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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
44/93

巨大なドラゴンVS格闘家系魔術師女子

ガイムさんじゃなくてガイルさんでした…。

多分全部直した筈…?

「ガイルさ~ん、出来てる?」

鍛冶屋は怖いね。静電気が。

「おう、つけてみ!」

私は出されたグローブをはめる。

凄くしっかりしていて、私でも握りつぶせない。

手の甲は関節がちゃんと曲がるように紫色に輝くミスリルが敷き詰められていた。

そして…

「何このマーク?」

何かかっこいいマークがついている。

「ああ、インスタール家の家紋だ。…その意味はわかるな?」

何となくだがわかる…。

私はコクコクと頷いた。

ポジティブに考えると、私に権力の後ろ楯が出来たとも考えられるため、マイナスだけでは無い筈だ。


「うん、良い感じ!!」

この固さ…硬化魔法で手を固めた時よりも遥かに硬い。

それに、このグローブを硬くして、更なる強度も…

流石にそこまでの強度いるかな?

「ありがとうございました!!」

「ミレーヌ様に気に入られたんだろう?…ま、頑張れよ~。」

「マリちゃんまたね~♪」

ラッタムさんが工房からひょこっと出てきて、手を振ってくれた。

「はい、また、会いましょう!!」

何か、死亡フラグがたった気がした。



「さってと~、次は…。」

干し肉を買い、氷の魔法石を利用したクーラーボックスの中に野菜や果物、パンを入れる。

あとは、テントと毛布…それから着替えとタオル…パジャマも持っていこう!!

あとは、空のアイテム袋をいくつか…。

「よし、遠足…じゃなかった、遠征?セット完成!!」

あとは、向かうだけだ。

私は街の外に向かう。

馬車?…そんな遅いものに乗るくらいなら、走るさ!!

走れマリ、お金のために!!

喉が潰れて吐血したりなんかしないけど。



ズダダダダダダ…

ズダダダダダダ…

ズダダダダダダ…


女の子走りとは程遠い、有り得ない速度で足を回転させながら走っている今の私は、オークすらも道を開けてくれるほどの恐怖の弾丸のようでしかなかった。


「…ふぅ、地図だと、後半日くらいかな?」

日が沈んだため、私はテントを建てて、夕食を食べ、そして就寝した。


そして、起きて出張する。


「ふぃ~…。」

赤い岩場を越え、街に着いた。

さて、ドラゴンは…

「おい、君、こんな所で何をしている!早く避難するんだ!!」

いきなり後ろから小太りのおじさんに注意された。

「あのぅ、ドラゴンって何処にいるのですか?」

「?街の外から来たのか!?…あっちだ!!早く逃げろ!ここがやられるのも時間の問題だ!!」

あれ?私、ハンターなんだけどな。

ハンターが役立たずになるくらいに強いドラゴンなのかな?

…いや、私の服装のせいか。

私はTシャツにホットパンツのラフな格好だった。


「忠告ありがとうございます!!」

そう言って頭を下げ、一目散にドラゴンのいる方向へと向かう。後ろから悲鳴のような怒声が聞こえるが、無視だ。



「…うわっ、でか!?」

街からおよそ500メートル、巨大なドラゴンがいた。

紫色の巨体、強靭な前足と後ろ足。

大きな牙と翼、そしてそこから生えている鉤爪。

「…進化論無視かよぉ!!」

前足があるのに翼があるなんて…。

私は取り敢えず試しに、ミスリルグローブをつけて、後ろ脚の太股を全力でぶん殴った。

吹っ飛んだ!!

…が、致命傷にはならなかったようだ。

後ろ右足はもう動かなそうだが。


グギャァァァオォン!!!

気持ちの悪い鳴き声でドラゴンがこちらを威嚇してくる。

私はそれを無視し、水球を作り、高速回転させる。

「これでも、くらえ、洗濯機玉!!!」

私のウォータースクリューなんちゃら、通称、洗濯機玉はドラゴンにぶつかり、大きな音をたてたが、大した効果は無かった。

「くっ、だが私はまだ本気を出してなんか…グァッ!?」

私は鉤爪に貫かれた。

「カハァ…!?…うぐっ、……ふぅ。」

私は回復魔法で体に空いた風穴を埋めた。

「意識失うかと思った…。そしたら、死んじゃうよね。」

私は身体をぶるりと震わせ、ドラゴンに向き直…

ダダン!!

ダダン!!


ドラゴンが背中についている針を飛ばしてきた。

私は慌てて身体を硬化する。

カカカカカッ

私の鋼鉄の身体には針など突き刺さりはしない。

「次は私の反撃ね!!…!?」

身体が痺れている。

毒針!?

私は回復魔法で直ぐに回復し、飛んできた鉤爪をかわす。

と、同時に今度は尻尾が飛んでくる。

「ガッ!?」

尻尾についている巨大な毒棘が突き刺さる。

吹き飛ばされ、岩山にめり込む。

「っつぅ……。」

私はまだ、生きている。


回復魔法で全回復し、雷魔法を飛ばす。

ギャウン!?

ドラゴンは驚くが、指1本分の雷では大したダメージはなさそうだ。

こうなったら……。


私は全力でドラゴンの足元に向かう。

再びドラゴンは毒針を飛ばしてくるが、関節以外、走るための最低限の場所だけを残して、他を硬化して防ぎ、走り続ける。


毒針が収まると同時に回復魔法で痺れてきた身体を直し、懐に入る。

「ギャラクシーアッパー、カエルの逆襲!!」

私の全力のジャンピングアッパーで吹き飛ばす。

仰向けで落下したドラゴンの上に乗り、走る。

流石に大きすぎて心臓を貫ける気がしないので、基本生物の弱点っぽい頭に向かう。


「マウントォォ!!!」

私はドラゴンの顎に座り、足で身体を固定し、何度も何度もドラゴンの顔を殴り付ける。

ドゴン!

ズゴン!

ドゴン!

ズゴン!

ドゴン!

ズゴン!

ドゴン!

「ひゃん!?」

私はドラゴンの顎から落下した。

ドラゴンの顔…いや、頭が崩壊したのだ。

…………。

ドラゴンは動かなくなっていた。





「うっ、動くな!!」

「…へ?」

私はいつの間にか、兵士に囲まれていた。

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