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いっかいめ ヨロヅヤ?

諸注意でございます


・本作品は怪談、都市伝説を下敷きに作者が改悪した厨二的二次創作です。

・また、今回はありませんが、以降の作品は一部に残酷な描写を含む場合があるかもしれません。

・大変申し訳ありませんが、作者の文章力は悲惨です。

・作者の酒の趣味が大いに反映されています。

―塔瀬市―

四方を海と山に囲まれ、円形に広がる平地はS字に曲がる川で二分割された「陸の孤島」と呼ばれる都市だ。

かつては造船で賑わった街も時代とともに寂びれ、工場のあった海側の一帯はゴーストタウンと化しているような何もない街で幽霊だとか心霊現象といったうさんくさいものを専門とした便利屋がいる。

長身短髪の男―相羽樹(あいばいつき)-と小柄な長髪の男―月島満(つきしまみつる)―が経営するその便利屋は『ヨロヅヤ』と呼ばれている。

この物語はそんな便利屋『ヨロヅヤ』と怪異との物語である。






塔瀬市の繁華街、その片隅に小さなバーがある。薄暗い店内には絶えずジャズが流れ、良質なカクテルを提供するおしゃれな店のカウンターに樹と満は座っていた。

「そうそう、樹よ…そういえばなのだが」

赤いカクテルの入ったグラスを傾け、煙草を灰皿に押しつけつつ満が切り出す。

「なんです?所長」

その横でオレンジのカクテルのロンググラスが入ったグラスを置くと、樹が首をかしげる。

「先日依頼が入ってなぁ、どうやら所有している古民家に何ぞかが出るそうだよ…それと所長と呼ぶのはやめてくれ」

推定40度近くあるカクテルを一気に飲み干すと満は楽しそうに話しだす。

外見のイメージとはまるで逆だが、度数のきつい酒を平気で飲むのは満の方で、男らしい容姿の樹はどちらかといえば下戸に分類される。「人は見かけによらない」という言葉はこんなところにも転がっているものだ。

「依頼者は不動産をいくつも持っているらしいが…その中に趣のある古民家がいくつかあるそうだ」



満のまとまりのない話を要約するとこうだ。

依頼者の所有する古民家の内の一つがどんな人に貸してもすぐに出て行ってしまうという。しかし別に周囲の住人との諍いがあったわけではないし、立地が悪い訳でもないのに数日もすると入居者が現れ、解約してしまう。

困り果てた依頼者がヨロヅヤに泣きついてきた、とのことだ。



「それで、そこにいるかもしれない何かを駆除しろ、ということですか?」

樹は質問をすると僅かに残ったカクテルを飲み干す。

「いいや、調べるだけでいいそうだ…まぁ俺としては駆除は面倒だしそれで構わないがね」

満は肩をすくめながら、人差し指で円を描く―人差し指で円を描くは満が考え事をする癖だ―

(タチ)の悪いものが棲みついていたらどうするつもりなんでしょうね、その依頼者」

「何、そう悪いモノはいないさ、いたらとっくに誰かが死んでるからね…マスター、メーカーズのロックお願いしますね」

少々不謹慎な発言をしつつ満が次の酒を注文する。

相変わらず酒が水のように減る、と思いながらも樹は依頼の内容を整理する。重要なことはそんな依頼を満がうけるかどうかだ。

「それで、受けるんですか?」

樹としては自分達が助けられるものは全て助けたいが、受諾するか否かを考えるべき立場の満は「害がなければ放っておけばいい」という、いいかげんな思想であるが故にまずはそこを確認する。

「受けるもなにも、断ったのに前金とか言ってけっこうな額を置いていきおったんでな、受ける他あるまい」

樹がジャケットのポケットから札束を取り出すと、軽く振ってみせる。



誤解が無いように言っておくと、樹も金を受け取ったからやるのではなく、単純に面白そうだからやるだけだ。「面白そうか否か」それが満の行動理念だ。

以前にはかなりの高額の報酬を約束されているにも関わらず「つまらない」の一言でバッサリ断ったことがあるほどだ。



「そうですか、では、行きましょうか」

「あぁ、行くとしよう」

2人は依頼を受けることにした。






―翌日―

10月の肌寒い空気の中、深夜2時過ぎに依頼者に聞いた古民家まで歩いている途中、満が不意につぶやく。

「善い夜だな、朧月を見ると酒が飲みたくなる」

「いつでも飲んでばっかりの所長が言っても説得力が微塵もありませんね」

依頼者からの話によればあと少し、と思いながら樹が一蹴する。

住宅街から離れ、少し山に近くなってきた。点在する民家とそれを囲む更地の中2人は歩く。

「やかましい、月とか花とかがあれば酒はより旨くなるだ…あと所長はやめてくれ」

何度目になるかわからない訂正をしつつ満は右手に提げた水筒をあおる。中身はウィスキーかだろう。

「あ、見えましたよ、あの家ですね」

そんな満を完全無視した樹が目的地を見つける。家というより屋敷という言葉の似合うその建物は土塀に囲まれ、瓦屋根と土壁の家が山と朧月をバックにそびえる。そこだけ切り出せば時代劇にでも使えそうな家は非常に美しい。



「樹、一応用心するといいぜ」

定期的に補修しているのか劣化の見えない土塀に近付くと、突然満がつぶやく。にやけた表情が女性じみた顔に浮かんでいる。

突然の発言に樹が首をかしげたその瞬間だった。






「うわん!」






突然頭上からそんな大音量の声が降ってきた。

「…今のは?」

あらかじめ言われていたせいか、さほど驚いた様子も見えない樹が尋ねる。

「アレはその声のとおり『うわん』という奴だ…ただ塀越しに叫ぶだけの妖怪だよ、何がしたいかさっぱりわからんが害は無い…もっとも、俺も実物を聴いたのは初めてだがね」

「僕はよく思うんですが、日本の妖怪は害も益もないやつが多いですよね」

素朴な感想を口にしつつ、2人は門を解錠して敷地内に入る。



電気は通してあるらしく、スイッチを入れると屋敷内に電気が灯る。

話によると人が住まなくなって半年だが、その間も手入れはしていたらしく、非常に清掃が行き届いている。

「所長の部屋とはえらい違いですね」

事務所の一角にある満の部屋を思い出しつつ樹が皮肉ると、満は肩をすくめた。

「とりあえず『うわん』は確認、人も住んでないから座敷童はいないだろうし…」

満の独り言をBGMにしながら探索を続けると、庭に面した障子に影が写りこんだ。シルエットからすると女性だろうか。

「人ではなさそうですね」

気配の無さに気付いたのか樹がつぶやくと、満が解説する。

「あぁ、アレは『影女』だろう、害はないはずだ…」

つまらなそうな顔の満はまた水筒をあおる。やる気の感じられない解説ともいえないような発言が冷え切った屋敷の空気に消えていく。



小一時間探索したが、結局『うわん』と『影女』以外は確認できなかった。

樹は害のあるモノがいれば駆除する気構えだったし、満は面白いモノがいればと期待していただけに2人とも気を抜いていた。


突然満の顔から数センチのところに何かが落ちてきた。

「天井下がりか、これまた害のない妖怪だな…このご時世レアではあるがね」

至近距離に逆さ吊りの老婆の顔があるにも関わらず満は平然としている。

「何です?『これ』は」

奇襲に驚いたのか少し上ずった声の樹が尋ねると、『天井下がり』の顔を指でつつきながら満が解説を入れる。

「こいつは天井下がり、見てのとおり天井からぶら下がって脅かすだけの妖怪だ…ほら、こっちが驚かないのがわかったら消えたろ?」

満の言葉通り『天井下がり』はいつの間にか消えていた。



さらに半時間かけて屋敷内を探索したが、それ以外は何もなく、2人は帰ることにした。

何せ害をなすモノが存在せず、驚かすのが専門の妖怪ばかりで2人ともすっかりやる気をなくしているのだ。

のんびりと歩きながら2人は事務所兼事務所兼住居に戻った。



―さらに翌日―

事務所の応接スペースにあるソファーに依頼者の中年男性とヨロヅヤの2人が向かい合っている。

「あ、あの…害が無いとは…?」

依頼者の男性が不安そうな顔をしているので、樹が屋敷内の探索の顛末を聴かせる。

ことこういった接客、経理などの仕事は樹がほぼ全てを行っている。何せ目つきの悪い満では相手に警戒感を与えてしい、さらに満はいいかげんな性格なので、ミスばかりなのだ。

「な、なるほど…」

依頼者は納得していないようだ。いくら害が無いとはいえ入居者がすぐに出て行ってしまう物件では所有する意味が無いどころか維持費ばかりがかかってしまう。

「では、その物件僕らがお借りできませんか?」

樹の突然の提案は依頼者はおろか満をも驚愕さえた。依頼者からすれば『曰くつきの物件』であり、満からすれば『経理に厳しい樹らしからぬ無駄遣い』なのだ。

「さっき所長がネットで調べてたのを見ましたが、あの物件は幽霊が出る物件として有名になってますし、このままでは誰も借りませんから…僕らがお借りさせていただこうかと思うんです」

菩薩か何かのような笑顔とともに樹はそう言う。

「もっ…もちろんですよ、お安くさせていただきますのでっ…!」

依頼者は非常に喜んだようで、本来の家賃の半分以下で借りる契約で決まることとなった。



―その夜―

2人のたまり場と化しているバーにて。

「俺からは何も言わんがねぇ、お前さんそれでよかったのか?」

いかにも呆れた、という表情をした満が尋ねると、樹は少し困ったような表情をする。

「正直、完全に無駄だと思いますけど…あの物件はあのままではいけませんし、あの妖怪達も害がある訳ではありませんから危害を加えたくなかったんです…僕の勝手で負担を大きくしてスイマセン」

平和主義の樹らしい発言に満は満足したような表情を浮かべるとつぶやく。

「お前さんがそうしたいならそれでいいさ。今までのこういう時のお前さんの判断はいい結果に転びやすかったし」

満はそう言ってカクテルグラスの中身を一気に飲み干す。

「それに、たとえマイナスになってもそれはそれでいいと思えるのさ」

「何でですか?」

「さぁね」

満は樹の質問をはぐらかすとまた酒をあおりはじめる。今夜も深酒になりそうだ。


皆様こんにちは、今回初の投稿と相成ります金武墨喜恵と申します


こういった活動はこれが初めてとなります。どうか生温かい目でご覧になってください。



本作のイメージは「寺生まれのTさん」とか夢枕獏先生の「陰陽師」シリーズの感じです。

それらの劣化版にすらなっていないのは私の文章力の問題です。


これからもより一層の技術向上を目指していこうと思います…


それでは、ご覧になっていただいた皆様、誠にありがとうございました、金武でした。

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