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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
7/93

異世界初めての友達!!!

「ん…。」

身体が仄かに暖かい…。

これはお布団の温もりだ。

全身が焼けるような熱さはなくなっていた。


「んむ…。」

今度こそ、惰眠を貪らせてくれ…

「起きた!!!起きた起きた起きたぁぁ!!!」

…なかった。五月蝿いよ、サヤさん。

「もう起きたのか?少し早いな…?気のせいじゃないのか?」

この声はザラさんだね。

「え~絶対起きてるよ~。」

サヤさんは早く起きて欲しいのかな?


私はサヤさんの為にも起きることにした。

「おはようございます…。」

私はゆっくり目を開け、顔を上げ…

「「ひゃっ!??」」

そこにはサヤさんの顔があった。

現在互いの顔の距離約2センチ。

危うくファーストキスを奪われるところだったぜ。

「ほら、起きてた起きてた!!!」

サヤさんは全く気にしていない。

「もう大丈夫なのか?」

ザラさんが心配そうに尋ねてくる。

「はい!!!」

私は元気良さげなアピールをする。

普通に元気だ。


ソヨさんがスープを持ってきてくれた。

温かくて美味しい。

少し寛がせて貰おう。



暫くするとガッドさんパーティがやってきた。

「起きたか!!安心したぜ。」

ガッドさん達は依頼でもこなしてきたのかな?


「さて、と。マリも起きたことだし、ワシはそろそろここを発とうと思う。」

ザラさんがいきなり切り出した。

「え~!?お爺ちゃんもう行っちゃうのぉ?」

サヤさんは残念そうだ。

「どういうことですか?」

私だけ現状を理解できていない。

「えっとね。」

サヤさんが丁寧に教えてくれた。

要約すると、ザラさんは世界で五本の指に入るような凄腕魔術師で、医療魔術の第一人者らしい。

メッチャ凄い人なんだね。

普段は王都の魔術師協会で研究をしているが、孫の顔が見たくなり、サヤさんとソヨさんが経営している医者に来ていたらしい。たまたま。

私が助かったのは奇跡としか言いようがない。

もしかして異世界ものの主人公な素質あるかも!?


だが少し疑問もある。

「何でザラさん以外の人じゃ魔法核を開いて安定出来ないのですか?」

「理屈は簡単じゃ。魔力核から溢れ出る魔力をワシの魔力で包み込みつつ、全身の隅々まで回してやるだけじゃ。ただ、誰も真似出来ないだけで…。」

成る程。言葉がわかるようになった件といい、ザラさんは本当に凄い人だ。


「しかしなぁ…。ガッドは嘘をつくようなやつじゃ無いのは知っているが…。魔力がたいして身体に流れていない状態で…よくもまぁ…ウルフの群れを倒せたなぁ。魔力無しで身体の機能が正常以上に機能している事自体初めての例なのじゃが…。魔力がある今は…。」

ザラさんは好奇心半分呆れ半分な目で、私を見ている。

ウルフ戦、確かに有り得ない身体機能だった。

魔力核とやらが開きかけていたお陰であれほどの力が出たとしたら…今は…?

考えるのが怖くなり、私は別の話を振る。


「ザラさん、お金はどうすればいい?私全く持ってないけど。」

ザラさんも私と同じらしく、話にのってくれる。

「本当だったら言語記憶投写だけでも三百万Gなんじゃが…。」

「三百万!?」

高すぎるよ…。

この世界の相場がよくわからないが、高い事は明白だろう。

「だがまぁ、お前さんの狩ったウルフの群れだけで許してやろう…。」

「穢いですよ、ザラさん。」

ガッドさんが言うが私は別に良い。

「そういえばウルフは何処にあるの?」

「俺達が持ち帰って鮮度が落ちる前に換金した。」

だからマーラさん達いなくなったりしたんだね。


ザラさんは暫く考えた後、提案する。

「流石に金の無いマリから全部取るような真似はせんよ。三十匹で手を打とう。」

ザラさん意外と現金な人だ。

貰えるものは貰っておくタイプなのだろう。

「それでいいか?」

ガッドさんが私に聞く。勿論OKだ。



ザラさんは帰りの仕度は既にしていたらしく、皆で見送ることになった。

外に出ると、日の光が空高くから降り注いできた。

「眩しっ。」

「ずっと家の中にいたからね~。今はお昼だよ~。」

私がガッドさん達に助けられたのが朝。

記憶投写から目覚めたのが夕方。

魔力安定後、起きたのが昼。

と、いった感じだろう。

スープを飲んだとはいえ、お腹がぺちゃんこだ。

ザラさんを見送ったらごはん食べたいな。


「お爺ちゃんまたね~。」

「お爺ちゃん、またきて下さいね。」

二人の娘に見送られて、鼻の下を伸ばしてデレデレしながらザラさんは街の外へと向かって行く。

「ザラさん、デレデレしながら歩くと怪我するぞ!!」

ガッドさんが冗談混じりに叫ぶ。

「ありがとうございました。」

私は深々とお辞儀した。



「さて、と。私達もお別れかな?」

「そうですね。サヤさん。」

さて、まずは街を見回ろうか…。

そんなことを考えていると、サヤさんが怒り出した。

「その、サヤさんって言うの止めない?私十七歳だよ?マリは何歳?」

女性に年齢聞くなよ…。そう思いつつも答える。

「十八歳。私のが一つ上だね。」

勝った!!何か勝った気がする!!!

「ま、似たようなもんじゃん?」

あ、この人スルーしたよ。

「だからさ、呼び捨てじゃだめかな?ついでに友達に…。」

サヤさんは照れながら言う。

友達?友達!?友達!!!ともだち~!!??

やった、友達出来た!!異世界初の友達だ。嬉しすぎる!!!

「勿論!!!宜しくね、サヤ。」

「ありがと、マリ。」

友達って素晴らしいなぁ…。

感謝したいのは此方のほうだ。


「良かったねサヤ。貴女は暫くこの街から離れなきゃいけなくなるものね。」

ソヨさん、今なんと?

「ごめん、私、隣の街にある医療魔術学校に入学することになってるの。寮生活で、今日出発。」

サヤは大きな荷物を持っていた。ザラさんのじゃなかったんだね。


でも、暫く会えなくなるのか…。残念だ。それに…

「もしかして、私がザラさんとの時間邪魔しちゃった?」

サヤにとっては最悪のタイミングで私が来てしまったのではないだろうか?心配になる。

が、サヤの返答はとても明るく、嬉しそうな声だった。

「マリが寝てる間、お爺ちゃんと遊んでたんだよ?それに医療学校は大人ばかりの学校だから一生同年代の友達出来ないかもってお爺ちゃんとも話してたの。そんな時に貴女が運び込まれてきて…友達になってくれた。むしろスッゴく嬉しい!!!」

「そう言われると、私も嬉しいよ。」

「今度会った時は、いっぱいお話しようね。買い物とか、お料理とか、お風呂とかも!!!」

「うん!!」

とっても楽しそうだ。

「約束だよ?」

「じゃあ、約束しよう。」

私は小指を差し出し、指切りを教える。

「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲~ます、指切った!!!」

「針千本!?」

サヤさんは狼狽した。

「嘘なんてつかないでしょう?」

「そうだね!!」


サヤさんは嬉しそうな顔をしながら、旅立って行く。

「こっち向きながら歩くと転ぶよ~!!」


私は力いっぱい叫んだ。

ガッドさんパーティの空気感…。

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