表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
7/178

彼にとっては新天地への旅路






そうして土曜日。

朝九時頃に綴也は学校に向かっていた。

今年の4月は晴れが続いている為か桜が今も散らずに見事な花を咲かせてい

た。

周りも桜が良く見える所に花見客で賑わっていて朝九時だというのにお酒を

嗜んでいる者もいた。


(今日はお父さん達もまたお花見をするっていってたな…)


家族がお花見を計画していた事を思い出しながらも綴也は今日生徒会の特別

イベントに招待されたのであった。

あれからもクラスメイト達とは会話は成立していなかった。

綴也が話をしようとしてもまるで逃げられる様に避けられてしまっていた。

過去の事に加えて、生徒会長の胸に顔ダイブ事件はさらに自分の印象を悪く

してしまったようだった。

昨日の夜久しぶりに電話してきた中学時代の友人達に入学から今に至るまで

の事を話すと一人目には大爆笑され、二人目にはをお説教され、三人目には

励まされていた。

最後には「暇が出来たら四人で集まって遊ぼうぜ」と言われ学校での会話の

無さから来る寂しさが和らいでいくのを感じた。

だがこのままでは一人ぼっちの高校生活になってしまう可能性が高いのでそ

うならないように積極的にならなければと綴也思った。

学校には知り合いでもある恵理香もいるが頼る事はしない。

そもそもこれは自身で解決するべき問題であり彼女に頼ってはいられないと

考えた綴也は…。


(そうだ、僕は自分で友達を作るんだ…)


右手を握り締めながら顔を上げて前を見据えて戦場へ向かうかの様な面持ち

で学園に向う。

生徒会の面々とはあの日以来の再会である。

先日お騒がせした事を彼女達に謝りたいと思っていたがどうやら彼女達も忙

しいのか今日まで会う事も無かった。

放課後、生徒会室にも何度か足を運んだのだが仕事中で話せなかったり留守

だったりした。

約一週間後には生徒会に入るか職業訓練のどちらか選択しなければいけない

のた。

何時の土曜日ならば近所のスポーツセンターでアイディアルの練習を一日中

やって帰っていたのでこれは新鮮な気分になった気がした。

尚、今週の土曜日は来れないと言ったスポーツセンターの自称専属インスト

ラクターは…。


「これも綴也さんには良い経験です…楽しんできてくださいね。昨日此処に

来なかった事は気にしてませんよ。体調を気にするのも大事な事ですからね

うふふ…」


とにっこり笑いながらそんな事を言っていた。

だがその後に「あはは…」と乾いた笑い声や「週に一度の…私の人生の楽し

みが…」と呟くのを繰り返していた。

明日は確実にスポーツセンターに行かないといけないと綴也は思った。


(時間には余裕があるから…)


学校には歩いても二十分は掛からないが綴也が余裕を持って家を出ているの

はアイディアル関連の自主練習の為である。

今、彼は歩いているがそれは只歩いている訳ではない。

自分自身の筋肉、骨、血管、臓器を意識して歩いていた。

自分がアイディアルで才能がない事は自分が知っていたので何かそれでも出

来る事は無いかと考えて思考錯誤していた時にふと自分は何で体をそんな風

に動かしているのか?と気になって人体構造の事をネットや本で調べた。

全てを理解するには至らなかったが自分の体はこんなにも多くの要素で動い

ている者なのだという事を気が付きそれで自分の筋肉や骨等の体全体を意識

して動く事を思いついた。

歩いている時人間は歩いている事をマナーや歩く事に意識を向けなければな

らない業界の人間でもなければ意識は殆どしていないだが綴也はあえて歩い

ている時でも体全体を意識して行動する事にしていた。

起きる時も、食事の時も、歩く時も、走る時も、アイディアルの練習中も、

家で宿題時も、入浴時も、就寝時も可能な限り体全体に意識を向け続けてい

る。

それがアイディアル何か役に立つかも知れないならばと思い付いてやってみ

たことだが…。


「やっぱり効果は…無い…かな?」


十歳頃に考ついてやった結果何か効果が実感できた事は無い。

こうしている時は自分で体全体に意識という名の在りもしない重りを着けて

いるだけで行動が遅くなっている気もしていた。

それどころかやり過ぎてルーティーンと呼べるものと化してしまいこれをや

らないと落ち着かなくなってしまった。


(まあ、いつか役に立つ時が…来たら良いなぁ…)


それに最近入学したばかりなのに生徒会長と副会長にぶつかってしまいそう

になる事件を起こしたばかりなのでこれが何かの役に立たないかとも思って

いた。

ちなみにミフルにこの練習の話をした時には…。


「まあ、私はあなたの師匠ではないので練習内容には口は出しませんよ。た

だし練習相手が男ばかりと偏っていなければですけど…うふふふ」


と笑顔で語っていた。

そんな結果が出るかで無いか解らない自主練習に溜息が出そうになるがこれ

をやらないと落ち着かない為にやめる事が出来ない綴也なのだった。


ようやく見えて来た校門の前には生徒会メンバーが全員揃っていた。

それを確認するとサクラが綴也が現れた事に気付き他のメンバーもそれに続

いて綴也が来た事を気付いたのであった。


「お早うございます。もしかして時間は…」

「二十分前だから大丈夫よ…でも」

「あの…会長?何かあったんですか?」


と綴也はサクラに確かめてみた。


「綴也君…君その格好は?」

「え?制服ですけど…」

「…何で?」

「何でって?今日学校に集合だったから…」

「今日、学校はお休みよ…」

「え!?お休みって…あ!!」


ようやく綴也は彼女の質問の意味が理解できた。

自分が制服なのに皆は制服ではなく私服。

休日なのに何故に学校の制服でやって来たのかと言う事だ。

繰り返すが朝倉綴也の制服姿は聖アウローラの制服であるブレザーではなく

SFとファンタジーが融合した元第一志望の高校の制服である。

その様子に周りのメンバーも笑っていたり、呆れ返っていたりしていた。


「ア、ハハハ…学校に行くと考えていたらつい…」

「ま、いっか…どうせ行き先には似たような格好の人達ばかりだからむしろ

その格好の方が良いかも…」

「え?それって…」

「それは、着いてからのお楽しみよ!!じゃあ行きましょう」

「あの、すみませんその前に…」

「ん?何?何かあるの?」

「この間はすみませんでした!!」

「な、何!?どうしたの突然!?」


突然の行動に生徒会メンバーが目を丸くしていた。

しかしそれこそが今回綴也がここに来た理由でもあった。


「三日前…生徒会室で吐きそうになった事です。あの時は本当に…」

「い、いや、テツヤ君あれは…わ、私も悪かったからねこっちこそごめんね

謝りにも行かないで」

「いえ…こちらこそ…」

「あれは貴方が悪いわけじゃないわ…。私も言えればよかったんだけど…あ

の時はショックが…ショックがね…」

「会長!?」

「大丈夫ですよ朝倉君。むしろ謝るべきはそこの信号機トリオの赤いの担当

であるルージュでしょうね…」

「「「だから、その呼び方はヤメテ(よ)(下さい)!!」」」

(残りの二人はやっぱり関係ないんじゃ…)

「…まあ、綴也君は気にしなくていいのよ。良いわね」

「はい…わかりました…」

「じゃあ、今度こそ行きましょう」

「あの…これから何処に行くんです?」

「まずは駅ね…そこから目的地に行くの」


一先ず、話は置いておいて綴也を含めた皆が最寄の駅に向かい始めた。

最寄の駅には十分も掛からず到着し切符売り場に来たのだが。


「あの…会長?」

「何?」

「結局、これから何処に行くんですか?」

「ああ!ごめんごめん行き先は…」

「新天神ですよ」

「新天神?」

「あれ?綴也君知らない?」

「?…はい」

「新天神よ!新天神!知らないの!?」

「?…はい」

「「「「「……」」」」」


綴也は聞き慣れぬ地名に頭を傾げた。

サクラ達が何を驚いているのか解らないが知らないものは知らないので綴也

は知らないと答えるしかない。


「ねえ?もしかして電車に乗った事ないとかじゃ…」

「いいえ、初めてじゃないですよ。イギリスに住んでた頃乗ってました…」

「イギリス!?イギリスにいたの!?じゃあ日本で電車に乗るのは?」

「日本に来てからは初めてです。今迄電車は乗らなかったんで…」

「そ、そうだったの…なら後で簡単な説明するから切符買ってホームに行

きましょう?」

「?…はい」


目的地は解ったが肝心のイベントの内容はは明かされずその内容が気になる

綴也であった。

切符を買って駅のホームで電車が来るのを待っていたがどうやら、目的の電

車は一足違いで出発してしまい。

全員が駅のホームで次の電車を待つ事になった。


「電車のデザインが違う!!」


と言って電車が今まで乗ってきたモノとは違う事に綴也は驚き目を輝かせて

いた事もあった間に電車は到着したので綴也は電車に乗り込んで目的地に向

かうのだった。

その電車は満員電車だったので万が一女性の胸に触ってしまい電車内で嘔吐

など出来ないので綴也は電車の壁に寄ってそこを生徒会メンバーが囲ってい

る状態で電車に乗る事にした。

彼女達がそれぞれ後ろを向いてくれていたので胸を触るなどの悲劇は起きる

事は無かったが綴也は吊り革に両手で捕まる事が出来ずサクラの言う目的地

辿り着くまで綴也は電車の端で圧迫され続けた。

念の為に両手を挙げてお尻に手が当たらないようにしていたが綴也は巻かれ

るお寿司の具はこんな気分なのかなと思った。

Mル…お寿司の具って…


E香…君らしいと言うか何と言うか…


Mル…他の男の子はきっと別の感想を浮かべていたでしょうね

   …。


T也…???他の???


Mル…まあ、良いでしょう。

   それよりも確か日本で電車に乗ったことが無いんでしたね

   …綴也さん。


T也…まさか初の日本の電車に乗る際にお寿司の具の気分を味わ

   う事になるとは思いませんでした。


E香…もしも生徒会のメンバーが後ろ向きではなく前を向いて電

   車に…


T也…吐くから絶対嫌です!!


E香…そ、そうか…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ