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サクラでは無い桜






「二人供お知り合いなんですか?」

「前に新天神じゃない方の天神の街でぶつかって…サクラ会長にそっくりで

ビックリして…」

「そしてその夜に公園で居眠りしている綴也君に私声を掛けたんです…」

「元天神…ああ朝倉君が職務質問を受けたあの時ですか…」


会ったのはこれで三度目だったがそれでも綴也は驚いた。

思命が女性と言うのは庇ってもらった際に心身に身を持って理解したがその

女性がまさかサクラそっくりの女性だとは思いもしなかった。

何処からどう見てもサクラにそっくりだった。

そっくりと言う言葉では表現が足りない。

外見はサクラと同じであるが心だけは別なのだと心しておかないと見ただけ

では間違えてしまうと思うくらい彼女はサクラと見分けがつかなかった。


「うふふ…私の言ったでしょう桜さん。綴也さんは驚くって…」

「ってミフさん!?ミフさんが言ったんですか!?」

「ええ、気持ちが良いくらいの驚き振りですね…」

「ええ、あの糞女と話の後は綴也さんをからかうのは癒されます」

「ミフさん今まで何処にいたんです?」

「ちょっと久々にあの糞女とお話合いをしていたんですよ思い切りね…後言

っておきまずが彼女の姿は本物ですよ」

「本物?」

「本当にサクラ・レノンフォード嬢とそっくりなんですよ…心以外は身体的

差異はナノ単位有るか無いか位なんです」

「いや前に出会った事があるからそんな事考えてませんよ」

「いや綴也さんの様に社会の荒波に揉まれ易い人は疑った方が良いかもしれ

ません。意外に騙されている可能性も…って…会った?会った事があるんで

すか綴也さん?」

「って…言って無かった…ごめんなさい」

「聞いぃぃぃぃてませんよぉぉぉぉぉちくしょぉぉぉぉぉう!!折角のネタ

がぁぁぁぁぁぁ!!」

「ミフさんごめん!!あとミフさん声!!声!!」


ミフルは四つん這いにうな垂れ叫んでいた。

その叫びが綴也をからかう事が生きがいと言うミフルなりの悔しさを表わし

ていた。

声質が変化している様に聞こえたのは空耳である。

いつの間にか再び現れたミフルとの会話で相手が正体を明かした直後脱線し

たが話は始まりに戻った。


「改めて自己紹介しますね。私は天宮 桜よろしくお願いしますね朝倉 綴

也君」

「は、はい改めて朝倉綴也です…って天宮…って…」

「彼女は天宮 撫子さんのお姉さんですよ」


綴也は彼女そっくりな茶色の髪の活発な妹の事を思い出した。


「そうだったんですか…じゃあ双子ですか?」

「ええ、髪と眼の色以外はそっくりでしょう?」

「一人で二役やってるっていわれても納得するかも…」


彼女は眼と髪の色以外何処が違うか分からない位同じに見えた。

性格と言う答えもあるはずだが綴也にはそれが浮かばなかった。

妹の方は髪も眼の色も違い性格も明らかに違うというのが分かる位活発な女

の子だったと綴也は思い返した。

尚付け加えるが綴也は一部分見る事が出来ないから確認していないがその彼

が見ていない部分の大きさも一緒である。


「それで…天宮さんのお姉さんの話って…?」

「ごめんなさい!!」


綴也は桜の話が何か聞いただけ。

が次に来たのは最敬礼とされる四十五度のお辞儀と謝罪だった。


「え!?え?」


普段謝罪される事は無い綴也は困惑した。


「今回の貴方の退学はもしかしたら妹が原因なのかも知れないんです…」

「ん?…??」


そしてその理由を聞いて困惑は混乱に変化した。

何でそれで撫子の姉が謝罪をしているのか?


「桜さん…綴也さんが混乱しています」

「??、??、???」

「え?あの…」

「綴也さん。大丈夫ですか?」

「は!!うん大丈夫大丈夫」

「そういう時の大丈夫は信じられません…何で彼女は綴也さんに謝ったんで

すか?」

「ええっと…妹さんが停学の原因かもしれないって…でも何で?」

「はい、大丈夫である事が確認できましたので桜さん…どうぞ」


逃げて行っただけでそれだけで停学になってしまったらそれは学校という施

設が何かおかしいのではと綴也は思った。

ミフルに促されて桜は続けた。


「妹は貴方に確かめたい事があって…でも緊張してそれが出来なくて逃げち

ゃって…その結果学校内に悪い噂があっという間に広まって…」

「そ、それは考えすぎじゃ…」

「あの糞女に聞きましたが綴也さんの女性との悪い噂は酷い物だともう原型

留めていませんからね…聞いてるだけで呆れますよ…」

「そんなに凄いんだ僕の噂…それで確かめたいって…何を?」

「…貴方のお父さんの事なんです」

「僕の父さん…あ!」


桜の言葉で綴也の中で何かが閃いた。


「もしかして…撫子さんは…僕の父が…好きなんですか?」

「は、はい…おそらく。それで綴也君にそれを確かめようとして出来ずに妹

は…」

「そっか…それで撫子さん好きな人が僕のお父さんと確かめようとして出来

ずに二回も顔真っ赤で逃げたんだ…」

「本来は妹が謝らないといけないんですけどあの子停学の事もあって気まず

くて…妹に代わり謝ります…本当にすみません」


だから彼女は妹の為に自分の正体を明かして話をしている。

綴也は理解した。

ならば綴也が返せる言葉は一つしか無かった。


「いや…妹さんが原因って事は絶対に無いと思うんですけど…」

「え?」

「元々日曜日にケンカしたというかナンパしたって誤解を招いたからこうな

ったんで…」

「でも…」

「仮に妹さんが停学の原因だとしても怒る理由にならないよ」


そもそもそんな理由で停学になるのらばそれこそおかしな話である。

このお姉さんもそしてあの活発な妹も思ったよりも気に病んでいたのかもし

れない。


「逆に気を遣わせてすみません。停学の方はもう解けたんで僕は大丈夫です

から…妹さんの撫子さんにも気にしない様に伝えて下さい」

「ですが…」

「それに噂の中には本当の事もあるので…」

「そうなんですか?」

「姫神殺しの事、恵理香先輩の事、小学生の時告白の際に「奴隷になって下

さい」って言っちゃって相手を怒らせた事は本当なんです…」

「事の脚色が全く無い真実を知っているのは正しく国家の重要機密並みの少

数だけですけどね…ですが綴也さんはこのゴールデンウィーク中に誤解を招

かない様に気をつけましょう…折角停学も解けた事ですし」

「でもまたあの時の様にナンパさせられている人を放っておくのは…」

「そしてまたあの美しい少年が綴也さんを悪漢と誤解をして…ウフフ」

「倒されて気絶してそしてまた停学は嫌だけど…でも放って置くのは…って

からかってません!?」

「フフ…」


ふと天宮 桜は笑い出した。

その笑顔はサクラと同じ顔で十代の少女である筈なのにどこか貴族や王様或

いは別の世界の人間の様に思える。

しかしその笑顔には偽りや嘘が一切無いと周囲が感じられる笑顔だった。


「今日は綴也君が信じられる人間ならば妹の謝罪とは別にこの姿をさらして

話をするつもりだったんです」

「え?」

「そして…私はそうして良かったって思います…」

「ええ!?」

「綴也君…ミフルさんが言ったとおり貴方は噂通りの人じゃない。例え貴方

あの姫神殺しでどんな失敗をしたとしても周りがどの様に風に思っても私は

貴方が違う人間だと短い間ですが信じられる人間だと思います…」


桜の一言に綴也は息を呑んだ。

綴也自身出会って間もない人間が自分を肯定してくれるというのは珍しいし

余りにも久しぶりで少し衝撃を感じざる得なかった。


「綴也君?」

「…え?」

「どうしたんですか?何だか様子が…」

「え?え?」


桜の問いにまともな回答が出来ない。

綴也の頭の中は先程の桜の謝罪の時以上に混乱していた。


「桜さん…綴也さんは日頃から周囲から否定されてばかりでしたから自分を

肯定的な言葉を掛けられて戸惑っているのですよ。ねえ?」

「う、うん…すみません」

「それは…」

「いえ、さっきも言ったけど色々失敗はしているんで…」

「でも綴也君が噂通りの人間じゃ無いというのはよく分かりましたよ」

「な、何だか…ありがとうございます」

「ほら…しゃんとしなさい…幾ら桜さんが魅力的だからって見蕩れるとまた

余計な誤解を生みますよ…」

「違いますって…またミフさんからかってます?」

「私がからかって我に返って真面目な顔して即答はちょっとどうかと思うの

ですけど…それに今の返しは桜さんに失礼です」

「す、すみません!!」

「いいえ…私は大丈夫ですから…」

「ってミフさん!?また!?」

「ウフフフ…」


綴也を知っている人間は綴也の事情を知っている。

だからこそ綴也は肯定されていると言っても過言ではない。

しかしそんな人間以外で綴也を事情も知らないであろう人間から肯定される

事に戸惑っていた。

それは目の前の少女が自分に優しく言葉を掛けながらも自分を善意から敵視

している少女と同じ外見をしている事もあったかもしれない。

ミフルが綴也をからかったのは綴也の扱いを誰よりも心得ているからこそこ

の寸劇を即座に組んだのだ。


「改めまして桜羽 思命としてイリュシオンで綴也君が不正をしないように

しっかり公正に監視いたします。改めて…よろしくお願いしますね…姫神殺

しさん」

「よ、よろしくお願いします」


桜から差し出された手を綴也握り返した。


「綴也さん…こういう時は信じるって言ったのに何で監視するんですかって

突っ込まないと…」

「え!?そうなの?」

「うふふ…そうですね信じると言いながら監視するんですから。まあ綴也君

が自ら不正に手を染める人間ではない様ですし…」

「すみません…ミフさんが何時も僕を二十四時間監視してるって言ってるか

ら…まあ…信頼されてても監視される事にショックは無いというか監視され

てる気がしないと言うか…」

「「…ん?」」

「ん?…どうしたんですか?」

「「…いいえ」」


綴也にとって二十四時間ミフルに監視されていると当人から言われている。

その理由は姫神殺しの事件が原因とも言えた。

しかし悪戯とからかわれる事以外に困ったこと無い。

それは一種の信頼の証である。


「「ミフルさん?」」

「ウフフ…」

「「…」」


しかしそれが法律や人道的に照らし合わせればどうかは別の問題である。

理由があるとはいえ何気なく発せられた綴也の言葉に桜と会話を見守ってい

たシアは一斉に笑って知らん振りをしている電子製命体にしばらく言いたげ

な視線を向けていた。

その視線にどの様な想いが込められているかはここからでは視線を向けた当

人にしか分からないが何か呆れている様にも見える。

そして向けられた当人は笑いながら視線を受け流していた。


Mル…さて、サクラ・レノンフォードと天宮桜さん。

   二人は外見は全く同じです。

   

T也…凄いね。

   全然違いが分からない…。

   自己紹介されても信じられない位同じに見えたよ。   


Mル…おそらく性格もとい心以外は全て同じと見て良いかも知れ

   ませんね。


T也…入れ替わったらもう分かる人はいないんじゃないかな…。


Mル…一卵性の双子よりも差異は無いくらいかもしれません。


T也…会長と桜さんが出会ったらどうなるんだろう…。


Mル…それは凄い事になる事は間違いないですね…色々と…ね。


T也…そうそう桜さんとの会話でつい思い出したけど。

   僕ってミフさんもといミトラさんに監視されてるんですよ

   ね。


Mル…そうですよ二十四時間完全に監視しております。


T也…姫神殺しが理由なんだよね。


Mル…そうですよ。


T也…からかうネタが欲しいからじゃないでよね?


Mル…それもありますけど綴也さんはそれくらいで気にはしない

   でしょう?


T也…その通りだけどそれを打ち明けるのは監視する者して色々

   どうなの?


Mル…うふふ。

   それが今の私の綴也さんへの本当の評価なんですよ。


T也…?


E香…女装癖のポンコツ野朗電子製命体の評価が一体どれ程意味

   があるものか…


Mル…突如現れて悪言雑言を振りまく疫病神女に言われても痛み

   ませんよ私は…ウフフ。


E香…自分で綴也君の評価を上げ下げして弄ぶ悪趣味下衆男の評

   価は評価に値しない思うが…


Mル・E香…フフフ…。


(二人がいがみ合うのは何時もの事なので綴也は話題を変える)


T也…そういえば作者さんがミフさんが実は男だと言う描写にど

   う書けば良いか悩んでるんだって…。


E香…それは簡単では無いかこいつが女装している事を…。


Mル…私が言及するのもなんですが単純過ぎですファザコン妻。


T也…だから僕をからかうネタを取り損ねて感情が昂ぶって襤褸

   が出るような形にしてみたって…。


E香…電子製命体…なのにな…。


Mル…私は綴也さんをからかう事は私の中ではとっても需要なの

   です。


E香…電子製命体…なのにな…。


Mル…私は自分の生き方に一片の悔いはありませんよ。


E香…電子製命体…なのにな…。


Mラ…何で三回繰り返した?おい?


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