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婚約破棄され泣きながら帰宅している途中で落命してしまったのですが、待ち受けていた運命は思いもよらぬもので……?  作者: 四季


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7話「努力を重ねて」

 私ラシエラ・ミレッディアンは戦い続けた。


 暑い日も寒い日も常に剣を握り。

 魔物との戦いに明け暮れる。


 周りの人たちは「無理しないで」だとか「たまには休んで」だとか言ってくれていた。気遣い自体は嬉しくて。けれども戦闘をやめる気は欠片ほどもなくて。もちろん休むつもりもなくて。体力が続く限りは戦う、それが私の意思だった。


 だがそんな人生にもやがて終わりの時がやって来る。


(ああ、そうか、私……)


 ある時、地域の人たちを護るために戦っていたところ、強すぎる魔物に遭遇してしまい負傷して。


(……ここまで、かな)


 紅が流れ落ちて。終焉が過る。


 戦うことは嫌いじゃなかった。

 対峙することも怖くはなかった。


 とはいえ私も一人の人間だ。


 神でも、化け物でも、ない。


(さようなら、今世の私……)


 意識が遠ざかっていく。

 誰かが名を呼ぶ声が聞こえるけれど聞き取れない。


 ラシエラの人生はここまでなのだろう。命の灯は消えかけている。けれども悪い人生だったとは思わない。色々あったけれどなんだかんだで充実していた。だから、ラシエラとして生まれラシエラとして生きられたことは、すごく幸せなことだったと迷いなく言える。


 剣を握って生きられて良かった。


 ラシエラ・ミレッディアンに、後悔は一切ない。



 ◆



 天に返った私の魂は再び地上へ降り立った。


「ミレニーは剣ほんと強いよなぁ」

「そうですか?」

「君ほど強い女の子はこれまで見たことがない!」

「ありがとうございます」


 私はミレニー・フィフ・トレンディングという女として生まれた。


 物心ついた時から剣を振ることが得意だった。

 前世で得たものをどうやら継承できているようで、初めて剣を握った時から私は器用に戦うことができた。


「女の子ではあるけれど、ぜひ、剣士として頑張ってほしい!」

「頑張ります」


 だが今回は剣術以外も身につけたい。


「ミレニー・フィフ・トレンディングさん!? 初級魔法……既に完璧じゃないですか」

「ありがとうございます先生」

「昨日教えたばかりだというのに、どうしてもうそんなにも完璧なのです?」

「練習しました」

「まぁ……! どの程度練習を?」

「学園から帰って、それからすぐ初めて、ええと……大体、五時間くらいは練習したと思います」


 なので魔法の授業にも熱心に取り組んだ。


「ひょぅぉほッ!? う、嘘でしょぉッ!? ご、ごご、ご……ご……五時間、もッ!?」

「はい」

「それで完璧だったのですね……」

「上手くできていたなら安心しました。褒めてくださってありがとうございます先生。とても嬉しいです」

「しかも発言も満点ぅッ!?」

「これからも色々教えてください。頑張りますので。どうかお願いします」


 その後先生に紹介してもらい個人的にも魔法の指導者をつけてもらった。


「あなたがミレニー・フィフ・トレンディングさんね」

「はい」

「才能ある女の子と聞いているわ。どうぞよろしく。これから一緒に頑張っていきましょうね」

「よろしくお願いします」


 女性師匠と共に私は徹底的に魔法を学んでいった。


 魔法の勉強というのは実技だけではない。

 机に向かう勉強もある。

 魔法の成り立ち、魔法の仕組み、などなど、基礎的な内容も少なくない。そしてさらに発展的な理論もある。


 一日数時間は机に向き合わなくてはならなかった。


 それに加えて実技も。

 こつこつ取り組む必要がある。


「今日もしっかり課題をこなしてきているわね、ミレニー」

「このページが難しかったです」

「復習しておく?」

「いえ。先生の時間を奪うのは失礼なので、自分で復習しておきます。繰り返し読み込んでしっかりと覚えます」

「オーケイ。じゃ、実技の方を続けましょ」

「……はい!」


 何事も努力が大事。その事実を強く感じる日々だった。練習すれば練習するほどに出来が良くなっていく魔法だから、練習することがとても楽しかった。取り組めば取り組むほどにまだ見ぬ領域へと踏み込んでゆけるのだから、もうとにかく楽しいし嬉しいしであった。

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