The Prologue
この小説をまず来ていただきありがとうございます。私作者は今までの経験をもとにこの話を書いていきたいと思います。
更新速度は遅いかもしれませんが、長い目で見てやってください。よろしくお願いします。
「この世で一番厄介なもの……。なんだか知ってる?」
なんだって今僕に聞くんだ?
「最高の攻撃。最高の防御。最高の回避力に最高の運……」
――そんなの知らないよ。
「いろいろあるけど、今はやっぱり……」
だからなんでコイツは僕を――
「最高の防御が厄介よ!」「攻撃してくんだよぉ!?」
***
「オバチャン、いつものちょーだい」
「はいよ。200円ね」
「はい」
「いつもありがとうね」
「ううん、ここのアイスいちばんウマイんだもん」
「あはは。それはありがたいねえ」
「それじゃ、オバチャン。また来るよ」
「うん。待ってるよ」
自転車で坂を駆け下りる。吹き抜ける風に、上を見上げれば広がる青空。
夏の蝉の声を聞きながら、僕はある場所に向かった。
「おーい!」
「あっ、やっと来た!」
この町の真ん中にある神社。そこがその時の僕たちの遊び場だった。どちらともなく、約束をしていなくても必ずここに来ていた。
「ごめんごめん。でもアイス買ってきたんだ」
「なら許す。早く食べよう」
「そうだね」
その神社には段数の多い階段がある。そこを登ると広場があってその奥には小さな祠があるんだ。夕方になると僕らはいつもその階段の一番上に座って話をして帰る。それが僕たちの日課になっていた。
でも、その日は親友が言ったことがよくわからなかった。
「お前ってさ・・・。大人になったら何がしたい?」
「大人になったら? うーん・・・わからないや。 でもなんでいきなり?」
「んー、わかんね」
「あはは。何それ」
「はははっ!」
* * *
それから数日後、彼はいきなり引っ越してしまった。どこへとも言わずに。
まるで僕から逃げるかのように。
* * *
―――――キーンコーンカーンコーン・・・キーンコーンカーンコーン・・・―――――
あれから数年後、僕は中学2年生となった。小学校とは違い制服姿で神社の階段を駆け上がる。
前と同じように、親友を探して。
けれど彼はあれから一度も会っていない。ほぼ毎日のように行っていたのにただの一度も僕の前に姿を現さなかった。
一体・・・どこに行ってしまったんだろう。彼、隆臣君は―――――
* * *
「ここは一体・・・何なんだろうなあ・・・。 黙っていなくなっちまった罰なのかねえ」
永遠とも思える先が全く見えない闇の中に少年は一人、佇んでいた。
「つか、なんで今あいつのことを思い出すかねえ? あんな酷い去り方したのによ・・・。 まだ、洸人のやつ怒ってんだろうな」
* * *
この世界には無数の生き物がいる。それぞれが自分だけの世界を持ち、それを他の誰かと共有し、今まで生きてきた。
自我、想い、喜び、憎しみ、妬み、悲しみ・・・。これらは心と我々は呼んでいる。これらの感情はほかの存在がいなければ成り立たない。生き物は誰かと共存しなければ生きてはいけないのだ。
しかし、自分だけの世界をそれぞれが持っているとしたらこんな考えもできないだろうか?
―――――自分以外の者は、本当はいないではないか。今のこれはただの夢なのではないだろうか―――――
馬鹿げた考えかもしれない。君たちと同じように私も今同じ気持ちだ。
けれど、誰もが考えることができるのも同じこと。
大いなる災いというのは、案外近くにあるのかもしれないな。