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思い付いた話

男と女と青い鳥

作者: 雨森しと

あるところに不幸な男がいました。自分のことを不幸だと思っている不幸な男でした。

雨が降れば「何もできない!」と嘆き、風が吹けば「家が軋んで怖い!」と喚くのです。

そんな男は前を向いて歩きません。いつもいつも自分を憐れんだ顔を下に向けて、背中を丸めて歩きます。

前方不注意、ときどき何かにぶつかれば、やっぱり僕は不幸だと口にしました。


あるところに幸福な女がいました。自分のことを幸福だと思っている幸福な女でした。

雨が降れば「畑の野菜がよく育つ!」と笑い、風が吹けば「洗濯物がよく乾く!」と踊るのです。

そんな女は前を向いて歩きます。晴れやかな顔でときどき空を見上げて、小気味よいステップを踏んで歩きます。

澄んだ青空の中に、不思議な形の雲を見つけては幸せだと歌いました。


さて不幸な男、自分だって幸せになりたいと、見つけると幸せになれるという青い鳥を探すことにしました。

森に入り、草をかき分け探します。

けれどもいつも下を向いている男の目に写るのは木々の根と地を這う虫ばかり。

僕は不幸だから見つけられないんだと、男は青い鳥を見つけるのを諦めました。


幸福な女は、いつものように空を見上げて歌っていました。

あらこんにちは、青い鳥さん。

女は頭の上を通りすぎる鳥を見送って、また歌い始めました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。 不幸な男と幸福な女の考え方が対照的で良かったです。
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