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日曜日…夜の公園






「やっと…着いた…」


朝に清々しさに緩んだ伸びとは逆に疲れ切っており清々しさのかけらも無い

しかし帰ってこられた事に心からの安堵を篭った伸びをしながら綴也は駅か

ら出て来た。


「何だか物語にはこんなトラブルばっかりの日って話が有った気がる…」


今日はイリュシオンに行こうとしたはずが朝は自分の学校の一年生に無理矢

理アイディアルで勝負を挑まれお昼は電車のトラブルで降りた天神駅から新

天神を目指し歩いていたら女の子達が悪い男達に襲われそうになっているの

を止めようとして美しい少年に自分がその悪い男達のリーダーと誤解されて

気絶して目が覚めたら夕方の五時でそのまま此処に帰らなければいけなくな

ってしまった。


「あの人には悪い事したけど…助かった…もしかしたら僕一人じゃこの時間

までには帰れなかったかも…」


時計を見ると夜の七時を過ぎてもう直ぐ三十分になる所だった。

駅で電車に乗ろうとするも事故の影響で乗れる電車は満員だった。

六時頃になって次の電車が来たが電車は各駅停車で時間もかかり男性専用車

両もなかった。


「困ったね…君女性の胸を触ったら吐いちゃうだろう…誰か男の人で付き添

ってくれる人はいないかな…特別扱いして運転席に乗せるのは難しそうだか

らね…」


他に電車が無いか駅員さんに聞いたらそれはお昼にお世話になった駅員さん

だった。

しかし満員電車は綴也にとっては事故の危険性が桁違いに上がる。

しかし付き添ってくれる人はいない。

そんな時に事情を聞いた知り合ったばかりの美しい少年が自分の駅まで付き

添ってくれると申し出てくれた。

流石に申し訳なかったが少年が…。


「勘違いのお詫びだよ。それに僕は迎えが来る様に連絡が取れるから…」


と言う事で綴也はその厚意を受け取る事にした。

少年が壁になってくれたお陰で地元の駅まで安全に辿り着く事が出来た。


「うん、今駅に着いたから…」

「そう、所で今日綴也イリュシオンで見かけなかったね…どうしたの?」

「まあ、色々あって…って父さんマリアさんともイリュシオンでデートして

るんですか?」

「うん。って…あ!」

「あ!って父さんまさか服装もそうだけど…他の」

「ごめん!!そろそろお客さんが来たから仕事に戻るから綴也も桜を見るの

は良いけど早く戻る様に!!」


綴也は家に帰った後自らも知らなかった家庭の事情を父に問い質さなければ

いけない事が増えたが何せよ先週と違い家にも連絡したので公園に少し寄り

道をする事にした。


「桜…まだ咲いてる…」


夜の公園には満開の桜が咲き誇っていた。

桜の花は四月の始まりに咲いたとはいえまだ満開の花を開いていた。


「この桜…もしかして本当にこのまま咲き続けるんじゃあ…」


この桜の話はこの公園に限った事ではない。

この桜が咲き続けているという現象は都市日本中で確認されているものだっ

た。

原因は今の所不明。


「そうなったら一年中お花見し放題かも…でも」


そうなるとお花見が春の行事ではなくなって一年中咲き続けるという事かも

しかしたらそれが元でお花見をする人達が少なくなっていなくなるかも知れ

ないと綴也は思った。


「そんな事言ったら…ゴミが無くなって良い…のかな?」


とお花見の未来を考えて見たが答えは出ないので綴也はベンチから立ち上が

り家に帰る事にした。


「…ん?」


家に帰ろうとした綴也の耳に音が入った。


「何だ?…これ?」


初めは風の音かと思った。

隙間に入る風はそんな音がしたからだ。


「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「何!?女の人の声!?」


それが遠くからでも人のそれも叫び声であるという事が理解できた。

綴也は直ぐに公園から出ようとした。

お昼に女性が言い寄られていたのを目撃していたのでその手の事が頭に浮か

び即座に警察に連絡を入れようとPDの通信機能を立ち上げようとした。


「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「え!?」


しかし連絡する前に叫び声のほうが自分の方に近付いて来た。

それに気付いた直後に綴也の傍を何かがまるで銃弾の様に突き抜けた。

それは明らかに銃弾のサイズではない。

その直後の突風に吹き飛ばされて綴也はそれが何なのか確認できなかった。


「何…が…!?」


起き上がった綴也が通り過ぎた何かの方を見た。

それが人間の女性だった事は直ぐに判ったが綴也は驚かざる得なかった。

長い桜色の髪に桜色の眼をした知り合って一ヶ月も経ってはいないが忘れる

筈も無い年上の少女が怒りいやそんな言葉では形容出来ない表情で睨みつけ

て目の前に立っていた。


「サクラ…会長?」

「があぁぁぁぁ!!」


サクラが綴也に向かって来る。

何がどういう事なのかなど考える暇は無く綴也は迫り来るサクラの進路を避

ける為にとにかく横に飛び込むように逸れた。

どちらの方向に飛んだ等認識できてすらいなかった。

だが綴也がサクラの進路から避けた直後その地面から明らかに出てはいけな

い何かが砕けた音と煙とが出た。


「え!?」


それは地面がサクラの拳で粉砕されたから発生したものだった。

睨みつけたままサクラは綴也に拳を振るおうとする。

夢かどうかは考える暇など無く受ければ地面ではない自分はどうなるかが解

からない訳じゃない綴也は避ける。

体質もあるがとにかく避ける。

避けられているのは彼女の動きが無茶苦茶だからだろうこれがアイディアル

の時の試合ならばこの一撃で綴也の人生最後の勝負が終わっていた。

そして地面を砕いた拳を自分の身体で受ければどうなるかのど考える前に理

解している。


「うぶっ」


しかし視覚ダメージが蓄積していくと綴也の動きも鈍って来てサクラに首を

つかまれてそのまま吊り上げられてしまう。


「ぐっ…がぁ…」

「ぐぅぅぅぅぅぅ!!貴方が…貴方が!!」

「がっ…え?」

「貴方が…貴方がいるから…貴方が生きているから!!」


サクラはそのまま綴也を投げた。

綴也はまるで野球のホームベースへの送球の如く飛ばされて転がる。


「がぁあ!?…がはぁ…はあ…会…長…」


全身が痛んだが痛いだけで骨が折れてはない。

それだけすんだのは日々自分を鍛えた結果といえた。


「貴方が…貴方が!!…私を…皆を!!」

「え!?」

「貴方がいるから…生きてるから皆も…あの子も…貴方の所為で苦しめられ

てるんです!!」

「ッ!!」

「貴方みたいな人害は…生きてちゃいけないんです!!」

「…」


サクラが何を言いたいのか綴也にはその全てが解かる程聡くは無いが解から

ないほど鈍くは無いつもりだ。

こんな状況ではあるが本来ならばこれは夢なのかどうなのか考える事がある

べき対応ともいえる。

でも今の綴也にとってはもうどちらでも良かったしどうでも良かった。

目の前の少女に涙混じりにそんな言葉を叩きつけられたからだ。


「会長…」


現実であれ夢であれ彼女がこんなにも泣いてこんな風になっているのは自分

の所為なのだ。

綴也はサクラに信じてはもらってはいない。

恨まれてこんな風に殺されそうになってもその理由もきちんと自覚できてい

る。

でも殺されるのは嫌で彼女に自分のような人間とはいえ殺人罪を追わせたく

は無い。

だから綴也は逃げるのを止めた。

自分に何が出来るか等解からない。

でも逃げる事は出来なかった。

現実だろうと夢だろうと自分が向き合わなければいけないと綴也はサクラを

見る。

やろうとしている事は見たことがる旧い映画で言われたくない悪口を言われ

て怒る物語の主人公と対して変わらないし或いはそんな主人公よりも格好悪

いとすら思える。


(けど…僕は)


このまま彼女を放っておく事はしたくなかった。

綴也はPDを右手に持った。

PDの光は出すと実は触れる事は出来る。

だが実際に切る事は出来ない。

それに質感も剣の様に硬いというよりもクッションみたいな柔らかな物だっ

た。

だから武器にはならないが武器に見える何かを持って少しでも自分の心を落

ち着かせる目的だった。

綴也はPDのスイッチを入れる。

右手に持った初恋の女性に買ってもらった宝物が自分の好きな蒼色の光を形

作る。


「ああ!!」


武器を取り構えた綴也を見てサクラは綴也に突撃し拳を振るう。

振るわれる拳に優しさの類は一欠けらもない。

あるのは恐らく目の前の人害という存在を殴り飛ばしてでも否定したいとい

う意思。

その拳が光剣を構える綴也に振るわれる。


(!!)


拳を振るう中少女の目は見た。

その人害が武器を手放したのだ。

でも関係ない彼女は拳を振るう途中で止める事はする気は無かった。

可能だがやらなかった。

どんな理由が原因が彼女にあろうとそんな考えは彼女には無かった。


(何とか…此処まで来た)


目の前に振るわれる拳が迫っている筈なのに綴也の思考はまるで時間がゆっ

くりになったかの様に落ち着いていた。

そう玩具の光剣を取り出したのは武器の代わりを持って心を落ち着かせる為

であり武器にすることでは無い。


(流石に…アステリーヴァは壊したくは無いし)


サクラの拳を受け止めてそのまま止めて説得する為の勇気が欲しくて宝物を

握って戻れない所まで行く為に自分を奮い立たせる為だ。


(此処まで来れば後戻りは出来ない…凄く怖いけど…)


そのお陰かこの状況でも考える余裕が出来た。

まるでアイディアルの最後の試合の時を思い出させた。

彼女の剣は十二の剣と共にどこか舞っている様にも見えてそして一人で十三

人の騎士を相手にしている様に見えた。

そしてもっとアイディアルをしている時の彼女を見てみたいと思える程実力

も焼きついた景色も強かった。

今の彼女にはその面影は無い。

夢か現実かは考えるよりも彼女を止める事が大事だった。

彼女の拳が目の前に迫る。

綴也は両手を拳に合わせようとする。

その拳を受け止めて説得しようとした。

手でも受ければ只ではすまないがそれでもやると強張っている顔で懸命にそ

の場に立つ。


(駄目だ!!先輩のほうが早い!?)


だが綴也の両手が拳に重なるよりもサクラの拳が中途半端位置の両手と共に

綴也の顔を殴り飛ばす図が浮かぶ。


(なら…殴られても説得する!!)


それは手よりもしに危険性がある選択だった。

だが元より退路は無い。

そもその説得と言っても何をどうしたら良いのか解からないし。

それ以前に綴也はサクラにとっては先程の言葉を借りるならば悪逆非道の悪

人でそんな人間扱いすらしていない者の言葉が届くか等考える前から解かっ

ていなければならない。


(でも…逃げるのはもっと駄目だ!!)


逃げればそれは彼女が言う悪逆非道よりも酷いと綴也は思った。

彼女の言葉が綴也から逃げるという選択肢を奪い取ったのだ。

彼女の拳が綴也迫る。

額で受け止めてそこで両手で掴んで動きを止めて説得する。

足は自由なので蹴られるかもしれないしもしかしたら投げられるかもしれな

いが話さずに説得する。

受ければ只ですまないのは此処までの間に何度も覚悟している。

いや怖くなるたびに覚悟をし直してここにいる。

物語の主人公ならば一回で決めるだろうが自分はそうではないから何度も覚

悟しなおすのだろうと自分なりの覚悟を決めて綴也は両手よりも自分の顔を

拳の前に押し出そうとした。


「!!」

「え!?」


しかし綴也に彼女の拳が届く事はなかった。

綴也と彼女の拳の間に割って入っていた物があった。


「え?…え!?」


それは先程手放した筈の宝物だった。

その宝物が何故か綴也の手にあり大好きな蒼色ではなく白金の光を形つくり

サクラの拳を受け止めていた。


「な…なんで?」

「があぁぁぁぁぁ!!」

「会長!?待っ…」


何がどうなっているか考える前にサクラは拳を連続で放つ。

拳をその手に握る宝物の放つ光の剣で受け止めあるいはかわす。

しかし何でこんな事になったのか何がどうなっているのか混乱している頭に

更なる要素が入り込みは綴也頭の中は混乱する。


「っ痛っ!?」


混乱している綴也に対しサクラの動きが更に鋭くなっていた。

綴也が避けられた滅茶苦茶な動きではなくなっていた。

そもそもこの動きはアイディアルで見れたサクラ・レノンフォードの動きを

遥かに超えたものだった。

理由は解からないし答えも見つけられないし見つける余裕も無い。

混乱に加えて綴也の体質由来の視覚情報ダメージが更に加わり動きが鈍り彼

女の動きがその数瞬で更に鋭くなり拳や足が綴也を捉えて来た。


「がはぁ!!」


綴也は吹き飛ばされその手にある宝物を手放してしまう。


「あぁぁぁぁ!!」


彼女が声を上げて突撃してくる。

綴也の手に武器は無い。

立ち上がろうとする間もない突撃に避ける事ができない綴也は只彼女の拳が

自分に突き刺さるその瞬間を目にするまで待っているしか出来なかった。


「っ!?!?」

「え!?」


綴也の手から離れた筈の白金の光を放つ宝物がまるで自分の意思が在るかの

様にサクラの拳を受け止めた。

しかし空中に浮いているだけだからか宝物は直ぐにかれる。

サクラはその宝物にその拳を放とうとした。


「!!」


その瞬間に綴也は動いた。

空中に舞う宝物を右手に取った。

しかしその体勢からでは構えなおす事もサクラの拳は避けるのはできなかっ

た。

出来るのは自分がサクラの拳を受けるか自分がサクラにこの剣を振り下ろす

かの二択だった。

その時綴也は白金に光る宝物をサクラに振るった。

それは反射的にか生物が死の危険を感じたから生きたいから振るってしまっ

たのかそれとも自分の行為でありながら何かに動かされたのか或いは自分の

所為でとはいえ自分の宝物を壊そうとして自分の心が彼女に敵意を抱いたの

か故か綴也は自分の行為を中まるで他人事の様に見えた。


「…あ」


自分の振るった宝物の発する刃がサクラの体を縦に斬り裂いた。

いとも簡単に呆気も無しに。

その瞬間に綴也は一言呟きが出たと共にサクラは倒れた。


「か、会長!?…会長!?」


その瞬間我に帰った綴也はサクラに駆け寄る。


「会長!?…しっかり!!しっかりして下さい!!」


綴也は彼女の名前を呼び続ける。

彼女は答えない。

当然の事だ。

彼女は剣で斬られたのだ。

それも自分の手で斬ったのだ。

それで自分に言葉を返すなど出来る筈も無い。

自分が人を斬り殺してしまったという言葉が頭に浮かび泣き叫びそうだ。


「病院…救急車!!」

「すぅ…すぅ…」

「会長!!って…え?生き…てる?」


体を斬られた筈なのにサクラは生きていた。

まるで先程の表情が夢だった様にスヤスヤ眠っていた。


「よ、良かった…」


綴也はその場で崩れ落ちた。

色々な安堵が重なった結果今は一歩も此処から動けなかった。

つまり腰が抜けたのだ。


「何が…って…あれ?」


サクラの方を見て綴也は何かに気が付いた。

そう先程綴也はサクラの身体を斬った筈だった。

そんな事を妄想や勘違いや記憶に無いだと言う様な精神を綴也は持っていな

い。

なのにサクラの身体には勿論服にも宝物の光剣の玩具で斬った傷跡が無かっ

た。


「何で…何…が」

「その子から離れろ!!」

「え!?」


腰が抜けたままの綴也は突然叩き込まれた謎の声と共に何かに吹っ飛ばされ

た。


「がっ!?な!?」


そこから何か硬い何かに殴られただけは理解できたが綴也の意識はそこで途

切れた。


「はっ!!…会長!?」


目が覚めると公園があった。

しかし風景は横を向いていた。

起きようと下が頭は何かに押さえ込まれて感覚があって起き上がれない。


「え…っと…何が!?」

「一応言って置きますけど起き上がり上を向くと吐く事になりますよ…綴也

さん」

「え!?」


聞きなれた声で珍しくとても優しい女の声と共に横を向く頭に添えられてい

る手の主に綴也ようやく気付いた。


「み、ミフさん?」

「うふふ…ようやくこの姿で話せましたね…」

「ええっと何で…?」

「公園のベンチでうたた寝りしている綴也さんに言われたくありません」

「…え?」


横に寝そべりミフルに膝枕されながらも目の前の風景は咲き続ける桜の木が

並んでいた。

時折風に吹かれていたが綴也が先程まで見ていた筈のあのサクラは姿どころ

か彼女の拳で地面が砕かれた衝撃の光景の面影も何一つ無かった。


「帰りが遅いとお父様達に連絡をもらって探したらベンチでのんびり寝てい

る貴方がいたのです…全く」

「ミフさん…怒ってます?」

「怒ってはいますが貴方にではありません…今日一日の貴方には呆れたとい

うよりも苦笑いが込み上げたのです」

「多分それが…呆れているっていうんじゃあ…」

「挙句の果てに公園のベンチでうたた寝して…大昔の酔っ払いじゃあるまい

し…」

「ご…ごめんなさい」

「どうやら何やら怖い夢を見ていたようですけど…」

「え!?」


そうしてようやく全て理解した綴也は思わず夢の内容をミフルに話した。


「生徒会長さんに殺されかけて綴也さんがあの時の剣で斬ってしまった夢を

見てしまったと…」

「うん…斬ったんだけど傷や血は出てなかったんだけど…でもそんなに都合

が良い事にはならないよ…現実には…」


自分で夢の内容を言ってて恐ろしくなった。

剣で斬ればきっと血が出る。

斬った所は傷になる。

血も出ない傷にならない等というそんな都合の良い事にはならない。

それは擬似的な再現とはいえアイディアルで経験しているから綴也は良く解

かっているつもりだ。


「それはまた…うたた寝で見るとか…綴也さんストレスを溜め過ぎていませ

んか?」

「それは…解からないけど…」



それこそゲームの中でしかないだろうが綴也自身その様なゲームは経験が無

いし自分が一週間前に現実を超えたゲームで胸に穴を開けられて血を吐いた

のだだから自分がそんな真似をして何も起らなかったのは夢以外に無い。

でもそれよりも夢であれ何であれサクラを斬ってしまった事が怖かった。

それも自分に拳をでは無く宝物を壊そうとしたからと動いてしまった。

もしも自分があの夢と同じ様な状況でサクラに同じ様な言葉を言われたら自

分はそんな風になるのかと思うと怖くなった。


「ならば綴也さんも現実で彼女にそんな風にされたら同じ様にしたいですか

?」

「絶対嫌です!!」

「ふふ、それが迷い無く言えるなら貴方は大丈夫です」

「大丈夫…なのかな?」

「綴也さんの心は聖人でも悟りを開いた人でもありません…貴方の言う夢の

様にしてしまうかもしれない可能性はあるでしょう」

「…」

「それを自覚して強がってでも嫌だと思えるのならば後は簡単です」

「?」

「何が何でもその思いを貫く事です。自分の中にそんな想いがあろうとも貴

方はその選択をし続ければ良い…簡単には行かないでしょうし正否もあるで

しょうが簡単なこ事なのです貴方が憧れる物語の主人公の生き方ではありま

せんか」

「!!」

「それ以前に綴也さんは仮にそうなったとしてもそんな事を絶対しないと思

いますよ…私は」

「何で?」

「貴方が貴方だからですよ…これは私の命を懸けて言ってあげます」

「って…う!?…いたっ!?」


ミフルが突如綴也の傍から消えて目の前に出現したために綴也は頭を軽くベ

ンチに打った。


「時間は夜の九時…急な人生相談ですっかり話し込んでしまいましたね…明

日は学校なのに…監視システムがあるとはいえ高校生がいて良い時間ではあ

りませんね」

「え!?9時!?そんなに!?」

「お父様達には連絡済ですから…お早く帰りなさい」

「は、はい!!」


日曜日の夜。

帰り道に寄り道した公園でベンチでうたた寝して怖い夢を見て知り合いに起

こされて人生相談をして夜の九時過ぎに家路についた。

もちろん遅く帰った事は両親に怒られた。


「女の子を助けようとしたんだね…」

「その人達のリーダーと誤解されて殴り倒されたけど…」

「人を助けるのは漫画やアニメやゲームのヒーローの様にはならないさ…で

も助けようとしたのは善い事だよ…」


ミフルに聞いたという今日のお昼の顛末は褒められたがそれでも遅く帰って

心配させた罰として今週は家の手伝いをするように会長さんに相談する様に

と言われた。

軽く夕飯を食べてお風呂に入りそして怖い夢を見たとはいえ明日があるので

綴也は意を決し寝床に入った。


「すぅ…」


寝床に入って数分もしない内に…。


「アウラお姉ちゃん…」


綴也夢の中だった。

朝には夢の内容は昨日の怖い夢の様に克明に覚えていないがそれでも久しぶ

り良い夢を見て心なしか心が軽くなった気がした。


(ミフさんの言う通りストレスを溜めてるのかな?僕)


月曜日の朝。

覚えていないけど良い夢を見れたからか何であれ夢は夢なのだと綴也は思え

た。

Mル…そして日曜日の夜ですね。


Mラ…居眠りして怖い夢見て帰りが遅くなって罰として家の手伝

   いとは小学生ですか?(呆れ顔)


Mル…何度も言いますがこの世界の基準だと小学生高学年にも負

   けるかもしれないくらいです。(笑顔)


Mラ…朝と昼に比べれば何とも理由が浅いですね…。

   ましてやあんな出鱈目な夢を見るなど現実と夢の区別が付

   いていないのでは…これから先が思いやられますね。


Mル…綴也さんもストレスを溜めているようなので何かストレス

   を発散させてあげれば…。


Mラ…ならば貴女がからかうのを止めれば…


Mル…例えばあの糞女との縁を切るとか…


Mラ…ならば貴女がその姿を止めて…


Mル…彼がそんな事がどうでも良くなるくらい賑やかなモノを…


Mラ…だから貴女がいなければ彼もストレスを溜めないのでは…?


Mル…貴方が綴也さんに不正な評価を辞めるとか…


MルとMラ……(沈黙)…


E香…自分達同士で何をやってるんだ貴様ら…


MルとMラ…あ、綴也さん(君)のストレス!!


E香…貴様らというか貴様も綴也君のストレスの一端だろうが!!


Mル…そんな人は放っておいて

   今回のお話は時折挟んでいる類のお話です。

   この手のお話の共通のテーマは「夢と現実の…」です。

   読みづらい内容かも知れませんがこの類の話はこの物語の

   大事な一部です。

   それが伝わった良いなと思っています。

   作者からの伝言でした。   


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