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キーホルダー戦記タクヒナ!  作者: フィーカス
ジュジュ誘拐事件
38/45

作戦会議2

「キーホルダーの声が聞こえるのがまずいなら、ヒナたちを車に残せばいいんじゃないのか?」

「いや、そういう問題じゃなくて……」

「じゃあ、工場の周りに火薬を仕掛けて爆破させる!」

「あんたね、廃工場とは言っても持ち主がいるのよ? それに、そんなことしたらジュジュちゃんも巻き添え食らっちゃうじゃない」

「あ、そうか」

「はぁ、これだからフランクビッツは……」

 氷点はあまりに悠が間抜けなことしか言わず、がっくりと肩を落とす。

『あ、わかったぜ氷点、こういう時はあれだ、キーホルダーだけで話し合いをして、向こうのキーホルダーを味方にすればいいんだ』

 悠が再び考えていると、サクが声をあげた。

『え、サクたん、それだと向こうの人に聞かれちゃうから、まずいんじゃないの?』

『たしかに、ここから大声で叫んじゃ、向こうのキーマスターに見つかっちまう。だったら、キーマスターの見つからないところで話し合えばいいんじゃないかい?』

『向こうの人に聞こえない場所……? あっ』

 ヒナは何か閃いたように声を上げた。

『そっか、キー・フィールドを使えばいいんだ』

 ヒナがそう言うと、氷点は「ご名答」と返した。

「キー・フィールド? なんじゃそりゃ?」

「あら、悠は知らないのね。簡単に言えば、キーホルダーたちだけが使える場所よ。そこに入れば、キーホルダー以外の声は聞こえないし、そこで話したことは外には漏れないのよ」

「なるほど……って、タク、まさかそれを使って、ヒナに俺の悪口を吹き込んでるんじゃないだろうな?」

 悠はそう言って、タクをにらみつける。

『黙秘権を行使するよ。そもそも、そんなことに使っていようがいまいが、証明する手段が無いでしょ』

 タクに言われ、悠は「ぐぬぬ」とうなる。

「まあ、そういうわけで、まずはキー・フィールドを使って、相手のキーホルダーの情報を集めましょう。少なくとも、相手のキーホルダーがどんなやつかはわかるはずよ」

「でも、そんなことしたら、向こうに俺らが来たこと、ばらさないか?」

「ばれたら逃げればいいのよ。そもそも、ヒナちゃんたちがジュジュちゃんを連れ戻しに来たなんてわかんないから、通行人のキーホルダーの振でもしていればいいわ」

「一度にしゃべるキーホルダーを連れた通行人が三人も通ってきたら実際びっくりするがな」

「細かいことはいいわ。とにかく、やってみましょう。状況の説明は……やっぱりタクが適任のようね」

『え、俺じゃねーのかよ』

 氷点がタクを指名すると、サクが不満そうにつぶやいた。

「ヒナちゃんはうまく説明できなさそうだし、サクは余計なことまでいいそうだから」

『ひ、氷点たん酷い!』

『余計なことって何だよ!』

 ヒナとサクは、同時に氷点に物申した。

「まあ、いざとなったらヒナちゃんとサクにも手伝ってもらうことになるけど、とりあえずはタクに任せるわ。いいわね?」

『わかったよ、何とかやってみる』

 タクが了解すると、氷点は「頼んだわよ」と念を押した。


「お二人の作戦は、もうよろしいですか?」

 悠と氷点の作戦会議が終わった頃、準備をしていたオギがやってきた。

「オギさん、今まで何をやっていたのかしら?」

「もちろん、ジュジュ様を助ける準備ですよ。何人いるかわかりませんから、準備は念入りに行っておきませんと」

 準備をしていた、と言っている割には、あまり持ち物は多くなさそうだ。

「まあいいわ。とりあえず私たちはゆっくり入口に近づいて、中の様子をうかがうわ。オギさんは、どうするのかしら?」

「では私は、裏口に回ってみましょう。見張りがいないところを見ますと、そう人数は多くないでしょうから」

「あ……そういえば全然見張りが見当たらないわね」

「そちらの方が都合がよいですから、気にしないでおきましょう。あ、それと、お二人にこれを」

 そう言って、オギはイヤホンとピンマイク、そして小さな無線機のようなものを差し出した。

「これで連絡を取り合いましょう。何かありましたら、私に連絡をください」

 そう言うと、オギは廃工場の裏へと向かった。


「……オギさん、一人で大丈夫かしら」

 オギを見送りながら、氷点はつぶやいた。

「まあ、あの人なんでもできそうだし、大丈夫なんじゃない? いざとなったら、コイツで助けを求めてくるだろうし」

 悠は先ほどもらった無線機を宙に舞わせながら言う。

「助けを求められたところで、私たちはどうすればいいのかしら? 車の運転なんてできないし、ここ、携帯電話も圏外のようだけれど?」

 氷点が持っていたスマホを取りだし、一本も立っていないアンテナを指さす。

「あ……どうしよう。俺らオギさん助けられないや」

「まあ、何か考えがあるんでしょう。とりあえず、こちらはこちらの作戦をやるしかないわね」

 そう言うと、氷点はゆっくりと廃工場へ近づいた。

「じゃあ、タク、ヒナちゃん、サク、お願いね」

『了解した。マスター、氷点、無理はしないようにね』

「ええ、悠がヘマしないか心配だけれど、私たちは私たちでなんとかするから」

「ヘマってなんだよ、俺が足引っ張るとでも?」

「ええ、十分考えられることだから」

 氷点に言われ、悠はまた「ぐぬぬ」とうなった。

「さて、あんまりのんびりしてはいられないわ。悠、行くわよ」

「え、ちょ、ちょっと待てよ、おい!」

 氷点は悠を置いて、さっさと廃工場へ向かった。


『ヒナ、サク、僕たちも行くよ』

 悠と氷点が廃工場へ向かう途中、タクがヒナとサクに声を掛ける。

『うん、準備はいいよ』

『こっちも、心の準備はばっちりだ』

 ヒナとサクの返事を聞き、タクは『じゃあ行くよ』と念を押した。


鍵の平原(キー・フィールド)、オープン』

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