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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
82/93

無知なる船旅〈一〉

飽きたのでタイトル変えてタイトル詐欺してみました。

「これだけ大きな船なのに気付いた人間は殆どいませんでした。」

商人の部下が報告する。

「よし、商品は?」

「積み終わりました。」

「ふふふっ…金より捕まるリスクのが恐ろしいからな。それに…ふふふふっ…。」

商人のゲスな笑いは無視し、乗り込む。

「う~…う~…。」

船には既に3人、女の人がいた。

…縛られて。口に轡もつけられている。

「おっと、君達も縛らせて貰うよ?」

「えっ!?話が違うじゃ無いですか!?」

「ん~?この国から出るまでの保証はすると言ったが、その後の話はしてないぞ~?」

商人は心底嬉しそうに、楽しそうに言う。

「くっ、離して…。う~…!!」

団子屋の渾身の演技に笑いそうになる。

「…!?」

取り敢えず私もそれっぽいことをしてみたが、何か恥ずかしくなって中途半端になってしまった。

余計に恥ずかしい…。

「はっはっはっ…こんな上質な女が五人も…しかも追手はいない…最高じゃないですか!!」

「ひひっ!おら!さっさとずらかるぞ!!!」

商人の掛け声で部下達が忙しなく動き始める。

「安心しな。お前さん方は大事な商品だ…変なことはしねぇさ……俺達は、な!!ひゃっはぁ!!!馬鹿な女共だぜ!!」

部下の内の一人に突き飛ばされ、私達は倉庫?的な所に倒れ込んだ。

そして、扉が閉められ、鍵が閉められ…辺りは暗闇に包まれた。




「…取り敢えず、自己紹介します?」

私が切り出す。

「…ほんと、珍しい魔法もあったもんだなぁ。」

女の一人が笑う。 二十歳は過ぎてると思われる。髪はボサボサ、結構ガタイは良く、強そうだ。

「この子が愛里、話は伝えておいたでしょう?」

団子屋が伝えていたらしく、皆頷いた。

「じゃあ愛里ちゃん、私は…この通り光魔法を得意とする伝説の剣士、莉那様だ!!」

う~ん…この人は18歳くらいかな?

筋肉無いし、剣士は嘘だろう。

「…リナさん?えっと、戦えるのですか?」

光魔法でどうやって攻撃するのだろうか?

「…私は…夜暗い時に…明るくする…役です…。」

リナさんは沈んだ。

「つ、次は私だ!!私は戦闘員の茜だ。まぁ、団子屋の次に年上だから、いつでも頼ってくれ。特に夜は色んなこと教えるぜ?」

先程のボサボサな人だ。

「アイリに変なことは教えない!!それと、団子屋じゃなくて私は…」

「団子屋だよ?」

私は団子屋ってフレーズ気に入ってるからそこは譲らない。

「もう…で、アカネは炎の魔法が使えて、そこそこ強いのよ。」

「酒にも、な。」

「お酒?」

飲んだことない!

「だから変なこと教えない!!」

団子屋が怒る。

「ちょっと!あんまり大きな声を出すとバレちゃいますよ!」

彼等は私達大和の女が魔法を使えることすら知らないのだ。

私達が普通に会話出来ているのは、私が影魔法で拘束から抜け出し、皆も自由にしたからだ。

「そうね、じゃあ次は私?私は…団子屋でいいわよ…。風魔法が得意よ。武器は…アイリ!」

「あ、うん。」

私は影から串を出した。

「うわっ、便利だなぁ!!リナとは大違いだ!」

アカネさんが声をあげた。

「…最後の一言、いります?」

リナさんはペコペコとアカネさんを叩いている。

「これ、影に入れてる分だけ永続的に魔力消費しますので…そんなに便利じゃ無いんです。」

そう言って、私は影に入っていたお姉ちゃん製のマフラーと自分のナイフ、『月下美人』を取り出した。

「ん…?食糧は…?」

アカネさんが首を傾げる。

「奴等のを拝借するわ。」

団子屋が答えた。

「成る程。」

「…で、私は串とか釘とか、鋭利なものを飛ばしたり、風の刃を飛ばしたりとか…普通に強いから安心しな。」

団子屋は自慢気に言う。だが、心強い。

「…私は愛里。影魔法が使える。けど攻撃魔法は無いから、基本自衛。…えっと、役割は…食べる役?」

「あっそれずるい!わたしも!」

リナさんが名乗りをあげる。

「そんな役割ありません。」

が、団子屋に否定された。


「…あ、あの…。えっと、…その……。」

3人の内、先程から会話に参加してない…いや、参加出来てない、16くらい?…の女の人が必死に自己紹介しようとしている。

名前も言わずにかれこれ5分は経ったと思う。

「はぁ…えっと、彼女は夢花。水と貴重な回復魔法が使える凄い子よ。」

団子屋が助け船を出した。

「…は、はいぃ…夢に花と書いて、ユメカと読みます…。」

何か凄く緊張しているらしく、震えている。

「…よ、よろしく…です…。」

「ふぁい!…あっ、ひゃぁぁぁ…。」

…えっと、大丈夫かな、この人?


「さて、と。戦闘は奴等が鍵を開けた時、だ。トイレとかあるし、絶対に開けてくれる筈だと思う。…だよな、団子屋。」

アカネさんは自慢気に言った。

「あぁ、うん。…取り敢えず、この国の領海…えっと、この国が持ってる海なんだけど、恐らくここを見に来るのはそこを抜けた後だと思う。だから容赦なく倒せる。私は一応航海術の勉強したし!」

「…一応?」

それって…?

「あぁ…実践はしたことないけど。」

「「「不安だ…。」」」

「不安です…。」

「何でよ!っていうかユメカまで!?」

そりゃ不安だよ…戦闘よりもさ…。


交代で眠りにつく。そして、夜が明けた。



男達の足音が聞こえてくる。

「…近付いてきてる!」

私が小声をあげる。

「…そのようね。それも、一斉に。だけど今は昼下がり、不意討ちされる危険性も低い。厄介そうな商人の長は私が殺る。その後殲滅戦を展開するわ。ユメカは水魔法で攪乱。アカネは突っ込んで大技をお願い。リナは目潰し。アイリは影に潜んで、隙あらば首を飛ばして。扉を開けてきた奴は私が殺るから。いい?」

「「「了解!!」」」

「了解です!」

作戦決行だ。

私はマフラーを首に巻き、ナイフを両手で持った。


ガチャリ


「おお~い、便…」

バシュッ

男の首が飛んだ。

…無視する。

「『影魔法(シャドウ)』」

私は影に潜った。

何が起きたのか理解出来ずに固まっている男達の首が次々と飛んでいく。

団子屋は想像以上に強かった。

「や、殺れ!!!」

商人の叫びで我に返った部下達が次々と動き出す。

「燃え盛れ、私の怒り!!『初めての恐怖(ショジョマクダイフンカ)』!!」

意味不明な言葉と共に爆炎が辺りを包み込んだ。

商人の部下達の魔法などものともせずに彼等を焼き殺していく。

捕らえればお金にはなるが、危険性も高いため、殺すことを選んだのだ。

「あ、海水…なら、逆巻け!『号泣する海(ティアーナントカ)』!!」

…皆技名テキトー過ぎません?

だが、ユメカさんは予想より遥かに強かった。

海水が回転しながら部下達を包み、そのまま捻り殺していく。

海水が紅く染まっていく。

…一番怖いよ。

「うわっ、『電光(ライト)』!!」

リナさんは…頑張って目潰しして逃げ回っ…攪乱している。

「くそ…何で魔法が使えるんだよ…。しかも強…」

後退りして影を踏んだ男の背後から飛び出し、首裏をナイフで貫いた。

「かっ…!?」

男は倒れ込み、絶命する。

…気持ち悪い。

とにかく気持ち悪い感覚だった。

「ひいっ…いつの間に…!?」

だが、守られてるだけの私はもういない。

再び影に潜り、背後から突き刺した。

そして更に…

「アイリ!!!」

「え…?」

気付いた時には遅かった。

弩から放たれた矢が私の目前へと迫っていたのだ。

どうすることも出来なかった。

そのまま私は貫かれて…


バチッ…バチチッ…


ビシュウゥゥゥ……ギンッ!


「…え?」

マフラーが…光って…盾になって…矢を弾いた?

そしてそこには…お姉ちゃんがいた…。

「…お姉ちゃん…?何で…。」

お姉ちゃんは私の方に振り向き、にこりと笑ったあと、私の頭をポンポンとして…消えていった…。

気付けば…マフラーは消えていた。


「もう…大丈夫だから…ありがと、お姉ちゃん…私、もっと強くなる…お姉ちゃんが心配しなくて済むくらい…もっと!!」

「『影移り』からの『影堕とし』」

弩を持った男に肉薄し、逃げる男の影と私の影を重ねる。

その瞬間、私と男は影に落ちた。

「影の中…馴れないと動けないでしょう?」

私は笑う。…雰囲気出したいじゃん?

「さよなら。」

そして、切り刻んで海に放り出した。




「はぁ~…うっめぇ…!!」

「はい!…所でこれは何でしょう?」

「カステラっていうお菓子よ?甘いでしょう?」

「はい!」

「お団子屋さん…これは…?」

「チーズね。固くなったこれを大砲の弾代わりにしたって話があるくらい船にはよく積まれているわ。」

「…へぇ……。」

「……。」

私は無言で頬張る。

「アイリちゃん…よく食べるなぁ…って、えぇ!?」

「あ、アイリ、ストップ!」

「アイリちゃん!?」

「あ、アイリちゃん…!」

「…ん?」

…どうしたんだろう。

「アイリ!!!」

「…?…はい?」

団子屋は怒っているらしい。

「あのね?岸に着くまで、後何日かかると思ってるの?」

「え…?後2日くらい…?」

…だよね?

「…アイリ、落ちついて聞いて?……後10日はかかるわ。」

……ん?……えぇ!!??

「…食糧…足りる!?」

「足りないわね。絶対に。」

…これは…やらかした。

私、相当食べたと思うの…。

「どうすんだよっ…て、二番目に食ってんの私なんだけどな…すまねぇ…私も5日位で着くもんだと…。」

「貴女にはちゃんと説明したわよね!!…アイリには説明してなかったわ、ごめんね。」

謝られても困る。

「…どうしましょう。」

リナさんが焦り出す。

「あの…お父さんが…よく、海は食材の宝庫だって…言ってました…。」

「「「「それだ!!!!」」」」



そして、私達の航海は、カオスさを増していく…。

無知なる船旅は〈二〉までで終わります。

あと4話で終わるかな?

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