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第一話 入学
中学を卒業し、ついに高校に入学。
春からは新一年生である。
なにか新しいことが始まる予感。
期待に胸を膨らませながら、入学式にのぞむ。
「仁義!」
校門をくくったあたりで、ふいに呼び止められる。
仁義、というのは俺の名前である。
親が、儒教の考え方の中の大事な八つのものの中から、仁と義が人として
必要なことだとか、なんとか言ってつけた名前である。
はっきり言って、ヤクザっぽいなあと思っている。
それはともかくとして、こんなところで声をかけるとは、
誰なんだ?俺の知り合いか?
なんてな。中学からの友達の「山田元気」である。
アホとしか言いようがないが、それが取り柄と言えなくもない。
校門付近の掲示板に、クラス分けが貼られている。
「同じクラスだと良いな!」なんて元気が言うが、はたしてどうだろうな。
なんて思っていると、一緒になっちゃうんだな、これが。
「これから一年よろしくな!」
爽やかに挨拶をされる。
なんとも元気なやつだ。