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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
66/93

見送りは夢の中で…

「うぅ…。…んぅ?」

私は目を覚ました。

…が、違和感があった。

いつものアイリの柔らかい感触が無いのだ。

何かに抱き付こうとした手は空を切る。

…ってか、私いつも寝惚けてアイリに抱き付いてたんだね…。

そう思うと、急激に顔が熱くなってくる。

「アイリ~?」

呼んでみるが、反応はない。

…出掛けたのかな?

…寝坊助のアイリが…?

………。

…見送り。

現在、午前11時。

インスタール家の馬車が王都を出るのが午前9時。

………。


「う…がぁ~~!!??」

寝坊した遅刻したもう手遅れ!!??

ガチャッ。

「…お、マリ、おはようさん。」

「アイリ!?もしかして…」

「見送り行ってた。」

うぅ…。

「何で私を起こしてくれないの!!?」

「気持ち良さそうに寝てたし、昨日ハードだったでしょ?だから、早めに行って起こすか起こさないかを相談したうえで起こさなかったの。」

あ、何か凄い優しさを感じた。

「えっと…皆に宜しく伝えといてくれた?」

「勿の論。それに、向こうは昨日伝えたいことは伝えたって言ってたし。」

「…ぐっ。」

何か負けた気分だ。

「ご飯、マリの分も買ってきたよ。」

「…ありがとうございます。」

何か申し訳ない気持ちでいっぱいだ…。

「勿論、全額マリ負担で。」

「前言撤回、叩かせろ!!」

…少し予想してたけどね。

「良いじゃん、使わなきゃ減らないし、経済も回らないよ?」

「ほらでも老後の事を考えると…。」

「マリは今18歳だよね?」

「貯蓄は大事なの!!」

年金が無い世界なんだから!!

「…でも、貯まってく一方じゃん?」

「…どのくらい使ったの?」

「一万Gくらい?」

「朝食だよね?ちょっと使い過ぎじゃないかな!?」

「毎日1万使っても一年でたったの365万だよ?」

「…おぉ、確かに…って、金銭感覚おかしいだろ!?」

これは、駄目だね。

アイリの金遣いは正さないと。

というか、食い過ぎなんだよ何で太んないんだよ!!

「美味しければ太んないよ?」

「意味不明だよ!??」

逆に肥えるわっ!!!

「…まぁ、大事なのはやっぱ運動だよね。」

「…それは同意。」

どこぞの人も言っていた。

楽して痩せようという考えが既にデブ、と。

「後は、優秀な回復魔法?」

「…マリ、背後から刺されないように注意しなよ?」

私の回復魔法は最早回復魔法の域を遥かに越えていた。

私のみが出来る、回復魔法ダイエット。

完璧なダイエット法だ。

しかも、肌や髪質まで完璧カバー。

保湿効果あり。汗も一瞬で消し飛ぶ。

もし、元の世界に戻って魔法が使えなくなったら私は相当なダメ女になっている自信がある。

「使えるものは使わないとね。」

「なら、マリのお金も…」

「まぁ、何かに使うよ、私が、ね?」

「…友達の為に、とかは?」

「その友達の為にも使うべきじゃ無いね。」

むぅ…と、アイリは唇を尖らせた。


…ところで、聞いておきたい事があった。

「ねぇ、アイリ?…私ってさ、朝起きるときに寝惚けてアイリに抱き付いちゃうことってあった?」

アイリの顔があからさまにデレる。

「えぇ~無いよ~…。」

言葉と顔が合ってない。

…100%してたと考えるべきだね。

「まさかねぇ、毎朝、アイリィ…って言いながら抱き付いてくる訳ないじゃん?」

「えっ!?マジ?…恥ずっ!!?」

「私の至福の一時を馬鹿にするなぁ!!」

…何で私が怒られたの?

「大丈夫、マリは気にしなくて良いんだよ。」

「いや、気にするとかのレベルじゃ無いんだけど!?」

私、何でこんなに寝る子になっちゃったんだろうね。

…これが本当の私?

……あはは、まさかね。



「それじゃ、行ってくるね!」

「いてら~。」

私は王宮に向かう。

今日はクレアとお茶会する予定だった。


「お姉ちゃん!」

「クレア!」

クレアがちゃんとお出迎えしてくれた。

…私はエリー達をお見送り出来なかった事を思い出す。

「お姉ちゃん?」

「あはは、クレアは良い子だねぇ…。」

「?…どうしたの?当たり前だよ?」

ぐはぁっ……回復魔法で心の傷を治さなくては…。

「…私の回復魔法って、リラックス効果もあるんだねぇ。」

「ほんと、万能ですよね。何か名前付けないのです?」

「え~?…『天女の慈愛』とか?」

「…何か、自己愛強そうですね…。」

「うっ、でも、雷魔法で他人にも伝えられるし…。」

「本当に、便利ですよね…。」

あっ、とクレアは何かを思い出したかのようにして話始める。

「お姉ちゃん、好評でしたよ?デストロイヤーってよりはマジシャンって感じでしたけど。」

「…そっちの方が盛り上がるかな~って。」

「食べられた時はシーンとしましたし、会場大混乱になりましたけどね?」

「さ、最終的に盛り上がったんだし…良いじゃん!」

「…あんまりああいうことばかりしてると、いざという時に誰も心配してくれなくなりますよ?」

痛いところを突かれた。

「クレアも、心配してくれてありがとうね♪」

「…次回から心配し難くなりましたけどね?」

私達は王宮の二回に上がる。

少し進むと白い丸テーブルがあり、そこから庭園が見渡せた。

「おぉ、すっげぇ!!」

私が少年のように目をキラキラさせていると…

「第一回、『王族がお姉ちゃんと仲良くなる為の会』を開催します!!!」

気が付いたときには、クレアの隣にクレアよりも小さい少女…いや、幼女がいた。


こうして、謎のお茶会が始まったのだった。

すみません途中で寝落ちました。

本当はお茶会のその後まで今回に入れる予定だったのですが…。

眠すぎて雑談ばかりになってしまい、全く進まなかったです。

まぁ、何か楽しかったのは覚えてますけど。


次話は日が沈んでから数時間後です(・・;)

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