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世の中には自分と似ている人間が三人いるという…






翌日のお昼休み。

綴也はお昼ご飯を食べる為に屋上に向かっていた。

その手にはお弁当を持参している。


「お昼~お昼~お・ひ・る~」


余談ではあるが綴也自身が作ったものである。

その為に朝五時に早く起きて自分の弁当を作っている。

毎日は作らないがそれでも料理をする事はのはアイディアルの次に好きな事

だった。

料理の腕は飲食店の息子ではあるがお客様に出せるレベルではないがそれで

も自分でおいしい料理を作るのは楽しいものでだから綴也も歌を歌うくらい

浮かれている。


「待ってくれ!!俺は!!」

「あのね!!貴方と付き合う気は無いって何度も…」

「…ん?」


歌を歌っていた綴也も何事かと思いながら屋上への進行方向に控えめに表現

するならば男子と女子が話し合っている様子だった。

尚、本来明記する必要性は無い筈だが両名共身長が綴也よりも上である。


「私はね…そんな気は無いわ…」

「それでも…俺は…」


この話し合いは雰囲気は良いものとは言えなかった。

廊下には綴也とこの二人以外誰も通っていない。

だが見てしまった以上放っておくのも物語の主人公の様な生き方を人生の指

標としている綴也はしたくなかった。


「あの…」

「え!?なっ!?」

「な!?なんだよ!?おまえ…って!?」


綴也に声をかけられ二人が驚きの表情を見せる。

とにかく先ずは話を聞く事にした。


「声が聞こえたんで気になったんですけど何があったんですか?」

「か、簡単に言えば私が告白されて私は告白を断った。でも相手は諦めずに

来る私もその気は無いから平行線だからこんなになっちゃったのよ」


表情は見損ねたがその女子の声はどこか疲れている様だった。

そしてその声にどこかで聞いた気がしたが今は男子の方に目線を向ける。


「お、俺はコイツを好きになったから告白したんだ!!やましい気持ちは一

切無い!!それに大体なんでお前みたい奴がしゃしゃり出てくるんだよ!!

「え!?僕が…?」


と男子の方を向くと予想外にも自分自身が来た事に文句らしきものを発せら

れ驚く事になった。

この男子生徒とは間違いなく初対面の筈だが何故かこの男子は綴也自身の事

を知っている様だった。


「お前昔女の子を奴隷にしようとした事があるだろうが!!」

「え!?」

「小学生の女の子にそんな事を言ったんだろう…お前!!」

「あー…」


そう言われると綴也は否定はしづらかった。

今思うと駄目だと思うが小学生時代の告白は相手を笑わせるジョークの心算

だった。

あの時の事がこんな時にましてやイギリスではなく異国の街で言われると自

分の噂が学校中に流れているのを感じるし改めて何でそんな事をしたのか後

悔している。

しかしそれでも綴也は此処で引く事は無い。


「そう言った事は否定しない。けど…」

「開き直るな!!それにお前は三年の神条先輩を手篭めにしようとして泣か

せたって言うじゃないか!!」

「てごめ…?その言葉の意味は解らないけど…」

「無理矢理恋人にしようとした事だ!!この恥知らず!!」

「な、成程…」


聞いた事が無い言葉に綴也は首を傾げるがその瞬間男子生徒が更に怒気を強

めて反論する。

そう言われると自分はそんな心算も無かった。

告白も小学生の時を教訓に変な事は言っていない筈だった。

しかしあの時恵理香もそんな風に思ったのかと思うあの時の恵理香の返事も

納得できるし何だか罪悪感に苛まれそうになる。


「それに挙句の果てに今度はサクラ生徒会長にすら言い寄ったって言うお前

に何の権利があって邪魔するんだよ!!お前みたいな女の敵にそんな権利は

無いんだよ!!」


そして最近のサクラの事も噂になっていた。

それに関しては許してもらえたかは本人次第だがごめんなさいと言ったが周

りからすればこの男子生徒の様に写ってしまうのだろう。

この二人の言い合いを止める筈が止める筈の自分が相手に自分の失敗を突か

れていた。

綴也は自分が悪者扱いされているが自分に非があるので反論は難しかった。


「あの子の事も…先輩の事も…会長の事も否定は出来ないけど…」


確かに男子生徒に言われる様な失敗はしているし自覚はあるので否定も出来

ない。

でもそれでも綴也はそれを止めようと思って声をかけた。

ならば自分の過去を理由にそれを辞める事もしたくはなかった。


「でも…君がそんな僕と同じ様な事をしている様に見える」

「…なっ!?」

「誰かを好きになる事は間違いじゃない…でも君はこんな無理矢理なやり方

で恋人になって欲しい?」

「ッ!!」

「人を好きになる事は間違いじゃない。だけど自分の気持ちが受け容れても

らえないからってそんな風に押し付けようするのは良くないよ…絶対に」

「っ!!」

「君が言うそんな人間だけど…それでも無理矢理は絶対駄目だ」


綴也の言葉に男子の顔が赤くなった。

しかし怒り散らしたり言い返す事は無かった。

ただ両拳を握り堪えているようだった。


「何で…」

「ん?」

「何でお前みたいな人害にそんな事を言われなきゃいけないんだ!!クソ!

!」


そう言って男子は去っていった。


「…人害…って…はぁ…」


男子生徒は綴也の言葉に一定の理解はしたが納得は納得してはいなかった。

それは去っていく際に綴也に発せられた言葉に虚実に表れていた。

かつて日本が国であった頃に人でありながら人に迷惑を被らせる人間の事を

そう呼んでいた時期があったという。

しかしそれは異常な熱を帯びて広がりを見せてやがて国際的にも使用禁止に

なり日本という国が崩壊した要因の一つとも言われる言葉だった。

そして恵理香に告白した時に泣きはらす恵理香にも言われた一言だった。


「ね、ねえ…君…」

「え?」


決して良いものではないが二人の事を止めようと思った結果として受け容れ

ようと気を取り直して綴也は女子の方を向こうとした。


「何やってるのよ!!」


その寸前に大きな声と共に三人の女子が走って来るのが見えた。

それはかつて会話というにはあまりにも刺々しい話をした綴也のクラスメイ

トの女子達だった。

彼女達はすぐさま綴也を押しのけてその女子の手を取った。


「さ、行きましょう!!」

「え!?ちょっと待っ…」

「良いから!!この男に何されるか解らないわ!!」


そう言って綴也に鋭い視線を突きつけながらその女の子と共に彼女達は去っ

ていった。


「まあ…良いか」


どうやら自分が彼女に何かしようとした様に見えたようだったと綴也は納得

した。

やはり悪い噂が立つと何気ない行動でもそんな風に見られるのはとても悲し

くなりそうだった。

見に覚えが無いかと言われると無いとは言えないし自業自得と言われてもそ

うなのそうかも知れないがそれでも悲しさや寂しさを感じない訳ではない。

中学の頃には友人達がいたのだが高校生の今は一人ぼっちなのでそれらを感

じるのは尚更だった。


(こういう時に何時ものセンターに行くとミフさんがとんでもない事をやっ

て来てそれが不思議と気が晴れるんだよな…)


綴也はアイディアルはもう辞める約束をしている。

昨日は約束を破るような事をしてしまったがあれであのスポーツセンターも

行く事は無いのかもしれない。

しかし今はお昼。

ならば今は自分で作ったお昼ご飯を食べて元気になろうと再び気を取り直し

綴也は屋上に向かう。


「…?あれ?」


綴也は自分の右手に弁当の重さを感じない事に気づく。


「え!?あれ!?」


お弁当を包んでいた風呂敷が外れていた。

周囲を見るとすぐ傍には廊下に弁当は見つかった。


「……………え?」


その言葉が出るのに中点が十五個分はかかった。

弁当は朝五時に早起きして自分で詰めた時の面影など何一つ残らず散らばっ

てしまっていた。



「……………………………………………………」


何でそうなったのか弁当包みの結び方ゆるかったのか考える余裕は無かった

何とか再び気を取り直そうとするが色々重なった為か単に早起きして自分で

作ったお弁当が台無しになって悲しくなったのか綴也は気を取り直すのに時

間を要した。

しかし廊下に散らばった弁当を片付けなければいけないので掃除用具を取り

に知っている中で一番近い自分の教室に戻り弁当のこぼれた所に戻り可能な

限り食材を拾いこびり付いた食材の汁等は濡らした雑巾で拭き取った。

掃除中に生徒がなにやらひそひ話しているのが聞こえたがそれは気にしても

キリがないので聞き流して掃除を終わらせた。


「はあ…」


重たい溜息共に掃除が終わり道具を片付け終わったのは時間にしてお昼休み

の半分以上が過ぎた頃だった。

自分で作ったお昼ご飯が台無しになって想像以上に心のダメージが大きく時

間を費やしてしまった。

お昼に学食や購買のパンという手段はこの学園には用意されているが綴也は

基本学校に来ている時は財布は持ってきていない。

その為綴也にはお昼を用意する代価が無いという事を意味していた。

夕方まで食べるのを我慢する為に持ってきた水筒のお茶を飲んでおこうと教

室に心なしか重い足取りで教室に向かった。


「ねえ!!そこの小学生に間違われそうな一人だけ違う制服の人!!」

「…?僕ですか…?」


ふと何処かで言われた事を何処かで聞いた事があるような声で掛けられて落

ち込んだ心に活を入れて振り向くと一人の女子がいた。

綴也は落ち込んでいるものの無論向く方向が顔を目指し下の危険地帯は一切

視界に入れないように集中している。


「って!?え!?」

「な、何?驚かそうと思って声かけた心算は無いんだけど…」

「す、すみません。サクラ会長に声も顔も同じで驚いちゃって…」


綴也は驚く事になった。

それはその女子は顔も声もサクラに瓜二つだった。

当人には失礼かもしれないが他人の空似と言う言葉は上手い表現とは言えな

いと思うほどだった。

言葉の意味は解らないが物語にある同一存在という言葉があってその言葉が

こういう事を意味しているのではないかと綴也は思った。

綴也は最近もそんなサクラと瓜二つの少女と出会った。

その少女もサクラと瓜二つで違っていたのは雰囲気でそれ以外は今思えばこ

の少女と同様に同一存在と言う言葉が合っていると思う程だった。

しかしまさか学校でまたしてもこんなにも瓜二つの人間に出会う等世界には

自分に似ている人が三人いると言われているらしいがまさかこんなに同じ顔

を見るのはまるで何かの物語の一場面みたいだと思った。

しかし目の前の少女はサクラやその時の少女とは違い髪と眼の色も異なり茶

色の髪をポニーテールに纏めその表情からも活発という言葉が合っている印

象だった。

彼女の色が彼女達と違う事を知ると脳が思考を取り戻すがこの人はサクラと

違っても同じ人物が髪の色と型と喋り方を変えたぐらいにしか見えなくもな

かった。


「あはは…良く言われるけど私は会長とは何も関係ないし学年も君と同じ一

年だよ」

「それで…どうして僕に…?」

「さっきはありがとう。お礼も言わず行っちゃったから探してたの」

「さっき?…ああ!!じゃあ…」


そうして綴也は子の女子が先程告白でトラブルになっていた時の女子だと気

付いた。


「本当にありがとう…助かったわ」

「いいえ…お気になさらず」

「いや…明らかに落ち込んでるわよ!君!!」

「気が付かない間にお弁当を廊下にぶちまけちゃったので…今はこぼしたお

弁当を片付けたばかりで…」

「ああ…それは…何かごめん」

「いいえ…本当にお気になさらず…」


気まずそうに女子は謝る。

綴也はそれは女子が悪い訳ではないと理解している。

まさか自分にお礼を言いに自分を探してくれるとは思いもしないし予想外の

幸運が舞い降りてきた気分だった。

しかしそれでもお昼ご飯の喪失というダメージを癒すにはいささか足りなか

った。


「ねえ…お礼とお詫びを兼ねてお昼おごらせてもらえない?」

「え!?」


その言葉に綴也は混乱した。

その言葉はあまりに衝撃的だった。


「お礼にそうしたいだけ…只この時間だと残っているのは購買のパンだけだ

けど…」

「え!?でも…」

「私の所為でそんな事になっちゃったかもしれないんだから…ね?」


女子はサクラと瓜二つの顔に活発というのを絵にした笑顔を見せて。


「私…天宮 撫子って言うの。よろしくね…姫神殺しの朝倉 綴也君」


自身の目と髪の色と同じ花の名前を告げた。


「本当に良いんですか?」

「売れ残りだからって購買の人もおまけしてくれたしね…実質値段は二個分

しかかかってないのよ…」


そして綴也と撫子は学校の購買に向かい売れ残っていたカスタードとホイッ

プのクリームパンを二個ずつ購入した。


「…」

「でも…って顔しないで。これ位のお礼しか出来ないくらい私もお金と言う

か経済的に余裕は無いから謝らないといけないんだけど…」

「そんな…パン四も奢って貰って申し訳ないのに文句なんて何一つも無いで

す。本当にありがとうございます!!」

「君って…まあいいわ…それじゃあ私はこれで…じゃあね」


そういって天宮 撫子はその場を去っていった。

その後綴也はすぐさま教室に戻り奢って貰ったクリームパンをいただいた。

綴也気が付かなかったが教室の生徒達は何故か誰もがクリームパンを食する

彼の様子に怪訝になっていた。

何故ならこの学園で最大の問題児と言われている少年が何故か購買のクリー

ムパンをとても美味しそうに食べていたからだ。

そしてクラスメイト達が怪訝な表情で自分を見ていたのを気付いていたが綴

也はまあ良いかと奢ってもらったカスタードとホイップのクリームパンが美

味しくて美味しくて心行くまでお昼休み終了五分前まで味わったのだった。



Mル…世界には自分に似ている人が三人いるといいます。


T也…地球には70億人いるから似ている人が三人いても不思議

   じゃないのかも…。


Mル…「同じ」外見ではなく「似ている」と言うのがこの話のと

   とても重要な所なのでしょう。


T也…天宮さん…ビックリしたよ。

   髪型は全然違うけど…サクラ会長の色違いの双子に見えた

   よ。

   それにこの間もサクラ会長に似ていたというより生き写し

   の様な人にぶつかっちゃって…。

   世の中には似ている人が三人いるって本当なんだな…って

   ミフさん何を笑ってるの?

 

Mル…うふふ…そうですね。

   子供が凄い事が起った時の話し方になってる綴也さんが本

   当に子供に見えちゃって…。


T也…これでも高校生だけどこの時代だと僕小学5年生にも身長

   負けてるんだよな…。

   中学生の時もそうだけど…。

   

Mル…身体は気にしなくても良いのでは…。

   私はからかい甲斐の無い小学生よりも高校生ですがからか

   い甲斐のある綴也さんが好きですけどね…。


T也…もしかして何か隠してない? 

   何となくそう思ったんだけど…。


Mル…うふふ。

   隠してますがそれはすぐに明らかになるので内緒です♪


T也…隠してるのは認めるんだ。


Mル…うふふ、それはそうと綴也さん。

   クリームパン…美味しかったですか?


T也…うん!!普段あまり食べた事ないけど凄く美味しかった。

   今度撫子さんに会ったらお礼言わないと…。


Mル…そうですか。

   お礼を言うのは良いことですね。(意味深な微笑み)

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