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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
3/93

狼に囲まれ絶体絶命!?

目が覚めると森の中に寝ていた。

「うぅ…」

寝ながら伸びをする。

「冷たっ!?」

手に当たった冷たい水の感覚で飛び起きる。

すぐ後ろには澄んだ泉があり、水はとても冷たかった。

「痛っ…!?」

そういえば左足を折っていた。あれは確か…崖から飛び降りた時に……???


そこでやっと気付く。

「崖が…無い…!?」

そう、ここは森の中。崖なんて無い。というか全く見知らぬ景色だ。

「何処よここは…?」

勿論、誰も答えてはくれない。


取り敢えず頬っぺたをつねってみる。

「痛い。」

夢ではないようだ。


「ならここは…。異世界!?」

それは彼女の願望であり、厨二病患者の夢でもあった。

「もし異世界だとしても別世界ってだけで魔法が使えるとは限らないよね。」

呟いてみる。魔法が使えない、ただただ身寄りがない状態で放り出された別世界なんて最悪だ。


「というか…。」

先程からやけに身体が熱い。特に胃のやや上辺りだろうか。それになんか力が湧いてくる。

「これは…出来るのではないだろうか…。」

周囲を見渡す。

今のところ誰にも見られてはいないようだ。


まずは王道の火魔法だ。

「燃え盛れ、地獄の業火よ!!」

それっぽい詠唱をしつつ炎をイメージしてみる。

すると…。


「何も起こらない…。」


続いて、水、風、土、光、闇と唱えていくが…。


「何も…起こらない…。」


明らかに身体は熱い。なにか使えそうなのに…。


「もしかして、この世界には存在しない未知の魔法が使えるようになったとか…!?」

これも願望だ。だが、それが何かわからない。

そして、この世界が本当に異世界かも、異世界だとして魔法があるのかもわからない。さらに、異世界に来た自分だけが魔法を使えない、という最悪なシナリオが頭をよぎる。

「ああ~もう、わけわかめ~。」


取り敢えず、泉の水で顔を洗う。

「ぷはぁ、気持ち~♪」

凄く綺麗だ。試しに両手で水を掬い、一口飲んでみる。

「旨っ!?」

普通に美味しい。川でもない、泉の水なのに何故か綺麗だ。

「ゴク、ゴク、ゴク…。」

夢中になって飲み続ける。


「ふぅ、美味しかっ…!?」

そこでやっと異変に気が付く。

ガサガサ…。ガサガサ…。

「…囲まれてる?」

「ワウゥ!!」

一匹の何かを先頭に、続々と何かが私を泉と挟むように囲んだ。

「犬…いや、狼!?…でも色が…?」

見たことない毛色の狼の群れだ。青をベースに翠の毛が点在している感じ、翠の毛が多めなのは雌かな?


「ガルルルルゥ!!」

呑気に考察していると、一斉に今にも襲ってきそうな声で鳴き始める。

「もしかしてこれって…ヤバくない?」

魔法は使えない。慌てて武器になるものを探す。

「あ、これで……、勝てる気がしない…。」

右ポケットにカッターナイフが入っている事に気がついて取り出す。

「カチカチカチ」

刃を出してみる。やはり、勝てる気がしない。

目視出来るだけでも軽く30頭以上はいる。しかも後ろは泉、それに足が折れている。逃げられる訳がない。


「こういうときは、無理矢理身体を動かさないとね。」

私は車に跳ねられた事がある。軽い打ち身で済んだので特に事件にも事故にもなっていないが、その時の事を思い出す。

避けられる距離はあった。跳ねられる前は躱せば良いと思っていた。が、実際は身体が動かなくなった。避けなきゃと頭では思いつつも身体は固まったままだった。


あのときは車だからよかった。速度もたいして出ていない路地裏だったからよかった。だがこいつらは違う。

「捕まったら捕食される…。」

想像すると恐怖で身体が固まってくる。

「ふっ…、ふふふっ…。」

でも、もしかしたら私はこの時を待っていたのかもしれない。動物を殺すことを正当化出来る時を…。わざとそう思い込むようにする。狂気で恐怖を吹き飛ばす為に。向こうの世界では絶対に経験出来ないことだ。ずっと憧れていた非日常だ。


「こおぉい!!!」


力の限り叫ぶ。全身に力が漲ってくる。

私の叫び声を合図として狼達が飛びかかってくる。反射的にカッターを振り抜く。


「ヒュオッ!!ザシュッ!!」


??? 有り得ない速度で手が振れた。

頸動脈から血が吹き出し、狼は絶命する。


「ヒュオッ!!ザシュッ!!」

「ヒュオッ!!ザシュッ!!」

「ヒュオッ!!ザシュッ!!」


次々と倒していく。いける!!

カッターの刃を適度に折って切れ味を維持しつつ振り抜く!!


「ヒュオッ!!ザシュッ!!」

「ヒュオッ!!ザシュッ!!」

「ヒュオッ!!ザシュッ!!」


再びカッターの刃を適度に折る。


「ヒュオッ!!ザシュッ!!」

「ヒュオッ!!ザシュッ!!」

「ヒュオッ!!ザシュッ!!」


再び……?カッターの刃がもうない!?


慌ててカッターをポケットにしまう。

こうなったらやけくそだ!!

飛びかかってくる狼をぶん殴る。

吹っ飛ぶ。

木にぶつかって絶命する。

「ありゃ?」


裏拳

「ドゴン!!」


チョップ

「ズドン!!」


ビンタ

「ズパーン!!」


パンチ

「ズガーン!!」


夢中になってぶっ飛ばす。


気がついた時には生きた狼はいなくなっていた。辺りにあるの狼の死骸だけだ。




泉で手を洗うと、歩けない私に出来ることはなくなった。

「少し昼寝でもしてから考えようか…。」


少し疲れた。こんなにも夢中になったのは久し振りな気がする。狼達には申し訳ないが久々の運動、とっても楽しかった。

「おやすみ~。」

わからないことが多すぎる。

なので取り敢えず現実逃避する。

お腹が減ったら考えよう。


全くの無計画ながら、私は眠りについた。

沢山書いた筈なのに読んでみるととても短いですね。

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