いきなりランクC!?
少しトラブルがありましたが解決しました。
ネットの力って凄いですね。
「これだけは譲れません!!」
私は魔術師を押し通した。
「では、詳しい職業区分の方ですが、どのように致しますか?」
むむ…。これまた難しい質問を…。
「近接魔術師…とか?」
「何ですかそれ、初めて聞きましたよ…?」
エリーさん、やや素が出始めてきましたね?
「え、と?駄目かな?」
「まず接近戦で魔法を使うという状況が考えられませんね。しかも、防御力の低い魔術師がとなると。基本それは魔法剣士とかがやることですし…。あと、魔法拳士は格闘家ですよ!!」
この王国の言語だと、剣士と拳士は全く違う言葉だ。ただ、頭のなかで訳そうとすると、とても紛らわしくなる。
「僧侶とかも魔術師なんだよね?」
「はい。」
「じゃあ…」
「ちょっと待ってね?マリちゃん、回復魔法使えるの?」
「じ、自分になら…ワンチャン…。」
「ワンチャン?何かしらそれは。」
あ、通じないやつだ。そりゃそうか。面倒臭いな異世界。
「近接魔術師で良いです。」
「…わかりました。この欄はいつでも変更出来ますので、気軽に言って下さいね。」
なんだ、変えられるのか。なら、気が楽だ。
「あとは、ランクですね。ランクは推薦により、最高でランクCまで上げられますが、どういたしますか?」
「ランクを上げると何か得があるの?」
名声だけ、とかなら要らない。
「勿論です。受けられる依頼が増えるだけではなく、貰えるお金も増えます。」
「詳しくお願い!!」
そこ、重要です。
そう言うと、エリーはトトトっと依頼の貼られているボードからヒョイと依頼をとってきて、説明してくれた。
「この依頼、2000Gと書かれていますが、最低ランクのランクFでは、10%しか貰えません。」
成る程、依頼人が出したお金をギルドと分配する感じかな?
この世界でもFランの扱いは酷いのか…。
「この値段の内、ランク毎にEが20%、D30%C40%B45%AとSは50%が貰えます。計算は私達の方でやらせていただくので大丈夫です。」
出来ない人も多いのだろう。だが、AとSが同じなのは気掛かりだ。
「Sは名声…と、特殊依頼や重要依頼が優先的に受けられるようになりますね。と、言うより、指名者依頼として舞い込んでくる、と言った方が正しいですかね。勿論、お金も良いです。但し、ランクSのみ、特殊な決め方が為されます。」
成る程、ランクはあげておいて損は無さそうだね。
「ランクCだ。こいつは俺より強い。」
ガッドさんの頭が可笑しくなった。
いや、もしくはもとから…。
「へ?」
エリー、また素が出てるよ。
まぁ、誰だってアホな声を出すくらい唐突に切り出したのだから仕方がない。
「んな訳ねーだろ!?」
「ガッドさんの冗談だろ!?」
「やらしてもらったのか!?」
周りの冒険者がうっさい。
「うるせー!!お前らがまとめてかかっても倒せんわ!!!」
ガッドさんは周りの冒険者に向かって叫んだ。
やめてよ。そういうの。
しかし、別の反応を見せる人物がいた。
「それは本当ですか!?」
エリーだ。
目をキラキラさせながら聞いてくる。
私に。
「え?あ~。どうだろ?」
ガッドさんの強さが全くわからない。
私が答えないでいると、
「…わかりました。では、ランクCで登録させて戴きます。」
「へ?そんな簡単に良いの?」
呆気なく決まった。
正直拍子抜けだ。
「もしマリさんに実力が無くても、ガッドさんの信頼が地に落ちるだけですしね。それに…。」
エリーが言いずらそうにする。
「ペン、軽く折りましたし。」
あ~。確かに。
「あれは事故だよ。」
私は訂正する。
「どんな事故ですか!?」
エリーに呆れられてしまった。
「明日以降に来て下されば、ギルドカードとランクCハンター用の道具をお渡し出来ますので。」
すぐには登録出来ないようだ。
「よろしくね。」
「こちらこそ、よろしく…お願いいたします。」
エリー、ありがとう。
周りの冒険者達はまだ五月蝿いが、無視をした。
取り敢えず今日出来ることは終わったので、ギルドを出ることにする。
と、アイリさんがやって来た。
手には串に刺した焼き肉が何本も握られている。
「焼きウサお待ち!!」
「待ってないですけど…というかアイリさん、いつの間に出ていったのですか?」
全く気が付かなかったよ。
「長引きそうだったし、お腹減ったから買い食いしに行った。向こうに屋台あるから。」
「ごめん、さっき終わりました。このお肉は?」
「角兎のお肉。結構ウマイよ。」
「そうじゃなくて、くれるの?」
「うん、ガッド達の分は無いよ。」
「実は俺達…というかアイリもだけど、お前が起きる前に早めの昼食食ってからザラさんとこ行ったんだ。」
「簡単な依頼でも、終わるとお腹空くからね。」
なんだ、お腹空いてたの私だけかよ。
…?だとしたら…
「アイリの燃費はかなり悪いからな…。」
アイリさん、大食いなのね。
「私、こんなに食べられないけど…。」
「残りは全部私が食べるから大丈夫だよ。」
アイリさん、どんだけ食う気だ。
お肉は少し固かったけど、タレが美味しかった。
「脂少なめ、ヘルシー。オークの肉は脂多め、でも柔らかい。冒険者なら、バランスが大事。」
「お前が言うことかよ。」
ガッドさんのツッコミを完全に無視しつつ、私が残した16本を頬張りさる。
これ、某大食い女王以上じゃない?
私が食べたのは4本だ。しかも一つ一つが意外と大きかった。お腹いっぱいだ。
「ありがとう。」
何はともあれ、奢って貰えた事への感謝は忘れない。異世界の人は皆優しい。後で何かお返ししないとね。
「さて、何処行く?」
マーラさんが聞いてくる。
「取り敢えず宿屋に…。」
私の今一番の心配はそこだ。
「そうね、じゃあ…」
「私とマリで行く。ガッドは武器の調子悪いんでしょ?ここの鍛冶屋凄い腕の人らしいし、見て貰えば?」
突然アイリさんが提案する。
「お、そうか。じゃあそうする。」
「マーラはお財布なんだしガッドと一緒だよね。」
「アイリ、その言い方どうにかならない?」
マーラさんは苦笑している。
「と、言うわけで、マリは貰っていくぜ!!」
そう言うと、アイリさんは私の手を握り、走り出した。
「ア、アイリさん。」
「アイリでいいって。…私達もこの街に来てそんなに経ってないから、大した案内出来ないだろうし。一緒だと面倒臭くなる。主に鍛冶屋と服屋で。」
アイリさん…アイリは顔をしかめる。きっとアイリは体験したのであろう。
「ありがとう、アイリ。」
「うむ。それでよい。」
アイリは満足している。アイリって性格というか雰囲気というか…なんか、さんをつけたくなってしまう。嫌いとかじゃなくて、…かっこいいからかな?
冷静沈着って感じがする。
「そういえば、大和の国出身なのに王国語話せるんだね。」
「三ヶ国語覚えてる。」
今度はどや顔した。
アイリ、意外と表情豊かだ。
雑談をしていると、宿に着いた。
「おっきい!!」
「中に入ろう?」
群馬の田舎出身の私には大きいもの免疫がない。
ギルド見たときもこんな感じだったし。
内装は飾らないおしゃれ、と言った感じで、電球のあるはずの場所に光る石がついている。
「加工した魔法石。加工することで光の調整とか色の調整が出来るようになるの。きるときは魔力栓を閉じるの。」
アイリは近くのライトを消して、つけてみせた。
そして、受付に向かう。
気前の良いおっちゃんで、お金の無い私に、料金は後払いでも良いと言ってくれた。
優しい、けど惚れない。私は安い女じゃないぜ!!
そんなわけで、無事一人部屋も借りられ、取り敢えず危惧することは無くなった。
と、なると街の散策かな?
「私は少しソヨに聞きたいことがあるんだけど、一人で散策する?自分のペースで回れた方が良いでしょ?」
多分、アイリさんはマイペースで、一人でいるのも好きなタイプなんだろう。身近に同年代がいない子はこうなりやすいと聞いたことがある。
私もだ。
友達は欲しいし、皆でガヤガヤとかしてみたいけど、最低限の一人の時間は譲れない。
「そうする。ありがとう、アイリ。」
「ほい、この街の地図。とっても便利。持ってけドロボー。」
そう言うと、地図を渡してくれる。
「ドロボーじゃないけど、ありがとう。」
私はアイリに感謝して、一人街に繰り出した。
話に矛盾点や説明不足な所が多々見受けられたので、後々修正していきます。読み返して戴けると色々変わっていて面白いかもしれません。