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IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
24/178

幻想に向き合えるか?否か?






翌日、水曜日。


「はぁ…」


昨日の帰りが遅かった件で二日間の綴也はアイディアルの練習禁止と家の手

伝いを命じられてしまった。


「ミフさん…何してくるだろう」


自分をからかう事が生き甲斐だと言っているあの電子製命体は今日から二日

間は来れませんと言ったらどんな顔をするかわからない。

先日イリュシオンであった時も…。


「イリュシオンのホームポイントでは綴也さんをからかえる訳無いじゃない

ですか!!此処はスポーツセンターと違いお客様が沢山いるのですよ!スポ

ーツセンターに来てくれなければ綴也さん遠慮無くをからかえないではない

ですか!!であるから何としてでも何としてでも来て下さい!!」


と涙目で豪語された。

その翌日に二日間行けない等行ったら何をされるか解らない。

それを思うと綴也はため息が止まらなかった。


「…それにしても何か視線が…」


学校に入学してからの約一週間綴也は登校中も学校で歩いている時も周囲か

ら視線を感じていた。

原因は自分の制服もその一つだと理解しているつもりだ。


「何か…感じる段々視線が…酷くなっている様な…」


だが、その視線が無くなっていく気配が無い。

むしろ周囲からこれは監視されているんじゃないかという気がするくらいで

ある。

始めて生徒会室に来た時にサクラは自身の過去が周りに噂になっていると言

っていた。

過去の事がこんなに自分の人生に絡み付いてくるとは綴也も思いもしなかっ

たのである。

本当ならば恐らくこの問題が発覚してから直ぐにこの問題に対して綴也自身

も考えなくてはならない筈だったが入学してからイリュシオンという衝撃に

考える事を忘れてしまった。


(女子に避けられているのを見るとどんな過去の噂が広がっているのか想像

は付くけど…むしろ問題はさらに中学よりも尾びれ背びれが付いてる事かも

知れないだよね…)


「はぁ…」


中学の時は友人達も居たのでそれほど気にはならなかったが高校になってか

らまさかの自分だけ実は不合格発覚からの一人だけ地元高校進学で一人で一

から友人を作る必要があった。

周りに味方はいない孤立無援状態。

友達を作りたいのにどうも上手くいっていない。

そもそもどうやって友達になったらいいのか考えてしまう。


「友達作りって…実は家の手伝いよりも難しい?」


ならば、どうすればいいか綴也の結論は…。


「先ず、話をしてみるしかない!!」


切っ掛けよりも先ずは行動という訳で…。

教室で見たクラスメイトの女子の三人組を見かけたので先ず。


「おは…」

「行くよ!!早く行かないと遅刻するわよ!!」

「よう…」


声をかけてわずか数秒だった。


「お笑い番組でやっている事ってテレビでのあくまでも演出だからこそ笑っ

ても何とか許されるものなんだろうけど現実にやられると結構きつい…」


と綴也はそんな事を思った。


「まあ、テレビでやっている事と現実の区別は見る者の眼と心次第といった

所だろう…大抵区別はついていないだろうがな…」

「そうかも…って、恵理香先輩!?」

「やあ、綴也君」

「何時の間に!?」


といつの間にか誰かが自分の呟きに相槌を打っていたので振り向いてみると

そこに三年で顔見知りの先輩がいた。

ご丁寧に顔の位置を綴也の顔にあわせて腰を下げているという心遣い付きだ

った。


「偶々さ、私は久々の学校に登校で君を見かけたので声をかけようと思った

ら君が女の子に声をかけようとして逃げられた一部始終を見てしまったので

声をかけたと言う訳だ…」

「いえ、クラスの誰とも未だに一つも会話が無いので何とか会話をして友達

を作ろうと思ったんだけど…」

「だが…予想以上に難航しているね…」

「あはは…」

「あの三人と一緒に東京の天行に通えていたらこんな事にはならなかったか

も知れないが…」

「かも知れません…ってそうだ」

「ん?」

「先輩に聞きたいんですけど僕に関する噂って…」

「ああ…私はもうプロの事もあるから学校には来れない事もあるから全部聞

いている訳じゃないが噂の殆どでたらめさ。しかし姫神殺し、奴隷発言、私

のは本当の事だが中身の方は原型は留めていないよ」

「…そうですか、じゃあもう一つ?」

「何だい?」

「生徒会の人達に中学の時の事話したんですか?」

「ああ、余計な事とは思ったのだが生徒会のメンバーには話しておいた方が

良いと思ってね。君と高校で再会したあの日に君の話をしておいたんだよ。

君の味方になってくれるといいんだがと思ってね…」

「先輩…」

「気にしないでくれちょっとしたお節介さ。君には色々恩があるからね。そ

ろそろ行かないとこのままだと遅刻する…」

「そうでした…」


友達獲得の道はまだ遠いが先輩からのエールを受け取り綴也は学校へと向か

っていった。


昼休み。

お昼を食べる為に弁当を持って教室を出たところで…。


「朝倉 綴也君…よね?」

「ん?」


と声をかけられた。

綴也が顔を向けるとそこには三人の女子生徒が立っていた。

三人供綴也よりも背が高く服装は綴也とは違いブレザーを着用していた。

そして綴也にはその少女達に見覚えがあった。

それはクラスメイトであるが朝綴也が話しかけてそのまま逃げる様に去って

いった少女達だった。


「少し話があるんだけど、いい?」

「?…はい?」


何の話なのかは分からなかったが綴也はついって行った。

すると、綴也は屋上に来ていた。

これからここで昼を食べるので都合がいいと思った。


「あの…話って何ですか?」

「何が目的なの?」


と三人の中で一番背の高い女子が尋ねてきた。


「え?」

「何が目的でこの学園に来たんだってんだ!?」


続いて男勝りな女子が直情的に問い。


「え、あの…来たのって?…それは…」

「どんなに普通の生徒の振りをしても誰もごまかされないという事です」


もう一人の知的な女子が鋭い視線を向けながらそんな事を言ってきた。


「あの…」

「神条先輩に復讐するためなんじゃないの?」


綴也は頭の中が?マークで一杯になった。

一体、この三人が何を問うているのかが全く検討がつかなかった。

一体何故にこんな事になったらそんな言葉がついたのか逆にこっちが訊ねた

いと思った。


「復讐!?」

「貴方は神条先輩に復讐する為にこの学園に来たんじゃないのか!?」

「何で僕が!?」

「そんな顔をしてもごまかされいわ!!」

「待って下さい、僕はこの学校に来るまで先輩が此処にいるなんて知らなか

ったんです!!」

「…ふざけないで!!卑怯な手段で姫神殺しをした上に先輩を手篭めにしよ

うとした奴の言葉を信じろだと!!」

「どんな理由や目的であれ私達は貴方がこの学園にいる事を良しとは出来な

いわ」

「……」


ようやく、綴也は三人が話しかけてきた目的がわかった。

話の内容からの推測ではあるが三人は恵理香のファンで彼女に恨みがあると

される自分が彼女を害する目的があって此処にいると思いだから彼女を自分

から守ろうと直接話しに来たという事なのだろう。

綴也と恵理香の関係は恋人ではない。

しかし今は東京にいる友人や家族以外で気軽に話が出来る数少ない人間でも

ある。

ただそれに至るまでに色々あったので彼女達のように思ってしまう人間がい

てもおかしくなかった。


「今すぐに不正を認め潔く自主退学するべきよ!!」

「やってもいない事をどうやったら認めるというんですか」

「何ですって!?」

「何と言われても、やってもいないものはやってません」

「アンタね!?」


直情的そうな女子の顔が怒りの色を帯びているのは解ったがやっていない事

をやったと認める事は出来ない話であった。


「やめましょう」

「ええ!?」

「いいの?」

「仕方が無いでしょう。証拠も無しに証明など出来ないんだから…」

「……」

「…クッ!!」

「……」

「君は覚えていないだろうけど私達は君と同じ中学だったの。中学の時は君

が怖くて何も出来なかったでも私達は貴方の悪巧みを止めて見せる」

三人はそうして去って言った。


「はぁ…」


溜息を吐いて天井の床に大の字で倒れた。

彼女達三人には自分に対して脅かそうとか貶めてやろうといった悪意は感じ

られなかった。

三人には自分は悪い奴に見えて大好きな先輩の為に悪い奴を自分達で如何に

かしようとしているのだろう。

まるで物語りにありそうな主人公達が勇気を振り絞り悪者の前に立ち塞がる

シーンの様だった。

自分自身小学校から中学に至るまでに失敗してしまった事があるのは自覚が

ある。

それに関しては謝れる所には謝っているし処分も受けている心算だ。

それはもしかしたら身勝手かもしれないがそれでも何時までも自分が悪者側

というのは嫌だと綴也は思った。


「はぁ…昼飯食べよう」


昼飯前に悪人に認定されて何だか寂しい気分になったが腹は減るという訳で

手作り弁当箱を開帳し食べる事にした尚綴也自身のお手製である。


「…いただきます」

「あら?今から昼飯なの?」

「え!?会長!?」


そこに生徒会長サクラがいるのだった。

彼女は座っている綴也に向かって顔だけ見えるようしていた。

どうやら自分の体質で気を使ってくれたようだった。


「ちょっと話があるんだけどお昼がまだなら放課後時間作れる?」

「いや、昨日門限破りをして連絡を怠ったその罰で今日から二日間家の手伝

いをしないといけないので…」

「あら、そうなの?」

「はい、もし良ければ今良いですか?」

「え?でもお昼はどうするの?」

「…すみません、食べながらで良いですか?」

「まあ時間が作れないなら仕方ないわね…ちょっと困った事になってね」

「困った事ですか…?」

「ええ、職業訓練の事なんだけれど…」

「…職業…訓練ですか?」


その言葉を聞いてその意味を思い出すのに綴也は時間がかかった。

職業訓練とは部活や委員会に入らない生徒が義務付けられているカリキュラ

ムである。

生徒会に入った場合あのイリュシオンというゲームをプレイする生徒会特有

の義務が発生しもう一つの選択肢である職業訓練を選ぶと内容によってはア

イディアルの練習時間が削られてしまうので生徒会の方を考えていた。

しかしイリュシオンの衝撃が凄すぎた為に綴也の頭の中からその四文字が消

えていた。

そうして思い出した綴也はこれは職業訓練を考えた方が色々為になるのかも

しれないと考え始めた。


「教師の多くから君を職業訓練に入れるべきではないって意見が出ているの

よ…」

「え!?」

「私もそれはどうかとは思ったけど…その…君が職業訓練に参加して何かの

トラブルに巻き込まれたらそれは学校の信用問題になるからですって…それ

で残る選択肢が生徒会に入る以外に無いんだけど…期限は今週までだからね

聞いておこうと思ったのよ…」

「あの…理由は…聞かない方が良いですか?」

「…」


サクラの沈黙は綴也の問い掛けの答だった。

まさか此処まで自分の仇名や悪評が此処まで問題になるなど思いもしなかっ

た。

サクラの一言は本当に予想外だった。

生徒会に入るという事はあのイリュシオンと関わる事になるという事だ。

その恐怖は未だ拭えていない。

何せ昨日はその帰りに公園で居眠りして現実と夢の区別すらつかない様な夢

を見てしまったのだ。

たかがゲームといわれるかも知れないがゲームとはいえその恐怖に打ち勝つ

事が出来るのか綴也自身は昨日の出来事で自信が持てなかった。


「…僕は」

「貴方がイリュシオンを怖がっている事は解ってるの。私も最初はそうだっ

たもの…でも同じような境遇だからこそ貴方はイリュシオンをやるべきだと

思うわ。イリュシオンの事を何も知らない貴方はあの黒蜥蜴に生身で立ち向かった。あれは貴方にはそれだけの強さがある筈なのだから貴方はイリュシ

オンに対する恐怖もイリュシオン酔いも克服出来るわ」

「会長…」

「だから、自信を持って貴方はやれば出来る人の筈よ。でも強制はしないわ

貴方が自分でちゃんと決めなさい」


そう言ってサクラは背を向けて歩いていく。

その言葉で何かが変わるかと言えば変わらない。

ただそれでもやるべきだと言われただけだ。

でもその言葉に綴也は心に何かが灯った気がした。


「会長!!」

「ん?」


自分はきっと現金な人間だと綴也は思っている。

あの黒いドラゴンの時もそうだったがサクラの言葉が綴也に生徒会に入る事

をイリュシオンという恐怖と向き合う事に背中を押してもらった気がした。

それが、綴也にはとても嬉しかった。


「僕、生徒会に入ります」


だから…と綴也は自分の意思を言葉に出したのだった。


「そう。なら綴也君これからはビシバシ吐く位鍛えていくから覚悟しなさい」

「もう、吐いてますけど…」

「それも、そうね…」


そう言い合って二人は苦笑していた。


「改めてよろしくお願いします」

「ええ、よろしくね…」


そうして、綴也が生徒会に入る事が決定した。


「あ、あのー今日から僕、昨日門限破って帰ったからその罰で二日間家の手

伝いをしなければいけないんですけど…」

「はあ、入るのは金曜日に延期ね…金曜日に生徒会室に来なさい」


その瞬間五分前のチャイムがなり綴也は弁当を八割食べる事が出来ずにその

まま空腹と戦いながら授業を受ける事になる。

幸いだったのは次の休み時間内に何とか弁当を食べる事が出来た事である。

問題は解決した訳ではないがそれでも何かが一歩進んだ気がする綴也だった。

そうして放課後綴也はミフルに二日間スポーツセンターに行く事が出来ない

と連絡を入れて。


「ホウ・レン・ソウは大事ですから本当に本当に大事にしてくださいね…ウ

フフ」


と不気味な笑いをたたえていたが何とか二日間のお休みを得た。

T也…もしもしミフさん?


Mル…あら、綴也さん。

   連絡だなんて珍しい…。

   そんなに私にからかって欲しいのですか?


T也…そうじゃなくて…。

   昨日門限を破って帰っちゃったから二日間家の手伝いをす

   る事になっちゃったんでミフさんの所に行けなくって…。


Mル………………………………………え?


T也…あの…ミフさん。


Mル…そうですか。

   そういう事ならば仕方がありませんね。

   二日間家の手伝いをしっかりするように。


T也…う、うん…ありがとうミフさん。


Mル…それから

   ホウ・レン・ソウは大事ですから本当に本当に大事にして

   くださいね。

   …ウフフ



T也…は、はい。


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