表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キーホルダー戦記タクヒナ!  作者: フィーカス
山串製作所の秘密
32/45

コードYHVH

 悠と氷点は寄り道することなく、まっすぐに一階に降りたはずだが、先に降りたイワリンの姿が見当たらない。

「あれ、イワリンさんは?」

「誰かお探しですか?」

 悠がきょろきょろしていると、突然肩に何かが乗る感触がした。

「うわっ! あ、ああ、オギさん」

 振り返ると、いつの間にか階段の前に執事のオギが立っていた。

「旦那様はこちらです。一般の方には見せられないものがありますので、普段は関係者以外中には入れておりません。では、こちらへどうぞ」

 そう言うと、オギは一階の入り口前にある事務所の中へと入っていった。

「一般人に見せられないもの……まさか、エロい本とか!?」

「バカね。しゃべるキーホルダーに関連するものに決まってるでしょ。そもそもイワリンさんがそんなものを、こんなところに隠すわけないでしょうが」

「あ、一応持っているとは思ってるんだ」

「ま、まあ、男の人は、そういうのを持っていても不思議ではないからね」

 氷点は「さっさと行くわよ」と慌ててオギの後についていった。悠もそのあとを追う。

『まったく悠たんは、えっちなことを考えるのが好きだねぇ。もしかして、悠たんの部屋に隠し部屋があって、そこにえっちな本がたくさんあったりして』

 ヒナが呟くと、悠は思わず噴き出しそうになった。しかしなんとかこらえ、先を急いだ。

 事務所の奥には、さらに別の部屋に向かう扉がある。オギがその扉を開くと、「どうぞ」と悠と氷点を招いた。

「ほぅ、ここにイワリンさんの恥ずかしい過去を記録したオーパーツがここにあるというわけか」

「んなもの、こんなところにあるわけないでしょ。ジュジュちゃんたちに見つかったら大変よ」

『あの、氷点、そういう問題じゃないと思うんだけど……』

 悠と氷点が話していると、それを聞いていたオギが「それでしたら」と間に入った。

「旦那様の許可が必要ですが、そういったお話も、お時間がある時にいたしましょう」

「あ、いえ、それはこのバカの冗談だから、気にしないでちょうだい。悠のスケベ話なら、いつでもしてあげるけれど」

 氷点はそう言うと、扉の奥に進んでいった。それを見て、悠も「ちょっと待てよ」と後を追う。


 部屋の中は薄暗く、ウィーン、という機械の機動音のような音が聞こえてくる。

「……なんか、重苦しい空気だな」

「そうね、何かあるようだけれども……」

 あたりを見渡すと、ここがゲストルームのような場所ではないことだけはわかる。どこかで見たような、コンピューターのようなものがうっすらと見える。

 悠と氷点がきょろきょろしていると、突然部屋の明かりがついた。周りには、やはり大がかりな機械が置いてある。だが、悠と氷点は、真正面にある巨大な機械に言葉を失った。

「これは……」

 悠たちの身長の三倍はありそうな巨大な円筒状の装置。その下に操作パネルのような物があり、そこでこの機械を動かすのだろう。

『すごいねぇ。巨大なアンパンを作る装置かな?』

『ヒナ、そんなものがあるなら、多分どこかのパン工場が買い取ってると思うよ。需要があるかどうかはわからないけれど』

 ヒナとタクが漫才をしていると、後ろからガタリと音がした。

「驚いたか? まあ、そうたいそうなものではないがな」

 唖然としていた悠と氷点は、その声で我に返って振り向く。そこにはイワリンが立っていた。

「イワリンさん、これは一体……」

 氷点が尋ねると、イワリンはゆっくりと機械の近くに向かった。

「コードYHVH、とだけ言っておこう。この機械を使って、お前たちの言うしゃべるキーホルダーができないかの研究をしているのだ」

「え、この機械で? 一体どうやって?」

 悠は正面の巨大な機械、「コードYHVH」を見ながら言った。

「それは秘密だが……しかし、今日初めてしゃべるキーホルダーというものを見せてもらった。この装置がうまく機能している、ということはよくわかった」

 イワリンはそういうと、悠と氷点に礼をした。

『え、え、じゃあ、私はこの機械のせいで、こんなことになっちゃったってわけ?』

『イワリンさんの話だと、そうなるね。イワリンさん、一体何のために、こんなことを?』

 タクがイワリンに声を掛けるが、イワリンは答えようとしない。

『おいおい、俺らを勝手にこんなところに閉じ込めて、それはねえよ。何とか言ったらどうだい?』

「こらサク、口が悪いわよ。相手はこの会社の社長さんよ?」

『口が悪いも何もあるか! こっちだって、こんなことになって迷惑をしているんだぞ!』

 叫びたてるサクに対し、氷点はサクのキーホルダーにそっと手を当てて黙らせた。

「申し訳ありませんが、そういった質問にはお答えできません。何分、費用がかかっておりますし、旦那様のプライバシーの問題ですから」

 イワリンに代わって、後ろで待っていたオギが答える。

「そう……しかし、人をキーホルダーに閉じ込めて置いて、その対応はどうなのかしらね」

「申し訳ありません、いずれはお話させていただきますので、今日の所はこの辺でお帰りいただけませんか?」

 そう言うと、オギは「こちらへ」と出口に案内した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ