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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
56/93

マリは何をやっているの!?<前編>(サヤ視点)

サヤです。

私の友達にマリという女の子がいます。

マリは遠くから来たらしいです。


マリは貴族というのがどういうものかを知っています。世間知らずに見えても、ある程度は知っていて、理解するのもかなり早いんです。

…なのに、貴族と…ミレーヌ様と…普通に話します。

気持ち程度に様付けしていますが、敬意は一切無い気がします。


帰り道、私と、マリと、エリーは、ミレーヌ様に遭遇しました。

すると、ミレーヌ様は変な事を言い出したのです!

…トモダチになる?

……ヨビステ?

どこかの国の挨拶か何かでしょうか?

「あっ、ヨビステ~!」

「ヨビステ~。」

とでも挨拶する国があるのでしょうか!!?


エリーは即座に泡を吹いて倒れ、現実から逃避しました。

私はザラおじいちゃんの知り合いに貴族も沢山いる…という話は聞いていたので、とっても強いらしいマリなら…と思い、気は失いませんでした。

…まさか、私も含まれているとは。

そして、ミレーヌ様はインスタール家の馬車に乗るかを聞いてきます。

マリさんは勿論、断…らずに乗る宣言をします。

そして、勝手に私達も含まれてしまいました。

ここからの記憶はございません。


私は、気付いたら気絶していて、マリの回復魔法で蘇りました。

気絶している間、大きな河の向こうにおばあちゃんを見た気がしました。


そういえば、私の知らない間にマリはランクBになっていて、…遂にはAになったらしいです。

凄いですね。



何で私のテンションがいつもより遥かに低いかって?

…これからミレーヌ様…インスタール家に行って、貴族様の個人馬車に乗らせて頂くからですよ!

「ソヨ?…何かムズムズする。」

「大丈夫、似合ってるから。…我慢しなさい。」

でも…

「この靴、歩きにくいよ?」

よろよろして貴族様に迷惑をかけたら大変だ。

「でも、これが正装よ?」

ソヨもよろよろとしていた。

「でも、サヤが化粧出来たなんてねぇ…。」

ソヨに化粧のアドバイスもした。

「医療魔術学校、大人でお金がある女性が多いからね…話合わせたりするためにもね。…というか、人形にされてた…。」

「サヤが弄られ役!?何それ見てみたいわぁ!」

「絶対に嫌!」

私は対等な付き合いのが好きだ。


少しテンションがあがってきたところで、マリがやって来た。

「おお~可愛い!二人とも似合ってるよ!!」

マリにそう言われると落ち着く。

勿論、マリの正装姿も…………………ん?

「あのぅ…マリさん?」

固まった私の代わりに、ソヨが尋ねた。

「ん?何?」

何?じゃ、無いでしょう!!

「服、それ、普段着…だよね?」

正装のせの字もありゃしない。

「ん?そうだけど?…私は要らないでしょ?」

は?…何を言っているの?

「貴族様の馬車に乗るんだよ!?」

私は訴えるが…

「そのくらいで怒ったら友達じゃないよ。」

世間知らずにも程がないかい?


「マリさん、お化粧とかどうですかね?」

ソヨは直ぐに切り替えて、保身に入った。

「わ、私も、ど、どう?」

ポージングしてみる。

「スッゴく可愛いよ!」

私達は緊張して何度もマリに同じことを聞いたと思う。


そして、エリーがやって来た。

やはり、マリに突っ込みを入れた。

だが、マリは軽く受け流す。

エリーはちゃんとした格好だった。

…エリーの方が、常識はあるらしい。


私達はインスタール家に行った…と思う。

おっきかった…。多分。

緊張で殆どの会話をマリに任せてしまった気がする。


馬車の中で、ミレーヌ様のルックスの話が始まった。

マリは当たり前のようにミレーヌ様をからかう。

私ソヨ、勿論エリーも、そんなこと出来る筈無かった。

…貴族様と友達とか…畏れ多すぎて無理だよ。


だが、話はマリのルックスへと移った。

「マリは駄目なパーツが無いわよね。」

ミレーヌ様はじっとマリを見つめている。

「ちょっと、…そんなにジロジロ見ないでよ。」

マリの照れた姿は、重犯罪級だった。

この時初めて、マリを襲ったソヨの気持ちが少しわかってしまった。

エリーも頬を赤くしてマリをじっと見つめている。

「ちょっと!?やめてよ!!」

ヤバい、可愛すぎる!!

「これでメイクしてないとか…ずるいですよ!」

ソヨが訴える。

「私ですらメイクしてるのに…でも、私が欲しいのはかっこよさや可愛さではなく、妖艶さですので、許してあげます。」

ミレーヌ様はふてくされている。

「可愛いとかっこいいと美しいの黄金比だよね。」

私は喋った後、生意気だったかな、と緊張する。

「そうですわね♪」

「そうですね!!」

「えぇ!!」

三人の声が重なった。

私達は固まったが、ミレーヌ様は気にしない。

「ふふふっ♪皆同じ意見ですわね!」

…どちらかというと、嬉しそう?

「皆さんは、マリの何処が欲しいですか?…全部は駄目ですよ!」

「何言ってんのよミレーヌ!!」

マリの顔が熟してきたね!

「私は…取り敢えず、胸ですかね。」

ソヨの返答に、

「あ、私も!譲らないですわよ?」

ミレーヌ様が宣戦布告する。

「あ、…」

「私を奪い合わないで!!」

ソヨが譲ると言う前に、マリが叫んだ。


「サヤは何処が欲しいのです?」

ミレーヌ様は私にも聞いてくる。

「えっと…髪、かな?」

綺麗で艶やかな黒髪。

「私の髪、直ぐに痛むんです。」

「それはサヤが手入れを怠っているからです!」

ソヨに痛いところを突かれた。

「女の子何ですから、ちゃんとしてください!」

エリーにまで諭される。

「髪は女の命ですわよ。」

ミレーヌ様にまで…。

「マリはどのような手入れを?」

ミレーヌ様の問いに、

「か、回復魔法で…。」

マリは完熟した顔で答える。

「マリさんの回復魔法、おかしいんです!同じ魔法なのに、体力も傷も服も状態異常も全部治るんですよ!?」

そんな夢の魔法があるなら、医療魔術とか要らなくね?

「ほ、ほら…心までは…治せないから…。」


シーン…。


「うわあぁぁぁ~!!!」

マリは熟しすぎて、落ちた。

「ご、ごめんって…。」

「す、素敵でしたわよ?」

「すみません…。」

「感動しました!!」

エリーだけ、何か違かった。


「エリーは何処ですか?」

ミレーヌの問いに、エリーは考え込んだ。

そして…

「心…ですかね…?」

「「「あっ…。」」」

その手があったか~!!

「さ、最近、マリがなんだか冷たい気がするんです。」

…ん?

何か想像と違かった。

でも、

「マリ酷~い!」

取り敢えず煽ってみた。

「え!?そんなこと無いって!」

マリは狼狽する。

「エリーはマリにどうして欲しいのですか?」

ソヨの問いに、悪ノリの空気を感じ取ったエリーは、

「キス…ですかね?」

的確な答えを言う。

「あ、私も、欲しい!」

私ものるよ!!

こういうの大好き♪

「勿論、私もです!」

まぁ、ソヨはのるよね。

「私も欲しいですわっ!」

ミレーヌ様までのってきた!

「で、では、マリに教わったジャンケンというゲームでキス順を決めましょう!!」

貴族がいるということも忘れ、私達は盛り上がる。

「や、やめて~!!?」

マリを弄っているうちに、ミレーヌ様と私達は、とっても仲良くなれたのでした。

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