友達って難しい。
完全に静電気設定忘れて…
…ないですよ?(すっとぼけ)
互いに雷魔力持っていない場合は、
静電気は起きない…と、いうことで…。
「う……ん…?」
私は宿で目が覚めた。もう朝だ。
だが、起きたのは自然に出ではなかった。
私は布団の中で大胆に股を開いて…開かれていた。
「…!?」
寝ぼけている頭を必死に起こして、状況を理解する。
何者かが、足の方から布団の中に侵入してきて、私の…股を…見ている…!?
「ひゃ!?」
慌ててその頭を抑えると、聞いたことある声。
…エリーだ。
ここは私の一人部屋、何故、エリーが…?
というか…何してるのよ?
「マリ……もしかして…起きちゃった…?」
エリーは恐る恐る聞いてくる。
「貴女のせいでね。何してんの?」
少し高圧的に返してしまった。
「………。」
エリーは沈黙している。
暫くすると、エリーがぶつぶつと何かを呟き始めた。
「どうしよう…嫌われちゃったよね…気持ち悪いよね…二度と顔も見たくないって思われてるよね………うん、私は…変態……だったんだもん……マリ…ごめんなさい…二度と姿を現さないから…これが終わったら自殺でも何でもするから………だから、今は…!!」
「やめい!!!」
私は布団を吹き飛ばしてエリーの顔を掴み上げた。
「別に嫌いにはならないし、お団子一緒に食べに行くから…取り敢えずやめようか!?」
このままだと何をされるかわからないし…恥ずかしいし…。
「え…許して…くれるの…?」
「今回は、ね?」
男だったら間違いなく潰していたけど…同年代との付き合い方を知らないらしいエリーだから、取り敢えず許してあげる。
「ありがとう…ありがとう…マリ…優しすぎるよぉ…。」
…先程よりも涙が勢いを増す。
エリーが私の腕に抱きついてくる。
エリーを付けたまま何とか着替えて、一階へと向かう。私の部屋は二階にある。女性の部屋は二階のようだ。
なので、マーラさんとアイリの二人部屋も二階だ。
「そういえば、エリーはどうやって私の部屋に入ったの?」
鍵は私しか持っていない筈だ。
「ギルドの緊急の用事と言ったら、直ぐにスペアキーを貸してくれました。」
エリーは私の右腕にしがみつきながら、モゴモゴと答えた。
何してんのアンタ…。
「マリ…それ、何?」
階段付近でアイリとマーラさんに出会った。
と、同時にアイリが怒ったような声でエリーに指をさして、聞いてきた。
…この人、エリーをさして、それって言ってきたよ。
「色々あって、離れてくれな…!?」
アイリは私の左腕にしがみついていた。
「じゃあ、私はここかしら?」
マーラさんは背後からくっついて、抱きついてきた。大きめの胸の暴力が私を襲う。
私も貧乳って程ではないかもだけど。
「…暑いので、離れて下さい。」
「エリーが離れたら。」
「アイリさんが離れるまで。」
「なら私は、二人が離れるまで、ね。」
離れてくれそうにないので、ゆっくりと階段を下りていく。
…暑い。これってあれだよね?
ミツバチが敵にくっついて身体を震わせて熱でやっつけるやつ…。
背中に当たる胸が階段を下りる度に振動しているし…。
「おっ、来たか…。…!?」
一階の食堂にはガッドさんもいた。
「暑い…。お水…下さい…。」
私が訴えると、ガッドさんは水を持ってきてくれる。
「何をしているんだ、マリが大変そうだろう?」
ガッドさんは私に助け船を出してくれるが、固まっている三人は動こうともしない。
「マリの匂い…落ち着く。」
「そうねぇ、落ち着くわぁ…。」
「右腕、お持ち帰り出来ますか?」
エリー!?どうしたの!?
今日何かおかしいよ!?
…それだけ、今日が楽しみだった…ってことで良いんだよね?
「クンクン…。」
「ひゃっ!?」
アイリさんが匂いを嗅ぎ始める。
「クンクン…。」
「エリーまで!?」
「クンクン…。」
「マーラさん!?やめてぇ~~~!!」
三方向から匂いを嗅がれる。
死ぬほど恥ずかしい。
夕方ちゃんとシャワーを浴びたが、寝汗で匂っているかもしれない…。
そう考えると、…何も考えられなくなる。
「やめてください!!!」
私は公共施設で、顔を真っ赤にして叫んでいた。
…誰も迷惑そうに見ては来なかったが。
「いい加減許してよぉ、マリちゃん?」
朝食中、私の機嫌は悪かった。
「でも、元を辿ればエリーのせいでは?」
アイリは自分に責任は無いというスタンスを崩さない。
「でも、マリさんも、下着姿で…誘惑してくるから…。」
「誘惑なんてしてませんけど!?」
確かに下着姿で寝てはいた。
よく考えれば、パジャマを持っていなかった。
買ったばかりの普段着を寝巻きとして着るのには少し抵抗があったため、下着で寝てしまった。
あ…、でも、ブラしてなかったし、誘惑したことになるのかな?………って、んなわけあるか!!
私は気が付いた。
「エリーがスペアキーで私の部屋に入ったのがそもそもの原因よね?」
「どうやって手にいれたの!?」
アイリが凄いテンションで喰いついた。
アンタは…一体何をする気だよ?
朝食を食べ終わり、ガッドさん達と別れ、エリーと共にお団子屋に向かう。
あ、この前私が街を回ったときは閉まっていたお店だね。
街の雰囲気的には少し場違い感があるが、良くあるタイプの茶菓子屋、といった感じかな?
こんな時間なのに、お客は結構いる。
「あ、エリーちゃん!!よくきたねぇ。」
店の前に立つと、大人びた女性、といった感じの雰囲気なお姉さんが話しかけてきた。
「軒下、空いてるよぉ♪」
とてものんびりした話し方だ。
「そっちが、例の女の子ぉ?可愛いわねぇ。」
「はい、優しくて強くて素敵な…」
「えっと、マリです。よろしくお願いします。」
何がよろしくなのかはよくわからないが、取り敢えずエリーの言葉に割り込んで、止めたかった。
「畏まらなくて良いわよぉ♪ゆっくりしていってねぇ。」
お言葉に甘えて、私達は軒下で寛ぎながら、お団子を待った。
どうやら、エリーは軒下を予約していたらしい。
やや暖かい春風が、とても気持ち良い。
「どうぞぉ。特製お団子セットよぉ♪」
「「おおぉ~!!」」
凄く美味しそうなお団子だ。
私もよく知っている、タレと餡に、ゴマ団子やピンクの団子、黄色い団子もある。
…勿論、とっても美味しい。
「「美味しい~♪」」
エリーと声が重なる。
「うふふ~♪よかったわぁ♪お代わりするなら言ってねぇ~♪」
お姉さんも嬉しそうにしている。
団子を食べながら、エリーと、アイリの話をしていた。
「あの人、よくわかりません。」
エリーがズバリと言いきった。
「私は貴女もよくわからないけどね。」
なので私もズバリと言ってやる。
「えぇ!?じゃあ、何が聞きたいですか?何でも答えちゃいますよ!!」
今日のエリーの喜怒哀楽の代わり映えは役者並に凄いものがある。
「バストサイズ。」
答えたのは私では無かった。
私の背後からヌッと出てきた人物。
出てくるなり私の食べかけのお団子を方張り去った人物だ。
「あああ~…私のお団子ぉ…。」
これを言ったのも、私では無かった。エリーだ。
…もう、何がなんだか…。
「で、何でアイリがいるのよ?」
私は尋ねた。
「個人的に団子食べに来ただけのこと。」
アイリはどや顔をしながら、私に自分の団子を食べさせてくる。…食べにくい最後の団子を。
私が横から齧りつき、半分を食べると、すぐさまそれを食べられた。
…何よこれ。
「…そんな手があったなんて!?」
隣では、エリーが豆鉄砲をくらった鳩(見たこと無いが)のような表情をしていた。
「私のも半分食べて下さい!!」
エリーまで食べさせようとしてくる。
「もうお腹いっぱいだよ…。」
色々な意味で…。
というか、朝食食べて直ぐに来たのだ。
そんなに食べられる訳がない。
その後は、三人で街を歩き回ったのだが、事あるごとに二人が私にちょっかい?を出してきて、色々と大変だった。
二人は最初こそ、あからさまに仲が悪そうだったが、別れ際には互いに握手までしていた。
引き分け…とか呟いてたかな?
…それにしても、友達付き合いってこんな感じなのだろうか。何かネットで見たものとはかけ離れている気がするのだが。
…ネットなんて、当てにならないね。
私はそう納得した。
やめてぇ~~~!!を、
なめてぇ~~~!!と打ち間違えた時、
一瞬自殺を考えました。




