第1話 特別入学した女子高生
現在2007年春。
彼女の名前は桜木癒亜。
引っ込み思案な性格であり、人見知りでもある。
ビジュアルは普通に可愛い。(※自分ではブスと思っている)
ロングヘアーでやや茶髪。(※染めてません。)
現在16歳の高校1年生になる彼女は
中学校では1年生から3年生まで全員からいじめの対象となっていた。
机の中にはゴミや死ね、消えろの文字が書いたぐちゃぐちゃになった紙くず。
給食時間は人目を避けてトイレで食べた日も少なくはない。
なぜ、彼女がいじめられるようになったかというと
ー彼女は自分より弱い相手を放っておけない性格だからー
目の前にいじめられてる相手がいた場合、いじめっ子のいる前でも
かばったり、優しく声をかけてあげれるヒーローな性格の彼女。
いじめられていた友達の変わりに自分が身代わりになってしまったのだ。
そんな地獄な場所から抜け出しあっという間に高校生を迎えた癒亜。
高校はほとんどの人が同じ中学校出身の生徒ばかりだった。
いじめのひどかった中学2年生のときに受け持った先生は1年で別の学校へ移動。
だが、ずっと癒亜のことを気にかけてくれていて優しい先生だった。
現在「鈴蘭宮男子寮学園」の数学担当の教師の先生は思い切って癒亜にこう伝えた。
ー鈴蘭宮は融通が利く学園だ。男子寮だが女子は絶対に入れなくもない。少し考えてみないか?-
もう二度とあんな思いしたくない。
そう思った癒亜は男子だけしかいないことを覚悟して思い切って
男子寮に特別入学することに決めた。
そこは違う意味で「やばい」学園であった。
癒亜の部屋は17室の二階。
1部屋2人で過ごすこの寮学園は1階と2階という仕切りで分かれている。
洗濯機や洗面所などは1寮、2寮、3寮全員で使う決まり。
西口と東口にあり2箇所しかないので戦争のように男子は走っていく。
この寮は本当に融通の利く学園だ。
癒亜の他にも特別入学して入った生徒がいた。
「薊涼介」現在中学3年生の15歳。癒亜と同じ部屋。3寮の生徒。
後輩の雰囲気はまったくない。そして3寮のリーダー的存在で
名も知れていないバンド「CHERRY」というバンドを結成。毎週土曜日にライブを開く。
敬語というものを知らない。英語能力と作詞・作曲能力はきわめて高い。
癒亜は人見知りなので男性に対して、または自分よりえらいと思っている人には敬語を使う。
名前を呼ぶときは「くん」ではなく「さん」がお決まりなのである。
「りょ、涼介さん・・・よろしくおねがいします。」
「あ?」
「特別入学しました、桜木癒亜です。」
「あっそ。」
このときの涼介は興味ない顔をしていた。
涼介が興味ないという顔をするときは照れ隠しをしている印。
強がりっぽく見えるが子供っぽくて素直だったりする。
涼介は整った顔立ちでさわやか系。
スタイルもよく身長は171センチと低くもない。
そんな魅力にもうすでに惹かれている癒亜は自分の部屋である17室の2階の掃除をしていた。
壁を雑巾で綺麗にし、ゴミを掃除機で吸い取り、机の上も整理整頓。
女子らしさを混ぜながらも男子寮ということを考えシンプルに。
ー目立つのは嫌いじゃないけど調子に乗っちゃうからシンプルにしようー
部屋のドアを誰かがノックした。
「入っていいですよ・・・?」
入ってきたのはこの寮で過ごす男子たちの中で体育系の部活をしている男子のための
特別女子マネージャーである。
名前は「水元加奈」
勉強は寮で学び、唯一の通学して通う女子である。
現在17歳で癒亜のひとつ年上。
男子には甘え上手だが女子の前では悪魔のように目の色がぎゅっと変わる。
自分の恋のライバルにはもっと厳しい。
「この学校、恋愛おもに禁止だから。注意してねぇ~?」
「は、はい。」
「涼介のこと好きになったら、わたし、許さないから。」
「わ、分かりました。」
「じゃあね~?癒・亜さん。」
天井の所に物をかけるところを発見した癒亜だったが男子用の部屋ということで
とても高いところにあった。
背伸びしてものをかけようとするが届かない。
バランスを崩して転倒し、勉強をしていた涼介の下に落ちてしまった。
怪我はなかったがハプニングが・・・。
偶然にもキスをしてしまうというハプニング。
すぐに癒亜はごめんなさいと誤り、17室を走って出て行く。