Re:プレリュード①
私は今。
目覚めた。
世界に触れたというか。
世界に溶けたというか。
世界が私という、形を持ったというか。
正しいことは分からないのだけれど。
この実感が真実だと言う根拠は果しなく、ないのだけれど。
私は今、世界に煌めき揺らめく光を目にしている。
私が立っているのは、背の高い塔の上。
そこから空に昇るために顔を出した紫色の太陽を見ている。
紫色の太陽とは、エレクトリックの薫りがして。
とても近づけるような気持ちを抱かせる。
手を伸ばせば届きそうで。
ブレイカを落とせば、消えてしまいそうで。
紫色の太陽のどこかにはきっと、スイッチがあるんだって思う。
だから私は消してしまいたい。
私は背中を丸めて、腕を抱いた。
世界の暗闇に色が付き、輪郭がはっきりしていくにしたがって私は酷い恐怖に襲われる。
どうして誰もスイッチに手を伸ばさないのか。
怒りが込み上げて来る。
そして同時に私は。
堕ちたくなる。
そう願ってしまう。
祈りを捧げてしまう。
この世界は暗闇のままで、いいのにと。
暗闇のままならば私は、もう何も思わないから。
だから目を瞑る。
しかし太陽はいつの間にか。
全ての生き物が束になっても支えきれないほどの圧倒的な強い色の光を放ち。
ゆっくりと回り始めるのだ。
回転に巻き込もうとしているのだ。
すでに太陽に色を付けられし小さな生き物たちは全て。
回転を始めた。
回転してしまったら、それはもう止まらない。
太陽が再びエレクトリックな色に染まりながら、眠りにつくまで、止めることなんて出来やしない。
全ては太陽と連鎖している。
私は太陽と連鎖している。
私は太陽と一緒にクルクルとバレリーナみたいに回って。
とにかく踊らなければいけないみたい。
夢で思ってしまったから。
夢に見てしまったから。
夢で踊ってしまったから私は。
目を開ける。
そして。
プレリュードを繰り返すの。