ケモッ娘登場!!!
壮大に寝落ちてしまいました( ノ;_ _)ノ
私はこの学校のクラス分けを勘違いしていた。
この学校では、年齢ごとにクラスが別れていると言ったが、剣士、格闘家、魔術師で別れてはいないらしい。
過去に男女比による…様々なトラブルがあり、そうなったのだそうだ。
私はレミュレット先生と共にクラスに入る。
「初日から遅刻か~?」
男子の一人が囃し立ててきたが、気にしない。
「何という態度…じゃ、なくて…この子、マリさんは私達、主にリビナード先生のせいで入学式に出られなかっただけですので…責めないであげて下さいね?」
そう言いながら、廊下に突っ立っていたリビナード先生を連れてきて、晒す。
私はというと…
「ケモ耳!?ケモッ娘!!?」
超絶興奮していた。
「そんなにジロジロ見ないで下さい…。」
黒い毛並みのケモッ娘さん。
歳は同じくらい、美形、声は小さい。
「私、頭が悪い獣人じゃ無いんで…。」
「頭が良いんだね…?」
私は何のことかわからずに答えた。
すると、後ろの席の貴族な雰囲気を出す女の子が呆れた声で教えてくれる。
「獣人族って殆どが知能低いのよ?そのお陰で奴隷として使われ…ペットとか言う愛称で呼ばれてたわ。…知らないの?」
ペットが同じ発音同じ意味でギョッとした。
そういえば、アイリが種族間の仲はあまりよくないとは言っていたが…。
「全く知らないけど…今は大丈夫なの?」
「え、ええ、この国では…ね。今ではお触り禁止令とか、色々あるわよ?」
「お触り禁止なの!?」
私は残念そうに黒いケモッ娘を見つめる。
「本人の同意があれば大丈夫よ?」
「マジすか!!」
「勿論、駄目ですよ?」
「マジすか…。」
お断りされてしまった。
「それにしても、変な言葉使いますのね?」
貴族っ娘が聞いてきた。
「あ、祖国の言葉で…、ごめん。」
私は咄嗟に答える。
「何故謝るのかわかりませんが、遠くから来たのですか?」
謝罪は日本国民へ…だ。
「うん、ずっと遠く…。だから、その…色々と知らなくて…、何かあったら、教えてね?」
「アトラよりも私の方が常識人よ?」
貴族っ娘…アトラさんの隣にいた赤髪の姉御肌っ娘が話に混ざってくる。
…そろそろ娘をつけるのに限界を感じている。
「貴女が常識知らず過ぎてアトラの常識の無さが隠れているわね…。」
赤髪の女の子は呆れた顔をする。
この人、見た目は完全に平民の娘だ。
「二人は…どういった関係なの?」
「あっちの大人しそうな暴君(女)と三人で、去年入学の同期なんだ。同じクラスだったから仲良くなった。」
「去年!?」
「…この子ヤバいな。普通一年じゃ卒業検定受からないからな。毎年受けて、受かったら卒業だ。」
「ほえ~。」
知らない。紙に書いてあった気が…しなくもないけど。
「そろそろ席についてくれます?」
レミュレット先生に言われ、席を探…一番前の真ん中の列。ケモッ娘の隣だった。
「えへへ、仲良くしようね♪」
「…よろしくお願いします。」
ケモッ娘は目を細め、溜め息をついた。
クラスの生徒全員、自己紹介をした。
赤髪さんが田舎の騎士の娘、カルネさん。
大人しそうな暴君さんがマルグリットさん。
貴族のアトラさん。
ケモッ娘のシルヴィちゃん。
それと、私の後ろの席の女の子、エリナとも仲良くなれそうだった。
渾名はエリーで、女の子には珍しい大剣使いらしい。
私は祖国が滅び、何とか一人生き残った設定を話し、魔術師を強調した。
「私が担任のレミュレットです♪レミュ先生って読んでくれると嬉しいな♪よろしくね~!」
レミュレット先生は生徒に良い印象を持たせようと必死らしい。
男子勢から、可愛いだのと声が聞こえた。
「んで、私が副担のリビナード。主に特別な生徒を担当する。両担任とも魔術師だが、質問したいことがあったらレミュに聞いてくれ。」
男子勢から、無愛想だ、だがそれが良いなどと声が聞こえた。
…あいつら女なら誰でも良いんじゃね?
「リビナード先生、せめて生徒の前では先生をつけて下さい!!それと、魔法の知識なら遥かにリビナード先生の方が上なので、積極的に聞いてあげて下さい。」
「嫌だね、面倒臭い…。」
「減給申請出しますよ?」
「あっ…ごめん…やめて…。」
リビナード先生、お金に弱いのかな?
「それでは次に、寮の部屋を決めて貰います。男女別、二か三人部屋ですので、皆で話し合って決めてください。一人の人をつくってしまった場合、くじ引きにしますからね!」
あぁ、ボッチには辛いやつ…。
勿論、ケモッ娘は珍しいらしく、女子の数人がシルヴィを囲んでいた。
「あ、シルヴィはマリと組んでもらう。」
「「「え!?」」」
私はエリナと組む予定でいたため、拍子抜けしたこえを出してしまった。
エリナとシルヴィも同じような声を出す。
シルヴィを取り囲んでした女子達も驚いていた。
「今年は特別な生徒が二人だけだからな。同じ部屋の方が都合が良いんだ。お前達がこのクラスにいられるのは、昼休みと座学の時だけだな。」
リビナード先生がとんでもないことを言い出した。
嬉しいけど、友達をつくれる確率が大幅に減ってしまった。
シルヴィは私をボーッと見つめている。
エリナがボッチだったため、私は三人で組もうとしていたカルネ達に声をかけた。
彼女らは潔く承諾してくれた。
カルネとエリナは剣士であり、二人とも親が騎士であったため、すぐに息があった。
アトラとマルグリットは先生に何やら交渉をしていた。
「次に部屋の位置を決めま~す!」
…交渉内容は直ぐにわかった。
一番端の部屋が私とシルヴィ。
その隣に、自称凄く私達と仲の良いアトラ、マルグリットのペア。マルグリットとはまだ話してもいないのだが…。
更にシルヴィが夜中に襲われないようにと、その隣に特に正義感が強いカルネとエリナが配置された。
ちゃんと理由付けされているため、特に異論は出なかった。
私達は寮の部屋に行き、荷物整理をする。
「マリさんも特別な方なのですか?」
シルヴィが聞いてきた。
「まあね、魔法も魔力も筋力も…色々とおかしいから…。」
私は小声で言った。
「そうなんですか。…私は、特別な魔法を使えるんです…。でも、色々と問題があって…、迷惑かけるかもしれないですけど…よろしくお願いします。」
「私こそ、絶対に迷惑かけるから、よろしくね。」
「…絶対に?」
「絶対に。」
「少な目でお願いします。」
「あ、うち大盛りしか出来ないんで。」
「なんと迷惑な…。」
シルヴィは苦笑いする。
でも、少しは距離が縮まったかな?
リリィさんの一件のお陰で、襲うより普通に優しく接していた方が仲良くなれると身をもって体験していた私は、そういう方針で近付こうと決めた。
部屋を出ると、カルネ、アトラ、マルグリット、エリナが待っていた。
「私達も剣士と魔術師組で別れてるからさ、せめて昼食は一緒に食べない?」
エリナの提案を、断る者はいなかった。
次回、再びアクシデント!!
…いつものことか。




