説明書は読まないと予想外の事態に遭遇する
翌日火曜日の放課後。
生徒会の仕事を一時間程度で片付いた綴也と生徒会メンバーはそのまま最寄
の駅に向かいそこから新天神行きの列車に乗って新天神に向かった。
幸い平日の為か電車は空いていたので綴也は体質の事を気にする事無く電車
の窓側に立ち電車の風景を堪能しながら電車に揺られていた。
新天神に着いて綴也は新天神駅にその平日にも関わらずに人が集まっている
事に驚いていた。
「何だか学生ばかりいる気がするんですけど…」
客は決して学生ばかりではない。
それもで大半が学校の制服を着たままの学生達ばかりだった。
学生達の服装はもちろん学ランやブレザーで綴也の様な奇抜な制服ではなか
った。
「何たって都市日本の現在のゲームの最高傑作だもの。私達が生まれる前に
生み出されて二十年以上経つけど未だに人気だし…」
「だって…あんなリアルに超能力や魔法を使う疑似体験が出来るなんてたまん
ないわよ…」
「そういう事よ。中にはそういう事を夢見てここで夢を満喫しているご高齢
の方も見るしね」
「って、会長は超能力や魔法使わない癖に黒いドラゴン相手に一対一できるじゃない!!」
「とんでもないですよね…」
「「「うんうん」」」
「私をあの黒蜥蜴と一緒にしないで!!私だって最初から強かった訳じゃな
いもの!それにとんでもなさで言えばシアちゃんだって…」
「今では貴女は世界を斬殺する者って名を貰うくらいに強くなりましたもの
ね」
「「「ほら…」」」
「ってそんな事言ったらやっぱりあの黒蜥蜴は化け物よ!!だってアイツは
ね…」
綴也はイリュシオンどころかゲームは初心者なので会話の内容を理解は全く
出来なかった。
理解したのはサクラの強さにはちゃんと理由があるという事だ。
その事に安堵しながらその風景を見ていると。
「うわぁ…平日なのに外にも人が沢山…凄いな」
「あ!?綴也君!ちょっと待っ…」
平日にも関わらず外の人だかりに興味を引かれ外に出ようとして何故かサク
ラに待ったをかけられたがその前に綴也は駅の外に出ていた。
初めての時はいきなり一人でやってみなさいという難題の為に余裕は無かっ
たが今はそのショック療法の功名の為か落ち着いていた。
落ち着いてこのイリュシオンの町並みや歩く人々を見てみると何だか物語の
様な風景だという思いが心を占めていく。
何だか本当に本の中にあった物語の中に来た様と綴也このイリュシオンの中
で始めてこの世界に感動の様なものも感じていた。
「…え?…あれって…」
「あの全身蒼色の服装に蒼い大剣…」
「それに…あの変わる前の格好…確か二日前の動画に出てた観客と同じ奴な
んじゃ…」
(ん?何だか…周りのが僕を見てる気がするんだけど…気のせいかな?)
「あの…会長…ってあれ!?いない!?」
イリュシオンに初めて感動を味わっていた矢先に周りから視線を感じ何かや
ってしまったのかサクラに確かめようとしたがサクラ達所か生徒会のメンバ
ー全員がいなくなっていた。
「なあ、アンタ」
「は、はい…?ってえ!?」
そんな時に綴也は声をかけられた振り向いた瞬間綴也は驚いた。
外見は狼が二本足で立っているもので全身が体毛で覆われており顔立ちは人
間で言う悪人そうな顔で上半身裸の上にジャケット羽織り下はジーンズでそ
の手には綴也の大剣よりも大きな棒握られていた。
しかしどんな特徴よりも印象的なのはこの人物の声色が外見にあっていない
事だった。
そう、この狼の顔をした男の声色は外見に似合わない良くテレビで注目を受
ける整っている男性の声質だった。
余談であるが朝倉 綴也は狼男を知らないし獣人という言葉も知らない。
初めて新天神を訪れた時も獣人達は精巧な動物の着ぐるみを着ている人と認
識していた。
「一つ聞きたいんだが?二日前に此処で黒くて大きなドラゴンと戦わなかっ
たか?」
「え!?はい…戦いましたけど…」
「おい!?あっさり認めやがった!?」
「?」
「まあいいや、なあ、アンタ…俺達とも戦ってくれねえか?」
「え!?あの…何でですか?」
「決まってんじゃねえか…住人登録もしていない観客で
ありながらあの黒竜を相手にケンカ打って生き残ったって言う前代未聞の観
客…」
「そしてこのイリュシオンの住人になった直後に起こった名物超魔戦に巻き
込まれながらもリーダーであるあの二人を圧倒しした前代未聞の初心者がま
さか同一人物だったとは…」
狼の姿をした男の仲間らしき男達が集まってくる外見は人間であったり狼の
者と同じく人間じゃないもの綴也には良く解らないものが大半だが全員が悪
人が良く着ている服装をしていた。
しかし何で黒いドラゴンの件とあの戦闘を行ったのが自分だと解ったのか綴
也は理解できなかった。
「え!?いや、僕は…ってなんで僕が戦ったって知ってるんですか?」
「もしかして、お前さん知らなかったのか?」
「え?」
「PDで設定を変えておかないと駅を出た瞬間幻想住人の姿になるんだぜ。
お前さん今幻想住人の姿になってるんだぜ…」
「え!?」
そう言われて綴也自分の服装を確認すると服装が全身蒼い服で背中には自身
の身長背幅並みの大きい剣が腰に差してあった事に気が付いた。
「あ、本当だ!!」
「まあ、知らなかったのは運が悪かったな…けど俺達は強者専門のPKって
奴でな…」
「ピー…ケー?」
「プレイヤー・キラー…つまり強い幻想住人を殺す為にゲームしてる住人な
んだって事さ…」
綴也は周りを見渡したが周りは最早囲まれていて逃げ場など無かった。
「あの…僕二日前に始めた初心者で…ゲームをするのもこれが初めてなんで
見逃してもらえないですか?」
「う~ん、悪い…無理」
「初心者とはいえこんなに強い奴見たら戦わずにはいられないん性質なんで
すよ。僕達は…」
「あの…僕が戦えたのは元々はアイディアル経験者の裏切り者だから…」
「一応言っておくがそれは噂程度で聞いたが裏切り者だからって住人全員が
敵視するわけじゃないんだぜ。俺達は寧ろ裏切り者だろが理想求者もウェル
カム派なんでな。というかそれは人によっては火に油を注ぐ言葉だぜ…」
「それに僕は…イリュシオン酔いが…」
「アイディアル経験者だからな…だったら尚更此処に慣れねえと克服はでき
ねえぜ…まあ此処は覚悟決めて来てくれ」
外見や口調は悪者ではあるが綴也はこの人達が本当に悪者とは思えなかった。
綴也は知る由も無いがこのような多人数参加型ゲームには良く居る悪役ロー
ルプレイヤーと呼ばれる者達だった。
「後、僕は今はぐれた連れを探したくって…」
「じゃあ、いっくぜぇ!!」
「っちょっ!?」
狼の男が綴也の大剣よりも大きな獲物を持って迫る。
その速さはとてもその獲物でその速さに驚いてしまったが綴也は一瞬で我に
返りその手の大剣でその大きな一撃を受け止める。
「ぐっ!」
「おらおらおら!!」
狼の男はそのまま続け様に大きな棒を軽々まるで新体操のリボンの様に振る
って来る。
綴也は続け様に来る棒を大剣受け止め続けた。
しかし使い始めた大剣では受け止める事はできても反撃する事は出来なかっ
た。
「ぐうっつ!その武器でその速さって現実的にありえない!!」
「こういうのを楽しめるのがこの世界なんだぜ!!ありえないで言えばお前
さんが最初に戦ったあいつらなんて正しく俺達だって今のアンタと同じ事を
毎度言いたくなるぜ!!」
あいつらと呼ばれたであろう片方は自分の学校の生徒会長だったので何か弁
明したかったが彼女のリアルを自分が喋るのはマナー違反だし綴也には彼女
を弁護できるだけの言葉も材料も持ち合わせていなかった。
「それにアンタだって俺の棒を平然と受けてるじゃねえか!!俺からすれば
俺がお前さんにありえねえって言いたいぜ!!」
「ごめん。速いのは速いけど何時もの練習相手に比べれば受け止められる速
さだから!!」
「どんな練習相手に練習してんだよアンタ!!」
「それに大剣は土曜日から始めたばかりで全然反撃できない!!」
「だったらあの光の剣を使えば良いじゃねか!」
「此処はゲームなんだしだったら前から使いたかった武器で戦いたいって思
ったからPDは使いません!!」
「へっ、そりゃ…そう……だ!!」
「うっ…わぁ!?」
狼の男の一撃を受け止め続けた綴也は遂に耐え切れずに後ろに吹き飛ばされ
た。
とても現実では吹き飛ばされないだろう距離を飛ばされた。
それは自分が野球で投げられるボールになった気分だった。
「ぐぅ!!うっ…」
そして綴也は吐き気が競り上がってくる。
このまま戦い続けていたらどうなるかはイリュシオンの環境に慣れていない
綴也は理解はしていた。
狼の男が再び迫ってくる。
このまま戦っていたら再び綴也は動けなくなる。
それを克服する為にはこの戦いからも逃げる事は出来ないししたくないとい
う思いもある。
しかし今は綴也は彼と戦っても最後まで戦う事は出来ない。
彼との戦いよりも今ははぐれてしまったサクラと生徒会メンバーを探す方が
先決だった。
何があったかはわからないがサクラ達とはぐれてしまった。
イリュシオンの中だから大丈夫かもしれないが何の前触れも無くいなくなっ
たなど尋常では無い。
今は彼等には悪いがゲームの中で戦っている場合ではなかった。
「ごめんなさい。今は全力で逃げさせてもらいます。今戦っても何時吐くか
わからないしはぐれちゃった人達を探さないといけないから!!」
「ほう、鬼ごっこってか…まあ手前と戦うのはうち等の中で誰かって決めるん
だからそれも丁度いいか…」
「?あの…鬼ごっこって何です?」
「って!?お前まさか知らねぇの!?鬼ごっこ!?」
「?……はい」
「マジかよ手前ぇ…そんな奴初めて見たぜ…お坊ちゃんかお前?」
「す、すみません…僕は家は一般家庭ですけど…」
「まあ簡単に言うと俺達の中の誰かに捕まったら手前の負けで手前は自分を
捕まえた奴と戦う事になるって事だ…」
「それが鬼ごっこって事ですか?」
「いや、正しくは違うけどよ!!とにかくお前さんは逃げられるもんなら逃
げて見やがれって事だよ!!」
「いや、今僕は人を探さないといけないから!!」
いつの間にか狼の男の後方から集団が駆けつけてきた。
男女も人間関係無く衣装は目の前の男と同じ雰囲気だったので仲間である事
は綴也でも理解できた。
そこからは綴也はひたすら走った。
彼らが押し寄せてくるので綴也は街の中を全力で走る。
イリュシオンのお陰で綴也は自分自身の最高速の速度を優に超える速度で逃
げているが相手もそれに追いつかんとする速さだった。
現実を超える加速の中で綴也は生涯初の鬼ごっこをイリュシオンというゲー
ムの中で体験する事になった。
その後綴也はイリュシオン酔いの吐き気に苛まれながらも鬼ごっこで街中を
大剣を振ったり彼らを振り切る為に走り続けたのだった。
そうして時間は強制退去時間の鐘の音がなると綴也はそのまま新天神のホー
ムポイントにに転送されて二日ぶりに会った知り合いに昨日自分の元に来れ
なかった事の謝罪と生徒会メンバーとはぐれたので探して欲しいと話して…。
「彼女達なら駅で貴方を待ってますよ…ふふふ」
とミフルに呆気も無しに返答されて大爆笑をされた。
そうして吐き気が残りながらも駅のホームに戻るとそこには生徒会メンバー
が何事も無く勢ぞろいしていた。
「まあ、体験したから解ったとは思うけど幻想住人に登録すると専用のメニ
ューが追加されるからそこから新天神駅から出たら幻想住人に自動的に変身
するかONとOFF等の細かい設定が出来るからやらないとあんな風に何も
知らずに変身しちゃうから…」
「はい、まだ少し気持ち悪い…」
「後、いなくなってごめん。何度も言うけど自分の現実は出来れば知り合い
以外には知られないに越した事はないからね今回みたいな事になるからかも
知れないからね…」
「は、はいぃ…でも無事で良かったです。てっきり何かあったのかと心配に
なっちゃって…」
「でも、幸いな事にあの悪役生会の人達は外見とは違いこのゲーム有数の良
識派で有名なので悪戯に朝倉君の事を言いふらしたりはしないでしょう…」
「いえ…あんなに走ったり飛んだりしたのなんて初めて…で、それに鬼ごっこ
なんて生まれて初めてで…」
「どんな子供時代を過ごして来たの!?君!?」
「…ほぼ一人でアイディアルの練習ばかりしてました……」
「ま、まあ、イリュシオンはアイディアルと違って慣れてくれば吐いたりし
ないから…」
「貴女もそうでしたものね。始めた頃はMRで再現された血と現実の吐瀉物
を一緒に撒き散らしながら…」
「そうね…ってコラー!!何ばらしてるのよ!!」
「しかし、わずか二日であんなに朝倉君に眼を付けれるなんて思いませんで
したね」
「そうね、でも考えてみればあれだけの事をしたしそれが情報の拡散を早め
ちゃったのかも…」
「そ、そうなんですか…」
「ええ、彼らも言いましたが貴方は前代未聞の観客です。からだからこそ貴
方がイリュシオン酔いを克服してくれれば其処の人の形をした災禍達を止め
る為に戦う我々としては同志が増えて助かりますので…」
「何で私の方を見て言うのよ!?あれはあの黒蜥蜴の所為であって私を一緒
にするな!!」
「ねぇ、私達何時まで待ったら良いの?」
「何でこんな時に電車が動かなくなるのかしら…全く」
「何時になったら帰れるの?」
「電車が復旧するまでだな…」
「「「はあ…速く…帰りたい」」」
とルージュ、フラウス、シーニィの三人が溜息を付く。
今綴也達は帰る途中で電車のトラブルに巻き込まれ現在新天神から次の駅で
ある旧天神駅で立ち往生していた。
復旧には今しばらく時間がかかりので電車は開放され全員が駅の外で電車の
復旧を待つことにしていた。
「…掲示板には電車の復旧にはあと二時間かかるらしいわね…」
「しょうがないわ…じゃあ今から息抜きも兼ねて自由時間って事にしましょ
?」
「そうですね…このまま待っていても仕方がありませんしでは復旧予定時間
の三〇分前に再びこの駅前に集合しましょう?」
「その間に電車が復旧するのを祈っているわ…今日はあたしは見たいドラマ
があるのよ…」
「綴也君は大丈夫?旧天神は来た事なかったんでしょ?」
「はい。でも遠くへ行かなければ新天神よりは平気だと思うんで…」
そうして全員が旧天神の地で自由時間となった。
綴也はその自由時間見知らぬ旧天神の地を当ても無く歩いていた。
「はへぇ…」
奇妙な声を上げながらあちらこちらを見ていた。
此処はイリュシオンではないのでいきなり黒い怪物が現れて暴れだす等の現
実を越えた出来事は起こらない筈なのでその安心感から来たモノと言えるそ
もそも綴也は寄り道等の経験は無かった。
用事があっても家に帰って着替えてから出かけていた。
待ち合わせで自分だけ私服なので制服姿の中学の旧友達からも…。
「真面目か!?お前は!?」
「真面目だな…君は」
「真面目だよね…綴也君」
との声が上がったが綴也からすれば自分よりも真面目な人間は幾らでもいる
ので自分がそんな人間だとも思わなかった。
それを彼らの前で口にすると旧友達は苦笑いしたり呆れていたりしていた。
この一件をミフルの前で話したところミフルも苦笑していた。
そして高校に入りイリュシオンというゲームに出会い。
家に帰る事無くに遠くに来ている事等今迄無かった。
そんな事を思い返しながら電車の非常事態とはいえ綴也高校一年生にして初
めての寄り道を満喫していた。
しかしそれ故に綴也は女性とぶつかってしまった。
幸い胸にぶつかった訳ではないので吐く事は無かった事に内心胸を撫で下ろ
して相手の顔を見るとそこには最近見慣れたサクラ色の髪と眼が綴也の眼に
映った。
「すいませんって…会長?」
「…え?」
「って…へ?」
お互いに驚いていた。綴也はぶつかった女子がが綴也が思っていた人物では
なかった事に。
少女はぶつかった男にいきなり声をかけられた事に驚いているようだった。
良く見ればこの少女は服装から違っていた。
彼女は学校の制服ではなく明らかな私服を着用していたのだ。
良く確認をせずに声をかけた自分がうっかりしていたと反省する。
しかし、ぶつかったのは自分なので見間違いの事も含めて謝る事にした。
「すみませんぶつかっちゃった上に知っている人と間違えちゃってしまって
…」
「そ、そう?まあ気にしないで下さい私は大丈夫ですから」
「は、はい…」
「それでは私はこれで…早く東京に帰らないと明日の学校に遅刻する事にな
りますよ」
そう笑いかけながらその少女は天神の駅の方へ去っていった。
本当にサクラに良く似た少女だったと思った。
髪と眼の色だけではなく声も背丈も体型も恐らく双子といわれたら間違うの
ではないかと思うくらいだった。
色付きだからといってあんなに似ているように見えるのではなく世の中には
自分と似ている人間が三人はいるといわれているがまさか自分ではなく知り
合いのそっくりさんを見るとは思いもしなかった。
「でもあの人何で東京って…ああ!」
彼女が何で東京だといったのかを思い至った。
この制服は考えても見れば東京の高校の制服しかもこの服はSFとファンタジ
ーが融合しようなデザインなのやはりで目立つらしい。
アクシデントはあったがそれから何事も無く綴也は旧天神駅を歩き回り天神
見物も一時間半近く過ぎた頃綴也は駅くの公園を歩いていた。
そして公園の向こうにはアイディアル専門のスポーツセンターがある事を知
りイリュシオンの後に此処に来る事も考えたがそんなに時間も取れそうに無
いと思い付きは却下した。
(そういえば、住んでる町の外に出たの久しぶりだった気がする。本当に僕
って最近アイディアル以外と家の手伝い以外やっていない気がする…)
その事に不満は無いつもりだが最近それではダメよと言われる事が多くなっ
ている。
それ故に何か新しい事に挑戦も考えなければいけない気がしてきたのだ。
(アイディアルも全然処分は解除されないし…)
そう、アイディアルは大好きだがある事情から人間との対戦を自分から挑む
事が出来ないのである。
それでも、いつか自分も試合が出来る様になる事を信じて練習に練習を重ね
ていたがその機会は未だ訪れていない。
綴也に挑んでくる人間がいないからである。
例外に練習と言っていろいろからかったりしてくる自称専属インストラクタ
ーがいるが彼女は人間ではないので問題が一応無いとされている。
「そろそろ一度駅に戻ってみるか…電車も直ってるかも知れないし…」
コレばかりはどう思っても自身ではどうにもならない問題悩んでも答えは出
ないと何度も出した結論を引き出し綴也はこの問題を考える事よりも帰るた
めに一度駅に戻る事にした。
そんな時に綴也の耳が音を聞いた…。
そんな時に綴也の眼が空を見た…。
花火かなと思う音と光を…。
花火かなと思いたかった音と光を…。
T也…世の中には自分と似ている人が三人いるって言いますよね。
Mル…ですが綴也さんに似ている人はいないと私は断言出来ます
よ。
T也…そうかな?
Mル…似ているとは同じではないのです。
似ていると聞くと同じと錯覚してしまいがちです。
ですが似ているとは同じ様な所があるだけで全てが同じと
同義ではないのです。
T也…何だか哲学のような事を言ってません。
Mル…適当に思ったことを言ってるだけです。
だから私は綴也さんと似ている人がいたとしてもからかい
たいとは微塵も思いませんしこれから先もからかうのは綴
也さんだけなのです!!
T也…やっぱりそんな気がしてたよ(苦笑)




