27話「最終決戦」
悪しき魔族の女王フィレアンとの最終決戦に挑む。
その日の空はおどろおどろしい黒をしていた。
けれどそれでも私は迷うことなく女王と対峙した。
「愚かな王女よ、我に挑むか」
「ええ」
「戦う、と、そう言うのだな」
「本当は戦いなんてしたくない。だって、戦ったって何の意味もないのだもの。平和そのものな日々の中で生きられるならそれがいい。誰だってそれが最善だと言うでしょう」
真の姿を晒したフィレアンは明らかに怪物だった。
もはや人の面影など欠片ほどもない。
十本以上ある脚、長く伸びた腕から突き出した棘、その指先についた鋭い爪……禍々しさを絵に描いたかのような姿をしている。
「フィレアン、戦いをやめるなら今よ」
「何を言っている? ……愚か者め。王女、上から目線で物を語るのはいい加減にせよ」
「できるなら戦いたくないのよ、私だって!」
「馬鹿げたことを」
低い声を発していたフィレアンは、突如黒い波動を飛ばし、辺りの建造物をいくつも破壊した。
「我はすべてを壊し尽くす。そしてすべてを我が手の内に収める」
「それは許されないことよ!」
「お主にはそのようなことを言う権利はない」
「もうやめて。こんなこと。世界を壊したって何の意味もない! そんなことをしても残るのは虚しさだけよ」
フィレアンの身から溢れ出す黒いものからは凄まじさを感じる。そこはさすがに女王、それだけの力をその身に宿しているということなのだろう。悪しき者とはいえ、女王としても風格は十分だということか。
「貴女が世界を壊すなら、私は貴女を倒します!」
「……黙れ」
暫し、睨み合い。
「貴女を倒して、世界を護ります!!」
怖さがないと言えば嘘になる。
私だって人だから恐怖心というものは持っている。
ただ、それでも、負けるわけにはいかない。
怖くても。
力の差を感じても。
それでも私は戦いから逃げない。
父も、母も、死んでしまった。私を育ててくれた人は今回のこの災厄によって減ってしまった。全員亡くなってしまったわけではないからまだ救いはあるけれど。それでも、両親がいなくなってしまったというのは大きい。親という存在はなんだかんだかなり大きなものだから。
「ウンタラ・ウンテラ・アンディア・ルシシピエーシェラ・アンディラッツ・エリシトシリアカリアランティラメクルシィク・ウンタラ!!」
「弱いわ」
「っ……」
「その程度の魔法の才か?」
「ま、まだよ! 負けはしない! 世界は絶対に護る!」
「愚かな王女め」
「ウンタラ・ウンテラ・アンディア・ルシシピエーシェラ・アンディラッツ・エリシトシリアカリアランティラメクルシィク・ウンタラ! からの……ウンティラ・ウンティラ・テュルル・アンデイラ・ルススピピルェーティア・アブディラットエリスティシリラカティアランティラメクィルシィク・ウンティティリリアン!!」
第二の魔法。
これは第一の魔法よりも大きな力を放出するもの。
呪文は複雑なうえ長いのだけれど、第一の魔法よりも遥かに強力だ。
「ウンティラ・ウンティラ・テュルル・アンデイラ・ルススピピルェーティア・アブディラット・エリスティシリラカティアランティラメクィルシィク・ウンティティリリアン! ウンティラ・ウンティラ・テュルル・アンデイラ・ルススピピルェーティア・アブディラット・エリスティシリラカティアランティラメクィルシィク・ウンティティリリアン! ウンティラ・ウンティラ・テュルル・アンデイラ・ルススピピルェーティア・アブディラット・エリスティシリラカティアランティラメクィルシィク・ウンティティリリアン! ウンティラ・ウンティラ・テュルル・アンデイラ・ルススピピルェーティア・アブディラット・エリスティシリラカティアランティラメクィルシィク・ウンティティリリアン!!」
強力な魔法を重ねて唱えると。




