占いと予言は違う気がするけど。
前半を大きく省きました。
次回でアイリさんの話は終わりです。
結構書いた気になったのに短かった(・・;)
ガキン!!
「はっ!強くなったじゃねぇか!!」
アカネさんの魔法を躱しリナさんの剣をナイフで受け止める。
「…もう、子供じゃないんです。」
あれから2年の月日が流れていた。
私達はあの後、中立国バブアに留まり修行を続けていた。
一人でも生きていけるように。
この国は三つの国に陸で隣接している。
帝国と、王国と、共和国。
強さ至上主義の帝国なら皆優遇されて受け入れられるくらいには強くなっていた。
アカネさんとリナさんはそこへ向かうらしい。
「ま、俺らは…女兵士の仕事も馴れてるし…な。」
アカネさんは含みのある言い方をするが、もう私にだって意味くらいわかる。
「…私も、子供じゃないから。」
だが、それが一番マシな選択なのだろう。
ユメカさんは共和国に行くらしい。
どうやら強力な回復魔法が使えるようになったユメカさんには就職の目処があるらしい。
回復魔術士はどこの国も取り合う程に欲している。
共和国は帝国に比べれば人権を害する事が起こることは少ない。
そして私と団子屋は…
「王国…あそこは移民全拒否だよな?」
王国へ向かうのだった。
「その為に実力をつけたのだろう?安全性が高い国に行くのが一番さ。」
団子屋は不敵にニカッと笑うのであった。
そして王国、100人以上の王国兵を団子屋と二人で殲滅し、団子屋の交渉の末、王国が大和の国の情報を知りたい事もあり、私達は家と不自由ながらも安全な身分を得た。
殲滅とは言っても殺してはいない。
半殺し、だが、兵士として、戦士としては再起不能なレベルで。
私の影魔法と戦闘スタイル、それは兵士達にとっては悪夢そのものであり、畏怖され、噂はどんどんと広がっていった。
そしていつしか私は『死神』と呼ばれるようになったのだ。
まぁ、違法移民が兵士達を殲滅したのだから恐れられて当然だし、私はその事は気にはしなかった。
私達に課せられた条件の内の一つ、
『王国に貢献すること』
団子屋は団子屋を開くことで、私はハンターとして強い害獣を倒すことでそれを成した。
ただ、団子屋は王都では怖がられた為に、地方に行ったらしいのだが。
…私達五人は別れはしたが、目的は同じだった。
将軍を殺し、あの腐敗した国を開くこと。
私達はその為に散ったのだ。
三つの国から圧力をかける為に。
…まぁ、その辺は団子屋に任せてるんだけどね。
ある日私は、胡散臭い占い師に出会った。
「ちょっとそこのお嬢さん?無料だから占いしてかない?」
あまりに不自然だった。
何もなく広い、狩り場の草原。
その中央に構える占いの館。
…こんなもの、昨日はなかった。
「何者ですか?貴女は。」
その女は笑う。
全てを見通し、その上で嘲笑うかのように。
「一つ、予言をしてあげる。」
その女は質問を無視し、勝手に話を始める。
「貴女はこれから大切な人と出会う。そしてそれが貴女に大きな変化をもたらす。出会いを畏れないで。それが貴女の幸運、そして未来へと繋がるのだから。願い続ければ、いつかその人と別れる事になったとしても、再び出会えるから。」
何を言ってるのかさっぱりわからなかったが、その女性の微笑みは、お姉ちゃんが私に微笑んだような、優しく、慈悲深く、温かいものに変わっていたのだった。
「別れるのなら出会わなきゃ良いじゃん。」
一人は嫌いじゃない。
もうとっくに馴れていた。
「ふふっ、そういう訳にはいかないわ。」
女性の笑みはより一層深くなる。
「これは私からのプレゼント。貴女にピッタリの影を切れるナイフよ。」
そんなもの、聞いたことがない。
「…タダなの?呪いとか無い?」
貰えるものなら貰っておいて損は無いだろう。
だが、こうやって呪われた商品を押し付ける輩もいる。
「えぇ、大昔の人の落とし物だから…。ふふっ、ある意味呪われている…かもね。」
また意味深な事を言う。
そうやっていれば占い師っぽく見えるとでも思っているのだろうか。
「ナイフの名前は?」
本当に影を切れるのであれば、とんでもない業物だろう。名前がある筈だ。
「影追、姉の影を追い続けた哀しい妹の呪いが籠ってるわ♪」
「んなもん寄越すな。」
…そんなの、必要ない。
「ふふっ、嘘よ。本当は『影縁』貴女の住んでいた地方特有の語呂合わせよ。ダサいでしょう?」
うん、思った以上にダサかった。
でも、受け取った瞬間、わかった。
いや、正確には流れ込んできた。
そのナイフの、そして使い手の感情が。
「ふふっ、貴女に相応しいでしょう?」
影の縁。別れと出会いの、悲しみと喜び。
それら全てが私の心をかき乱し、粟立てる。
「…っ!」
人が…恋しい…優しさが…温かさが…恋しい…。
「っ!…貴女は……。」
その占い師は消えていた。
占いの館ごと。
まるでそこに何もなかったかのように。
翌日、国王命令として、ガッドという男のパーティと共にインタルという街に行くことになった。
パーティとは言ってもトーヤという人物が試験中らしく、マーラという女性と私とで三人だ。
やけに絡んできた。
最低限、会話は交わした。
そして、着いた街の外れの森の泉で、お姉ちゃんに良く似た女性が倒れているのを見つけることになるのだった。
次の更新は土曜日で…。




