ゆず湯
疲れた体で、高校2年の井野嶽幌は、家に帰ってきた。
「ただいま~」
「おかえり」
すでに、双子の姉の桜が、家でのんびりとしていた。
「料理部?」
「そ」
カバンを適当に投げ出して、桜が座っているソファーの横にドスンと座る。
「何作ったの」
「いろいろさ」
それだけ答えて、制服のネクタイを一気にとる。
「今日のご飯は?」
「ああ、天ぷらうどんだな。それと、風呂入れる時にゆずを浮かべる予定」
「そっか、今日は冬至だったね」
桜が幌に言った。
「ま、風邪をひかないようにな」
桜がゆっくりと幌に近寄っているところで、幌は立ちあがって制服を着替えに自室へと戻った。