ラシャの街の女帝はブレない。
「大司教様~。」
変な格好…じゃなくて、聖職者な格好をしたてっぺんハゲのおじさんが超速早歩きでやって来た。
「あら~どうしたのぉ?」
…ん?大司教…なんでリーゼさんが対応してんの?
「あそこの光の魔法石が…。」
「あら~バレちゃった?お供え物で隠しといたのに~。」
「……お願いしますね。」
男は一礼すると足早に逃げていった。
「…大司教?」
「あらあら、知らなかったのぉ?この街の全ての機関の最高権力者は、私なのよぉ♪」
…はい?
「ここは、私の街なのぉ♪」
「…領主は?」
「私よぉ?」
「あっはい、そうですか。」
…もう、どうでもよくなった。
私達は図書館に入る。
光の魔法石とやらの交換はしてないけれど、いいのかな?
まあ、最高権力者相手に強く言える者などいないのであろうが。
「本が沢山ある…。」
私は当たり前のことを言う。
「残念ながら、魔法のお勉強が出来る本は少な目よぉ。学生向けだから、貴女には無縁かもしれないわねぇ。」
どうやら王都の方に沢山あるらしい。
ここは宗教本や…語学、数学…というか算数?の本が多いかな?
「娯楽小説とかは無いのですか?」
少しはあっても良いはずだ。
「こっちに色々とあるわ♪…流石に官能小説は無いのだけれど…。」
それ、絶対にあっちゃ駄目なやつでしょう!!
腐っても教会、そこはちゃんとしているね。
…当たり前のことな気がするけど。
私はおもむろに一冊を手に取って、読んでみた。
王国語だから普通に読める。
「………ん?」
私は元の場所に戻し、新たに別の場所から本を取り、読む。
「……いや、…え?」
私は元の場所に戻し、新たに別の場所から本を取り、読む。
「……………。まさか…。」
「あら♪気が付いちゃったぁ?」
……全部女×女、男×男な小説なのですが。
「冒険物とかミステリーまでそういう系なのは…悪意を感じる…。」
「慈善事業よぉ~♪…目覚めて修道院に入る娘も増えたし、他の所じゃ虐げられてる娘なんかも、うちに来てくれるのよぉ?」
慈善事業ってなんだっけ?
…でも、差別されない世界をつくっている…のか?
「…いやいやいや、ただの洗脳じゃないですかこれ!!」
「宗教なんてそんなものよぉ?」
…ほんと、何なんだこの人。
「…でも、人が増えすぎたりしないのですか?」
「…年寄りは飛ばすし、ブスには全てを負担させる。」
リーゼさんは急に苦虫を噛み潰したような顔をして、とんでもないことを言い出した。
「我が修道院は、同じ階級の中では、可愛い娘程に、身分が上なのです!!」
「酷いですね…。」
「恨むのなら神様を恨みなさい。ブスにはそう教えています♡」
「あぁ、もう、いいです…。」
…この人はこういう人なんだと納得するしかない。
「マリさんのような綺麗な黒髪の方はうちの修道院にはいないので、是非とも来て頂きたいですねぇ…。」
「お断りします。」
「…私に一夜だけ時間を下さい!!」
「…嫌です。」
「う~ん、親族がいる方なら落としやすいのですが…ねぇ…。」
「それ、脅しやすいの間違いでしょう!?」
この人にとって、修道院とはただのコレクションなのかな?
…ポケ○ン感覚?
「私も暇じゃないから、少しここで暇を潰してて貰えるかしらぁ?そうしたら、修道院に案内するわぁ♪」
「断ったら?」
「退学ねぇ♪」
「マジですか…。」
断れない…。
結局、私は図書館内を散策することにした。
「熱心だなぁ…。」
真剣に宗教の勉強をしている子達も多い。
お年寄りと子供が多いかな?
「さって、と…。」
文系世界史選択、中二病な私は創世記コーナーに来ていた。
全て訳されているので、驚くほどに眼鏡を使う機会が無い。
「あのクソギルマスめ…。」
恨み言を呟きながら何冊か軽く読み流してみる。
「雷の神様についてが多い…。」
「そりゃあこの世界は原初の雷から生まれ、七つに別れた雷が神となり、火、水、風、土、光、闇、そして雷の神となったのですから。」
私の呟きが聞こえていたらしく、近くにいた眼鏡の少年が教えてくれた。
…雷魔法ってあったの?
「因みに雷神様は天帝と呼ばれ、その聖なる雷の力により、悪を滅するだけではなく、豊穣の手伝いまでしてくれていると言われています。」
まぁ、空気中の窒素が土壌に…的な感じで肥料的な役割を果たすとは聞いたことあるけど…?
……悪を滅する?
…天帝の使い?(先生談)
雷使いの私…。
なんか、面倒な予感が…。
「かつて、天帝が地上にいた時代、天帝の使いとして世界中を制圧していった者達がいた。その者達は雷を自在に操り、世界を統一した。」
背後からリーゼさんが語りだした。
「いたのですか!?」
「部下に命令するくらい一瞬よぉ♪」
権力怖い…。
「しかし、天帝は使い達と共に、空へと昇ってしまう。何故かはよくわかっていないの…。一説によると、原初の雷が生まれる前の世界、暗黒世界の王ディドルザに恐怖され、封印された…とかなんとか…。」
「…こういう事ってどれくらいの認知度なんですか?」
「宗教を信じていなければ、知らないんじゃないかしらぁ?最近だと、神に祈れば救われる、的な所ばっかり押し出しちゃってるしぃ…。雷信仰をしている人は多いけど、雷魔法のことを知っている人なんて一握りよぉ。」
…これは微妙だ。これは、魔法の使いどころにも気を配る必要が出てきたかもしれない。
いっそ肉体的な力だけで…それも駄目だね。
私、格闘家じゃ無いから!!
私は魔術師なのだからっ!!!
「神話の話なんて何時でも出来るし、今日はお仕舞い。さて、修道院に向かいましょうかねぇ♪」
いつの間にか少年はいなくなっていた。
リーゼさんは楽しみで仕方がないといった顔で私を引っ張っていく。
私はリーゼさんの恋人つなぎを何度も振りほどきながら、修道院へと向かう…。
無駄話って書いてると止まらないんです!!!
Q.少年が消えたのは伏線ですか?
A.いいえ、モブなので消えました。
Q.話が全く展開していないようなのですが?
A.前回の作者コメは無効になり、二度と発動しません。
Q.エロいのきますか?
A.調整中




