爆散、四散、反省会!!
「うっへぇ…。」
寝不足だ。
「うふふふふっ!!」
研究者ズはツヤツヤしている。
…よかったね。
私はクタクタだよ。
好きでも詳しくもない生物の知識を必死に伝える作業…概念から説明しなきゃいけないから…うん、メッチャ疲れた…。
私も親がレベルの高い大学しか受けさせてくれなかっただけで、ある程度の知識は身に付けていた。
お陰であまり嬉しくもない研究者の知り合いが何人も出来た。
特に、好奇心の塊な、若い女性研究者のシアさんと、眼鏡の研究者で、ベロなんちゃらの時にアホみたいな金額を国王様に提示していた女性研究者のローザリアさんとは、年齢が近かったこともあり(向こうのが年上)、かなり気に入られてしまった。
インタルに帰るため、私は皆と別れることになった。
「また色々教えてね♪」
嫌です!!!
…なんて言えない。
「機会があったら…。」
曖昧に答える。
「お姉ちゃん、バイバイ!!」
クレアにも随分気に入られてしまった。
この子、じろじろと私の身体を観察したり、正直あまり筋肉があるとはいえない、普通の女子(私)の二の腕を触ってきて、その後考え込んだりするので…苦手だ。
「あ~うん、後で魔法見せてあげるから、またね。」
かっこいい雷撃魔法、出来るようにならなくては。
「あ、シアさん、そういえば国王様誕生祭って…いつでしたっけ?」
「シアでいいよ、…あと、それ国王様に聞かれたらヤバイと思うよ?」
「あ、因みに私にはさんつけてよね?勿論、お姉さまをつけてもいいわよ?」
「はいはい。ローザリアさん。」
ローザリアさんはシスコン兄弟の末っ子で、子供扱いされるのが嫌なんだとか。
あくまでお姉さんキャラでいたいらしい。
…恐らく、伊達メガネだろう。
「誕生祭の日時、本当に知らないの?」
いや、知ってはいる!!
「いや~…確認ですよ!」
嘘だが。
「じゃあ、何日?」
素直に教えてくれればいいのに…。
「8月でしょう?」
「そこすらわからなかったら大問題よ…。」
…危なかったぜ。
学校の皆に感謝だね。
「8月…12日?」
「11日よ…。」
呆れた…と、呟かれた気がする。
「あ、思い出したそうだったそうだった!!」
私は忘れてないよ?
「嘘よ、本当は10日…本当に知らなかったんだ…。」
…え?
いや、……え~…。
「すみませんでした!!!」
いや、皆に聞いて、念入りに言われて、…ここまで忘れるとはね。
記録魔法とか無いのかな?
…魔法に頼りきりはよくないよね。
「マリは9日に王都の…王宮に来てね。」
「あ、はい。領土領空、了解です!」
唯一の救いは、私が単に知らなかっただけだと思われていることだ。
実は友達に念入りに教えられたけど忘れてた、って言ったら本当に面倒なことになりそうなので、言わないことにする。
「それじゃ、また合いましょう、さよなら♪」
全力でお姉さんキャラを演じているローザリアさんに頭を撫でられる。
そういえば…頭を撫でられたの始めてかも。
髪型崩れるのは嫌だけど、別に嫌いな人じゃないから、悪い気はしなかった。
「さよなら、です。」
私は撫でられながらお別れの挨拶を言う。
「さよならっ!!」
「お姉ちゃん、さようなら。」
なんか異世界来てから知り合い増えたな~。
これも、異世界チートのお陰ってやつかな?
私はインタルに向かって疾走している。
あ、そういえば、今回のラドラムットとかいう街は、王都の隣で、凄く近いんだって。
…へ~。
……うん、全力疾走しているのだが、全く疲れないので、暇だ。
「あっ!オーク発見!!やっつけ…ぶほっ!?」
オークに気をとられて躓いた。
私の身体はそのままミサイルのように吹っ飛ぶ。
オークにぶつかる。
オーク、爆散する。
マリさん、飛び続ける。
「あ、ゴブリン…止まれない…マジか…。」
パーン!!
ゴブリン、四散する。
「このまま馬車にぶつかったらヤバイよね?」
私は身体を無理矢理反転させ、手足をじたばたする。
…遠目から見たら未確認生物だ。
近くで見たら変質者だ。
…まぁ、こんな何も無い場所、誰も見てないよね?
私が通っているのは道などではなかった。
荒れ地だ。
私に整備された道など必要ない。
…そう思った結果がこれだ。
速度が落ちてくる。
「よっと、着陸~♪」
私は回復魔法で綺麗にして、走りながら反省会を行う。
私、少し慢心し過ぎかな?
…まぁ、何とかなるか。
反省会は終了した。
ごめんなさい。短めです。
少し疲れが溜まっているみたいなので、次回は1日後にします。




