恋バナ♪
~翌日~
「ああああぁぁぁ~!!!」
「五月蝿いよマリ。」
私は悶絶していた。
「どんな格好しても好奇の目で見られるんだよ?」
「馴れてる。」
「うぅ…。」
私はアイリの家に泊まっていた。
教会発光事件は神が国王陛下を祝福したものだと表向きにはなっていたが、私が光らせたことは結構広まっていた。
そして何よりも問題だったのは、あのキスだ。
人々のアイリへの恐怖がやや薄れた代わりに、私とアイリは友達を超えた…そういう関係って感じに噂され、尾ひれも付きまくっていた。
「私は凄い満足してるけどね。」
アイリはご機嫌である。
「それに、マリも変な男に絡まれなくなって良いんじゃない?」
「変な女にしか絡まれないんだけどね…。」
「あ、悪化する可能性あり…か(笑)」
「ちょっと!笑わないでよ…。」
私は…あれ?…最近まともな男と話したのって…
いつだっけ!?
ギルマスは論外として。
学校では特別クラスなせいで話す機会無いし。
あの子かっこいいよね~的な会話も私が強すぎるせいでかっこよく見えないし…。
そもそも、私の理想の男性像って何よ?
う~む。
お金…は要らんな。
容姿…まぁ、重要だね。
後は、性格?…私を怖がらない人?
というか職業は大事だよね。
ハンターはNG
王族もNG
…あれ?
異世界の職業って他に何があるんだろ?
てか、若い男の人って何処で働いてんの!?
「どったの?」
「あ、え~っと、若い男の人って何処で働いてるのかな~って…。」
「マリは知らなくて良い。」
「何でよ。」
「…ハンターとか兵士とか農民とか…普通に。」
「あ、兵士か!」
NGだね。
「マリは男の人に興味があるの?」
「いや、何よその質問!?」
「…貴女も私も、男性に尽くすタイプじゃ無いってことは確かだと思ってるんだけど。」
「あ~…たまに後ろから抱きつかれるくらいで充分かな~…で、物の整理と料理が出来て…出来ればイケメンで!!」
「…何かマリが男からはモテない理由がわかった気がする。」
「え?マジ?何で!?」
「まず料理って基本女がすることだし。」
あぁ、そういう価値観…。
「その時点で料理人しか候補いないってこと?」
「料理人とか…職人系は基本性格悪いよ。」
「え、マジ!?」
「マジ。」
アイリは私の祖国の言葉をある程度覚えていた。
…いや、日本の皆さんすみません。
「それにイケメンを追加してみなよ。余程運命的な出会いでも無い限り無理。私で妥協しなさい。」
「何故にアイリ!?…でも、なら今の所彼氏は要らないかな。」
「うむ。」
「何でご満悦なのよ!!」
異世界の価値観はやや古い。
女は家事が基本らしい。
…特に、大和の国周辺では。
「この国は女の力が強くて驚く。」
「大和の国って…親に結婚相手決められたりするの?」
「いや、女は売られる。」
へ…?
「女は産まれた時から奴隷身分。後は運。」
運…の意味がわからないが、怖過ぎない?
…これ以上の詮索はやめようかな。
「…そういえば、マリは闘技場以外の予定は無いの?」
「学校の友達と遊ぶ予定はあるけど。」
「ならもう出た方が良いんじゃない?」
「なら離して下さいよ。」
私達は同じ一つの布団の中で向き合って話をしていた。
足を絡ませ合い、手を握って……。
もう完全に恋人関係になってる気がするんだけど!?
…でも、悪くは…いや、何か異世界来てからおかしくなってる!?
まさか、この世界には闇の瘴気が…。
いや、どんな瘴気だよ!!
女の子同士が良くなる瘴気なんて聞いたことないよ!?
…地味にアイリって私と合ってる気はするけど。
変に気を使わなくて良いし。
わかる~。的な同調要らないし。
大事な時はちゃんと話聞いてくれるし。
…たまに凄く可愛いし。
あれ?…理想の彼女?
…まてまて、私おかしくなり過ぎだろ!?
「そういえば、特に時間指定してなかったし、取り敢えずケモカフェにでも行けばいるかな?」
「いたとして、何するの?」
「え~?…雑談?買い物?」
「…楽しんできてね。」
「え?あ、うん。」
「…アイリも行きたい?」
「面倒なのは苦手。」
「だよね。」
楽しいけど、疲れるんだよね。
「あ、そういえば、エリーとかサヤ、ソヨさんも来てるよ?」
「へ~。じゃあ、会いに行ってみるかな。どこにいるの?」
「皆ザラさんのとこだと思うよ。」
「わかった。」
私達はやっと起き出す。
現在、11:45だけど。
「行ってくるね~。」
「いてら~。」
そんなわけでアイリん家を飛び出してケモカフェに向かった。
「遅すぎますわ!!!」
「ごめんって…。」
やっぱり、皆いた。
シルヴィが自分が働いているケモカフェは嫌だと言うので、近くにあったファミレスに近いお店に入った。
「…で、天女さんキスのお味は?」
「早速弄るのやめてくれないかな!?」
マルグリットは良い玩具を見つけたとばかりに弄り倒してくる。
…あ、天女ってのは噂で勝手に呼ばれるようになった新たな渾名だ。
「光輝く大聖堂、ロマンティックですわよね。」
「その話、やめない?」
アトラも食いつく。
「死神って人も女なんだろう?ただの親友的な何かだろう?」
「チッチッチッ…カルネ、貴女はもう少し愛について知るべきですわ。」
「いや、カルネので合ってるけど。」
「愛と言うのは性別に左右されず…」
「何か始まった!?」
エリナはボーっとしていて動かないけど。
「マリって女の子が好きなのです?」
シルヴィが耳元で聞いてきた。
「いや、別に。単に死神って怖がられてるからどうにか出来ないかな~と…。」
「なんだ…付き合ってるのならペット枠で雇って貰いたかったのに…。」
シルヴィはとんでもないことを呟く。
いや、獣人族としてそれで良いのか!?
…でも、雇いたいね。
流石にそれはしないけどさ。
「ねぇ、さっきからエリナが固まってるんだけど。何かあったの?」
気になって尋ねてみた。
「エリナはどうせ先輩のことでも考えてるんでしょう?」
「へ…?べっ別にそんなわけ無いでしょう!!?」
…うわ~…わかりやすいな~。
「先輩って?」
私、この情報知らない。
「同じ剣士クラスの、今年卒業確定って言われてるくらいの実力者よ。見た目も良いから結構アプローチ凄いらしいわ。名前は…」
「や、やめろ!言うな!!」
どこの女騎士だよ…。
「えっと、他の人達は恋愛関係で何か無いの?」
「私は一生貞操は守るつもりだが?」
カルネは堂々と言い放つ。
一生って…。
「どうせ騎士同士で結婚するのでしょうね。」
マルグリットはつまらなそうに言う。
「戦場で背を守り合い、愛を育み合い、そして、悲しき別れを遂げる…ああっ!なんて素敵なことでしょう!!!」
「勝手に殺すな!!」
アトラは妄想ワールド全快だ。
「私は金持ち狙い。」
「私は親次第。」
マルグリットとアトラはぶれないね。
「シルヴィは?」
「マリのペットになりたい。」
「まだ言ってんのそれ!?」
「いやいや駄目でしょう…。」
歴史的に駄目だよね。
店を出たあと、王都ならではの物を買ったり、食べたりして、一日が終わった。
楽しい時間はあっという間だ。
「疲れた~。」
「でも、王都は色々な物が売っていて楽しいですわね!」
「アトラは買い過ぎだろう…。」
「いつものことよ。」
「この髪飾り、可愛いって言って貰えるかな?」
「エリナが乙女になっとる!?」
「悪い?」
「ふふっ、応援しますわよ!」
会話は途切れないが、別れはやって来る。
「あ、お母さんだ!…また学校で会おうね!」
「私もそろそろ帰らなくては。さよならですわ。」
マルグリットとアトラは今日で帰ってしまうのだ。
「実は私も、明日から孤児院で小さなお祭りがあるからお別れなんだよね。」
エリナもらしい。
「シフト空いてるの今日まで。」
シルヴィもか。
「…私も、帰って兄様に稽古つけて貰うか。」
カルネはもう少しいるらしいが、流石に私と二人きりだとやることが無すぎるからね。
「マリのコロシアムでの活躍、祈ってますわ!」
「やめてよ!!…またね~。」
「休み明けのテスト、忘れないこと。」
「え!?…あ、ど忘れしてただけだから!」
「…後で恋愛相談してもいい?」
「ごめん、私の管轄外だわ…。」
「ケモカフェには来ないで下さい。恥ずかしいので。」
「振りだね。」
「……えっと、後で決闘でも…?」
「しないわよ。」
皆と挨拶を交わし、別れる。
さて、と。
明日はケモカフェにでも行こうかな?
登場人物紹介1を投稿しました。
まだ出てきていないor出す予定の無い魔法も書かれているので見たくない人はお気をつけて。
新たな魔法は常時更新していきます…かも。




