完全に腐敗しきった教会と修道院
「モグモグ…まだ夜まで時間あるし…。」
私の体内時計は午後3時を指していた。
私は食べ損ねたお昼を食べる。
「ハンバーガー旨い…。」
名前は違うがほぼハンバーガーだ。
パンにオークとツノウサギのひき肉を混ぜたハンバーグと、チーズ、玉ねぎが挟まっていて、やや酸味の効いたトマトソースがかかっている。
それにしても、チーズまであるとは驚きだ。
不自由はスマホが無いことくらいかも。
…さて、食べ終えてしまった。
「現実が~♪攻めてくる~♪」
私は半分壊れかけていた。
「…えへへ、…。」
独り言で照れた声を出したら、現実世界に引き戻された。
…私、今凄くキモかったよね。…何してんだろ。
「とりま図書館行ってみますか…。」
私は周囲を見渡す。
…図書館らしい建物は無い。
「?おかしいなぁ…。」
「どうかいたしましたかぁ?」
後ろから不意に声をかけられた。
「あ、いえ。えっと…」
「私、この街のこと、誰よりも詳しいですよぉ?」
「え、じゃあ…。」
話しかけてきた女性はいかにも高級そうな白い服を着ていて、凄くおっとりしていた。
髪は薄いピンクで、ニッコリとした目の奥に、何かを…
…この人、多分ヤバイ人だ。
女の勘が告げている。
この人の笑顔の裏には…
「どうしましたぁ~?」
恐らく、勘も良い…。
それか、相手の気持ちを読み取るのが上手いのか…。
私が何かに勘づいたと感じるや否や、私を逃がさない、というとてつもない殺気を含んだ圧をかけてくる。
「ど♪~し♪ましたぁ~?」
逃げられない。なら、図書館を聞いて本を探す体で逃げよう。
「あの、この街に図書館があると聞いたのですが…。」
「あぁ、図書館…うちの教会の図書館のことですねぇ~♪ご案内しますよ~♪」
…ん?うちの教会…?
「私、修道院長やらせて頂いております、リーゼ・トルナリヒ・アルデントと申します。マリさん♪」
「え…なんで…名前を…。」
「私はこの街の事、誰よりも詳しいんですよぉ?」
ヤバイ…この人…恐い…。
「怖がらなくても、夜は優しくしてさしあげますから~♪」
「はぁ?…あっ…。」
つい生意気な返事をしてしまった。
…仕方なくない!?
「…あの、すみません…。」
「あら可愛い♪」
…うぅ。完全にペースを捕まれている。
「ふふっ、宿が無いのでしょう?一日くらいなら、修道院に泊まらせてあげても、宜しいのですよぉ?」
図書館のある教会へと向かいながら、リーゼさんは話しかけてくる。
「その…なんで知っているのですか?」
「その質問は野暮よぉ。私はこの街の全てを知っているのですからぁ。」
リーゼさんのどや顔可愛い…。
…けど、超怖い。
「泊まらせてくれるっていうのは…無料で?」
「あらあら、世の中そ~んなに、甘くは無いわよぉ~♪」
リーゼは笑顔で私の首から胸へと手を滑らせる。
…歩きながら。
…完全に手慣れている。
「…やめてください!」
私は振り払う。
「あらあらぁ…泊まらないのぉ?」
「意味がわかりませんが?」
「今日一日かけて、身体で払ってくれれば良いのよ~♪」
「絶対に嫌です。というか、修道院長がそんなんで良いのですか?」
私はあくまでも冷静に返す。
「そうねぇ…。法令で、修道院長は全員女性になってから、楽しい毎日よぉ~♡」
「…どういうことですか?」
「修道士と修道女は修道院長に絶対服従っていう大原則があるのぉ。そのお陰で一時期は教会の腐敗が凄くてねぇ…。男が絶対に修道院長になるものだったから、女の人権皆無。…でも今は逆♪女性天下!!」
リーゼさんは鼻息を荒くする。
「いや、その法令、そういうのを防ぐための…。」
「他所はそうみたいねぇ…。でも、うちはうち!!」
「…と、言うと?」
「女×女、男×男!!見てもヤってもさいっこう♡」
…ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
「…それで、許されているのですか?」
許される訳無いよね?普通…。
「私はこの街の王女みたいな感じだからねぇ♪治安は凄く良いのよぉ?事前討伐してるからぁ♪お陰で学生達も、安心して勉学に取り組めるのよぉ~♪」
…事前討伐って…恐らくは暗殺…なんだろうけど。
満開の笑顔で言わないでよ…。
「それに、此方には未来を担う子供達っていう、有能な人質があるからねぇ♪」
…どうしようもない屑が全知全能の神の如く君臨している街。でも、お陰で平和…。
「…流石に神様は信じていますよね?」
聞かずにはいられない。
「勿論よぉ♪神様のお陰で女の子達と毎日イチャイチャ出来るのですものぉ~♡」
…おい、神様。それで良いのですか!?
私達は教会についた。
まず、お祈りしてから図書館に向かうらしい。
「はぁん♡リーゼ様ぁ…。」
「あぁあ♡」
教会に入ると、何人かの修道女が発情期のような声をあげた。
「修道院はもっとスゴいのよぉ♡」
…腐敗し過ぎでは無いかな?
私達はお祈りをする。
私は、見よう見まねだ。
「あぁ、神よ。今宵はマリさんとセッ…」
「神様…お願いです!!リーゼさんの願いを聞かないで下さい!!!」
…どちらの願いが叶うかは、神のみぞ知る。
無駄話って書いていて楽しいんですよ…。
次回、ちょっとだけお話が展開するかもです(意味深)




