Face of money!!
私達は、街に戻ってきた。
「「「「「「「ひいぃぃぃ~。」」」」」」
ギルドに入るなり、恐れられた。
「ブラッディ・マリーが来たぞぉ~。」
私の方を見て、小声で何か言っている奴もいる。
…ブラッディ・マリー?
それ?ヤバいやつよね?
都市伝説的な感じの化け物よね?
あ、でもカクテルの方かも!!
私は無理矢理納得する。
「…で、ゴブリン達を見せてくれるか?」
私達はギルマスにギルドの裏、解体場と呼ばれる場所に案内された。
ガッドさんがアイテム袋からゴブリンキングを出す。
「なっ!??」
ギルマスは腰を抜かしそうなくらいに驚いた。
「ははは…。大き過ぎますよね…。」
ガッドさんは渇いた笑いでギルマスに同情している。
「これを…一撃で…。」
ギルマスがまじまじと私を見つめてくる。
ギルマスは背があまり高くないので、胸を見つめられている気持ちになる。
このエロジジイめ…。
「さて…と。」
残りのゴブリン達も半分くらいは出せた。
が、数が多すぎる。
「そうだな…キング以外は高いものでも無いしな。全部解体しちまうか。」
ギルマスが宣言する。
その瞬間、ギルド職員達の顔が強張った。
主に、男勢。
ギルドに来たときはあまり見なかったが、裏方の仕事なのかな?
「マリの馬鹿力も借りたいんだが…。」
突然ギルマスがおかしな事を言い出した。
「お断りします。」
当然だ!女の子に何やらせんだ!!
「じゃあ私が手伝う。」
アイリが立候補した。
得意なのかな?
「駄目よ、女の子がやることじゃないわ。」
マーラさんが止めた。
「そうだよ!!」
私も同意した。
「マリちゃんも、女の子がやることじゃないと思うのよね?」
マーラさんが黒い微笑で同意を求めてくる。
「あ、しまった!?」
そこでやっとアイリの思惑に気が付く。
「マリばか、ばかマリ。」
アイリさんが横目でジットリ見てくる。
「ごめん…。」
私はアイリに心から謝った。
「何を謝っているの?」
マーラさん?気付いている上でそういうの、よくないですよ…。
そういうわけで、ギルド男勢達の熱い解体作業が始まった。
今日は依頼受付中止、解体作業を手伝った冒険者には、僅かながらの謝礼金が渡されるらしい。
「さて、依頼報酬の件だが…。」
ギルドに戻ると、ギルマスが切り出した。
「俺達は、何もしてねぇ…。」
ガッドさんが俯く。
「本来なら、こういった場合は支払われないが…。」
ギルマスは頭を掻く。
「じゃあさ、私がガットさん達のパーティに臨時で入ったってことにすれば?」
私は名案を思い付いた。
「俺を前にそれを言うか?」
ギルマスは苦笑いしている。
「まぁ、わざわざこんな田舎のギルドに来てくれて、あんなに熱心に対策を練っていた姿を見せられちゃな…。」
ギルマスはニヤッと笑った。
「達成報酬はちゃんと支払う!!」
「おおっ!!」
「太っ腹ぁ♪」
「よっしゃ!!」
ガットさん達は喜んでいる。
すると、エリーがやって来た。
「マリさん、依頼達成おめでとう?ございます…。凄いですね…。」
エリーさんはおどおどしながら私と接してくる。
「依頼?あ、ゴブリン三体のやつ!!」
「あ、はい。ざっと十四倍と、更にはゴブリンキングまで倒してますが…。マリさんの受けた依頼は三体ですから。」
私は達成報酬を貰う。
800G
安い。
「安心しろ、ゴブリン全部と…なんたってあんなにデカイ、ゴブリンキングがある。かなり金は入るぞ?」
私が狼狽していると、ギルマスが笑いながら話しかけてくる。
「ゴブリンキングって高いの?」
大きいが、ただのゴブリンだ。
「ゴブリンは害獣だから安いが…キングはフェイスマスクを欲しがる貴族が以外と多い。しかも無傷でこの大きさ…ざっと百万くらいで売れるかもな。手数料や加工料を引いても、八十万…。」
「マジすか!!」
おお、これは期待できる!!
「マリちゃんってたまに変わった言葉を使うわよね?」
マーラさんが聞いてきた。
うーん、どう答えるか…。
「たまに癖で私の祖国の言葉が出ちゃうんです。」
日本の皆さん、ごめんなさい。
私はキングのマスクで大金が入るので、ガットさん達の報酬は貰わない。
「そういえばさ…」
アイリが耳元で呟く。
「ゴブリンキングの肌って他のゴブリン達より黒ずんでたでしょ…?」
「うん。」
「あれって男性のちん…」
「ア~イ~リ~?マリちゃんにそういう話はやめなさい?」
「いたたたた…。」
アイリがマーラさんに抓られている。
…ちょっと気になる。
「男性の…ナニ?」
私は思わず聞いていた。
「…マリちゃんはもっと無垢な子だと思っていたのに。」
しまった…イントネーションミスった…。
マーラさんの目が冷たい。
…………勝手に無垢とか思わないで欲しいね!!
私だって年頃の女の子だよ!!
私は開き直った。
諸事情により、短めな投稿です。




