」

「す、すみません僕はあの男に操られてると思っててどうしても助けようと

思って…あの人にも謝らないと…」

「殺しはしませんが…今後誤解で貴方が誤って誰かを討たない様にその身に

しっかり叩き込んであげますよ…」

「え!?あの…」

「今後聞く耳を持つ事を心掛ける事をお勧めしますよ…」


口調は穏やかだが明らかに怒っているというのが騎士にはわかった。

騎士の善意から来た怒りはその心算は無かったとはいえ老紳士の僅かな怒り

を買うにはには十二分だった。

騎士と剣がこれからどうなるかはこの老紳士の匙加減次第としか言い様が無

かった。


「うわ!?」


綴也は突如として風景が変わり驚いた。

騎士の剣から放たれた光に飲まれて綴也は何度目かのゲームオーバーになっ

ていた。

身体は五体満足だがそれを確かめて一息つける暇は生理現象が限界である綴

也には無かった。


「此処は…?」


一刻も早くトイレに行かなくてはと周囲を確認する。

しかし綴也は何度も飛んだ白い部屋では無く見たことも無い場所にいた。

生理現象に苦しみながらも周囲を見渡せば其処は狭く四つの壁に覆われ綴也

その中央にある何かに座っていた。


「あれ…コレって…」


それを見た瞬間言葉に詰まった。

それは便器だった。

それも大きな方をたす為のもの。

今綴也は今必要な場所の中だった。


「な、何で…?」


その瞬間夢だと思った。

これは都合の良い事があるとは思った。

しかしお腹は限界だった。

確かめる余裕はも無かった。

綴也は即座にこのトイレを使用する事にした。


「うっ…ああ…」


その瞬間今まであった苦しみから開放されるのが解かった。


「はあ…助かった」


綴也の顔につき物が落ちた様な表情が現れコレが夢ではないと言うのが解か

ったのはそれから直ぐの事だった。


「はあ…」


生理現象から開放された綴也は手を洗い見慣れない通路に出た。


「目も右手も両足も付いてる…良し!!」


ようやく体の無事を確認して見慣れぬ通路を歩く。

それでも綴也はこの通路が駅らしいのは理解している。

時折人も沢山通っているので不安は無かった。

恐らく新天神駅の行った事の無いエリアに転送された様だと思った。


「もしかして…そいう機能があったのかな…」


綴也はこのイリュシオンと言うゲームに急にトイレに行きたくなった人の為

のシステムがあるのだと推察した。

そしてその推測は当たりである。


「後で…ミフさんか思命さんに聞いてみようと…」


そう呟きながら綴也は駅の構内に出た。


「え?」


しかし其処は綴也が見知った新天神の駅の構内ではなく。


「ここは…どこ?」


明らかに見知らぬ駅の構内だった。


Mル…この回はそれぞれ自分自身の大事な戦いをしております。


E香…大事なのは理解できるが…

   何故綴也君はこのタイミングで生理現象と戦わねばならん

   !!


Mル…色々ありすぎて緊張感解けちゃってホッとしちゃったらお

   腹の事を体が思い出しちゃったんでしょう。


E香…新年始まってこのタイミングとは…。


Mル…元々イリュシオンで生理現象対策はどうなっているのかの

   話をするつもりだったそうです…。

   ただ綴也君がトイレに行くまでの経緯を文字にすると凄い

   字面になる気がするのですが…


E香…するな!!絶対するな!!


Mル…そんなに取り乱さなくても…

   私達だって必要であればトイレには行くのですから変な事

   ではありません。

   それにトイレの神様はこの日本が国であった頃実は仕事柄

   二番目にえらい神様と言う説も有るんです!!


E香…それに関しては感心するが貴様がトイレに行くのは全くの

   嘘だろうが!!


Mル…ウフフ…


E香…それであの騎士君だがアレは…


Mル…まあ所謂覚醒ですね…

   タイミングは傍から見れば誰かを助けようとしてと力も光

   の剣という王道なのですが…。


E香…事情を知ったら騎士君もその剣とやらも頭を抱える事にな

   るかも知れんぞ…


Mル…何せト…


E香…止めろそれも言うな!!


Mル…まああの騎士君が綴也さんと関わるかは解かりませんけど

   ね…

   彼は彼で綴也さんは綴也さんの人生ですから…。

   そのままあの彼の人生最大の失敗として心に刻まれるのか

   もしれません。


E香…もしかして怒っているか?


Mル…いいえ…全く(完璧な笑み)


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