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IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
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アイディアル~理想という名の





その日の午後。

四月と言うだけあって桜の木には花びらが満開で道にによってはお花見の為

に場所取りの為に座っているであろう人の姿も見られた。

入学式から制服は自分だけ違って目立つし先生に言われるまで此処が今年か

ら共学だと気付かなかったと言う高難易度レベルの失敗をやってしまった綴

也は家に帰ってから学校のパンフレットを確認をしてみた。

表紙はブレザー姿の男女が写っている何処にでもありそうなものだった。

しかしパンフレットの二ページ目に思い切り今年は男女共学化の文字が記載

されていた。


「まさかそんな所ばっかり読み忘れていたなんて…」


改めて資料を読み返していると目を通していない所にまるでピンポイントに

今年から共学になる事が書かれていた。

表紙の時点で綴也は此処は共学の学校なのだろうと勝手に判断していた。


「奇跡って…こういうのをいうのかな…」


そう呟きながら彼は近所のスポーツセンターに向かっていた。

ただ持っているのは学校の鞄ではなくスポーツバックである。

そこは学校とは正反対の位置にあり中間地点に自分の家がありその為一度家

に戻り私服に着替え荷物をおいて向かっている。

そのスポーツセンターは町の中でも一,二を争う大きなものでそこは公共の

複合施設であり敷地内には図書館、公園等があり施設の外の近くには大型の

スーパーがあるの公園や図書館で一日を過ごした家族連れ等が帰りにスーパ

ーで買い物に行く風景を綴也も度々、見かけていた。


(部活に入ったらここもあまり来れなくなるかも…)


そんな事を思いながら休日の家族連れの一日の夕方の予定を一瞬想像しなが

ら綴也はセンターの中に入っていく。


更衣室で服を着替える。

その服は白いシャツに白いズボン白いコートの白一色に統一されている。

しかしその白い服には赤い点や線がまるで返り血の様に服の所々についてい

た。

これは綴也自身の趣味ではなく諸々の事情でこの服しか着る事が出来ないか

らである。

そうして体育館に入るとそこでは柔道場程の広さのリングが六つ程設置され

ておりそこで様々な人達が剣や銃、炎や水を武器に闘っている姿があり体育

館上部には席が設けられておりそこにはちらほらとそれを観戦している人々

もいる。

しかし戦っている彼らが武器や炎等は本物ではない。

これらの光景はMR(複合現実)という技術によって表現されている物であ

る。

しかし表現されている武器には重量、質感、材質、原理が至る所まで再現い

や表現されている。

その為に武器は使いこなす為にはその為の努力が必要であるしまた炎などの

現象は使いこなす為に独自の努力が要求されると聞いた事があるが綴也は炎

や水など出す事も操る事も出来ないのであまり関係が無かった。

これがMRを使った世界で最も人気のスポーツアイディアルである。

アイデイアルは理想と言う意味が込められている故に皆自分自身の理想を目

指し自身と武器を鍛え競い合うスポーツである。

故にアイディアルをやる人達は理想イデア競技者アスリートを組み合わせ理想求者イデアラートと呼ばれる。

綴也もその理想求者なのだが小学校時代は誰も相手になってくれず中学時代

は学校のアイディアル部にすら入れてもらう事が出来なかった。

それでも彼はアイディアルというスポーツが好きなのでこうしてほぼ毎日こ

のセンターで練習に来ているのであった。


「さてと…」


あの広い場所へから少し遠い練習場に来た綴也は空間ウィンドウを呼び出し

てからアイディアルのメニューを呼び出す。

ウィンドウのメニューから手馴れた手つきで操作すると綴也の腰の左側に鞘

に収められた白い剣が後ろ側にはベルトに収められた白い銃が現れた。

剣はサイエンス・フィクションに出てきそうなデザインをしているのに対し

銃はファンタジーに出てきそうなデザインをしていた。

選択した何時もしている練習内容は一対一の実戦形式。

綴也の向かいに練習相手が出現した。

相手は練習用の立体映像である。

その外見は頭巾から足元に至るまでの墨よりも濃い黒色の装束を身に纏うそ

れは所謂忍者と呼ばれる者の格好だった。

しかし刀が腰に差して合ったりその長さも明らかに忍者のものではないとい

う忍者として明らかに間違っている部分がその出で立ちと相俟って目立って

いた。

十…九…八…とシステムの音声がカウントを刻む。

綴也は剣と銃を構える。

立体映像の忍者は両手の拳を握りその外見に似つかわしくない格闘技の構え

を取る。

そしてカウントがゼロになりアラームが始まりを告げた。


アラームが鳴った瞬間綴也は相手に向かい走りながら銃を放つ。

忍者も綴也の銃から放たれた光の弾をかわしながらお互いに接近する。

綴也は忍者より先に剣を振るう。

が対する忍者は腰の刀を抜く事は無かった

その代わりに忍者は握っている拳を放って来た。

剣と拳ぶつかり合えば拳の方が剣に切られる結末だが忍者の拳は綴也の剣を

叩き落とした。


「クッ!!」


綴也はこの展開に驚く事なく左手の銃を再び放つ。

二発の光の弾は至近距離から放たれたと言うのに忍者はまるで見えていたよ

うに右へかわしていった。

続けて綴也は右から左への回転を加えた一撃を相手に叩き込もうとする。

忍者は避けた直後でその剣は忍者を捉えようとした。

しかし忍者はそんな不安定な体勢から左拳でで綴也を剣ごと下から打ち上げ

たのだった。


「ッ!!ッ」


綴也は即座に忍者の足元を狙い銃を連射しその間に剣を地面に突き刺してそ

こを体勢を立て直した。

そのまま綴也は剣は逆手に持ったまま忍者に再び接近するが今度は忍者が両

手から手裏剣を取り出し放ってきた。

綴也はそのまま銃や剣で打ち落としたり剣で手裏剣を弾きながら距離をつめ

るもその間に忍者の投擲速度は綴也の対処が間に合わない所に傷を与えてい

った。


「痛ッ!!」


アイディアルでは武器だけではなく武器で追ったケガも表現される。

先程綴也が負った傷は切り傷なので手裏剣で斬られた箇所には切り傷が表現

されもちろんその痛覚もアイディアルの中で表現される。

現実においてケガによっては行動に支障をきたすようにアイディアルにおい

て攻撃で傷が再現されるだけでなく行動に支障きたす所も再現されている。

唯一違いが有るとすれば致命傷に当たれば選手は直ぐに意識を失うように出

来ている事である。

致命傷は避けながらも綴也は再び接近し右逆手でに剣を振り下ろす。

対する忍者も右拳を綴也の剣の軌道に対する様に振り上げた。

再び剣と拳が激突する。

結果は綴也の剣が忍者に拳に押し負け綴也は天井に向かってまるでロケット

の様に打ち上げられた。

この忍者は驚異的な膂力を持っている事を何度も戦っているので綴也は嫌と

いうほど知っている。

こうなると綴也はアイディアルで再現されている天井に顔がめり込んで吊る

される状態になる。

そんな負け方をこの忍者の立体映像には何度もやっていた。


(もう簡単にあんな負け方はするもんか!!)


打ち上げられた状態から綴也は天井に顔ではなく足からついてそこから忍者

に向かって空を打ち上げられたスピードに負けない勢いで加速していく。

忍者は腰の刀を抜かず拳で綴也の剣を叩き落そうとする。

綴也の剣と忍者の拳が交差する。

綴也を剣ごと打ち上げるほどの膂力を持っている忍者の拳だが今度は綴也の

剣が忍者の拳を弾き飛ばした。


「はああああああああああ!!」


忍者は完全に体勢を崩しその一瞬に綴也は銃を上に放り剣を逆右手から左手

に持ち替えてさらに斬り下ろした。

その斬撃は確実に忍者を捕らえたし手応えもあった。


「!?」


しかしそこにあったのはどこから出したのかは解らない木の柱だった。


「変わり身?!」


相手を見失ってしまい背後に何かを感じ振り向くと…。


「てい!」

「いっっ!?…だっ!?」


と先程の相手とは明らかに違う誰かの人差し指が綴也のおでこをつついてい

た。

その直後に先ほど放った銃が綴也の頭に直撃し蹲っていた。

現れた女性は身長は170cmくらいで綴也の一回り上、山吹色の眼と髪を

持ち髪型はポニーテールでこれだけではこの人は色付きの女性であるが彼

女の持っている雰囲気は人間のものではなくどこか幽霊の様に見られた。

しかし彼女の表情からはよく言う幽霊の雰囲気など感じられずむしろ生き生

きと此処に突如として現れたのだった。


「いっ…ぅ、イキナリ割り込まないでくださいよミフさん!!」

「ウフフ、こんにちは綴也さん」


綴也に笑みを浮かべながら彼女の名前はミフル。

ミフさんと呼んでくださいと言われているので綴也はそう呼んでいる。

このスポーツセンターでインストラクターとして働く電子製命体と呼ばれる

AI呼ばれるものが進化した存在で綴也が此処に来るようになって直ぐに

知り合って三年くらいの付き合いである。


「久しぶりに顔を見たと思ったらいきなりの血まみれデスマッチなんて血は

MR表現とはいえ周りを血が飛び散っているじゃないですか!そんなにもこ

んな事がご所望でしたら今度は針金電流爆破デスマッチでもセッティングし

てあげましょうか?」

「その明らかに物騒と言うのが想像出来る設定はご勘弁を…」


今言われた事がどんなに危険かは解らないがそんな事をさせられてはたまっ

たものではないので綴也は断る。


「いっその事相手もそれに相応しい人を私がデータからピックアップしてき

ましょうそうそう後は…」

「ミフさん!?断るって僕は言ったよ!!それに僕は相手が限られているし

!!」

「とまあ…冗談は此処までにしましょう」

「ミフさん…」

「まあ、針金電流爆破血塗れデスマッチがやりたければ何時でも言って下さ

い。喜んで用意してあげますから…」

「いや結構です」

「何百倍もキツ目にした上で」

「嫌です」

「そんな遠慮なさらずに」

「からかっているでしょう?ミフさん?」

「何を言うのですか!?貴方は!?」


と彼女は表情を真剣なものに変え真摯な面持ちで…。


「貴方の事を考えながら貴方をおちょくったりからかったりすると言う私の

人生の楽しみを貴方は何だと思っているのですか!?」


そんな台詞をまるで物語に出てくる聖女が必死の説得をするシーンのような

表情で明らかなに聖女と呼ばれる者口にしないであろう言葉を口にした。

ミフルは綴也をからかうのが趣味なのである。


「知らないよそんな事!!というか何でそれが趣味なんですか!?」

「そんなの…楽しいからに決まっているからじゃないですか!!」

「知らないよ!?」

「うふふ…」


ミフルは顔を真面目なものに変えておもむろに空間ウィンドウを操作してデ

ータをチェックしていた。


「しかし、立体映像で全力ではないとはいえあのニンジャ・マイスターを相

手にここまでやれるようになるとは…成長しているみたいですね」

「え!?本当に?」

「ええ…。最初の頃に比べれば…。ですが…レベルも上がっていよいよ忍術

も使い始めましたね…」

「うん。さっきも変わり身の術ってやつをやられた…」


先程、綴也が戦っていたデータの元になった理想求者はその中でも人気が

ある伝説の人物である。

その人物を再現した立体映像でとはいえ彼の実力は凄まじく剣の面を弾くよ

うに殴りつけてくるしそれで体制を崩されそのまま手刀で気絶させられ三秒

で敗北に始まり剣ごと打ち上げられて頭上にめり込んだり隙があればそのま

まホールドされてそのまま二三メートル飛んでそこから回転しながら地上に

叩きつけられてまた首だけ埋まり気絶させられたりさらには大量の手裏剣が

刺さり人型のサボテンのような状態になった事もあった。

アイディアルという複合現実環境下でなければ死んでいた負け方ばかりであ

る。

しかしそんな頃から比べればそんな負け方をしなくなっただけでもこれは綴

也にとって大きな前進であった。


「まあ、善戦はしている方でしょうがあのままやっていてもれで終わりにさ

れていた可能性は高いですね…ですから総評するとまだまだだ先は長いとい

う事です」

「はは…」


こんな風に綴也を批評しているが彼女は綴也の師匠ではない。

彼女は綴也にこうした方が良い等の指導はやっていない。

彼女はあくまでも施設のインストラクターなので仕事として綴也を見ている

だけである。

彼女も自分は師匠になるつもりは無いと言っていた。

同時に綴也をからかう事が生き甲斐だと言い切った。

しかし綴也はその無茶苦茶ぶりに救われている。

綴也にはアイディアルをやっている友人や仲間がいないからである。

もしかしたら未だに自分一人で練習をしていたらアイディアルを辞めていた

かもしれないがミフルがいるからこそ今もアイディアルを続けているのかも

しれない。

それくらいミフルの存在に綴也は何だかんだ感謝していた。


「綴也さん…感謝ならば心の中ではなくちゃんと口にして欲しいものです」

「え!?すみません。ありがとうございます」

「そういう所がからかいたくなるんですけどねえ…」

「ええ!?」

「綴也さんは顔に出やすいですからね…でも…」

「ミフさん?」


何かを呟きながら彼女が空間ウィンドウで何かを操作し始めた直後ミフルが

全身が光り出し彼女の服装が変化した。

それを見て綴也は表情が強張った。

それは何度か見ている彼女の戦闘服姿の一つに綴也は嫌な予感がした。


「さて今度は久しぶりに私が相手になってあげます!!」

「ええ!?」


と彼女は悪戯と親切が半分の笑顔で言ってきた。


「でも…今戦ったばっかりだし」

「練習相手に偏りがあるのですよ。ニンジャ・マイスターばかりではないで

すか?」

「それはしょうがないでしょ!!僕は…」

「貴方の事情はわかっています。ですからそんな貴方に女性であるこの私が

相手になってあげます」

「いや、でも…」

「好き嫌いはがあると成長しませんよ!」

「いや、食べものじゃないんだからというか…」

「文句は聞きません。それにまだまだ時間ならばたっぷりありますから綴也

さんも女性相手に練習できますよ!!」

「でも、ミフさん仕事が…」

「これも綴也さん専属インストラクターの私の仕事なんです」

「そんな仕事ないでしょ!?」

「問答無用!!」


と彼女は綴也の十メートル先まで離れた。

そうしている内に再び開始のアラームが鳴り響き


「綴也さん…優しくしてあげますから…」


彼女が綴也に向かって来たのであった。


そうして数時間後、そこには青ざめぐったりしている綴也とそれを少し距離

を置いて見つめているミフルの姿があった。


「ばぁぁ、ばぁぁ・・・」

「貴方の事は理解はしていますが本気でアイディアルやるのなら女性との戦

闘経験は避けては通れません…解っているでしょ?」

「ばぁい…ばぁぁ」


あれから数時間彼女と戦った為に綴也は疲れ切っていた。

言葉を発する元気も無くなるほど戦わせられたが何とか搾り出して彼女の言

葉に返しをするくらいには落ち着いてきた。


「あ、そういえば…」

「…何です?」

「今日から高校って東京ではないですか?こんな時間まで練習していて良い

んですか?」

「あっ!!」


今更ではあるが綴也は自分がミフルに高校はここの近くである事を伝えるの

を忘れていた。


「いや、実は…」

「って嘘ですよ」

「ええ!?」

「うふふ…。自分で三日前に此処で愚痴っていたのを忘れてしまうくらいお

疲れですか。さて、帰るまでの休憩時間中はたっぷり貴方が此方の学校に行

くことになったのかじっくり聞かせてもらいましょうか?」


そんな綴也を見てミフルが満面の笑みで近いづいて来た。

綴也は後ずさりしながらも捕縛され結局今に至るまでの事を帰るまでに今日

一日の失敗まで吐かされミフルに大爆笑されるのであった。


アイディアル

複合現実を利用した世界で流行している最先端格闘技スポーツ。

その複合現実環境内では魔法や超能力と言った現実には無い能力

も”表現”されて現実を超えた戦いと演出が人気となっている。


Mル…ちなみに複合現実というのはざっくり言うと拡張現実とい

   う現実と仮想現実を合体させようとする技術の類義語のよ

   うなものです。


T也…厳密には違うんですか?


Mル…区別されているのでおそらくは細かい所が違うのでしょう

   …そして此処から初登場となりました私朝倉 綴也さんの

   専属インストラクターである電子製命体のミフルと申しま

   す。

  

T也…いやそんな役職無いから。


Mル…趣味は綴也さんをからかう事、好きなものは綴也さんをか

   らかう事、人生の生き甲斐は綴也さんをからかう事です!!


T也…全部からかう事じゃないですか!?


Mル…そして綴也さんにツッ込まれる事が私の人生の喜びです。

   (至上の微笑)


T也…はぁ…(複雑な溜息)


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