いつになく真剣なアイリ
「クレアにめっちゃ怒られた…。」
私は裏口から堂々と出る。
仮面もしてないし服も違う。
完璧!!
「お疲れ様。」
出口には、アイリ、サヤ、ソヨさん、ザラさん、エリーが待ち構えていた。
「心臓が止まるかと思ったぞ!!」
「確実に寿命縮んだよね。」
「無事でなによりです。」
「仮面の女性、マリの知り合いなのですか?」
興奮覚めきらぬ様子で、皆口々に感想を言っていく。
「ごめん。…エリー、一緒に見られなくてごめんって意味ね?後、私はクレアの知り合いなだけで仮面の人は知らないよ?」
「…マリは特等席で見てたらしいよ。」
アイリもフォローを入れてくれる。
というか、エリー意外の人達、気付いてたのか…。
逆にエリーよ…気付けよ…。
「それと、…マリ、後で話がある。」
アイリはいつになく真面目な様子でそう言うと、家で待ってるとだけ言い残して帰ってしまった。
「私達、帰りもミレーヌ様の馬車に乗せて貰うことにされたので…明日には帰るのですが、マリさんはどうします?」
ソヨさんの言い方的に、脅迫でもされたのかな?
…私は、どうしよっか?
「あ~…もう少し、王都にいるよ。」
私の言葉に3人は残念そうにする。
「ふぅん、インタルには戻らないつもりなの?」
気付いたときにはインタルの領主の娘、ミレーヌがいた。
そして、当たり前のように会話に交ざってくる。
「うん、ここからラシャに向かうつもり。」
貴族に堂々とため口…友達なら大丈夫だよね?
「それは残念ですの…で、でも、私達友達ですし、戻ってきますわよね?」
友達っていうか…私を使いたいだけだろ…。
…なんて言わないよ?
「うん、ソ…エリーがいるし、勿論、ミレーヌもいるしね!」
「あの…私は…?」
「エリー!お仕事頑張ってね!!」
「はい!」
ソヨさんは要注意危険人物だ。
わざわざ会いになど行かない。
「マリさんに回復魔法が無ければ…」
「それじゃさっき死んでたわよ!」
まぁ、私、スペック高すぎる気はしてるけどね。
「それでは、皆様また明日。…マリはさようなら。」
「さよなら~。」
ミレーヌは去っていった。
「さて、ワシは仕事の続きといこうかな?」
ザラさんも帰ってしまう。
「…じゃあ、私達で最後の王都散策といきますか?」
「「「お~!!!」」」
そういえば、王都でエリー達と別れてから一度も会ってなかったね。
「…とは言っても、広いよ?どこ行く?」
私は図書館くらいしか行ってない。
「服屋、医療器具専門店、骨董品店、薬屋…一通り私達が行きたかった所は行ったんだよね~。」
骨董品店ってのは気になるが…。
「取り合えず、お腹空いたし何か食べに行こっか?」
「そうだね!」
「そうしましょうか。」
私の提案は了承されたようだ。
「あ、なら…」
エリーは観光マップを取り出す。
「ここ、行ってみたかったんです!」
「あ、私も行きたい!!」
「こんなものがあるのですね。」
「……え~…。」
いや…ちょっと…。
「マリは嫌なの?」
「いや…別に…嫌って訳じゃ…」
「なら、行きましょ!」
私はエリーに強引に腕を掴まれ、不本意ながらに運ばれたのであった。
「いらっしゃいま…何で来たんですか?」
「…ごめん。」
私達が入った店の名はケモカフェ。
シルヴィが働いているお店。
「マリ…知り合い?」
「学校の同級生?…というか、同クラスというか…」
「私とマリは特別授業なので…」
「破廉恥なのはいけませ~ん!!!」
エリーは突然叫び出す。
「エリー、店内では静かに!」
すかさずソヨさんが注意する。
…けど、そこじゃない。
「おおぉ!ケモっ娘ですよ!!」
「可愛いよね♪」
「可愛がりたい…。」
私達はそれぞれトーストやパンケーキ等を頼んで、食べた。
「やっぱり美味しいね♪」
「うん、美味しい!!」
「ほっぺが溢れちゃいます~。」
「エリーは蜂蜜溢しすぎ…。」
てか、頬っぺが溢れるって言葉を知らないのですが…。
「とわっ!」
「たー!!」
「うわっ!」
「ぬとー!」
「せやっ!」
「とりゃ!」
…エリーは一瞬で獣人達と打ち解けていた。
主に、黒くない毛の獣人達と。
エリーの髪も褐色なので、特に違和感はなかった。
「ふふふ…貴女達もまだまだですねぇ…♪」
「ま、負けた~…。もっかい!」
「いいですよ!」
午後二時過ぎ、閉店後の店で私達はくつろいでいた。
「学校っていつからだっけ?」
「…マリ……。」
シルヴィに溜め息をつかれた。
「あと丁度1週間ですよ。」
「ありがと!」
…さて、これからどうしよう?
「…そろそろ行くわよ、エリー?」
エリーはどこだ?
「は、はーい!またね~皆~!!」
…そこか!!
「お姉ちゃん行っちゃうの?」
「またね~!」
「今度は負けないよ~!」
完全に馴染んでいたが、その中でもエリーが一番頭が良かったらしく、お姉ちゃんと呼ばれていた。
恐らく、歳は変わらないくらいだろう。
私達はケモカフェを出て、商業施設が集まっている地区で色々な物を見てまわった。
私も面白そうな保存食とか如何わしい魔導書とか買ってみたよ!
…女の子が買うものじゃないね。
そんなわけで、楽しい時間はあっという間。
「明日ちゃんと見送りに行くよ!」
「マリ…起きられないでしょ!…またね!」
「インタルでお待ちしております。」
「ばいばいです。…マリ!キララさんの正体というか、素性?知れたら、教えてくださいね!!」
まるでお別れの日当日のような別れの台詞を言われた。
私、起きられるよ…?…多分。
「エリー…で、出来たら、ね?」
誰もキララの正体をエリーに教えようとしない。
それどころか私の反応を楽しんでる…。
…だからと言って私が自分から言うとか無理だよ。
「はい!よろしくお願いしますね!!」
困ったなぁ…。
「…また、ね!」
そんなわけで、皆と別れ、アイリの家に帰って来た。
「ただいま~!」
「…マリ、おかえり。」
…やっぱり、いつになく真剣だ。
「…どうしたの?」
私も真剣に聞く。
「…マリってさ、下半身切り落としても痛くもないし、元に戻るんだよね?」
…何の話?
「…うん。それがどうかしたの?」
アイリは真っ直ぐに私の目を見つめて、言う。
「…商売できるよ!」
……は?
「女子の下半身、絶対高値で売れるって!」
………………。
「…やだよ?」
「えっ…?」
アイリは豆鉄砲をくらったかのような顔になる。
「えっ、じゃないわよ!お金はあるし、下半身売るとかあり得ないし!!」
「…でも、何度も生えてくるんでしょう?」
「言い方!!…それに、恥ずかし過ぎるし!!」
「…じゃあせめて、マリが学校に行ってる間用に一つ作ってよ。」
「何に使うの?」
「寂しさを紛らわす。」
「…どうやって?」
「…匂いを嗅いだり?」
「変態!!!」
あ~あ、真剣に聞くんじゃなかったよ…。
「…真剣な顔してたけど、…この事だったの?」
「勿論。」
「…私、今日は王宮で寝ようかな。」
「ちょ、ごめんって、…でも考え直して!!」
「何をよ!!!」
私の叫びは夜の王都に響き渡った…かもしれない。
ある程度復活しました。
マリさん電気属性だけなら扱いやすいのに…(2度目)
怪力のせいで囚われの身とかにも出来ないし、回復魔法のせいで危機感がまるでない…。
…今度マリさんに全力で挑んでみようかな?
次回は月曜日です。




