私にできること
ついにこの日がやってきた。
今日で、私の人生は決まってしまう。
バックダンサーか、普通の女の子か。全ては自分次第だ。
今の気持ちは言葉で言い表す事ができない。全身の血液が活発に動いているのがわかる。
鏡の前で自分に笑いかけると見事に引きつっている。すごく緊張しているみたいだ。
気合いを入れて事務所へ向かうとおじさんが立っていた。
「おじさん! 警備お疲れ様です!」
「おや、空さんじゃないですか。 おはようございます」
朝からおじさんに会えて心が和んでいた。
「今日は試験日でしたね? 頑張ってくださいね」
「え? どうしてそれを?」
「ああ、いや、警備をしていると情報が入ってくるもので」
おじさんは慌てて弁解している。考えれば分かる事を聞いてしまった私が馬鹿だった。
「あーそっか! すみません変な事聞いちゃって」
おじさんは安堵の表情を見せ、再び応援の言葉を言ってくれた。
おじさんにパワーをもらい、練習室へ向かうとすでに何人か集まっている。
その中に、圭と美雨もいた。
「おはよ! いよいよだね!」
声をかけると、二人は笑顔で答えてくる。
「おはよう!お互い頑張ろうね!」
美雨はすごく楽しそうで、圭はどこか余裕があるように見える。
(この三人だといいなぁ)
ずっと一緒に頑張ってきたからこそ、私は合格するなら三人一緒が良いと思っていた。
三人で談笑していると、龍が入ってくる。
「皆おはよう。 いよいよですが準備はできていますか?」
「はい!」
全員気合いが入った返事をしている。
「試験内容は、練習した事を見せてくれれば大丈夫です。 二人ずつ見ていくので、名前を呼ばれたら試験部屋まで来てください。 では順番に……」
そう言って、最初の二人が呼び出されて行く。名前順で私達三人は後ろの方の出番だ。
私は、美雨達と話しをして気持ちを紛らわしながらも、徐々に緊張していた。
時間が経つにつれて口数が少なくなっていく。
そして圭の名前が呼ばれる。圭はあまり緊張していないように見えた。
「頑張ってね!」
美雨と一緒に応援をすると笑顔で部屋を出て行った。
「大丈夫かな?」
美雨は自分の事より圭を心配していた。
「圭はきっと大丈夫だよ」
そう私は信じている。
次に美雨の名前が呼ばれる。
「美雨、頑張ってね!」
「うん! 空も頑張ってね! いってきます!」
美雨も笑顔で部屋を出て行く。
気付けば、練習室には私ともう一人練習生の女の子が残っていた。
先に試験を受けた子たちが戻ってこないという事は、別の部屋で待機しているのだろう。
ということは、残った私とその子が最後のようだ。
その子は緊張で震えているみたいだった。私も自分の震えを抑える事で精いっぱいだった。
「星野空、村井奈菜」
ついに私とその子の名前が呼ばれる。
(村井奈菜ちゃんか)私は一緒に受ける者同士、仲良くなろうとして部屋を出る前に声をかけていた。
奈菜ちゃんは笑顔で答えてくれてお互い緊張していたけれど、一緒に頑張れそうな気がしていた。
試験部屋は練習室と同じつくりになっている。
違う事はただひとつ。目の前に審査員が座っている事だ。
審査員は龍と信の他に二人の振り付け師が加わっている。
私は中に入った途端、緊張で頭が真っ白になってしまう。
すると、信と目が合いまるで「大丈夫」と言ってくれている気がした。
信は私にしかわからないようにゆっくりと頷いてくれた。
すると不思議な事に、さっきまでの緊張が無くなり体が一瞬で軽くなっていた。
信に頷き返すと音楽が流れ出し、ついに始まってしまう。
私はとにかく楽しむことしか頭になかった。
順調に踊っていると、奈菜ちゃんが振り付けを間違えてしまう。
ターンする所を緊張で忘れたようだ。ちょうど間奏の所で奈菜ちゃんは混乱し立ち止まっていた。
目の前にいる審査員はそれに気付いたのか眉間にしわを寄せていた。
(もしかして振り付けが飛んじゃったのかな?)
放っておけず私は咄嗟に踊りを変え、動かない奈菜ちゃんに近寄り「次ポップコーン右足」と小声で次の振りを教えていた。奈菜ちゃんは思い出したように踊り始めてくれた。
私と奈菜ちゃんは、なんとか最後まで踊りきる。
「はい、お疲れ様です。 集合がかかるまで事務所内で待機していてください」
そう言われ部屋を出ると、奈菜ちゃんが声を掛けてくる。
「空ちゃん、ごめんね。 私のせいで……」
奈菜ちゃんは涙を流しながら謝っていた。
「ううん、気にしなくていいよ。 それより緊張したよね!」
勝手に踊りを変えてしまったけれど、私の心に後悔はなかった。
それに勝手にやったことだから奈菜ちゃんは何も悪くない。
とにかく奈菜ちゃんが気にしないように明るく振る舞っていた。
「最後まで踊りきれて楽しかったね! 奈菜ちゃんありがとう!」
泣き続ける奈菜ちゃんをとにかく励ましていた。
「……うん」
「元気だして!」
「うん! 空ちゃんありがとう!」
やっと奈菜ちゃんに笑顔が戻り安心していた。
「ちょっと、トイレに行ってくるから、また後でね!」
私がそう言うと、奈菜ちゃんは元気に去っていく。
誰もいなくなった廊下に一人で立っていると、次第に涙が込み上げていた。
私は誰にも見られないように、トイレへと駆け込む。
個室に入り便器の蓋に座っていると、どんどん涙が溢れてくる。
体は正直なようだ。
勝手に振り付けを変えれば不合格は確実だ。
後悔はないけれど、ダンス人生が終わってしまい悲しくなっていた。
またアルバイト生活に戻るのかと、不安だけが押し寄せていた。
なかなか涙が止まらず泣いていると、誰かがトイレに入って来る。
私は泣いている事がバレないようにトイレットペーパーを巻きとり使用している振りをしていた。
すると、その人は私が入っている所の前に立ち、ドアをノックしてきた。
入っている事を伝える為に私もノックを返すと、さらにノックをしてくる。
(他にも個室があるはずなのに)
そう思い、またノックをし返すと相手もまたノックを返してきた。
どこまでしつこいのだろうか。私もさすがに腹が立っていた。
「だから入ってるって!……」
文句を言いながら勢いよくドアを開けると信が立っていた。
「な、なんで!?」
「なんでって、ここ男子トイレだけど」
私は驚きで声がでない。
「てか、なんで泣いてんの?」
涙を拭いて出たはずが目からはまだ涙がこぼれていた。私は泣きながら怒っていた。
「泣いてない」
すぐに涙を拭き明らかな嘘をつく。
「メイク崩れてパンダみたいになってるし」
そう言って信は笑っていた。
こんな時に全く笑えない。信の無神経さは更に腹が立ってくる。
「お前のダンス、俺は楽しかったよ」
人が怒っている時になぜその言葉を言っちゃうのだろうか。
信の言葉は私の心に響いてしまい、思わず声を出して泣いていた。
「なんで泣いてんだよー」
泣きじゃくる私に信は困っているようだった。
「信が変な事……言うからじゃんー」
「えー!?」
信は困りながらも私の背中をさすってくれた。
どのくらい泣いていたのだろうか。
泣き枯らした私は、落ち着きを取り戻していた。
その間、信はずっと背中や頭を撫でながら何も言わずに側にいてくれた。
「あー、いっぱい泣いたー。 もう大丈夫!」
私は泣いてスッキリしていた。
「切替早っ!」
信は驚いて笑っている。
「信、ありがと!」
信にお礼を言うと信は微笑んでいた。
そこで放送が流れる。
『練習生は練習室へ集まってください』
どうやら結果発表の時間がきたようだ。
「もう戻らないと! 信、またあとでね」
信と笑顔で別れ私は圭達の所へ戻って行く。
練習室へ入ると、みんな集まっていた。
「空、こっち」
圭が呼んでいる。圭達の所へ行くと、二人とも結果が待ち遠しいみたいだった。
(二人は受かりますように!)
私は心からそう願っていた。
龍が真剣な顔で入ってくる。
待ち遠しくて笑顔だった皆の顔に緊張が走る。
ついに結果発表の時がきた。
「皆さんお疲れ様です。 審査が終わりましたので結果を発表します。 合格者は三人です。 名前を呼ばれたら前に出てきてください」
皆に緊張が走り目を瞑ったまま祈っている人もいた。
「まず一人目は、成本圭!」
圭の名前が呼ばれると誰も驚いていなかった。それだけ全員納得の人選だからだ。
「圭は抜群のダンス力と表現力があり、全員一致の合格になりました」
選ばれた理由を龍が説明し、皆が拍手をする中、圭は嬉しそうに「よっしゃ!」と言って前に出て行った。
「良かったー!」
美雨はすごく嬉しそうにしている。私も嬉しくて泣きそうになってしまう。
そのまま次の合格者が発表された。
「二人目は、平山美雨!」
名前を呼ばれた瞬間、美雨は両手で顔を覆い泣いていた。私も嬉しくて泣いてしまう。
「美雨のダンスを見た人にはわかるかもれないが、見ていてすごく心を奪われました。 この魅力をぜひ信のファンに伝えてほしい。 よって合格!」
私は美雨と手をとって喜び合っていると、前にいる圭が呼んでいる。
私は美雨の背中を押し微笑んだ。拍手が鳴り響く中、美雨は泣きながら前に出て行った。
二人が前で楽しそうにしている。それを見ただけで幸せな気持ちになっていた。
(これからも二人なら大丈夫!)
私はそう確信していた。そして最後の一人が発表される。
「最後の一人は……星野空!」
名前を聞いて驚いてしまう。聞き間違いだろうか。
「空、早くこっちにこいよ!」
圭と美雨が私を呼んでいる。本当に私が?皆が拍手をする中、私は半信半疑で前に出て行った。
「空は試験中、振り付けを変えてしまいました。理由は一緒に踊っていた仲間を助けるためです。 だがその振りつけは何の違和感もなかった。 ステージではトラブルが憑き物だ。 そこをどう機転を変えていけるかが必要になる。 空にはその素質があることがわかりました。 そうやってこれからも仲間を助けてほしいと思い合格にしました」
龍が説明している間、信じられずに私は涙が止まらなくなっていた。
「今回の合格者はこの三人になりました。 皆、ここまで頑張ってくれてありがとう」
龍がそう言うと、泣きだす子が多く居た。
ライバルだったけれど、一緒にがんばってきた仲間に変わりないから、その仲間と別れなければいけない事はとても辛かった。
「と、言いたいところですが――」
(え?)
「どのダンスを見ても、それぞれに個性がありここで棒に振るのはもったいないので、惜しくも逃してしまった皆さんには、この事務所で練習を重ね、試験を繰り返して他のアーティストのバックダンサーを務めてもらいます」
突然の報告に、皆は歓喜の声を上げていた。
「今日はこれで終了します。 また明日からそれぞれに指示が行くので、心してかかるように! 気をつけて帰ってください」
龍が笑顔で部屋を出て行く。
結局、皆が笑顔で終わる試験になってすごく嬉しかった。
皆が嬉しそうに帰っていく中、私達三人は練習室に残るよう言われていた。
そこへ奈菜ちゃんがやってくる。
「空ちゃんおめでとう! 本当に良かったー!」
そう言って奈菜ちゃんはまた泣いていた。私ももらい泣きをしてしまう。
「ありがとう! お互いこれからも頑張ろうね!」
「うん!」
奈菜ちゃんは自分のことのように喜び、私も奈菜ちゃんとこれからも一緒に頑張れる事がすごく嬉しかった。いつか一緒に仕事ができることを楽しみに奈菜ちゃんと別れていた。
「三人ともおめでとう!」
龍が戻って来ると祝福してくれた。三人は満面の笑みで感謝を告げる。
そういえば信がいない事に気付く。
「龍、信は?」
「あぁ、信は仕事が入ってたから審査後すぐに行ったよ」
「そっか……」
一緒に喜べないのが少し残念だった。
龍が持ってきた契約書にサインをして、これで本格的にバックダンサーとして生活ができるようになった。龍は「これからよろしくね!」と言って部屋を出て行く。
社長なのに、いつも同じ目線に立って話してくれる龍に感謝していた。
「この後どうする? 打ち上げやっちゃう?」
圭が楽しそうに言っている。
もちろん、私と美雨は賛成する。一度帰ってから圭のバイト先に集合することになった。
家に帰ると、携帯にメールが届く。信からだった。
――合格おめでとう。今日時間ある?
(どうしよう。これから打ち上げなのに)
――ありがとう! 今から打ち上げがあるから夜九時からなら大丈夫だよ。
――了解。ちょうど仕事終わるからそのまま向かえに行く
(九時なら打ち上げも終わるよね……)
信とメールをしていたら家を出るのが遅くなってしまった。
急いで居酒屋へ向かうと、圭と美雨が既に待っていた。
合流して中へ入った途端、一斉にクラッカーが鳴り響く。
圭のバイト仲間がサプライズをしてくれた。
圭は「びっくしりたー!」と言いながら笑い、美雨は驚きすぎて腰が抜けているようだった。
仲間に囲まれて、圭の人柄が良くわかる。
料理もサービスしてもらい、お酒を飲みながら三人で楽しんでいた。
気付けば時計は九時前を指していた。
(やばっ!)
ここからどんなにがんばっても、家まで十分はかかってしまう。
すぐにここを出るしかなかった。
「ごめん! 予定があるから帰るね!」
「えー予定ってなんだよー」
酔っぱらった圭が絡んでくると美雨が阻止してくれた。
「空、大丈夫だよ! また明日ね!」
「ごめんね! ありがとう、またね!」
そう言って私は急いで走って帰っていく。
家の前には既に信の車が止まっていた。呼吸を落ち着かせて身だしなみを整え運転席を見ると、信は背もたれを倒して眠っているようだった。
窓を二回ノックすると気付いて鍵を開けてくれた。
車に乗り込みながら「遅くなってごめんね」と言うと、「今来たから大丈夫」と言ってくれた。
きっと十分は待ったはずなのに、その優しさが嬉しかった。
「どこかに行くの?」
「俺達が行くとこって言ったら、あの場所しかないっしょ!」
そう言って信は車を走らせ、着いた場所はいつもの海だった。
「えー、ここ?」
と不満そうに言いながらも、好きな場所だから嬉しかった。信を見ると微笑んでいる。
「やっぱりここは落着くなー!」
「うん、俺も」
二人は海を眺め、いつもの無言タイムが始まる。
無言だけど癒されるこの空間が好きだ。
「腹減ったから中入ろうよ」
信に言われアルムへ行くと店長に挨拶をしていつもの席に座っていた。
何か特別なことをするわけでもなく、いつもと変わらないけれど一緒にいられるだけで私は幸せだった。
食事を終え店を出る時、奥の方に小さなスペースがある事に気がつく。
そこにはちょっとした雑貨が売ってあった。
「雑貨売ってたんだ~」
興味本位で入っていく。
「何か買おうか?」
「え! いいの?」
「うん、合格祝いに」
まさかのプレゼントに浮かれてしまう。どれにしようか悩んでいると、ミサンガを発見する。
いろんな色のミサンガがある中、緑のミサンガが二つだけ残っていた。
「これにする!」
「同じの二つも?」
「こっちは信のやーつ」
信は微妙な顔をしていた。
「俺こういうのしたことないからなぁ」
「お祝いでしょ?」
信に圧力をかけると、すんなり二人分のミサンガを買ってくれた。やっぱり根は良い人のようだ。
海を眺めながら私は信の腕にミサンガをつけようとしていた。
「信、何か願い事を心に唱えてみて」そう言って、渋々信が願い事をしている間にミサンガをつける。
ミサンガが外れたときにその願いが叶う事を伝えると信は「へぇー」と空返事していた。
あまりそういうのを信じていないようだ。
私も願いごとをしながら自分にミサンガをつけようと手間取っていると、信が手伝ってくれた。
着けられている間にしっかり願い事をしていた。
ミサンガをつけて喜んでいると、信が上着を掛けてくれる。
「風邪引くから」
口数は少ないけれど、最近の信は優しい気がしていた。気のせいかな?
家に帰ってからも、ずっとミサンガを見ては幸せな気持ちになっていた。
信と繋がっている気がして勝手に喜んでいた。
私はいつの間にか信の事が気になるようになっていた。
これはファン心?それとも恋?よくわからないまま眠りについていた。
翌朝、清々しい気持ちで目が覚める。
すぐミサンガに目がいってしまう。一人で鼻歌を歌いながら準備をしていた。
幸せな気持ちのまま事務所へ行くと、おじさんに会う。
「空さん! 合格おめでとう!」
挨拶をする前に祝いの言葉を言ってくれた。
いつの間に知ったのだろうかと思いながらも、おじさんに感謝していた。
練習室へ行くと美雨と圭が来ていた。
これからも三人で居られることが嬉しくて毎日が楽しみになっている。
美雨は昨日私が帰った後の話しをしてきた。
酔っぱらった圭は泣いたり笑ったりと大変だったらしい。
「言わなくていいから!」と圭は恥ずかしそうにしているけれど、美雨はうれしそうに圭をいじめていた。
私も美雨と仲間になり、圭をいじり倒しては笑っていた。
そこへ龍がやってくる。入ってくるなり、すぐにこの後のスケジュールについて話してくれた。
信は音楽番組の出演が決まっているらしく、これからリハーサルに行く事を伝えられる。
いきなりの大仕事に戸惑うと、龍は「練習は十分しているから大丈夫だ」と言っていた。
大丈夫なわけがない。言っても私達は素人なのだから。
とりあえず龍と一緒に現場へ向かう事になる。
着いた場所は、有名なテレビ局だった。
中に入ると有名なアーティストが普通に歩いている。
三人は違う意味で目が輝いていた。
浮かれていると龍に「集中しなさい」と注意されてしまう。
気持ちを引き締めて龍について行く。
スタジオへ行くといつもと違う雰囲気の信がいた。
事務所で会うラフな格好の信ではなく、しっかり髪の毛もメイクもセットされたテレビで見る信が出来あがっていた。
信に声をかけようとすると、先に声をかけた人がいた。
それはすごく綺麗な女の人だった。
「うわ! 白川舞だ!」圭は興奮気味に彼女を見ている。
白川舞と言えば、今や人気ナンバーワンの女性ソロ歌手だ。
女優業もしていて、容姿、性格ととても評判が良い。
信と白川舞は親しげに話し、見た感じでは舞は信が好きなようだった。
すると近くに居るスタッフさんの話し声が聞こえてくる。
「あの二人本当仲がいいよねー!」
なぜか、心に痛みが走る。
誰がどうみても二人はお似合いだ。
美男美女とはこの二人の事を言うのだろう。
分かってはいるけれど、傷ついた自分が居た。
少し信と仲良くなったことで、調子に乗っていたようだ。
私はただのバックダンサーで普通の女の子だ。何を期待していたのだろう。
私は自分の馬鹿さに呆れていた。




