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姫神殺しVS刀神姫






「せ、先輩?」

「試合…って…綴也君…とですか?」

「いや…試合を見ていたら久しぶりに彼と仕合ってみたくなってね…これで

綴也君がアイディアルを辞める約束を守らなければならないのらこの機会に

最後に試合をさせてもらえないかと思ってね…」

「ちょっと待ってください!!…綴也君と先輩は…」


サクラは恵理香を止めようとする。

元々はサクラはこの試合自体も反対だった。

彼の…朝倉 綴也のこの学校にいる理由として恵理香に復讐するのが目的で

はという噂を聞いている。

その可能性が一番高いと恵理香たち生徒会は思っていた。

だからその標的とされている人物が自分に悪意を持つかもしれない人物と試

合をするなど何があるか解らない。

だからサクラはそれを平気で承諾する事などあってはならないと思った。


「なに…弟子が師匠と試合をしたいといっているのだけなのだから少しくら

いは許してもらえないだろうか」

「でも…ん!?し、師匠と弟…子?」

「ああ、綴也君は私のアイディアルの師匠に当たるんだ…」

「え…?」


恵理香の言葉にそこにいた多くの人間達が驚きの声を上げた。

サクラもあまりの予想外の言葉に思考が止まった。


「ちょ、ちょっとテツヤ君!!コレどういう事!?」

「え!?師匠って言うほど何か教えた訳じゃなくて只先輩がアイディアルを

始めた頃にアイディアルを教えて欲しいと言われただけで…」

「それを一般的に弟子入りというのでは…」

「何か教えた訳じゃなくて一緒に練習していたというのが正しいかも…その

時にはミトさんとミフさんがいたし…」

「少なくとも基本的な事は君に教わったよ…しかし基本的な事以外は彼も知

らなかったみたいだしね…」

「う…ごめんなさい」

「う、うそ…本当に…テツヤ君が…先輩の…」


先程の恵理香の言葉にサクラは言葉が出せなかった。


(弟子!?…神条先輩の師匠が…あの男ですって!?)


一体何があったらこの男は恵理香とそんな関係を築いているのか。

何でこの男は恵理香の師匠になっているのか。

疑問に継ぐ疑問の中サクラはどうすれば彼女に試合を諦めてもらえるか考え

るが答えは出なかった。


「頼む、綴也君がアイディアルを辞める以上これが私が綴也君と試合が出来

る最後の機会だ」


このままでは恵理香があの男に試合の中で何をされるか解らない。

そんな危機感に…。


「やれやれ…仕方ありませんね」

「み、ミトラさん!?」

「こんな時に何を言っているのやらと私も思いますがこの人は断っても納得

しませんよ…そこの部員さんたちの先輩さんなんですから…それにここは私

がいますからこの男の監視はお任せください」

「…解りました。ではお願いします」


サクラはミトラのささやきにに頭が冷静になった。

流石に彼が監視している中で真意はともかくあの男が何かが出来る等思えな

かった。

しかしそれでも此処は何もおきない事を祈りながらサクラも綴也と恵理香の

試合を許可した。


「試合はOKだそうですよ」

「そうか…それと試合は綴也君が体術の使用制限を解除してから始めたいだ

けど…良いかな?」

「それでも貴女の勝ちは変わらないでしょうに…」

「体術が使えない綴也君に勝つ事は簡単だ出来る限り対等の勝負にしたいん

だ…相手は師匠だからね…」


そうして急遽綴也対恵理香が組まれる事になった。

それから二十分くらいして体育館のステージには綴也と恵理香が面を向かい

合っている。

女性として憧れるであろう形の肢体に巫女を思わせる装束を身に纏いその腰

には二本の刀を腰に差して彼女は立っている。


「それでは時間も無いので無駄話をする前に始めますよ…では…始め!!」


ミトラの声が始まりを告げる。

それと共に綴也が呪文の様な文言を唱える。

サクラも綴也と戦った時に聞いた体術の使用制限を解く文言だった。

恵理香はそれを止める様子は無い。

実際に戦ったサクラは彼の体術に関して言えば決して弱くはないと感じたが

制限を掛けるほどではないと思った。

しかしこの制限を解除せずに体術攻撃を使ったらその時点で綴也の敗北にな

る。

コレも彼自身の姫神殺しとしてのペナルティの一つと知れば納得も出来た。

その文言を唱え終えた時鎖の外れるような音がした。

綴也が拳や足を使って攻撃が可能となった証だ。


「行きます!!」


手足の鎖が外れた綴也は恵理香に翔けながら左の銃を連射する。

彼にとって女性相手に銃を使うのは接近される事による視覚情報ダメージをを可能な限り避ける為に必要だったというのを恵理香から聞いた。

サクラは綴也の言動を信じていないがそれに関してはサクラも彼が自分の

胸を触った彼が実際に吐いた所を見たので半信半疑だった。

その恵理香が綴也が放つ光弾を腰の刀で弾いて接近してくる。

二人が剣と刀をぶつけ合う。

剣と刀が幾重にも響き合っていく。


「射撃のスピードが以前よりも段違いじゃないか!!一瞬折角披露しようと

思った技を出し損ねたよ」

「うっ…それでも平気で弾いてきたじゃないですか!!」

「それでも君は銃の腕を磨いてきたのだろ一瞬驚いたよ」

「驚いた顔をしてないでしょう!!顔全然変わってないし」

「一瞬だと言ったろう!!私の顔を見て簡単に解るほど甘くは無いよ!!」

「くっ…わ!?」


言葉と剣と刀が交差しあう中綴也の体が突如として宙に浮かんだ。

それが何なのか理解した様で綴也は即座に恵理香に銃を連射する。

近距離で放たれた銃弾に恵理香は回避の為に距離を取っていた。

どうにか恵理香からの追撃を回避した綴也も剣を突き刺し着地する。

しかし数十秒の攻防にも関わらず綴也の方が息が上がっていた。

それは接近による視覚情報ダメージだけが原因ではなかった。


「はぁ…はぁ…全く刀振るってるのに投げてくるって…相変わらず何て戦い

にくい」


そう理想の円卓第九位神条 恵理香は刀を武器に戦うがそのスタイルから投

げてくる剣術と投げ技を組み合わせた戦い方をする理想求者だった。


「ふふ…君に弟子入りした結果というやつさ…このスタイルは私にとても合

うよ」


本来剣術と柔術を組み合わせる際は刀を捨てて投げるかまたは片手で投げる

のを考えるのが定石であり刀を持った状態で投げるなど不可能である。。

しかし彼女は刀を構えたまま相手を掴まずに投げるという技を完成させた。

彼女と戦う際は刀で斬られるよりもそこから投げられて叩きつけられて意識

を刈り取られるのにも注意しなければならない。

ただしそれ気を取られると今度は彼女の刀が相手の意識を刈り取る。

そうならないように綴也は剣戟の際に彼女に投げられない様に注意していた

が結果投げられない様にするのが手一杯で零距離からの射撃はおろか蹴りを

叩き込む事も出来なかった。

実際に先程も視覚情報ダメージで綴也は吐き気を押さえ込んだ一瞬に隙が出

来たので投げられたのだ。

そして見ていてサクラは恵理香は綴也の体質は知っていると確信した。

だからといってそれを理由に手加減する様子は見られない。

綴也も自分の体質の事を理由に恵理香に何も言う気配は無かった。

しかし二人の関係性何であれ二人には明らかな実力差があるとサクラは確信

した。

恵理香は世界トップクラスの理想求者で朝倉 綴也は自分でも意外に実力は

あったと思うがアイディアルの実力は恵理香には遠く及ばない。

サクラはこの勝負の結末が見えていた。

それだけ差があると見て理解できた。

しかしあの男にはそんな事を気にする様子も無かった。

そして恵理香もそんな彼の顔を見てどこか微笑んでいる様に見える。

何で二人はそんな表情をするのかサクラには不思議に思えた。

何よりその表情に嘘がないと思えたことが何よりも不思議だったからだ。

何にせよ彼女の実力ならば朝倉綴也が恵理香に何か仕掛けるにしても暴力行

為は先ず彼女自身に撃退されるというのははっきりしたのでサクラは少し安

堵した。


「以前より投げにくくなっているな…弟子のはずの私よりも師匠の成長の方

を見せられている気がするな…」

「はぁはぁ…僕は師匠をやってた気はしないのですが…」

「私にとっては君は立派な私の師匠だよ…君との出会いは最初は最悪だがそ

れでも今の私があるのは君のお陰だからね…」

「ありがとうございます」

「だから今度こそ私の成長を見てもらうよ!!」


そうして恵理香が再び翔けてくる。

綴也も再び恵理香に向けて銃を放つ。

恵理香も自身に迫り来る銃弾に刀を振る。

ほんの一瞬だが始め綴也は銃弾が弾かれたと思った。


「「なっ!?」」


綴也とサクラの驚愕が重なった。

恵理香によって弾かれた光弾は綴也に向かって綴也の頬を掠めた。

恵理香の剣が綴也に迫り彼は自分で撃った弾丸に撃たれながら恵理香の刀を

受け止めた。


「まさか銃弾を刀で受け止めて返すって…」


そう恵理香は綴也の銃弾をそのまま受け流しそれをそのまま彼に向かって投

げ返したのだ。


「それくらいは成長してるさ。師匠を驚かせるのは弟子の権利だからね…本当は額を狙ったが外してしまった…私もま

だまだだな…」


再び二人はそのまま剣と刀をぶつけ合った。

しかし最初の頃に比べて視覚情報ダメージが蓄積しているのか彼は彼女の刀

に追い詰められていった。

結果も見えているとはいえ適応力が無い綴也が世界ランクの理想求者相手に

此処まで粘るとは思いもせずサクラは心の何処かで称賛していた。


(あれ…?私何で綴也君が適応力が無いって…そっか私彼と戦ったから…)


自分がそれで見た相手の適応力が有無がわかると言うのも経験が物を言う。

アイディアルは引退したとはいえ自分もまだまだ理想求者の勘はなまってい

ないなとサクラは苦笑した。


「言ったろう私も成長してるという事さ!!」


そう恵理香が言った瞬間綴也は再び投げられた。


「くっ!!」

(え!?あんな状態から…!?)


投げられて空中に放り出された綴也は彼女が追撃を防ぐ為に彼女がいるであ

ろう位置に銃を連射した。

恵理香は投げの直後だった為まだ地上にいた。


「ふッ!」


再び恵理香が刀で彼の光弾を受け止めそのまま続けて来る弾に向けて打ち返

していた。

恵理香が跳ね返した彼の光弾がそのまま彼女に向かう光弾に向かい撃ち落さ

れていく。


「な!?」

「さっきは外したが今度は外さないよ!!」


彼は恵理香に追撃させまいと落下中でも銃を連射し恵理香もその銃弾を刀で

受け返し続ける。

光弾と打ち返された光弾の攻防が展開される。

しかしその攻防も長く続く訳もなく彼が右手の剣を突き刺し支えに強引に着

地した。

瞬間綴也は少しバランスを崩し銃弾に軌道が外れてしまい恵理香が返した弾

が綴也に殺到する。


「クッ!!」

(まさか…そんな…)


複数の弾が綴也を貫くがそれでも綴也は痛みを感じながらも恵理香を迎え撃

とうとする。

綴也の隙は可能な限り僅かに押さえ込んだといえた。

しかしその隙が致命的になった。

彼女の刀が綴也の胸を一閃し綴也は意識を刈り取られた。


「勝者 神条 恵理香!!」


ミトラが勝者の名前を告げる。

結果だけならサクラが危惧するような事は何一つ無かった。

しかしサクラは偶然か元は理想求者だったが故かまたは綴也と戦ったが故か

この戦いを見てある推測が頭に浮かんで何も起らなかった安堵よりも驚愕に

支配されて安堵を抱く事は無かった。


「十分持ちませんでしたね…それに体術の制限も解除しておいてそれも使え

ずに負けるとは…当然と言えば当然ですか…」

「元々私は綴也君に体術は使わせないで勝つ心算だったんだしかし三分で勝

つと言っておきながら六分を超えてしまった…私もまだまだだな…」

「気は済みましたか…」

「本来はアステリーヴァを使う綴也君と戦ってみたかったよ…でもその機会

もきっとなくなるのだろうな…」

「神条先輩?」

「会長も綴也君も今日は私の我儘に付き合わせてしまってすまなかった。今

回の事は彼女達にも良い経験になるよ」

「え!?…い、いいえ…」

「ううん…ありがとう」

「ん?…なんで君が礼をいうんだ?」

「ええっと…何となくアイディアル辞める約束をしてるけど負けたけどそれ

でも試合が出来て何だか嬉しくって…」

「…そうか」


そうして恵理香が持ち込んだ練習試合は瞬く間の様に終わり今日はそのまま

解散となった。


「…」


その日の夕方。

家への帰路でサクラは歩いていた。

しかしその心境は平静ではなかった。

体育館では何気なく会話していたがその手は汗で濡れていた。


(あの男…まさか!?)


彼女は気付いた。

それは驚愕するべき事だった。


(自分の身体能力だけで…戦っている!?)


自分の身体能力で戦う事はアイディアルでは前提である。

身体能力だけで戦う理想求者もいなくはなかった。

しかし身体能力だけで全盛期でなかったとはいえ自分に対して拮抗しえたか

もしれない実力を持っている。

それは彼女にとって重大な問題だった。


(私は…現実ではあの男に勝てない?…もしかしたら先輩も?)


彼女がアイディアルで剣に乗って空を舞い続けるあの戦い方はアイディアル

に置ける高い適応力を持っている故に出来る事である。

恵理香もあの投げ技は恐らく彼女のアイディアルの適応力も含めて可能な技

の筈だった。

しかし彼はそんな自分にあの光剣の武器以外は自分の身体能力で自分に相対

していた事になってしまう。

もしもあの男が現実で自分や恵理香に対し実力行使をしてきたら自分は彼を

止められるのかそんな疑問や不安がサクラの心にのしかかっていた。


(いや…まだはっきりと解った訳じゃない…)


まだ自分の予想通りと決まった訳では無いとかぶりを振った。

確かに朝倉 綴也は自分の思っていた以上にアイディアルで実力を持ってい

る事は確かだった。

しかしそれが本当に彼の実力なのかは解らない。

もしかしたら何かからくりがあるのかも知れない。


(負けたとはいえ立体映像の白い姫神とニンジャマイスターのタッグ相手に

人間ピンボール状態になって自分の身体能力だけであれだけ戦える筈ないわ

…)


それを解き明かす前に勝手に自分で決め付けて自分を追い込むのはそれこそ

良くない。

そう思った頃には先程まであった不安はなくなっていた。


「明日はイリュシオンに行ってあの黒蜥蜴に喧嘩売ってストレス解消してや

るわ!!」


景気づけにそんな事を言ってどこかスッキリしたサクラは家路に向かって行

った。


「って今日の分の仕事も片付けないといけないから明日も…行けない…」


それを思い出してサクラはすぐさま肩を落とした。

その歩みに再び元気が失われたのは言うまでも無い。



あとがき


Mル…全くあの女は何を考えているんだか…。

   あんな頼み事を持ち込んだら綴也さんの評価は余計に下がるというの

   に…。


T也…先輩はそんな頼み事をせめてものお詫びに僕と試合をしてくれたみた

   いですよ。


Mル…何で綴也さんが知ってるんですか?


T也…恵理香先輩が言ってました。

   今回は此処にきたら真っ先に殺し合いになりそうだからすまないが代

   わってくれって…。


Mル…確かに今はあの糞女の顔なんぞ見るくらいなら綴也さんの顔を見て今

   度はどんな方法でからかってやるかを考える方が良いですね…。


T也…本人を前にしてそんなに楽しそうに言われても…。


Mル…楽しいからに決まっているじゃないですか!!


T也…ちなみに恵理香先輩はアイディアルを始める前は剣道と合気道をやって

   いたので今の刀を持ちながら投げるスタイルになったそうです。

   手で掴んで投げる事もありますがメインは刀を持っている状態で投げ

   てきます。

   最悪投げられてそのまま刀で急所を突かれてそのままKOもありえま

   す。


Mル…最近は飛び道具を受け流しそのまま刀で投げ返すまでになっておりま

   す。

   最初の頃綴也さんに蜂の巣にされた事を恨みに生み出された技と言え

   ましょう。


T也…あはは…ごめんなさい。

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