まさかの…。
異世界来てから初めて見たよ幼女。
…というか、見た目四、五歳くらいだよ?
両親っぽい人いないよ?
大丈夫なの!?
「私、御者をさせていただきますオウルです。」
「同じく、ドッグです。皆様、よろしくお願いします。」
確か…犬と梟?
いや、異世界ではそういう意味無いけどさ。
それに梟はアウルって言うのが正しい発音だって先生が言ってた。
覚えやすくて良かったけど。
どうやら、最低でも五日間は一緒なので、自己紹介し合うようだ。
老夫婦から始める。
小話を聞き流して重要な点を抑えると、
おじいさんがラオンさん
おばあさんがヅンさん
……無駄話多すぎ。
「私がエリスでこっちがハーヌよ。インタルには観光で来たの。で、帰りよ。」
「よろしくね~。」
女性二人は友人のようだ。
…やっぱり幼女の母親ではない。
「俺はドイっつうここらじゃあちとかわってる名前だ。そこの化け物みたいな奴と比べないでくれ。これでも頑張ってランクDになったんだ。」
少し申し訳無い気持ちもあるが、化け物扱いは酷いだろう。
私は自己紹介に弁明を盛り込むことにした。
「私は普通の魔術師の女の子です。ハンターになって数日で、とっても遠くの国から来たので、わからないことも沢山ありますが、色々と教えてくれると嬉しいです。それと…ただの初心者ハンターなので、あの人の言うことを信じないで下さい。」
「おい、てめぇ…。ここにいる人達が知らないのを良いことに…。」
ドイさんは苦笑いしている。
「言って良いのかわからんが、こんな女の子が強いわけ無いだろう。」
「そ~だ、そ~だ!!」
おじいさん…の、ラオンさん?も否定してくれた。
因みにその後煽った人は、私だよ。
「便りにしていますよ、ドイさん。」
私は笑顔でドイさんにお辞儀をした。
「もしもの時は頼んだぞ?」
「私達も、便りにしていますよ?」
皆が口々にドイさんに言葉の矢を放つ。
「……。」
ドイさん、頑張れ!!
「あの…私は…。」
幼女が控えめに話し出す。
「あ、ごめんね。自己紹介よろしくね。」
私のせいで自己紹介のタイミングを逃していたみたいだ。
「私は…ラミナス・ミトンと申します。えっと、…温泉を経営しているおばあちゃんに会いに行った、帰りです。」
………温泉…?、温泉!!?
「あああああぁぁぁ~~~!!?」
私はとっても大事なことを忘れていた。
「ど、どうした…?」
皆の心配そうな視線が辛いです。
「…その……温泉入るの、忘れてました…。」
私はしょうもないことですみませんと頭を下げようとしたが、周りは思っていた反応とは程遠かった。
「逆にあの街、温泉以外に何があるんじゃ…。」
「温泉のために行くようなものじゃない…。」
「おばあちゃんの温泉、気持ち良いのに…。」
「お前さん血しか浴びてないもんな…。」
「お気持ち、お察しします…。」
…何このお通夜モード。
「それでは、出発しますね。」
私のせいで変な空気になってしまい、耐えかねた御者の二人が馬へと移動した。
馬の遠吠え?と共に、馬車は動き出す。
「そういえば、ラミナスは一人で大丈夫なの?」
「ラミでいいです。この馬車はこくえー馬車なので安心だって皆言っていますよ。」
こくえー…国営…ね。
単語の意味は知らなそうだね。
「襲われるのは商人達の馬車だな。わざわざ国営馬車を襲ったって金目の物は無いし、単に国を敵に回すだけだからな。」
ドイさんが説明してくれる。
「でも、女目当てな輩とか…。」
「とにかく、リスクが高いからな。国営だから発見されるまでも早いし、盗賊はそんなに馬鹿じゃねぇ。女は街や旅人、やっぱり商人の馬車に乗ってる奴が狙われる。」
「わざわざ商人の馬車に乗るの?」
「国営馬車は主要都市間だけだ。」
「成る程。」
まあ、とっても退屈な…じゃなくて、安全な旅になりそうだね。
「それにしても、お前さんは遠くから何で来たんだ?」
あ、やっぱり聞かれてしまった。
「徒歩…?」
「はぁ!?」
もはや私達二人の会話になっている。
私は幼女成分を欲してラミの方を向くが、ラミは寝ていた。馬車は結構揺れているが、私以外は馴れているようだった。
…退屈だ。退屈過ぎる。超退屈過ぎる君だ。
「暇ー。ドイさん一発芸やって~。」
「んなもんねーよ。」
うわぁ…つまらない男ですね。
まあ、こういうノリをする女は嫌われるっていうけど…それくらい暇なのだ。
「なんかゲームしない?」
「まぁ、別にいいが…。」
私は五日間、退屈しのぎにゲームをし続けた。
…そんなわけで、これからこの王国ではあっち向いてホイが流行る事となった。
あと、いっせーの、とか言って指出すやつ。
私、正式名称知らないけど。
な~んにもイベント起きなかったよ(怒)
まあ、平和が一番…なのかな?
だって…国営だよ…?
…どうしろっていうのよ…?
次回の投稿は朝頃です。
その次からは午前0時に戻します。




