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怪力少女にご注意を!  作者: アエイラ
本編
20/93

女子達の覚悟!!!

すみません、話の都合上前話を改稿しました。

依頼理由のとこです。

解体場で向き合う。

目と目が合う…訳ないじゃん。

私は足元を向いている。

ほっ、ほら…蛇に睨まれると固まっちゃうとか石になっちゃうとか聞くから…。

…気持ち悪いなんてオモッテナイヨ?

ソンナシツレイナコトオモッテナイヨ?


「試合開始!!」

ギルマスの合図で意識が現実に戻ってくる。

「きしゃ~~!!」

蛇男の口から奇声が漏れる。

だから何なのその声?音?癖なの?


蛇男は右に左にフットワーク…というよりヌメヌメというか、クネクネというかしながら距離を摘めてくる。

対する私は棒立ち…だとカッコ悪いから、仁王立ちで向かい打つ。

…本当は余りのキモさに固まってます。

もしかして、蛇に睨まれたカエルってこんな気持ちだったのかな?


「きしゃ~!!」

蛇男が襲いかかってくる。

蛇男は口を大きく開いて…うわっ唾液が凄…


無理矢理無理矢理無理矢理無理矢理無理矢理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!

「生理的に無理ぃ~!!」


きゅおーん…


気付いた時には私は手を振り抜いていた。

私の音速を超えたビンタは蛇男を吹き飛ばした。

蛇男は一応私のビンタに気が付いていたらしく、当たった感触があるのは指先だけだった。

一応、調子にのってただけの実力はあるんだね。


マーラさんが回復魔法をかけている。

「「「「「スネークさぁ~ん!!?」」」」」

男ハンター達が涙目で取り囲んでいる。

え?死んでないよね…?

指先だから良い感じにクッションになってるよね?信じてるよ、蛇男。

私は都合良く祈る。


暫くすると、蛇男は起き上がった。

良かった…死んでなかった…。

でも、危なかった…。


「貴女とは、仲良くなれそうだわ♪」

…何故か数人の女ハンター達に気に入られた。

蛇男は女性達的には見ていてキツかったらしい。


蛇男はギルマスと何やら話すと、ギルドに向かって行った。

私もこっそりついていく。


ギルドの出入口から覗く。

ギルマスが何やら紙にサインを書かせている?

「…何してるんですか?」

私は隠れるのをやめて聞いてみた。

「なっ!?いたのか!?…お主には関係無いことだ。」

明らかに動揺しながら、ギルマスは此方にやってくる…と、変な事を言い出した。

「俺を軽く指で押してくれ。いいか?軽くだぞ?優しくだぞ!?」

それ、振りだよね?

全力で吹っ飛ばしても良いやつだよね?


流石にお年寄りに暴力振るうような真似は出来ず、私は軽く指で押した。

別に力を入れようとさえしなければ、バカ力は出ない。不意打ちとかで驚いたりしたら、殺しかねないけど。


「うわぁ~…やられた~…。」

押されたギルマスは後ろに倒れた。

…は?

…なんだこれ。

「ギルマスお上手~♪」

蛇男が幼児をあやすように言いながら、ケラケラ笑って拍手をしている。

「よ、よし。これで良いよな?」

「完璧です!!」

スネークは背筋を伸ばし、敬礼をする。

…だから、何よこれ。

「おっ、俺だって好きでやってる訳じゃない!」

ギルマスは顔を真っ赤にして蛇男と一緒にギルドの奥へいってしまった。

「来るなよ?絶対に来るなよ!?」

…だからそれ、振りだよね?


私はギルドを出ようと…

「わっ!!!」

「ひゃ!?」

アイリが脅かしてきた。

エリーも一緒だ。

幸い、手は出なかったけど、危なかった。

「ちっ…。」

アイリは舌打ちした。…何で!?

「アイリ!!反射的に手が出ちゃったりしたら…大怪我させちゃうかもしれないから、脅かさないでよ!!」

取り合えず注意する。

「そうですよ、アイリさん!!」

「あ、またさん付けした。ウサギ三本ね。」

「あぁっ!?」

エリーが、しまった!?という顔をする。

「…いや、何してるの?」

「さん付けしたらウサギさんゲーム。」

アイリとエリーはとんでもないゲームを始めていた。私もアイリにさん付けしかけて(すんで)のところで止めることが結構ある。

…かなり無理ゲーじゃないかな?

しかも、ウサギさんってウサギ三本ってことかい!?

これでは一方的にアイリが有利なゲームだ。アイリが敬語を使っているの聞いたことないし…。


「マリも参加する?」

「お断りします…じゃなくて、危険だから脅かさないでよ!!」

話が反らされたので、慌てて戻す。

「でも、マリって回復魔法使えたよね?しかも、あんなにも染み込んだ血を落とすとか、そうとう強力な回復魔法な筈だし。」

服の汚れを落とした時のことかな?

…回復魔法は便利過ぎだよね。

「…でも、放出は無理だし。」

他人は回復出来ないよ?

「そのためには飴が必用。」

「…うん。」


私は宿での空いた時間、魔法が詳しそうなマーラさんと、私の特性について少し調べてみていた。


その結果、私は自分の魔力操作や変換は得意だということがわかった。

洗濯機の中みたいに、水をギュンギュン出来る。


…しかし、空気中の魔力、魔素を扱えていないという問題点が指摘された。

魔素とは、空気中にある魔力のことらしい。


私の場合、魔力の質が一般人とかけ離れているため、空気中の魔素と魔力が結び付かないのではないか、というのがマーラさんが立てた仮説だ。

そのため、一度自分の身体に魔素を取り込んで性質を変化させないと魔法を扱えない、と言うのだ。

普通の人が魔法を使う場合、魔素が化学反応的にその人の魔力と結合し、魔法が強化、持続し、遠くまで飛ぶらしい。魔素は燃料みたいなものだ。


…つまり、魔力の放出が苦手なのではなく、魔素との相性が最悪なのだ。魔素に拒絶されているのだ。

放出系魔法を使う場合、消費魔力は激しい癖に、

たいした威力が出ない。空気中の魔素を全く生かせていないのだから。


しかし魔力量は他人の比では無いらしく、魔素に影響されない自己強化魔法なら、相当な効力を発揮するらしい。


…つまり、剣士であり……格闘家だ。

か・く・と・う・か

かくとうか

おもてなしテンポで頭の中にリピートされる。

うぅ…やめろ~~~!!!



私が避けられない現実と闘っていると、エリーがまさかっ!?という顔でアイリの方を向いた。

「アイリさ…。……危険過ぎますよ!?」

今、アイリさんって言いかけたね?

「何かを得るためにはそれ相応のリスクが必用。貴女には命をかける覚悟は無いの?」

「………あります!!」

エリーは暫く考えたら後、覚悟を決めたかのような顔をして、叫んだ。

…私だけ?この状況がわからないの。


「マリ、覚悟してね。絶対に驚かすから。」

「マリさ…マリ、容赦はしませんからね?」

あっ、またさん付けしようとした。

お仕事柄的に仕方が無いのかな?

いや、問題はそこではない。

現実逃避してはいられない。


「貴女達、ドMなの!?」

私に思い付くのは、これしか無かった。


小説を書いてみて初めてわかったのは、本当に皆が勝手に動いてしまうということです。


今頃もう一人も倒している筈だったのに…。

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