意外とモテてる私。
投稿遅れてしまい、すみませんでした。
「おうおう、派手にやったねぇ…。」
焼け焦げた部屋に、リビナード先生がやって来た。
「なんで先生がここに…?」
二人の治癒を終えた私は、先生に一礼する。
「なんでって…私はここの副責任者だからねぇ…。リーゼがいない時は私が面倒を見てるんだ。………と、言う体だ。」
「へぇ~。」
私は適当に相槌をうった。
なんか、クズが多いねこの街。
いや、私が屑を呼び集めている…?
…類は友を呼ぶ?
………まさかね。
リーゼさんとリリィさんは沢山の泣きじゃくる修道女達に囲まれて、隣の部屋のベッドに寝ている。
なんか私、すっごく睨まれてたような…。
…そりゃそうか。
「それで?お前はこの部屋で寝んの?」
リビナード先生が怠そうに聞いてくる。
「…それ以外にないので。」
「そっか、ドンマイ。」
……?
「なんか、救いの手を差し伸べてくれたりとか…。」
「んなものねーぞ?私の仕事はリーゼが起きるまで揉め事が起きないよーにすることだけだ。」
リビナード先生はリーゼさんと知り合いなのかな?
それを聞くと…
「私とレミュとリーゼは小さい頃からの古い付き合いでな…まあ、全員性格に難ありな感じに育ったんだけど。」
小さい頃…?リーゼさんは領主だよね?
リビナード先生の家も凄い所なのかな?
…それよりも、
「レミュレット先生も性格に難ありな人なんですか?」
リビナード先生が露骨に顔をしかめる。
「レミュレットの二つ名は狂乱の悪魔、だ。察しろ。」
「狂乱…!?」
全然想像が出来ない。
「優しそうなお姉さんって感じがしたし、リーゼさんみたいな恐怖を感じなかったけど…。」
リビナード先生はため息混じりに答える。
「あいつ、恋人が盗賊に捕まった時に、いつも以上に暴走してな、恋人に怯えられて、別れたんだ。失恋後は大人しくなったな。というか、戦わなくなった。」
恋がレミュレット先生を変えたのか…。
いや、恐らく表面だけなのだろう。
年齢的にも、恐らく二十代後半な先生としては、結婚に必死なのだろう。
「私達三人の噂は国内外に広まってるからなぁ…中々上手くはいかないだろうな。」
リビナード先生も気が付いているらしい。
「先生は彼氏いるんですか?」
「私は煩わしいのは苦手だ。一人のが楽。」
リビナード先生のそれは諦め、というよりは本心といった感じがした。
「さて、と。起きたみたいだな。」
修道女達が騒いでいる。
リビナード先生の前にいる修道女達は道を開けていく。
私はその後ろをくっついていく。
これは、学校で学んだ知恵だ。
先生の後ろをついていけば、ボーッとしていようと生徒とぶつかることはなかった。
「マリさん、すみませんでしたっ。」
「マリさん、貴女…。」
リリィさんは反省してくれていた。
「あ~、その話は私からしておくよ。」
リビナード先生はリーゼさんの言いたいことを察したらしく、そう言った。
恐らく、雷魔法のことだろう。
「リビナードもしてもらったのぉ?」
「は?」
リビナード先生が困惑する。
私も何かをした覚えはないので、困惑しているが。
「髪よ髪!!触ってみて!!すっごいわよぉ♪どんな回復魔法なのぉ!?教えてくれない!?それか、飼わせて!!?」
…嫌です。
「雷魔法で服とか髪が傷んでしまっていたので…せめて、髪だけでも、と…。」
私はリビナード先生に耳打ちした。
「リーゼは見た目主義な所あるからなぁ…。」
先生は呆れている。
「性格なんて交われば好みに変わるからねぇ♪」
リーゼさんはニコッと笑う。
服がボロボロで露出度がかなり高くなっているため、かなりエロい。
私が異世界物の男主人公なら確実に鼻血を噴出しながら吹き飛ぶレベルだ。
…と、思っていたら、周囲の修道女達が一斉に鼻血をだして、倒れ、吹っ飛び、気絶し、失神していた。
「あらあらぁ♪それじゃあ、私達はこれで失礼するわねぇ♪マリさんはリリィの部屋で寝なさい♪」
リーゼさんは満更でもないご様子でベッドから降りて立ち上がると、リビナード先生と何処かへ行ってしまった。
…リリィさんの部屋で寝る?
危険度高すぎない?
「大丈夫です。もうマリさんが嫌がるような事は決して致しません。マリさんから…来て貰えるような女になるため、日々精進させていただきます。」
リリィさんはペコペコしながら、控え目に言った。
…いや、女な時点でそんな感情湧かないからね?
夕食まで少し時間があったので、今度こそリリィさんに院内を案内してもらう。
その間、雑談をした。
そして、わかったこと。
・この街には孤児院があり、やはりリーゼさんが頂点。孤児院教育(意味深)にも力をいれているらしいこと。
・リーゼさんはこの街の全学校を男女別学制にしようとして、国と争っていること。
…私もこのくらい真剣に何かをしてみたいな。
私はこの修道院に来てから、色々と考えさせられている。
「私の…したいこと…。」
学校に通って、同年代の子達を見ていれば、何かヒントを得られるかな?
「さて、ここが最後、そしてこの院最大の名所、薔薇の高台です!!」
…薔薇っていうのは…百合の逆って意味だ。
私がそう訳した。ホモの高台はよくないでしょう?
「あのボロいのが…」
「男子修道院です。」
昔は修道院、女子修道院、と呼ばれていたらしいが、リーゼさんが入れ替えたらしい。
周囲には男子修道院をガン見している修道女達が沢山いる。
「…何を見ているの?」
私は近くの修道女に話し掛けた。
「あそこの角の…ボロい所、ほらっ!!」
私は言われた通りに見…うわぁ…。
「向こうは気が付いていないんですよね…。」
「はい、男子修道院がボロいのはこの為です!!」
残念ながら、私は男×男を見て興奮する、といった感性を持ち合わせてはいなかった。
「…汚ならしい。」
リリィさんは男性を見るのも嫌いなようだった。
夕食を食べ終え、小休憩を挟んだ後、院内の浴場に入ることになった。
リーゼさんとリビナード先生は夕食になっても来なかった。
「流しっこしましょう♡」
リリィさんがノリノリで私についてくる。
「しませんよ…」
私はそう呟いて、気が付いた。
「全員が…流しっこしてる…。というか、乱交に近いレベル…。」
見渡す限り、ニ~四人のグループで、明らかに洗うというより触る目的で触れ合っている。
私は狼狽した。…というより震えた。
…修道院って違うよね?
~こんな修道院は嫌だ~
風紀が乱れまくっている。
こんなんで良いのか?神様よ…。
「ふふふっ♪」
リリィさんは修道女の中ではかなりの権力を持っているらしく、私を独占している。
そして羨ましそうに見つめてくる修道女達が十人程度。
恥ずかしくって気が気でない。
黒髪は珍しいらしく、院内を案内してもらっている最中にも髪を触ってくる人が沢山いた。
「皆黒髪は建前、狙いはマリさんの全てよ♪」
リリィさんは自慢気に言う。
「そして、マリさんは私のもの…。」
「…違います。」
「じゃあマリさんは皆のものなの?」
「違います、私は私のものです。」
「駄目ですよ、こんなに素晴らしいのだもの、他人と分かち合わないと!!」
褒められている…のかな?
「私、大してルックスが良いわけでもないし…」
途中でリリィさんに止められた。
「あんまりそういうこといってると、奴隷牢に堕ちてしまいます。お気をつけて。」
リリィさんが忠告する。
「この国って奴隷制無いんじゃ…。」
「この院では生意気な女性を神の名の元に浄め、更正させるための特別な部屋があるのです。」
…もう同人誌なレベルの世界だね。
リリィさんに特に変な所を触られたわけでもなく、無事にお風呂を脱出した私は、リリィさんといっしょに眠りにつく。
リリィさんは私との好感度を上げる為に必死らしく、綺麗でかっこよく、頼り甲斐のある良いお姉さんになっていた。
暴走しないで、ずっとこういうリリィさんだったら、危なかったかもしれない。
何はともあれ、明日から学校なわけだが、修道院での半日が濃すぎたせいで全く実感が湧いていなかったりする…。
楽しかった~。




