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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
67/93

子供×ワイングラス=大惨事

「…ん?」

謎のお茶会が始まった…。

「ケティです、宜しくお願いします。」

「え?…あ、宜しく…お願いします?」

私は困惑している。

「ね、ねぇ?……恐らくだけど、お姫様だよね?」

「…?はい、そうですね。」

代わりにクレアが答えてくれる。

「…何で庶民の私がお姫様に丁寧にお辞儀されてるの?」

「マリお姉ちゃんはもう庶民では無いからです。」

「いやいや、庶民だよ?」

「ケティ様、これが謙遜というものです。皇女たるもの、傲慢になってはなりません。」

いつの間にか、お姫様の隣に眼鏡のお姉さんが立っていて、テーブルにはお茶が置かれていた。

「いや、ほんとに王族じゃないんで…これは謙遜ではありません。」

「???」

ケティ様は首を傾げている。

「マリ様、ケティ様を困惑させないで下さい。」

何で私が怒られてるの!?

「と、取り敢えず…お茶でも飲んでゆっくり話しましょうか…。」

クレアの提案で私達は席につく。

「お茶菓子持ってきますね♪ケティ様、ちゃんと座って待っているのですよ?」

「は~い!!」

ケティ様は大きく手を挙げて返事をする。

…が、落ち着きがない。

「…小さい子って可愛いですよね!!」

クレアがケティ様の頭を撫でながら言う。

「…いや、クレアも…いや、何でもないよ。」

クレアは小学4、5年生くらいにしか見えない。

…というか、年齢的にも恐らくそれくらいだ。

「私は充分に大人です!」

「え~?…じゃあ私はおばさん?」

「お、お姉ちゃんはお姉ちゃんですよ!!」

「…私はババアですか?ゾンビですか?」

「…何か、ごめんなさい…。」

眼鏡のお姉さんがお菓子を置いて笑っていた。

…凄く怖い。


「あ、申し遅れました、私はケティ様の教育係を任されております、ガーベラと申します。以後、お見知り置きを。」

ガーベラってお花の名前だっけ?

こっちの世界だと…特に何もないや。

ガーベラさんは赤みがかった茶髪のボブカット、眼鏡のエリートって感じがする人だ。

「宜しくお願いします。」

…少し緊張する。

私はゆっくりとお茶をすすった。


「………。」

「………。」

「おいちぃ♪」

…見られてる。

主に魔法の天才と眼鏡のエリート系な女性から見られてる…。

「ゴクッゴクッゴクッ…。」

うぷっ。

「………。」

「………ぶっ。」

「…クレアさん、折角マリさんが頑張っているのに吹き出すのはどうかと…。」

「だって…必死なんだもん…。」

…そうですよ。

私、紅茶苦手なんです。

「折角入れて貰ったのに…ごめんなさい。」

「カトラルの実の果汁なら飲めますか?」

「あ、はい!好きです!」

「では、お持ちしますね。」

アイリやリリィさん辺りがいたら反応しそうな台詞も、ガーベラさんは受け流してくれる。

「…クレアさんが堪えられれば無言でおかわりの紅茶を注げたのに…。」

「ごめんなさい…。」

「ちょっと!?」

眼鏡はドSの方程式だね。


「どうぞ。」

ガーベラさんは果汁をグラスに入れて持ってきてくれた。

とても綺麗なワイングラスだ。

勿論アルコールは入っていないが。

「美味しいです!」

「お口に合ったようでなによりです。」

露店で買って飲んだ時のカトラル果汁より高級感がある。

何と言うか…渋味がない?

「そりゃそうですよ、ちゃんとした製法で作られてますからね。」

確かに露店でも飲めるものを王族に出すわけないか。

私が果汁を飲み終えると、ケティ様はグラスに興味を持ち始める。

「ケティ様、危ないですから触らないで下さい!」

「やだ!触りたい!!」

「ケティ様!我が儘は駄目ですよ!!」

「や~だ~!触りたい~!!」

「ケティ様!!!」

「うわああぁぁぁん!!!」

ケティ様は泣き出してしまった。

「クレア、何か泣き止ませる魔法とか無いの!?」

「あったら使ってますよぉ!!」

「…困りましたね。」

ガーベラさんは溜め息をついた。

「…ケティ様、もし今すぐに泣き止むことが出来たなら、少しだけ触らせてあげますよ?」

「ああぁぁ…ぁぅ…本当?」

「ハンカチをどうぞ、涙を拭いてください。」

「触って良いの?」

「…はい。」

泣いたから仕方なく、ではなく泣き止んだら、という点は上手だと思った。

「落としたら割れちゃうので、ゆっくりしっかり持ってくださいね!」

「おおぉ、凄い!綺麗!!」

ケティ様ははしゃいでいる。

「ケティ様、あまり動くと…」

「あははは、綺麗、綺麗!!!」

ケティ様は私とガーベラさんの間をすり抜け、走り出す。

「ケティ様!!!」

その時、ケティ様が転けた。

ケティ様の手からグラスが離れ、柵の隙間を通って一階の庭園へと落下していく。

「とっ!」

気付いたときには私は落下していた。

「よしっ!掴んだ!!」

グラスの細い部分を握り、何とか着地する。

「何者だ!!!」

そこには見知らぬ男が3人いた。


「えっと…。」

「敵襲か!?」

「何処から現れた!?」

「そのグラスは何だ!?」

ど、どうしよう…。

「答えられないとなると…盗人か?」

「お主も運がなかったな!」

「拘束させて貰うっ!」

はぁ!?…ちょ、闘うしかない!!?

「くっ!」

私は男の内の一人に高速の裏拳を浴びせ…

躱された!?

懐に潜り込まれそうになり、慌てて後ろへ飛んで逃げる。

「グラスが邪魔っ!!」

私はグラスを空高く投げ上げる。

…割れない程度に。

一人の男が肉薄してくる。

私はその男の右正拳をしゃがんで躱し、腕を掴んで片足で無理矢理男の足を薙ぎ払い、無理矢理背負い投げた。

「がっ!?」

男は倒れた。

『超力業背負い投げ』、決まった!

私は落下してきたグラスを回復させながら受け止め、再び上空へ放り投げる。

「私は女に負けるほど落ちぶれては…」

私は踏み込んだ足で男の足を踏みつける。

そして、男がよろけた瞬間を見逃さずに、無慈悲なビンタを叩き込んだ。

バチイィィン!!!

男は起き上がらない。

…残りは1人!!

私は再びグラスを上に投げ、男と対峙する。

飛び込んできた男の抜き手突きを躱し、その腕を取ってアームロックをかける。

「ぐっ…あぁぁ!!?」

抜けられるわけない。

力の差がありすぎるのだから。

だが、なかなかタップしないので、無言の腹パンで気絶させた。

「ふぅ、あ、グラスは!?」

「お姉ちゃん!!グラスは受け取ったよ~!!」

おぉ、良かった~♪

じゃあ、二階に行こう。


私はジャンプした。

カーテン閉めきってると日がいつ沈んだかわかりませんよね?(言い訳①)


私、日本、とは言ってませんよ?(言い訳②)


通信かサイトの調子が悪かったんや…。(言い訳③)


色々とあって短めの投稿です。

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