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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
36/93

職業見学

忙しいので、

1時までには更新するって感じで…。

「今度は言い逃れ出来ませんわよね?」

私とシルヴィは囲まれていた。

「どうやって私達の部屋に…」

「貴女達二人揃って寝坊してるからですわよ!!」

もう朝食の時間だった。

「うぅ…眠い~。」

「う~ん…眩しい~。」

異世界に来てから私は急激に朝に弱くなっていた。

恐らく緊張感が無くなったからだろう。

起きられなくても殴られたりしない、幸せな環境だ。


「お前ら、だらしないぞ!」

「朝練しないと強くなれませんよ?」

熱血系剣士二人は朝からハイテンションだ。

「わかったよ~…起きるよぉ…。」

私はベッドから這い出す。

「う、むぅ…。」

寝惚ているシルヴィが私にしがみついてそのまま寝ようとする。

「シルヴィ?私達、友達ですわよね?」

「…むぅ?…ふぁいい……。」

シルヴィは私にしがみつきつつ、立ってはいる。

が、これは起きているのだろうか。

「なら、私もお触りOKですわよね?」

アトラとマルグリットがシルヴィを撫で始める。


寝惚けて正しい判断が出来ないところを狙った悪質な手口により、シルヴィは今後、私達にことあるごとに撫で回されるようになったのであった。





学校生活も数日が経った。

「で、ゴブリン達の親玉、キングゴブリンは…」

基本的に、午前は座学で、午後は武術だ。

異世界の住人達は皆熱心で、私達のクラスは40人いるのだが、一人しか寝ている者はいなかった。

「弱点は後頭部の…マリさん、起きて下さい!!」

寝ているのは私だ。

「流石に寝過ぎですよ…。」

隣でシルヴィが呆れたように呟いた。

シルヴィは朝には弱いが、朝食を食べると覚醒するタイプだった。


「マリ、もしゴブリンの巣に入ってしまったらどうするか、聞いていました?」

…全く聞いておりませんでした。

レミュレット先生も私に変に気を使うことはなくなっていた。

「えっと…殲滅する?」

どっと笑いが起こる。

主に何も知らない男子勢から。

「貴女一人の時はそれでも良いかもしれませんが…。」

レミュレット先生は困っている。

「では、ゴブリンキングの弱点は?」

「心臓!!」

これはわかる!!

「心臓は弱点とは言いません!!」

「え?違うの!?」

また笑いが起こる。

「後頭部です!!背後をとるのは大変なので、一人で討伐するのはランクAのハンターでもかなり厳しく、またキングのいる所には必ず沢山のゴブリンもいるので、一人で討伐なんて……はぁ。」

レミュレット先生の溜め息の意味がわかっているのは女子の十人前後くらいだと思う。


ただ、噂には尾びれがつくもので、ゴブリンキングを食いちぎったとか、ゴブリン達を従えて街を襲ったとか、意味不明なことが伝わっていたりもする。

「でも、後頭部攻撃したら、フェイスマスク売れないよ?あれのために倒すんじゃないの?」

「ゴブリンは害獣です!!元々儲けはあまり出ない敵なんです!」

レミュレット先生は溜め息をつくと、諦めたように授業を再開した。




「さて、…暇だな。」

午後、魔術の授業。

リビナード先生のいつも通りの言葉で始まる。

「三人ですもんね。」

実際、本当にやることがなく、リビナード先生が持ってくる魔法指南書を読んで、便利な魔法を身に付ける毎日だった。

「マリはものにするのが異様に早いからなぁ…。」

中二病時のイメトレ成果が存分に発揮されていた。

それと、科学的な知識も役に立っていた。


私は僅か数日で、重力制御魔法という軽量化や重量化が出来る魔法をマスターしていた。

マスターというのは、身体の好きな部分だけを重く出来たりするということだ。

つまり、物理技の威力が段違いにアップする。


…それだけではなく、硬化魔法という、身体を固くする魔法もマスターしていた。

つまり、物理技の威力が段違いにアップする。


私は魔術師だよ?



シルヴィは、死霊魔法は死霊の意思も重要、ということで、リビナード先生に他の魔法の指導を受けていた。


シルヴィは魔法の扱いがとても上手く、炎魔法で輪を作り、それを六つもジャグリングのように回すのだから、下手な大道芸より遥かに凄かった。


シルヴィは形質変換魔法という、私の硬化魔法の万能版をマスターしていた。


「お前ら、普通に卒業出来るレベルだぞ…。」

リビナード先生は地面に座って、空を眺めながらそう呟いた。



「冷やかしに行くか!!」

リビナード先生が急に言い出した。

「良いですね!!」

「…見学、なら。」

私は雷魔法の制御、シルヴィは得意の闇魔法の形質変換後の制御に苦戦していた。

お互い、数をこなせば出来る自信はあったが、なんせ午後5、6時間もの間、ずっと練習する気にはなれなかった。

6時間も自習をしているようなものだ。

いつも退屈すぎて死にそうになる。

で、結局、教室で3人、トランプに似たカードゲーム等をして時間を潰したりしていた。



「さってと、先ずは魔術師クラスだな…。」

リビナード先生はレミュレット先生を探す。

年齢ごとに別れた魔術師クラスの中から、レミュレット先生のクラスを即座に見つけ出す。


因みに、この学園は入り口の門、から学校を挟んだ反対側に、広大な敷地の校庭があり、そこで職種ごとに別れて授業をしている。


「観察しよう。」

私達三人は3分で飽きた。

まだ入学から大して経ってないから妥当なのだが、基礎魔法の練習風景を眺めていても、何も面白みがなかった。



「剣士クラスなら面白いんじゃないか?」

リビナード先生についていく。

「おおおぉぉ~!!」

カルネとエリナが模擬刀を持って立ち向かい、男の生徒が凪ぎ払う。

「おおおぉぉ~!!」

立ち上がり、立ち向かう。

「うおおぉぉ~!!!」

…暑苦しい。凄く。


「…行こうか。」

「…はい。」

皆同じ感想だった。



「格闘家クラスなら…」

…5秒もかからずに飽きた。

彼らは筋トレしかしていなかった。

基礎的な身体作り。

夏休みまでずっとこんな感じらしかった。



「カードゲームやるか…。」

「負けませんよ!!」

「…今度こそ、マリに勝つ!!」

結局、こうなった。

部屋で蚊と格闘中。


…私は格闘家ではないですよ?

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