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IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
30/178

生徒会主催!!緊急イベント!!







「…ん?」


土曜日。

対決当日綴也は対戦場所である何時ものスポーツセンターに向かいいつも通りに入ろうとしたら何だかセンターの様子が何時もよりもにぎやかなのに気が付いた。

センターが見える所まで歩いてみればそこには多くの学生らしき人だかりが集まっていた。

見てみると心なしか男子より女子の数が圧倒的に多かった。

何で試合の当日にこのタイミングでこんな大人数が此処にいるのか解らないが何かのイベントと重なってしまったのだろうかと思ったが自分を見た一部の人達が急に表情をにこやかなものから警戒するようなものに変わり自分を避けていった。

周りの表情が気になるがとにかく自分の目的も此処なのでセンターに入っていく。

室内にも学生らしき人だかりがいっぱいだった。

が綴也を見るなり皆の表情が警戒の色に変わった。


「なんでこんなに人が…?」

「おはようございます朝倉君」

「副会長?なんで此処に?」

「サクラと貴方が試合をするとサクラから聞いたのでそれで今日はイリュシオンはお休みして生徒会メンバー全員で試合を観に来たという訳なんでですが…」


確かにサクラが生徒会のメンバーに今日自分と試合をすると言っていても不思議ではない。

それで声を掛けて来たシアや他の生徒会メンバーがいても不思議ではない。

が、それでもこの学生の数の謎は解けないままだった。


「あの信号機トリオがよりにもよってうっかりクラスの友人に口を滑らせそれがあっという間に広がってこの有様に…」

「この人達うちの学校の生徒なんですか!?」

「ええ、その殆どが来ているようですね…他校の生徒が来ていないだけ良いと思うべきでしょうね…」


が残る謎もシアの説明で解けここに全ての謎は解き明かされた。


申し訳ありませんが朝倉君…貴方とサクラの試合は生徒会が緊急イベントとして取り仕切る事にします」

「い、イベント!?…ですか!?」

「ええ、こんなに大勢で押しかけて他のお客様が入ってこない…もとい入れない状態なのです」


只自分とサクラが試合をするだけの話だった筈なのにこんな事になっている等ただ驚く以外綴也には無かった。


「全く、誰の所為なんでしょうね…この日曜日に…」


急にイベントになってしまったという事に驚いている中綴也の目の前に山吹色の青年が姿を現した。


「ミトさん!?」

「ただ綴也君とそちらの会長殿が試合をするだけだというのにいきなりこんなに大勢押しかけて来て此処はスポーツセンターであってアイドルのコンサート会場じゃないんですよ全く…他のお客様の迷惑だというのに…」

「真に申し訳ありません…このような事に…」

「じゃあ今日、何処で試合をするんですか?」

「この施設一番大きいステージを使います」

「ステージ…って…?」

「綴也君はいつも素通りしているあのだだっ広い所です。あれだけの施設使わないと此処にいる学生達を収容できませんし周りのお客様に迷惑です」

「でもそれじゃお金は…?ステージってお金使いません?」

「ええステージ自体を貸切する事は有料ですよ…ですがそれはそちらのお嬢さんが解決してくれましたよ」

「解決?どういう事ですか?」

「綴也君は気にしないで良いという事です。これに関してだけは君は悪くはありません」

「ええ、試合は今から一時間半後の十時を予定していますから遅れないようにお願いしますね」

「は、はい」

「じゃあ私はこれで失礼しますね。準備がありますので綴也君はアイディアルを辞めないように頑張ってくださいね。私は君がどうなろうがどうでも良いのですがアイディアルを辞める事になったら妹が貴方のPDに押しかけて三百六十五日二十四時間からかわれるかもしれませんよ」

「うん、そうならないよう頑張ります…」

「それではお嬢さんも準備の方をよろしくお願いしますね」

「ええ…ミトラさんもよろしくお願いいたします」


そういってミトラは姿を消した。


「もしかして…副会長はミトさんは知り合いだったんですか?」

「いいえ、私達があの人を一方的に知っているだけです。あの人は有名人ですから…」

「有名人?ミトさんが…」

「まさか朝倉君の知り合いだとは驚きましたけど朝倉君が彼をご存じないのは…納得できますね。ともかくそれで話がスムーズに進んでくれたのです。お陰で学校の名に傷がつかなくてすみそうですね…」

「き、傷って…」

「それでは私も準備が残ってますから行きますね。サクラは先に来て準備をしていますから用意された控え室で朝倉君も準備しながらそれまで待っててくださいね。開始十分前くらいになりましたら呼びに来ますから…」

「はい」


今日負けると自分はアイディアルを辞めると約束している。

自分がアイディアルやる者として目的意識が低いのは自覚があるがでも負ける心算で戦う事は無い。

予想外の事はあったが不思議と緊張は綴也の中には無かった。

やるからには自分が出来る全力をもって彼女に勝つという面持ちで綴也も試合の準備を進める為に自分の名前が書かれた紙が貼り付けられた控え室

に向かった。


「皆様、お待たせしまた。これより聖アウローラ学園生徒会主催アイディアル特別試合を開幕いたします」


一時間後。

会場の中心に紫の髪と眼をした少女が穏やかな声色と共に開催を宣言した瞬間会場中から大きな歓声が上がった。


「先ず今日は突如急な開催になったこのイベントに協力していただいた此処のスタッフさんに謝罪と厚く御礼を申し上げたいと思います」


そうしてシアはは頭を深々と下げたその先にはミトラが立っていた。

シアの謝礼を見た後ミトラは視線を観客達に向けた。


「このイベントを始める前に申し上げておきます。今回の貴方達の行動は下手をすれば集団による営業妨害にもなりかねません。身勝手、軽率、迷惑以外の何物でもありません。事実今日は急遽貸切という措置を取り目を瞑りますが皆さん今回の事をキチンと自分の心に刻んでくださいね…特に

生徒会の赤い髪の人!!」

「ひぃ!?」

「皆様、今度この様な事を起こしたら我々は学園を訴えますので気をつけてくださいね。それでは皆様どうかイベントを心行くまでお楽しみくださいね…」

「それでは皆様今回の事を良く心に刻み反省しこのイベントを始めるとしましょう…」


整った造詣を持つ青年電子製命体ミトラの微笑みながらの一言に会場中がに凍りつくがそれを流しながらも微笑んでいるが副会長の胆力に生徒達が尊敬した。


「それと今後この様な事の無い様にこの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「………え?」

「ええ!?」

「今回のイベントの費用をお支払いする為のものです。期間は三年ほど掛かるので異議反論等は一切認めませんのでよろしいですね?皆さん?」


その微笑から繰り出された突然の罰則に更に表情が先程よりも凍っていく。


「それではこのイベントの主役たる二名の入場です。イベントといっても施設を借りているだけのものである以上我々は”声”をもってプロのイベント負けないように盛り上げていきましょう。例え今日喉が壊れようがいかれようが皆さんこのイベントが楽しみで楽しみで来ているんですから…全

力で声上げて盛り上げましょうね?このイベントが終わるまで休み無く…

出来ますよね?皆さん?ルージュさん?」


「「「「「ひ、ひいぃい!!」」」」


シアの微笑から発せられる不可思議な圧力と共に繰り出された命令に生徒達は突き従うしか道は無かった。

生徒達は一斉に大きな歓声を全力で上げ始めた。

しかしそれでは足りないと十回以上の氷の微笑という名のダメ出し繰り返されそこから歓声も本当に彼らが一生に上げる声の中で最大の音声になった一時間後ようやくイベントは始まった。


「会場も本当にようやく盛り上がって来たところで今回の主役達を此処に及び致しましょう。かつて一人理想郷(ナイツ)(・オブ・)騎士団(アヴァロン)とばれたこの聖アウローラ学園生徒会会長サクラ・レノンフォードとあの白い姫神(ホワイト・ヒロイン)に勝利したただ一人の理想求者姫神殺し(ヒロイン・マーダー)朝倉 綴也君の入場です!!」


彼女の紹介と共に更に歓声は上がり向かい合うドアから自身の髪や眼の色と同じ色のドレスを思わせるようなアイディアルウェアを身に纏い二刀の剣を腰に差すサクラと返り血を浴びたと思わせる赤い点を纏う白一色のア

イディアルウェアを身に纏い腰に剣と銃を携帯する綴也がそれぞれ中央を

目指し歩んでいくがその顔にあるのは歓声を上げ続ける観客に対する戸惑

いだった。


「こ、これは…?一体?」

「シアちゃんを本気で怒らせるとこうなるのよ。だってシアちゃん”学園歴

代最恐”って言われているんだから…」

「さい…きょ…う?って…」

「あら、そんな事はありませんよ…うふふふ私は決して午後からの予定がつぶされた怒っているとかそういう私情で怒ったりはしませんよ。これはこ

の学校の生徒会副会長として生徒達の行動に注意が必要だと思って警告し

ているだけですから…」

「もう許してあげようよシアちゃん。このままだと皆は脳血管がぶち切れて死ぬかもしれないし…」

「そうです…これはかわいそうですよ…副会長」

「あら…そうですか…仕方ありませんね。では皆さん静粛にお願いいたします…」


シアの一言で一斉に会場に響き合っていた歓声は一斉に静まったが一斉に会場中から息継ぎの声が所々から聞こえ響き合いイベント会場には「はぁ、はぁ…」という息遣いしか聞こえないという不気味な雰囲気に包

まれていた。

それでもシアは何事も無かったかのように司会を続ける。


「それでは今回の審判役を引き受けていただいたスペシャルゲストをご紹介しましょう…」

「スペシャルゲスト?」

「ええ、今日の為に特別に審判を引き受けてくれたそうです」

「ミトさんが頼んだんじゃないんですか?」

「妹が頼んだそうです。最もその妹も今日は急に別の仕事でこれませんの

でまた私が代理です。ちなみに知り合いのプロの理想求者に頼んで審判を

引き受けてもらったと言う事だそうです」

「プロ!?それって一体誰なんですか!?」

「それは直ぐに解りますよ…」


ミトラがそう言った直後未だに死者の呻き声の様の声がする会場内にシアの声が再び歌の様に響いた。


「それでは…登場していただきましょう!!この勝負の審判を務めていただ

けるのは我らが聖アウローラ学園が誇る年末の衝撃プロデビューから約4ヶ

月で理想(ナイツ)(・オブ・)円卓(ラウンド)第九位に連なった美しき日本の若き女傑、刀神姫(かたなひめ)神条 恵理香先輩です!!」

「ええ!?」

「…な!?」


シアの紹介と共に会場に有る四つのドアのうち綴也達が通ってきたドアとは斜め向かいのドアが開きそこから一人の女が姿を現す。

黒い髪に黒い眼その身に巫女を思わせる服を身に纏い彼女が歩くたびにまるで鈴の音が鳴るようにも感じられる。

されど彼女は例えるのならば花ではなく刃を思わせる。

その髪をも瞳も同姓からも羨望の眼差しで見られるであろうその身体ですら彼女という刃の一部として存在する事に違和感を感じさせる事が無く衣服も良く見ると色は白ではなく白刃の色といっていいものだ自身の全てが刃を彷彿させる物だった。

それが神条 恵理香の理想求者としての姿だった。

彼女が姿を現したその瞬間息継ぎしかしていなかった会場がまるで息を吹き返したかのように歓声を上げた但し今度の歓声には今までの歓声には無かった心からの喜びがあった。

そんな歓声に包まれながら彼女は綴也達の間に立つ。


「今回、二人の試合審判役を引き受けることになった”理想の円卓”第九位

神条 恵理香だ。ルールは一対一の決闘デュエル今回の勝負では競技場の設定は行わずにこのまま戦う事にする。試合は相手をKOした方が勝ちだがドーピングや武器の違法改造などの不正為は反則で失格とする。解っているね二人供?」

「ええ」

「解っています」


二人が武器を構える。

綴也は右手に剣を左手に銃を。

サクラは一週間前の時とは違い剣を左右に携えた。


「では…お互いに自分の理想に従い理想に背く事なく理想を貫く事を祈る…

それでは…」


恵理香が右手を上げて。


「始め!!」


振り下ろす。

戦いが始まった。




Mル…さて、綴也さんの人生の掛かったアイディアル勝負開始の

   話なのですが。


T也…シア副会長があんなに恐れられていたなんて。


Mル…どうやら彼女自身にとっても重大な予定があったらしいの

   ですがそれが今回の急なイベントで予定をキャンセルしな

   ければならなかったそうです。


T也…そ、それならそっちの方を優先させても良いじゃないです

   か!!

   僕の試合なんかよりもそっちの方がとっても大事なんじゃ

   …。


Mル…綴也さん。彼女にとっては大事な事でも周りにとってはそ

   うではない事もある。

   彼女の大事な予定とはそういうものなのです。


T也…??


Mル…まあ、いずれ誰かが語る日も来るでしょう。


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