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あの娘は発電機(She Is Electric Generator)  作者: 枕木悠
第二章 マスカレード
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第二章⑤

「今、ハルカ、丈旗んちにいるんだって、」ハルカとの通話を終えて、不機嫌そうにスズメは口を尖らせて言った。「丈旗の妹のマヨコちゃんと二人で、お誕生日会やってるんだって、私の電話よりもマヨコちゃんからの連絡の方が早かったんだって、っていうか、もっと早く電話して来いよ、バカハルカ」

「まあ、まあ、スズメちゃん、」マナミがスズメの頭を撫でて宥める。「顔が怖いぞ」

「むぅ、」スズメはマナミを一度睨み付け、愛らしい悲鳴を上げさせてからミヤビとアイナとニシキを見回して言った。「魔女の皆さんは、ハルカのこと、どう思いますか?」

 スズメはトワイライト・ローラーズの四人のことを魔女と呼ぶ。それは四人が占いの館のマシロの家でアルバイトをしているのと、ハルカがしきりに自分たちのことを魔女と言うからだった。だからいつの間にか、スズメは四人の代名詞として魔女を使用するようになった。スズメはもちろん、四人のことを、本当の魔女だと信じているわけじゃない。彼女はそういうエキセントリックなことをあまり信じないタイプだ。

『え?』

 ミヤビとアイナとニシキは顔を見合わせた。誰もスズメほどはヒステリックな顔はしてなかった。でも、アイナは少しだけ、ハルちゃんのロリコン、と言いたげな目をしている。ニシキはハルカのことなんてどうでもよさそうに、というか、眠そうに欠伸をしている。ミヤビはと言うと、丈旗の家にハルカがいるのが気になっていた。

 ハルカと丈旗は中学時代の親友だ。ミヤビはそのことは知っている。

 だから丈旗の妹とも仲がよくても、全然不思議なことじゃないだろう。

 丈旗マヨコ。

 ああ。

 この前の夢の話っていうのは丈旗の妹の夢の話だったんだ。

 ミヤビと丈旗が今、複雑で気まずい関係だって、ハルカはなんとなく分かっていると思うから、丈旗の妹のことだって言わなかったんだと思う。

 とにかく。

 ハルカは結構、頻繁に丈旗の家に行っているのかもしれない。

 なんか。

 なんか嫌だ。

 ハルカが丈旗の家にいるのが嫌。

 もしかしたら、というか高い可能性で、丈旗もハルカにお誕生日おめでとうって言ったかもしれない。

 嫌だな。

 ハルカは、私たちのハルカなんだ。

 だからとらないでよ。

 くそったれ。

「ムカつく」ミヤビは表情を変えずに言う。

 ミヤビの方に視線が集中する。

 スズメは一度驚く目をして、それから大きく頷いた。「うん、ミヤビちゃんの言う通りだよ、私もムカつく」

「ああ、電気で痺れさせてやりたい」

「そうそう、ビリビリっとね、」スズメは笑顔で頷く。「だから、ねぇ、魔女の皆さん、今から行きませんか?」

「え、どこに?」ニシキが目を擦りながら言う。

「丈旗んちに、だよっ」


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