予測不能なイベント!?
「着いた~。」
いや~、着きましたね。
な~んにもトラブル無く。
いや、国営は安全とか完全にフラグな筈だったのに。
「マリさんのおかげですっごく楽しかったです!」
…まぁ、ラミには懐かれたから良いとするか。
「孫に良い土産ができたわい…」
…おじいさんには懐かれたくないね。
「トラブルが無さすぎで暇…ケフンケフン、特にすることもなかったし、ほんと、安全なんだね。」
「これも、国王陛下のおかげじゃ。この国は善き王を持ったのう…。」
その言い分だと、マジで国外ヤバそうだね。
…向こうの世界でも、日本人が平和ボケしているだけで、普通に戦争とか略奪とかが常に起きているらしいけどね。
「では、解散で。」
私達はきちんと互いを見張り合い、全員がお金を払い終えるのを確認し、別れた。
「さ~てと、予定としては、今日試験受けて、明日から入学…そんでもって寮生活!!!」
楽しみ…だ…?
何か違和感を感じた。
私、何か忘れてない?
もう一度、リピートする。
「さ~てと、予定としては、今日試験受けて、明日から入学…そんでもって寮生活!!?」
…今日試験。
…寮生活は明日から。
……今日は…どこで寝る?
「宿!!!」
私は走り出した。
「…マジか~。」
馬車イベント無しで油断してたわ…。
全宿空いておりませんでした!!!
…取り敢えず、試験でも受けに行こうかな♪
私は現実から抜け出して、自由になった。
「学校…というか、大学チック?」
日本人お馴染みのああいう感じの学校ではない。
ああいう感じはああいう感じだよ!
取り敢えず、試験会場と書かれた看板の矢印の方向へ突き進む。
勿論、壁を突き破って…なんてお茶目な真似はしない。
「あの~?ここで試験を受けられると聞いたのですが?」
中から大人びた…セクシーな紫髪の女の人が出てくる。
「あぁ、マリちゃんだね?ケインさんの推薦なら間違いないとは思うけど、一応試験をおこなうよ。」
私は室内に連れていかれた。
「因みに、ギルドカードはあるかい?」
「あ、はい。」
私はギルドカードをバッグから取り出し、渡す。
「ふぇ!?…ん?はぁ!?…へぇ。」
…なんだこの人全然セクシーじゃないや。
すんごいアホな顔しとるし。
身体はセクシーでも心はダメダメだね。
「…魔術師コース、なんだよね?」
「はい!!」
「格闘家は極めたと?」
「格闘家になどになった覚えはありませんね。」
「1クエストでランクBになった人なんて初めて見たよ。」
「偶然大きなゴブリンの集落があったのでぶっ潰しただけですよ?」
「どうやって?」
「……素手で。」
「それはつまり…」
「魔術師です!」
言わせね~よ!?
私は魔術師になるんだ!
「コホン、まあいい。では、伸長と体重を測る。」
おお、測定器だ!
…この異世界、結構近代的だよね。
「体重とかって公表されませんよね。」
「…女って面倒くせ~。」
貴女も女でしょう!
「胸囲測る?メンドーだからいいよね?」
「どちらでもいいです。」
「駄目です!測って下さい!!」
突如、女性の声が響いた。
「え~、レミュちゃんやってよ。」
「リビナード先生がやるって言ったんでしょう?」
「ほら~、こういうの、うちの管轄外だから…。」
「お仕事!!お給料カットされますよ?」
「それはキツいって~。」
「…あの~?」
話しかけないと永遠に続きそうだ。
「あ、悪い悪い。こちらが十~二十代の魔術師クラス担当、レミュレット先生。んで、私がリビナード。宜しく。」
「宜しくね。…じゃなくて、入学試験すらしてない子に自己紹介とか…。」
「どーせ受かるって。最悪格闘家で。」
「受かりませんからね!?」
…何を言っているんだこの人達は。
「さて、後は握力と、魔力検査くらいか?」
色々と測ったが、試験とは何なのだろう。
というか、試験受ける前に身体測定とかする?
「…試験する前に身体を測っていたんですか!?」
レミュレット先生はおかしいと気が付いたらしい。
「ギルドカード見て大丈夫だろうと思ってね。」
そういってリビナード先生は握力計を持たせてくる。
力の加減に気を付け…
「きゃっ!?ちょ、あっ…。」
リビナード先生に脇を擽られた。
手に力が入ってしまった。
結果…。
二度と使用不可能な握力計がそこに…。
「マジすか…。」
「へ?え?え?」
…私の怪力が教師陣にバレることになってしまった。
「次、このサンドバッグ叩いて。壊して良いから全力でね。」
…もう、どうなっても良いよね?
だから…ありったけを…
バスン!!
サンドバッグは動かなかった。
私の腕がサンドバッグを貫いただけで終わった。
「ゴブリンキングもこうやって殺ったの?」
「…はい。」
「…魔術師なんでしょう?」
「…多分。」
自信が無い。魔法は戦闘では使っていないし。
「んじゃ、最後に魔力検査だ。」
先生に言われた通り、火から始める。
「ぎゃはははははは!!!」
「ぶふっ…リビナード先生、笑い方が汚いですよ!」
いや、注意するところ違うでしょ。
そして吹き出したあんたも充分汚いですよ!
…掌にマッチ程の火がついただけだった。
火魔法は特に空気中の魔素を利用する魔法なので仕方がないんだけど。
「水が…一応適性…か?操れるだけでも評価は高いが…。」
火水土風光闇をやらされた。
まあ、火と水しか出せない。
「これが私の適性魔法なんですけど…。」
私は面倒臭くなって、隠さずに雷魔法を見せる。
「うおおおぉぉ!?こいつぁすげぇや!!」
リビナード先生は興奮している。
「天帝の使い…。」
「ただの女の子ですよ!?」
レミュレット先生に至っては頭がおかしくなったのかな?
本当に面倒臭くなったので、自然の雷の原理とか、雷魔法のこと、放出が出来ないことなど、全て話した。
二人は驚いて聞いてはいたが、納得してくれたようだ。
「入学確定だ。明日から、宜しくな。」
「よかったですね、リビナード先生。」
「ああ、最後の一人で奇跡が起きたな。助かった。」
何を言っているのか、よくわからない。
が、取り敢えず用は済んだので学校を後にする。
明日から久しぶりの学校生活だ。
今日は良く寝て………あ。




