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IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
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勝つ為の戦い~外れる手足の鎖






いつの間にかあの十二の剣が綴也の周りを包囲しそこから綴也に一斉に向か

って来る。


「―我が右足は理想に憎悪を撒き散らし、我が左足は理想を絶望に誘う…」


このままでは綴也は囲まれて様々な方向から斬られるか刺されると判断した

綴也は鍔迫り合い中のサクラを目一杯押しやって後ろに飛び退いた。

十一本の剣は回避したが回避した後ろには十二本目の剣が綴也を串刺しにし

ようとしていた。


「―我が両手は罪人の手…」


綴也は飛び退いた体勢のまま銃を放ち剣の軌道を阻む。

持ち主のない剣は動きは熟練の剣士に見えるが持ち主がいない以上銃の光弾

でも剣の動きを阻害する事ぐらいは可能だった。

結果剣の軌道がわずかにそれて左肩に深い傷を負いながらも綴也は背後の一

撃を凌いだ。


「―我が両足は咎人の足…」


しかしそれもつかの間残りの十一本の剣が再び綴也に殺到する。

剣で剣を弾き飛ばし銃で剣を牽制するが次第に綴也の方が迎撃が追いつかず

至る所に傷が刻まれ追い詰められていく。


「いけー!!会長!!」

「そんな卑怯者なんて倒して!!」


そうして剣も銃も弾かれる。

そのたびにサクラを称賛し綴也の敗北を望む歓声が大きくなっていく。


「―我が両手は何物も掴む資格は無く、我が両足が何処に立つ許しも無し

…」 


綴也の体勢が崩れた瞬間に二刀を持ったサクラと残りの剣がが再び迫って来

て歓声が上がる。


「―それでも我が欲の為に…」


綴也は体勢を崩して迎撃は間に合わない。


「―我はこの咎人の手足を振るう」


しかしこの言葉を綴也が唱え終えた瞬間鎖が外れるような音が響きその直後

綴也は迫り来る剣を拳で剣の面を殴ったり蹴りあげボールのように飛ばして

他の剣にぶつけていた。

サクラは驚きを押し殺し綴也に向けて十字の斬撃を振るおうとしたが綴也は

その前サクラに迫り打撃を見舞って彼女を吹き飛ばした。

その間に綴也は弾き飛ばされた武器を回収し右手に持った銃でサクラに向け

て連射する

が十二本の剣に全て弾かれた。


「な!?」

「何よ…あれ?」

「痛っ…何とか間に合いました」


観客たちは驚いていた。

綴也はその身に幾らかの切傷を追いながらも此処に立っていた。

もう敗北は確定しているものと思っていたのに綴也が今も立っている事に驚

いていた。

サクラは格闘技を試合中必要になれば幾らでも使っていたが綴也はあの様に

長い文言を唱えないとサクラの様に蹴りや拳を使う事が出来なかった。

しかしこれは綴也の拳打が強いからという理由ではない。

拳や蹴りを使う体術を使う者に綴也より強い人間などアイディアルには幾ら

でもいるし体術はアイディアルの正式なジャンルの一つである。

だが綴也はルール違反を犯したという理由でこの制限を付け加えられていた

のだった。


「蹴りなんて卑怯だぞ!!」

「会長に蹴り使うなんて男として恥ずかしくないのか!?」

「会長!!そんな卑怯者に負けるな!!」


綴也が拳や足を使えば使うほどに野次のボルテージが増していく。


「痛ッ…私も人の事は言えないんだけど…剣を殴ったり蹴ったり他の剣にぶ

つけるって…ちょっとアレな気がしてきたわ…」

「え!?僕の練習相手は僕の剣や銃の弾をアッパーしていたり蹴ったりして

弾いてましたよ。その所為でMRの天井にめり込まれて毎回負かされてまし

た…」

「…え!?」

「流石に裸足や素手じゃ無くて手甲とかはしてまますけど…」

「待って!?素手や裸足でなければ剣を蹴っても殴っても言い訳じゃないと

思うけど!!どんな奴よ君の練習相手って!?」


まさか反則なのかと綴也は審判の方に顔をやった。


「まあ…素手や裸足で戦う理想求者もいるしそれくらいの事をやる人も珍し

くは無いしルールには抵触していないから一応問題は無いよ…一応は」


審判役の恵理香は苦笑を交じえながらOKサインと共に試合は再開した。

綴也もサクラもお互いに向かい突撃していく。

サクラは十二本の剣も差し向ける。

差し向けられた剣に綴也は左手の剣と右手に持つ銃身を剣代わりにそして自

分の足で弾いて避けてあるいは蹴り飛ばしてサクラまで接近する。

近距離は綴也にとっては視覚情報ダメージが避けがたいがそれでも綴也は自

らサクラに飛び込んでいく。


「随分と積極的じゃない?綴也君あんまり女性の胸を見ると吐いちゃうんじ

ゃないの?」

「会長の剣を全部相手にしていたらどうあっても不利なので…それに会長も

接近戦ならあの剣達を動かしたりは難しいでしょ?」

「それはどうかしら…」


そうは言っているが綴也の顔色は始まり頃よりも青く染まっているのがサク

ラの目から見ても明らかだったがサクラは遠慮なく空中の刃達を綴也に向け

る。

しかし剣と剣代わりの銃身と使えるようになった足で襲撃してくる見えない

剣士達を弾いていサクラに迫る。

サクラに綴也が斬りかかる。

サクラは二刀で受け止める。

お互いの両手が両手で封じられた瞬間二人は蹴りを互いに叩き込む。


「ぐっ!!」

「いッ!!」

「会長!?」

「女の子に蹴り入れるなんてお前最低だ!!」

「いい加減にしろ卑怯者!!」


サクラが蹴りを入れられた事に応援席の女子生徒の中には悲鳴を上げる者や

男子の中には蹴りを入れた綴也への野次が飛ぶ。

そんな中戦いは続く。

たまらず下がったサクラに綴也は銃で追撃する。

蹴りの痛みに蹲るサクラに今の銃撃を弾く事は出来ないと思ったがサクラを

守るように空に浮かぶ剣が光弾を弾き飛ばす。

それも想定内だった綴也はそのままその剣をも弾き飛ばして更にサクラに追

撃を掛ける。


「グッ」


無論綴也もサクラの蹴りの痛みがある。

骨は折れていないはずだがとても重く痛かった。

アイディアルはMRで再現された傷はその度合いに伴い痛みも再現される。

しかし現実に受けた痛みも決してこのスポーツに無いのではない。

もし現実に骨折があれば現実の痛みとMRの痛みという二つの痛みと戦いな

がら戦わなければならない。

ここに来てアイディアルを辞めたサクラと今もアイディアルを続けている綴

也の差異がこのような形で現われた。

サクラに綴也迫る。

会場が悲鳴と怒号に包まれる。

綴也の剣がサクラに突き出される。

このまま勝負は決まると会場が絶望の淵に立たされる様な雰囲気になってい

た。


「ああ!!」


しかしサクラは綴也の剣を受け止め。


「はああああああ!!」


叫び声と共に力一杯振りぬき綴也を吹き飛ばした。


「会長!!頑張って!!」

「姫神殺しなんて負けないよ!!」

「頑張れ!!会長!!」


会場からはサクラへの声援が巻き起こる。


「負けないわよ綴也君」

「ぐッ!!」

「これでも一人理想の騎士団って呼ばれてたんですから蹴りでダウンでその

まま止めがさせるなんて思わないでよね!!」


そして再びサクラの元に十二本の剣が集い綴也に向かっていく。

綴也は剣と銃身と足で弾こうとする。

しかし剣がまるで「そうそう何度も弾かれてたまるものかと」剣自体が綴也

の迎撃に回避などの対応をしてきた。


(それだけじゃない!剣もさっきより速く鋭くなってる!!)


剣の速さが先程よりも速くなっていた。

今は何とか剣を弾く事が出来ているがこれ以上早くなるとそれも出来るか解

らないがそれでもこの剣だけの騎士達を突破しなければサクラに勝つ事はで

きない。

その為に綴也は迷う事無く十二本の剣に向かっていく。

剣を剣で弾き銃身で弾き或いは銃弾を放ち弾き或いは蹴りで剣の面を蹴って

剣を剣にぶつけたりしていく。

しかし剣もまるで「負けてなるものかと」すぐに体勢を建て直し綴也に向か

ってきた。


(まるで主を守ろうとする騎士みたいだ!!)


そんな事を思った瞬間綴也の目の前を何かが前後に駆けていった。

それがサクラだという事は解ったがあまりにも速すぎた。

気付くのに遅れた綴也はサクラが駆け抜けてきたと認識した瞬間綴也の左

腕と左足から血が出ていた。


「ぐあッ!!」


MRで再現された傷とはいえ決して浅い傷ではなかった。

振り向くがサクラはいなかった。

だが周りにあるサクラの剣達から音が響くのが耳に入った。


「まさか!?」


綴也がその結論に至った瞬間にサクラが今度は上空から駆け抜けてきた。

今度は剣を受け止めたが斬られた左腕の傷が痛んだが何とか凌ぐ。

がそこからサクラが十二本の剣の内の一本に乗り剣がまるで野球バットの

様に彼女を打ち出した。

見えたのはそこまでで綴也の右腕に深い傷がついた。


(剣があんなに激しく動いている中で剣を踏み台にして加速する!?そんな

事が可能なのか!?)


それが事実ならサクラ・レノンフォードという少女のアイディアルの適応力

はとてつもないものであると綴也は思った。

彼女が踏み台にしている剣はあくまでこのアイディアルというスポーツの舞

台でのみ出現している物で触れる事は可能である。

しかし空中に浮かんでいる物に触れるのはとんでもない事だった。

それは現実に置き換えれば彼女は何も無い空中を飛び跳ねている様なものな

のだ。


「はああああああ!!」


綴也の蹴りの一撃で火がついた様に宙に浮かぶ十二本の剣とその剣を飛び跳

ね翔けるサクラの剣が綴也に殺到していく。

綴也も負けるものかとと応戦するがサクラの突撃はどんどん速度を増してい

き綴也の身体に傷がどんどん刻まれていった。

そして綴也が吐きそうに突如膝を付いた。

剣も銃も十二の剣に弾かれた。

それは接近戦をした為の視覚情報ダメージが遂に限界を迎えた。

正確にはその限界を超えながらも粘ったがとうとうそれも限界を迎えた。


「どうやら限界が訪れたみたいね…やっぱりそれが勝敗を分けたようね…」

「ぐっ…うぇっぷ」

「でも…本当に驚いたわ姫神殺しと呼ばれる君が反則も使わずにこんなに戦

える人だったなんて…本当に予想外だった…だけどこれで終わらせるわ!」


そう言ったサクラの周りに十二本の剣が集いそれぞれ剣士が構えるように浮

揚している。


「ああ!!会長が卑怯者に勝ったぞ!!」

「会長!!カッコイイです!!」

「卑怯者が勝てるわけなんだから!!」

「正義が勝つんだお前が勝てるわけないんだ!!」


会場中が歓声に包まれている。

目の前の綴也は銃と剣も弾かれて体中はMRで再現された傷だらけで体は痛

みと視覚情報ダメージによる吐き気でとても誰からから見ても戦える状態で

はないと言われるものだった。


「確かにこれまで…かな…でも!!」

「!?」

「負けるならせめて全部出し切って負ける!!これが僕の最後のアイディア

ルになるとしても!!」


それでも綴也はせり上がる吐き気や体の痛みを押し殺しながら右腰に収めて

いる自らのPDである光剣の玩具を取り出した。



Mル…長々と唱えてもそれは綴也さんが拳や蹴りの使用制限を解

   除する為だけだったんですけどね…。


E香…でも、これが出来たのはあの人が相手の時以来だよ…。


Mル…ああ、貴女の父親の時でしたっけ…。


E香…審判としては公平ではないが綴也君には頑張って欲しい。


Mル…そんな言葉でごまかしはさせませんよ。

   貴女が余計な事をしなければこんな事にはならなかったか

   かも知れませんよ。


E香…否定はしないが貴様に言われたくはない。

   貴様は彼がこの勝負を受ける事を勧めたではないか!!


Mル…私は貴女のように無自覚に綴也さんを不幸にするのではな

   く自覚を持って綴也さんが幸せになれるかもしれないアド

   バイスという名の貴女の後始末をしているだけですよ。


E香…物凄く捻りに捻りまくった嫌味だな。

   だが否定が出来ないのが更に腹が立つ。


Mル…ですがもうすぐこの戦いも終わるようですよ。


E香…そうだな…。




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