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IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
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覚めてみると…





12月25日 零時零分クリスマス当日。

イギリスのとある病院で一人の赤ちゃんが生まれた。

初めて生まれた赤ちゃんに家族は大喜びした。

名前を決めたときは家族揃ってああでもないこうでもないと激論していたが

父親が自分の人生を自分で描けるようになって欲しいという思いから綴也と

名付けられた。

綴也は家族に囲まれすくすくと育って幼稚園に行く事になるのだがそこで綴

也は周りから奇異の目で見られるようになる。

それは入園した幼児の中で綴也だけが身体の大きさが明らかに小さかった事

にあった。

しかしそれは綴也が身体的な病気を抱えていた訳ではない。

寧ろ綴也の身体は現代の子供の平均値位には達しているので極端な問題など

無い。

しかしこの時代綴也以外の子供達の身体と心の成長は現代よりも速かった。

綴也との差は開く一方だった。

また綴也以外に日本人の子供はいたのだがこの時代に黒髪黒目の日本人はと

ても珍しかった。

綴也が住んでいた街では彼以外に別の国の人間とのハーフであったり個色持

ちであった為に黒髪黒目の日本人の子供は珍しかった。

その奇異の目がやがて差別に変わり差別は虐めに変わるのにそれほどの時間

は掛からなかった。

綴也は小学校になった頃には日本人からも日本人以外からも虐められる子供

だった。

ただ綴也には家族がいた。

父母達は綴也に愛情を注いでくれていた。

だから綴也は虐めにさらされても挫ける事無く育っていった。

家族以外にも優しくしてくれた人もいた。

それが綴也の初恋の女性でもある。

彼女は修道服を着た女性で虐めを受けて孤立していた綴也の話し相手や世話

を焼いてくれていた。

しかし仕事は修道女ではなく仕事は別の仕事だったらしいが綴也は彼女をシ

スターと呼んでいた。

子供の綴也が何故何時も同じ服ばかり着ているのと聞いた時。


「修道服を着ていないと落ち着かないんです」


と言われた。

事実その女性は修道服以外の服装も夜寝る時の服装も修道服に似ているデザ

インだった。

そんな家族や変わった女性から愛や優しさをを教えられて周りから悪意を向

けられる綴也がアイディアルを始めたのは幼稚園卒園の頃だった。

幼稚園で虐めばかりの日々に元気が無い綴也を親達がどうしようか悩んでい

た時に偶然映ったアイディアルの試合を見た時に子供の綴也は心が躍った。


(楽しそう…僕もやってみたい)


そうして綴也はアイディアルの練習を始めた。

しかし始めた綴也には同年代の練習相手が一人もいなかった。

如何すればいいかも考えたがそれにも限界があった。

それどころか一人練習をする綴也を他の子供らが無理矢理ごっこ遊びの悪役

に仕立てて自分達は木の棒や新聞紙を英雄やヒーローの武器に見立てて綴也

を叩いたりMRの玩具で再現された超能力や魔法の的にされた。

特に住んでいた国で伝説的な王様の剣に見立てた物で自分をその王様に倒さ

れる悪役に見立てられて叩かれた。

それが切っ掛けで綴也は有名な英雄の武器は苦手で魔法や超能力への興味も

薄れなし崩し的に正義を掲げて悪者を倒すヒーローの物語は苦手になってい

った。

英雄やヒーローに倒される悪役が自分みたいで見ていてあまり楽しくなくな

ってしまったのだ。

それでもいじめにめげずに一人で練習を続ける綴也だったがいじめは繰り返

され三年も続けば堪えるのも限界になるのも尤もな事だった。

アイディアルを辞める事も頭によぎる様になった夏休みある日の毎日修道服

を着ている女性が綴也を図書館に連れて行ってくれた時の事。

何気なく興味を引いてその手に取った本があった。

その内容を綴也はあまり理解できてはいない。

しかしその本の主人公は正義を掲げる英雄ではないので綴也は抵抗を感じる

事無く読めた。

その本の主人公の姿が彼の今まで見てきた英雄やヒーローよりも格好良いと

思った。

今でもその主人公は綴也のヒーローである。

その時から綴也は主人公のような生き方をしたいと思い始めた。

それは物語の主人公の様に世界に立ち向かうなどの英雄願望ではない。

自身が受けたいじめが切っ掛けで悪役の側を疑似体験させられた綴也は物語

のヒーローの様になりたいとは思わなかった。

でも物語の主人公の様な力や武器はないけれどそれでも主人公達の様に苦し

い事や悲しい事があっても立ち上がって生きようする所だけは見習いたいと

思った。

様々な事を経てもその考えは今の綴也を形作るモノになっている。

それがあったからこそ綴也のアイディアルは成績に関係なく続けていく事に

なる。

しかしそれから一年した後綴也は二度目恋をして相手にあんな告白をした事

が切っ掛けで小学校を登校拒否される事になりそれは綴也が小学校を卒業す

るまで続く事になった。


「ん…此処は?」


気が付いてみると綴也は公園の木の下だった。

辺りを確認しても先程までいた筈の男女の姿も無ければあれだけ周りに残さ

れていた破壊の跡すら一片も見当たらなかった。


「あれ?…これって?」

「あ、目が覚めました?」

「え!?会長!?」

「え!?」

「え!?会長じゃない…ってあなたは…」


いきなり声をかけられ声のする方を振り向くと其処には何か自分にはよくな

い物にぶつかる予感がしたので目を閉じながら顔の角度を上に挙げるとサク

ラがいた。

と思ったがそれは先程ぶつかったサクラと瓜二つの少女だった。


「ど、どうしたんですか?」

「す、すいません女性の胸を触ると吐いちゃう体質なので…」

「え!?」

「ああ、すみませんえっと何であなたが…」

「え!?ああ…駅に向かっていたら木の下に倒れている人が居るって見えて

そしたら…」

「え!?じゃあ、あの二人は!?」

「二人?私はそこで居眠りしている貴方しか見ていませんけれど…」

「え!?」


少女は自分がこの木の下で眠っていたと言っていた。

そもそも何で自分はこの木の下で眠っていたのか。

自分は先程まで公園で起こっていた戦いを見てそれを止めようとして止める

事は出来たが死ぬほどの傷を負っていた。

ならばその先は…。

しかし自分は生きている。

傷も無い痛みも無い。

ではあれはなんだったのか綴也の頭は混乱していた。


「…どんな夢を見ていたか解りませんが…」

「夢?…ですか?」

「だってこんな所でこんな時間にお昼寝いえ居眠りなんてしてるんですもの

…余程良い夢でも見たのですか?」

「夢…」


夢と言われた。

綴也はその言葉を確かめるように呟いた。

少しそんな気もしてきた。


「はあ…こんな時間に公園で居眠りなんて…」


綴也は溜息をついた。

どうやら公園に来てからいつの間にか眠ってしまったらしい。

考えてみれば先程までの状況が現実だっら自分は何も出来ずに死んでいただ

ろう。

そんなあの二人の殺し合いを止める事等できるはずも無い。

ましてや自分の宝物があの二人のありえない力を止められるなど都合が良い

にも程がある。

頭の中が落ち着いてきて考えが纏まっていく。


(夢…だったんだね…はあ)


突如として現われた現実には無い力を持つ男女の殺し合い目撃してそれを自

分が止めて二人が仲直りするというハッピーエンドであるが自分にそんな事

を現実にやれる力も武器も無い。


(あの剣か…夢の中だけど何だか懐かしいな……)


しかし綴也には自らのPDから出た光る剣に疑問を持ってはいなかった。

それはかつて一度だけ見たことがあったものだった。

夢の中に出てまさかあんな活躍をするとは綴也もおかしいと思いながらも懐

かしいと思うものであった。

それこそがあの出来事が夢である何よりの証拠だった。


「すみません。何だか疲れが溜まってて公園で寝ちゃってたみたいです…」

「四月とはいえこんな所で高校生が倒れているなんておかしいでしょ?だか

ら声をかけたんです」

「あ、それはどうもすみません…」

「それで貴方は大丈夫ですか?」

「は、はい大丈夫です」

「そう、じゃあ早く帰らないともうこんな時間だし…」

「え!?」


少女が公園の時計を指差す方を見ると時間はもう夜の八時過ぎ。

サクラ達との待ち合わせの時間を越えていた。


「ああ!!」

「それじゃあ…気お付けてさっきみたいに途中で居眠りしたら駄目ですよ…」

「そ、そうですね。どうもありがとうございました」


そういって綴也はサクラそっくりの少女と別れた。

がこの後直ぐに警察官に職務質問(小学生に間違われ)され駅前交番に連れ

て行かれる様子を生徒会メンバーに目撃されて高校生である事と電車トラブ

ルで帰れない事が証明されて事無きを得たが本来は遅刻を咎められる筈が代

わりに全員に笑い混じりにからかわれ続ける事となった。

そして電車がようやく運行を再開したのはそれから一時間以上後となったが

トラブルの影響で電車が各駅停車で運行する事となり結果家に帰るのは十時

以降になってしまった。

そして綴也には致命的なミスがあった。

それは家族へ遅くなるという連絡を忘れていた事だった。

何時も遅くなるならPDで連絡をしなさいと教えられていたが今回綴也は家

族への連絡を忘れていた。

つまり家族への連絡をおろそかにして家族を心配させた。

その丁度そこにいたお客さんが来ていてお客さんにまで心配を掛けてしまっ

た。

父母達に遅くなった事と心配を掛けた罰として二日間はアイディアルのトレ

ーニング禁止と家の手伝いを命じられる事となった。

綴也は公園で見た夢が二人の男女が仲直りしたという結末が悪くなかった事

をせめてもの救いだと思って今夜は十二時過ぎに就寝した。



E香…どうやら綴也君が公園で居眠りしてそんな夢を見ていただ

   けだった様だな…。


Mル… ……………


E香… ……すまない。


Mル… ……………


E香…一応は…謝ったからな…。


Mル…はあ…


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