暴走する女医
インタルに着き、ギルドに入る。
「あら…エリー!!!」
「は~い!」
私達を見るなり、バルさんはエリーを呼んでくれた。
「何でしょう…ってマリさん!!?」
「久し振り、エリー。…でも、何でさん付け?」
「お帰りなさい、貴方、ご飯にする?お風呂にする?それとも…って、どうしたんですか!?」
話が噛み合わないなぁ…。
QにはAで返して欲しいな。
でも、エリーが驚いている理由はわかる。
「帰りの馬車でサヤとはしゃぎ過ぎてね~…。」
「えっと、初めまして、かな?サヤだよ~…。」
「初めまして…って、取り敢えず寝てください!話はそれからです!!睡眠不足は美容の宿敵なんですよ!!」
天敵ならわかるけど宿敵って何よ。
…ライバルなの?
でも、私達は目元に大きな隈をつくっていて、フラフラだった。
「おお、マリじゃないか、家なら…」
ギルマスだ。
「あの人嫌~い…エリー、行こう?」
「私、お仕事中ですけどぉ!?」
眠すぎて何言っているのか自分でもわかっていなかった。
というか、エリーに突っ込まれるとは…。
「ごめん、明日また襲来するよ~。」
「普通に来てくださいよぉ!!」
何で、エリーが突っ込んでるんだろ…。
それすらわからないほどに、眠かった。
ソヨさんの診療所に着いた。
「ふえっへっへぇ~…。」
「うふふ、あはははぁ…。」
「えっと、お帰りと、お久しぶり…です。」
ソヨさんはドン引きしていた。
「堅苦しいこと言うなよぉ~。」
サヤはソヨさんに頬擦りしている。
「えっと、お客様は大変危険な状態です。よってE25を投与します!」
「それ劇薬じゃん!?」
「あら、ちゃんと勉強してきたのね。」
ソヨさんは笑顔でサヤをベッドに突き飛ばした。
「マリさんも、少し寝ましょうね?」
ソヨさんが突き飛ばそうとするのを、全身を重くして堪える。
「あら?魔法が…隈も…?」
「回復魔法使ったら治りました!迷惑かけてすみませんでした!!」
私は正気に戻っていた。
「それ、あんまりやると身体に良くないですよ。サヤと一緒に、寝ていて下さいな。勿論、ベッドは別々ですけど。」
「あ、はい。…では、お言葉に甘えて…。」
正直全然眠くない。
まだ午前だもの。
「お昼が出来たら起こしますよ。」
そう言うとソヨさんはサヤと私に謎の魔法をかけ、仕事に戻ってしまった。
普通の回復魔法は緑色の光だが、オレンジ色の光の魔法だった。私には、更に紫色と、ピンク色の魔法までかけられた…。
「ん……あれ…?」
いつの間にか寝ていたようだ。
「えっ!?もう起きたのですか!?」
私の布団から何者かが飛び去る。
…声からしてソヨさんみたいだ。
「ん~…どうしたのぉ……へ?」
ブラジャーが胸から落ちた。
「いや…その…久し振りに若い女の子が来たから…その…ね?」
「意味わかりませ~ん。」
私は外されたブラを着け直し、脱がされていたズボンを履く。
でも、何かこういうのに馴れてしまった私がいる。
「すみませんでした。」
「ソヨさん、貴女もそういう方でしたか…。」
何というか、残念だ。
「でも、魔法の効力が切れるまで、早すぎではありませんか?ひょっとして、防いでました?その上で私と…」
「そんなわけ無いじゃん…。私、少し耐性高めなのかな?」
「まだ一時間しか経ってないのに…。」
「あのオレンジと紫とピンクの魔法はなんだったの?」
「えっと…ですね、オレンジは快眠魔法…と、いいますか、寝ている間により多くの疲れがとれるようになる魔法で、短期間睡眠の方々にも愛用されている魔法ですね。紫のは睡眠魔法、マリさん眠くなさそうでしたので…。」
「因みに紫の魔法は他に…」
「ピンクの魔法は?」
「…その枕、高かったんですよ?」
「へ~、で、ピンクの魔法は?」
「サヤが寝ているか、確認してから…」
「爆睡しているね。…で?ピンクの魔法は?」
「…ご自分の身体を触ってみればわかるかと。」
ソヨさんは少し間を開けてから、観念したかのように呟いた。
それにしても、さっきから、身体が熱い…。
私は取り敢えず二の腕を撫でてみる。
「ん…へぇぁ!!?」
「全身が敏感になって、色欲に躍り狂う、強姦魔とかがよく使う、使用を禁止されている魔法です。」
媚薬的な感じ?
エロ同人な世界じゃん!?
しかも、物的証拠が残らないとか、悪質過ぎない?
それよりも…
「訴えたら捕まっちゃう感じ?」
「…はい。あ、でも、証拠は無いですし…。」
「…こんな魔法あったらフラフラ歩けないね。」
「この魔法…かなり有名でピンクの光が見えたときに全身から魔力を放出する感じで力を込めるだけで、子供でも防げるんです。不意打ちされたとしても、即効性はありませんし…。」
一瞬、某修道院の調教部屋的な所を思い出した。
でも、リリィさんは使ってこなかったし…いや、あの人は魔力の放出が苦手だから格闘家…なのかな?
恐らく、リーゼさんは使えるだろうね。
「つまり、私の無知が原因だと?」
「はい!!」
「…んな訳ないでしょ!!かけた方が悪いよ!!」
「すみませんでした。…ところで、ムラムラしてきましたか?」
「するわけ…してるけど、してないから!!」
私は全力で回復魔法をかけ…
「させません!!」
ソヨさんが私の胸を掴む。
「ひゃん!?…あぁぁ。」
ヤバい、頭の中が真っ白に…
「…何してんの?」
サヤの一言に、一瞬で場が凍りついた。
「取り敢えず、ソヨが変態ってことはわかった。」
「誤解です!!あれはオペで…。」
ソヨさんは言い逃れしようとする。
「おいこら。」
「私だって勉強してきたからわかるもん。」
「くっ…。」
私達はご飯を食べながら語り合う。
「このシチュー、変なもの入ってないわよね…。」
「は、入ってませんから…安心して下さい。」
「指切りげんまん、嘘ついたらこ~ろす♪」
「あはは、物騒になってる~!!」
「…洒落になりませんね。」
「何も入ってないなら大丈夫でしょう?」
「まぁ、そうですが…。」
このご飯は、時間的に夕食となっていた。
そして、サヤの希望もあり、私はこの診療所に泊まる事になった。
「さて、お風呂閉まっちゃう前に、早く行こう?」
「あ、そうだ!お風呂!!」
この街名物の、おっきなお風呂!!
是非とも入りたいね!
私達四人は着替えやタオルをもって、温泉へと夕暮れの街を歩いた。
…四人は。
「マリと温泉、楽しみです!」
「マリは私のものだからね~?」
「マリとエッチなことしたことあるの、私だけなのですが?よって私が…」
「「変態…。」」
「???」
エリーには伝えないでおこう。
地味にエリーはソヨさんの事を慕っていた。
綺麗でかっこいいお姉さん、というイメージらしい。
私もそういうイメージだった。(過去形)
…私がこの街を去った後、仲良くなったようだ。
「ソヨさんがエリーを呼んだのって隠れ蓑に…」
私がばらそうとすると…
「エリーさん、人の秘密を勝手に話すような人になってはいけませんよ?」
「え?…はい!マリ、そういうのはよくないですよ!!」
「おいこら。」
「あはははは~。」
何だかんだで、楽しい夏休みになりそうだ。
…一歩間違えれば大変な夏休みになりそうだけど。




